【南雲 ヒナタ】
「まずは全員の魔法について把握しておこうか。
アリバイがないことが確認できた今、重要になるのは被疑者3名の魔法のうち、誰のものが犯行に使われたかを特定することだ」
【リヴィア・ローゼンタール】
「ではわたくしから」
【リヴィア・ローゼンタール】
「わたくしの魔法は《時間停止》。
能力の効果は読んで字の如く。わたくし以外の【“全てのモノ”の時間を停止させますわ】。
また、停止中に起きた出来事は他者の記憶には一切残りません」
【リヴィア・ローゼンタール】
「魔法の発動時間は最大3分。
その間、動くことができるのはわたくし1人のみ。
文字通り、世界はわたくしのモノになる、ということになります」
【倉科 ミオリ】
「ち、チート魔法キタコレ!!!
この魔法なら背後から近づかれても決して気づかれることはない、って事になってしまうわけですなぁ‥‥」
【リヴィア・ローゼンタール】
「ええ。その通りですわ。
さらに言ってしまえば、この魔法があればもはやアリバイなど無意味。わたくしが疑われるのも無理はございませんわ。
みなさまがお望みとあらば、犯人として処刑されてもよろしくてよ。」
【早瀬 アキラ】
「‥‥無駄口叩いてんじゃねえ。その口縫い合わせるぞ」
【リヴィア・ローゼンタール】
「あら。ならば‥‥やってごらんなさい?」
【倉科 ミオリ】
「ひょえーッ! 貴重なキス待ち顔ッ‥‥!」
【早瀬 アキラ】
「チッ‥‥調子狂うな」
【倉科 ミオリ】
「ああ‥‥喧嘩ップルてえてえ‥‥」
【常盤 シヅハ】
「で、では次は私が‥‥。
私の魔法は《影操作》。自分のものでも他人のものでも、その人物の影を補足することにより、その影を自由に操ることができます。
‥‥もっとも、【影を操ろうとすると勝手に紐状になってしまう】ので、実質的には投げ縄やムチのような能力に過ぎません」
【三条 エリス】
「べ、便利な魔法ですね‥‥! 高いところにある物も簡単に取れそうです‥‥!」
【白川 ミト】
「便利な一方、殺人の道具にもなる‥‥。
影さえ補足できれば、本人は近づくこと無く相手に攻撃できるのだから‥‥。違う?」
【常盤 シヅハ】
「いや‥‥今の牢屋敷ではそうでもないです。
真壁さんが牢屋敷中に照明を設置したせいで、影の大きさや形が不安定になりました。
‥‥こんな状況では、私に魔法を使っての犯行は不可能です」
【南雲 ヒナタ】
「照明のせいで影を補足するのが難しくなった‥‥確かに理由としては納得できそうだね」
【鳳月 カナデ】
「最後は私ですね。私の魔法は《分身》。
文字通り、私と姿形が全く同じ分身を1体作り出すことができます。
‥‥ですが、【分身ができることは移動と会話くらいのもの】です。
あとはせいぜい視界が共有される程度で他に大したことはできません」
【三条 エリス】
「あ、アリバイトリックに使えそうですね。
今回に関してはそもそもアリバイがないので、意味がないみたいですけれど‥‥」
【黒部 ナノカ】
「けれども、【分身を使えば被害者に抵抗されても服が濡れることはないわ】。
今までの議論の流れにも合致する。
鳳月カナデが犯人ならば、分身を使って犯行を行ったのでしょう」
【南雲 ヒナタ】
「‥‥これでひとまず、全員の魔法は確認できたかな?」
【倉科 ミオリ】
「よ、よりどりみどりすぎて、どなたの魔法が最適か迷いますなぁ‥‥」
【早瀬 アキラ】
「1つずつ可能性を潰していくしかねえ。
‥‥俺だって、本当はこんなことしたかねえけどな」
【篠宮 マコト】
(容疑者が3名まで絞られました‥‥
一体誰なら犯行が可能だったのでしょうか)
【南雲 ヒナタ】
「‥‥おそらく、
今回ポイントになるのは2つ」
【南雲 ヒナタ】
「1つは被害者が抵抗した際に、
服が濡れないようにする方法」
【南雲 ヒナタ】
「もう1つは被害者に気づかれることなく
背後に忍び寄る方法」
【南雲 ヒナタ】
「この2つを両立する魔法を持つ
被疑者が犯人のはずだ」
【南雲 ヒナタ】
「‥‥まずは情報を集めたほうが良さそうだね。
無闇に反論すると、痛い目を見そうだ」
【篠宮 マコト】
(確かに、私はまだ皆さんの魔法のことを
完全には把握しきれていません)
【篠宮 マコト】
(まずは情報を集めることに
専念したほうが良さそうですね‥‥!)
