夢想少女ノ魔女裁判   作:タイホくん

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日常パート その27

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───同日 14時25分 監獄島 裏庭───

 

(推奨BGM「交々のいと-溺-」♪13)

 

 それから私たちはリクアさんが返ってくるまでの間、黙々と作業を続けていました。リクアさんが怪我を負ったことに責任を感じたのか、チサさんが露骨に落ち込んでいます。作業のペースも先ほどよりも遅いです。

 それに加え、全員疲労が溜まってきたのか、私を含め皆さん動きが鈍くなってきました。

 

 そして何よりも全員の心に引っかかっているのは‥‥。

 

キラ

 「‥‥なあ。真壁のやつ、あまりにも遅くないか?」

 

 4人全員が思っていたことを、アキラさんが最初に口に出しました。

 

リナ

 「やっぱそうよな。消毒して泥落とすって言ってたけど、明らかに遅ぇー。リクアっちの性格的にサボってるってことはありえないだろうし‥‥」

 

 「も、もしかして、怪我が思ってたよりヤバかったとか‥‥?」

 

 アキラさんの言葉に続いて、2人も口を開きます。鍬を回収して、リクアさんが医務室の方へ向かったのが大体14時前。それからすでに20分以上経過しています。

 しかし彼女が戻ってくる気配は一向になく、スマホにメッセージすら届いていません。

 

 ‥‥何かがおかしいことは、誰の目から見ても明らかでした。

 

コト

 「‥‥探しに行きましょう。心配です」

 

 私の一声を聞いて3人とも鍬をその場に置きます。私たちはサンルームの方へと進み、まず医務室を目指しました。リクアさんがつけた泥の足跡を辿っていきます。

 足跡は医務室の外扉へと続いていきました。扉の前のマットで軽く土や泥を落とした私たちは中へと進みます。

 

 

 

───同日 14時28分 牢屋敷内 医務室───

 

 医務室の扉を急いで開きます。ギィと軋む音が部屋の中に響きました。

 残念なことに部屋はもぬけの空でした。右上の天窓から降り注ぐ陽光に加え、設置された照明が明るく室内を照らしているだけです。

 

コト

 「い、いませんね‥‥。もう治療は済ませたのでしょうか」

 

 歩きながら部屋を改めてグルリと見回して、私は呟きます。

 すると、何かを引きずる音がしました。アキラさんです。

 

キラ

 「‥‥この椅子、少し土がついているな。どうやらここで治療したようだ」

 

 アキラさんが示した椅子には、黒色の乾いた土が残っていました。先ほどまで散々土を耕していた私たちには、もはやおなじみの色。リクアさんがここで治療をしていたのは間違いないようです。

 

リナ

 「て、ことはシャワールームか? 泥もついでに落とすって言ってたし」

 

 「‥‥急ぐぞッ! なんか嫌な予感がするッ!」

 

 野生児の勘か、チサさんは医務室の内扉を蹴破るように勢いよく開けると廊下へ飛び出し、シャワールームの扉を開けます。私たちも慌てて後に続きました。

 

 

 

─同日 14時30分 牢屋敷内 シャワールーム─

 

 シャワールームに立ち入った私たちは二手に分かれました。私とアキラさんがロッカーブース。残る2人がシャワーブースです。ロッカーブースに入った私たちですが‥‥。

 

キラ

 「見当たらねえな。ロッカーの中にもいない」

 

 素早くロッカーの扉を開けてアキラさんは確認して回ります。ですが、中にもいないようです。

 

コト

 「簡易的な場所ですし、他に隠れられる場所もありません。ということは、まだシャワーブースの方に‥‥?」

 

 どこに行ったのでしょう‥‥。

 

 そう思った次の瞬間──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リナ

 「きゃああああああああああああぁーッ!!」

 

 「リクアねえ! しっかり‥‥しっかりしろッ!」

 

 隣のシャワーブースから轟く悲鳴。私とアキラさんはシャワーブースへと急行します。

 

リナ

 「あ、アキラっち‥‥マコトっち‥‥り、リクアっちが‥‥!」

 

 一番奥のシャワーブースに2人の姿はありました。

 セリナさんは腰が抜けたのか、座り込み、震えた声で涙を流しています。

 チサさんは腰こそ抜けていませんが、起こった出来事に愕然としているのか、体が震えてその場に固まっていました。

 しばし2人の反応に気を取られた私たちは、少し遅れて横を向きます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、それを見ました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(推奨BGM「Ema-虚-」♪37)

 

 

 

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コト

 「リクアさん‥‥?」

 

 一瞬、脳が理解を拒みました。眼前に転がっているのは目を見開いて、びくとも動かないリクアさん。その姿が示す事は、ただ1つ。

 

コト

 「──リクアさんッ!」

 

 何が起こったかようやく理解すると同時に、私は叫んでいました。

 

 私たちのリーダー的存在だった少女‥‥真壁リクアさんは、死んでいました。

 

 体全体がビシャビシャに濡れていて、口元には僅かな泡が見えます。先ほど怪我をした手のひらの患部にガーゼが張られていて、シャワーの水のせいか、血が全体にじんわりと滲んでいます。

 

 みんなのまとめ役として多くの言葉を発してきた彼女のその口が開かれることは、もう二度と無い。そんな現実が私たちの前に突きつけられます。

 

キラ

 「‥‥くそッ。手遅れか‥‥」

 

 私が呆然としている間に、アキラさんは素早く生存確認を終えていました。蘇生の見込みは、もはやあり得ない。残酷な事実が次々に私たちに突きつけられていきます。

 

 タイミングを見計らったように、スマホの通知音が5つ、シャワーブースに鳴り響きます。

 

 『はあ‥‥報せが入りました。痛ましい殺人事件が発生したようですね。あの、皆さん、今すぐラウンジに集合してください。従わなければ看守が連行しちゃうので‥‥』

 

 ゴクチョーさんからのメッセージでした。それと同時にシャワールームの扉がバン、と音を立てて開かれます。看守さんでした。

 大きな剣を構えた看守さんはゆっくりこちらに近づくと私たちの前で静止します。そして剣をチョイチョイと動かします。「どけ」ということなのでしょう。

 

キラ

 「現場保存、ってことか? それとも連行か?」

 

 突然の看守の来訪にアキラさんは身構えます。

 

 「‥‥‥‥‥‥‥‥」

 

 看守さんは何も言いません。あくまでも私たちの自発的な行動を待つというスタンスのようです。

 

コト

 「‥‥皆さん、今はとりあえずラウンジに移動しましょう。従わなければ、どのみち連行されてしまうみたいですし」

 

キラ

 「‥‥チッ。仕方ねぇ」

 

 リクアさんの死体の側でかがんでいたアキラさんは立ち上がると、まだ腰の抜けているセリナさんに肩を貸します。チサさんはすでにトボトボと動き出していました。その顔には表情がありません。

 アキラさんもそうでしたし、多分私もそうでしょう。あまりに突然の出来事に、顔の筋肉が麻痺しているのか、実際の表情はとても分かったものではありませんが。

 

 私達の中で、何かが少しずつ、着実に前に進もうとしていました。

 けれどもその動きは‥‥この出来事をきっかけに止まってしまった。いえ、それどころか後退したかもしれません。

 

 倒れそうになる気持ちを抑えて。せめて体だけは前に進まなければと、足を引きずるようにして私はシャワールームを後にしました。

 

 




以下、作者後書き(アンケートがありますので、よければご協力ください)




















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  • 早瀬アキラ
  • リヴィア・ローゼンタール
  • 黒部ナノカ(ホノカ)
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