【リヴィア・ローゼンタール】
「わたくしの魔法は《時間停止》。
能力の効果は読んで字の如く。わたくし以外の【“全てのモノ”の時間を停止させますわ】。
また、停止中に起きた出来事は他者の記憶には一切残りません」
【常盤 シヅハ】
「で、では次は私が‥‥。
私の魔法は《影操作》。自分のものでも他人のものでも、その人物の影を補足することにより、その影を自由に操ることができます。
‥‥もっとも、【影を操ろうとすると勝手に紐状になってしまう】ので、実質的には投げ縄やムチのような能力に過ぎません」
【常盤 シヅハ】
「いや‥‥今の牢屋敷ではそうでもないです。
真壁さんが牢屋敷中に照明を設置したせいで、影の大きさや形が不安定になりました。
【これでは能力をうまく活用できません】。
‥‥こんな状況では、私に魔法を使っての犯行は不可能です」
【鳳月 カナデ】
「最後は私ですね。私の魔法は《分身》。
文字通り、私と姿形が全く同じ分身を一体作り出すことができます。
‥‥ですが、【分身ができることは移動と会話くらいのもの】です。
あとはせいぜい視界が共有される程度で他に大したことはできません」
【黒部 ナノカ】
「けれども、【分身を使えば被害者に抵抗されても服が濡れることはないわ】。
今までの議論の流れにも合致する。
鳳月カナデが犯人ならば、分身を使って犯行を行ったのでしょう」
【篠宮 マコト】
「
【篠宮 マコト】
「魔法を使うと、リヴィアさん以外の
モノ全てが停止する‥‥」
【篠宮 マコト】
「具体的にはどのようになるのでしょう」
【リヴィア・ローゼンタール】
「全ての物理法則が停止すると
思っていただければ理解できますわ」
【リヴィア・ローゼンタール】
「放り出されたボールは空中で静止する‥‥」
【リヴィア・ローゼンタール】
「ストローで吸い上げた飲み物は、
口に運ばれること無くそのまま停止する‥‥」
【リヴィア・ローゼンタール】
「人々は息をするのも忘れて
その場に立ち尽くす‥‥」
【リヴィア・ローゼンタール】
「“原子の動き”が停止する、
とでも言えばいいのでしょうか」
【リヴィア・ローゼンタール】
「時間停止を解除すれば、
皆さま何事もなく元通り動き始めますわ」
【篠宮 マコト】
「なるほど‥‥」
【篠宮 マコト】
「では‥‥時間が止まっている状態で
なにか行動を起こして‥‥」
【篠宮 マコト】
「その後時間停止を解除すると、
どの様になるのでしょうか?」
【リヴィア・ローゼンタール】
「先ほどのボールの例えで言えば‥‥」
【リヴィア・ローゼンタール】
「ボールの動き自体は停止しますが、
わたくしなら自由に動かすことができます」
【リヴィア・ローゼンタール】
「この状態で時間停止を解除すれば‥‥」
【リヴィア・ローゼンタール】
「第三者目線から見た時には、
ボールが瞬間移動したように見えるでしょうね」
【篠宮 マコト】
「最後にもう1つ」
【篠宮 マコト】
「もし時間が止まった状態で‥‥
例えば人をナイフで刺せばどうなりますか?」
【リヴィア・ローゼンタール】
「時間停止中の攻撃は、
即座に被攻撃者に反映されません」
【リヴィア・ローゼンタール】
「時間停止解除後、
全ての攻撃が一斉に襲いかかってきますわ」
【篠宮 マコト】
「なるほど。よくわかりました。
ありがとうございます」
【リヴィア・ローゼンタール】
「お安い御用でしてよ」
【篠宮 マコト】
(リヴィアさんの魔法発動中は、
全ての動きが止まる‥‥)
【篠宮 マコト】
(時間停止中に攻撃を行った場合、
その効果は解除後に一斉に襲いかかる‥‥)
【篠宮 マコト】
(‥‥刺したり、殴ったりといった攻撃は
通じるようですね)
【篠宮 マコト】
(では、水が溜まった場所に
顔を押さえつけたらどうなるのか‥‥)
【篠宮 マコト】
(‥‥なにか引っかかるところがあります)
【篠宮 マコト】
(もう一度、今の会話の内容を
確認しておくべきですね)
【篠宮 マコト】
「
【篠宮 マコト】
「少し良いでしょうか」
【篠宮 マコト】
「なぜシヅハさんの魔法は、
影が紐状になってしまうのでしょうか」
【常盤 シヅハ】
「なぜ、と言われても‥‥」
【常盤 シヅハ】
「そういうものだから、
としか説明のしようがありません」
【常盤 シヅハ】
「影を捉えて動かそうとすると、最初は
人の形の影そのものを操れるのですが‥‥」
【常盤 シヅハ】
「‥‥形を保つことが出来なくて、
すぐに紐状になってしまうんです」
【常盤 シヅハ】
「今の私には、紐のような影を操るのが精一杯‥‥
被害者を取り押さえることは不可能ですね」
【篠宮 マコト】
(シヅハさんの魔法は
紐の形にするのが精一杯‥‥)
【篠宮 マコト】
(確かに、人の形に比べれば
取り押さえるのは難しいでしょう)
【篠宮 マコト】
(けれども‥‥どこか引っかかるような)
【篠宮 マコト】
(今のやり取り、
覚えておいたほうがいいかもしれません)
【篠宮 マコト】
「
【篠宮 マコト】
「なぜ魔法がうまく
使えなくなったのでしょうか?」
【常盤 シヅハ】
「‥‥今説明したように、
牢屋敷中に照明が設置されたからです」
【常盤 シヅハ】
「私の魔法の発動条件は、
影を補足することからスタートします」
【常盤 シヅハ】
「そのためには、
影がある程度の“大きさ”を保ちつつ、
【常盤 シヅハ】
「さらに、一定の“濃さ”である必要があります」
【常盤 シヅハ】
「大きく濃い影だと制御が効かなくなります」
【常盤 シヅハ】
「逆に小さく薄い影だと、
制御できても操作性が悪くなります」
【常盤 シヅハ】
「ちょうどいいのは、
自然光による一般的な大きさの影」
【常盤 シヅハ】
「そういう影でないと私は操りきれないのです」
【南雲 ヒナタ】
「つまり、現状の牢屋敷の環境だと‥‥」
【南雲 ヒナタ】
「常盤さんが魔法を発動しても
あまり役に立たない、ということだね?」
【常盤 シヅハ】
「そのとおりです。こんなことでは、
自分の影すら操作できません」
【常盤 シヅハ】
「ましてやそれを犯行に使うだなんて‥‥
‥‥不可能です」
【篠宮 マコト】
(シヅハさんの魔法は、
今の牢屋敷の環境だと制御が難しい
【篠宮 マコト】
(‥‥おそらく嘘ではないのでしょう)
【篠宮 マコト】
(けれども、本当に例外がないのでしょうか。
なにかが引っかかります‥‥)
【篠宮 マコト】
「
【篠宮 マコト】
「分身が行えることは、移動と会話くらい‥‥
本当にそうなのでしょうか」
【鳳月 カナデ】
「ええ。お恥ずかしい限りですが、
できることは間違いなくその2つのみです」
【篠宮 マコト】
「なぜそう断言できるのでしょう?」
【鳳月 カナデ】
「私の分身は、物に触ることができません」
【鳳月 カナデ】
「扉を開ける、カップを握ってお茶を飲む‥‥
あらゆる行為が一切できません」
【鳳月 カナデ】
「あくまでもできることは、
私の真似をすることのみ」
【鳳月 カナデ】
「それ以上の権能を持ち合わせていません」
【倉科 ミオリ】
「でもでも、オタク的にはありがたいですなあ」
【倉科 ミオリ】
「物販の列に並ぶのを代行してもらうだけでも
かなり助かります。裏山^~」
【鳳月 カナデ】
「まあ、現実的なところは
それくらいのものでしょうね」
【鳳月 カナデ】
「したがって、私には犯行は不可能なのです」
【篠宮 マコト】
(分身に物を掴むことはできない‥‥
それなら確かに犯行は不可能に思えます)
【篠宮 マコト】
(実際、私もイノシシがカナデさんの分身を
通り抜ける瞬間を見ています)
【篠宮 マコト】
(カナデさんの分身は物理的に
なにかに干渉することは不可能のようです)
【篠宮 マコト】
(けれども逆を言えば、カナデさん本体なら
犯行は可能だったとも言えます)
【篠宮 マコト】
(ですが‥‥何かがおかしいような気もします。
留意しておくべきですね)
【篠宮 マコト】
「ちょっと待ってください!」
【篠宮 マコト】
「分身の服が濡れる可能性だって
あるんじゃないですか?」
【黒部 ナノカ】
「いいえ。その点は問題にならないわ」
【黒部 ナノカ】
「犯行後、分身を消してしまえば、
濡れた事実ごと全てを消し去ることができる」
【黒部 ナノカ】
「この場合、濡れようが濡れまいが関係ないわ」
【篠宮 マコト】
「た、たしかに‥‥」
【篠宮 マコト】
(根拠として弱かったようです‥‥)
【南雲 ヒナタ】
「篠宮さん、今は情報が足りない。
一度、みんなの話を聞いていこう」
【南雲 ヒナタ】
「これまでの牢屋敷生活で、3人が話さなかった
魔法に関する情報があるかもしれない」
【南雲 ヒナタ】
「犯人だと疑われている今なら、
それを出し渋る理由もない」
【南雲 ヒナタ】
「きっとみんな正直に話してくれるはずだ」
【篠宮 マコト】
(皆さんの魔法について聞く‥‥)
【篠宮 マコト】
(確かに一度情報を
収集しておいたほうがいいかもしれません)
【篠宮 マコト】
(やってみましょう‥‥!)
【南雲 ヒナタ】
「これで、みんなの魔法について
大体知れたはずだ」
【南雲 ヒナタ】
「今なら‥‥
きっと犯人を指名することができるはず」
【篠宮 マコト】
「‥‥率直に言えば心苦しいです」
【篠宮 マコト】
「けれども、
誰かがやらないといけないことなんです」
【篠宮 マコト】
「なら‥‥私が‥‥」
【南雲 ヒナタ】
「‥‥無理はしないで、篠宮さん」
【南雲 ヒナタ】
「落ち着いて‥‥
“真実”だけを見据えるんだ」
【篠宮 マコト】
「‥‥はい」
【南雲 ヒナタ】
「まずは全員の魔法について把握しておこうか。
アリバイがないことが確認できた今、重要になるのは被疑者3名の魔法のうち、誰のものが犯行に使われたかを特定することだ」
【リヴィア・ローゼンタール】
「ではわたくしから」
【リヴィア・ローゼンタール】
「わたくしの魔法は《時間停止》。
能力の効果は読んで字の如く。わたくし以外の【“全てのモノ”の時間を停止させますわ】。
また、停止中に起きた出来事は他者の記憶には一切残りません」
【リヴィア・ローゼンタール】
「魔法の発動時間は最大3分。
その間、動くことができるのはわたくし1人のみ。
文字通り、世界はわたくしのモノになる、ということになります」
【倉科 ミオリ】
「ち、チート魔法キタコレ!!!
この魔法なら背後から近づかれても決して気づかれることはない、って事になってしまうわけですなぁ‥‥」
【リヴィア・ローゼンタール】
「ええ。その通りですわ。
さらに言ってしまえば、この魔法があればもはやアリバイなど無意味。わたくしが疑われるのも無理はございませんわ。
【みなさまがお望みとあらば、犯人として処刑されてもよろしくてよ】。」
【早瀬 アキラ】
「‥‥無駄口叩いてんじゃねえ。その口縫い合わせるぞ」
【リヴィア・ローゼンタール】
「あら。ならば‥‥やってごらんなさい?」
【倉科 ミオリ】
「ひょえーッ! 貴重なキス待ち顔ッ‥‥!」
【早瀬 アキラ】
「チッ‥‥調子狂うな」
【倉科 ミオリ】
「ああ‥‥喧嘩ップルてえてえ‥‥」
【常盤 シヅハ】
「で、では次は私が‥‥。
私の魔法は《影操作》。自分のものでも他人のものでも、その人物の影を補足することにより、その影を自由に操ることができます。
‥‥もっとも、【影を操ろうとすると勝手に紐状になってしまう】ので、実質的には投げ縄やムチのような能力に過ぎません」
【三条 エリス】
「べ、便利な魔法ですね‥‥! 高いところにある物も簡単に取れそうです‥‥!」
【白川 ミト】
「便利な一方、殺人の道具にもなる‥‥。
影さえ補足できれば、本人は近づくこと無く相手に攻撃できるのだから‥‥。違う?」
【常盤 シヅハ】
「いや‥‥今の牢屋敷ではそうでもないです。
真壁さんが牢屋敷中に照明を設置したせいで、影の大きさや形が不安定になりました。
‥‥こんな状況では、【私に魔法を使っての犯行は不可能です】」
【南雲 ヒナタ】
「照明のせいで影を補足するのが難しくなった‥‥確かに理由としては納得できそうだね」
【鳳月 カナデ】
「最後は私ですね。私の魔法は《分身》。
文字通り、私と姿形が全く同じ分身を一体作り出すことができます。
‥‥ですが、【分身ができることは移動と会話くらいのもの】です。
あとはせいぜい視界が共有される程度で他に大したことはできません」
【三条 エリス】
「あ、アリバイトリックに使えそうですね。
今回に関してはそもそもアリバイがないので、意味がないみたいですけれど‥‥」
【黒部 ナノカ】
「けれども、【分身を使えば被害者に抵抗されても服が濡れることはないわ】。
今までの議論の流れにも合致する。
鳳月カナデが犯人ならば、【分身を使って犯行を行った】のでしょう」
【南雲 ヒナタ】
「‥‥これでひとまず、全員の魔法は確認できたかな?」
【倉科 ミオリ】
「よ、よりどりみどりすぎて、どなたの魔法が最適か迷いますなぁ‥‥」
【早瀬 アキラ】
「一つずつ可能性を潰していくしかねえ。
‥‥俺だって、本当はこんなことしたかねえけどな」
【南雲 ヒナタ】
「これで、みんなの魔法について
大体知れたはずだ」
【南雲 ヒナタ】
「今なら‥‥
きっと犯人を指名することができるはず」
【篠宮 マコト】
「‥‥率直に言えば心苦しいです」
【篠宮 マコト】
「けれども、
誰かがやらないといけないことなんです」
【篠宮 マコト】
「なら‥‥私が‥‥」
【南雲 ヒナタ】
「‥‥無理はしないで、篠宮さん」
【南雲 ヒナタ】
「落ち着いて‥‥
“真実”だけを見据えるんだ」
【篠宮 マコト】
「‥‥はい」
【リヴィア・ローゼンタール】
「わたくしの魔法は《時間停止》。
能力の効果は読んで字の如く。わたくし以外の【“全てのモノ”の時間を停止させますわ】。
また、停止中に起きた出来事は他者の記憶には一切残りません」
【常盤 シヅハ】
「で、では次は私が‥‥。
私の魔法は《影操作》。自分のものでも他人のものでも、その人物の影を補足することにより、その影を自由に操ることができます。
‥‥もっとも、【影を操ろうとすると勝手に紐状になってしまう】ので、実質的には投げ縄やムチのような能力に過ぎません」
【常盤 シヅハ】
「いや‥‥今の牢屋敷ではそうでもないです。
真壁さんが牢屋敷中に照明を設置したせいで、影の大きさや形が不安定になりました。
【これでは能力をうまく活用できません】。
‥‥こんな状況では、私に魔法を使っての犯行は不可能です」
【鳳月 カナデ】
「最後は私ですね。私の魔法は《分身》。
文字通り、私と姿形が全く同じ分身を一体作り出すことができます。
‥‥ですが、【分身ができることは移動と会話くらいのもの】です。
あとはせいぜい視界が共有される程度で他に大したことはできません」
【黒部 ナノカ】
「けれども、【分身を使えば被害者に抵抗されても服が濡れることはないわ】。
今までの議論の流れにも合致する。
鳳月カナデが犯人ならば、分身を使って犯行を行ったのでしょう」
【篠宮 マコト】
「
【篠宮 マコト】
「魔法を使うと、リヴィアさん以外の
モノ全てが停止する‥‥」
【篠宮 マコト】
「具体的にはどのようになるのでしょう」
【リヴィア・ローゼンタール】
「全ての物理法則が停止すると
思っていただければ理解できますわ」
【リヴィア・ローゼンタール】
「放り出されたボールは空中で静止する‥‥」
【リヴィア・ローゼンタール】
「ストローで吸い上げた飲み物は、
口に運ばれること無くそのまま停止する‥‥」
【リヴィア・ローゼンタール】
「人々は息をするのも忘れて
その場に立ち尽くす‥‥」
【リヴィア・ローゼンタール】
「“原子の動き”が停止する、
とでも言えばいいのでしょうか」
【リヴィア・ローゼンタール】
「時間停止を解除すれば、
皆さま何事もなく元通り動き始めますわ」
【篠宮 マコト】
「なるほど‥‥」
【篠宮 マコト】
「では‥‥時間が止まっている状態で
なにか行動を起こして‥‥」
【篠宮 マコト】
「その後時間停止を解除すると、
どの様になるのでしょうか?」
【リヴィア・ローゼンタール】
「先ほどのボールの例えで言えば‥‥」
【リヴィア・ローゼンタール】
「ボールの動き自体は停止しますが、
わたくしなら自由に動かすことができます」
【リヴィア・ローゼンタール】
「この状態で時間停止を解除すれば‥‥」
【リヴィア・ローゼンタール】
「第三者目線から見た時には、
ボールが瞬間移動したように見えるでしょうね」
【篠宮 マコト】
「最後にもう1つ」
【篠宮 マコト】
「もし時間が止まった状態で‥‥
例えば人をナイフで刺せばどうなりますか?」
【リヴィア・ローゼンタール】
「時間停止中の攻撃は、
即座に被攻撃者に反映されません」
【リヴィア・ローゼンタール】
「時間停止解除後、
全ての攻撃が一斉に襲いかかってきますわ」
【篠宮 マコト】
「なるほど。よくわかりました。
ありがとうございます」
【リヴィア・ローゼンタール】
「お安い御用でしてよ」
【篠宮 マコト】
(リヴィアさんの魔法発動中は、
全ての動きが止まる‥‥)
【篠宮 マコト】
(時間停止中に攻撃を行った場合、
その効果は解除後に一斉に襲いかかる‥‥)
【篠宮 マコト】
(‥‥刺したり、殴ったりといった攻撃は
通じるようですね)
【篠宮 マコト】
(では、水が溜まった場所に
顔を押さえつけたらどうなるのか‥‥)
【篠宮 マコト】
(‥‥なにか引っかかるところがあります)
【篠宮 マコト】
(もう一度、今の会話の内容を
確認しておくべきですね)
【篠宮 マコト】
「
【篠宮 マコト】
「少し良いでしょうか」
【篠宮 マコト】
「なぜシヅハさんの魔法は、
影が紐状になってしまうのでしょうか」
【常盤 シヅハ】
「なぜ、と言われても‥‥」
【常盤 シヅハ】
「そういうものだから、
としか説明のしようがありません」
【常盤 シヅハ】
「影を捉えて動かそうとすると、最初は
人の形の影そのものを操れるのですが‥‥」
【常盤 シヅハ】
「‥‥形を保つことが出来なくて、
すぐに紐状になってしまうんです」
【常盤 シヅハ】
「今の私には、紐のような影を操るのが精一杯‥‥
被害者を取り押さえることは不可能ですね」
【篠宮 マコト】
(シヅハさんの魔法は
紐の形にするのが精一杯‥‥)
(確かに、人の形に比べれば
取り押さえるのは難しいでしょう)
【篠宮 マコト】
(けれども‥‥どこか引っかかるような)
(今のやり取り、
覚えておいたほうがいいかもしれません)
【篠宮 マコト】
「
【篠宮 マコト】
「なぜ魔法がうまく
使えなくなったのでしょうか?」
【常盤 シヅハ】
「‥‥今説明したように、
牢屋敷中に照明が設置されたからです」
【常盤 シヅハ】
「私の魔法の発動条件は、
影を補足することからスタートします」
【常盤 シヅハ】
「そのためには、
影がある程度の“大きさ”を保ちつつ、
【常盤 シヅハ】
「さらに、一定の“濃さ”である必要があります」
【常盤 シヅハ】
「大きく濃い影だと制御が効かなくなります」
【常盤 シヅハ】
「逆に小さく薄い影だと、
制御できても操作性が悪くなります」
【常盤 シヅハ】
「ちょうどいいのは、
自然光による一般的な大きさの影」
【常盤 シヅハ】
「そういう影でないと私は操りきれないのです」
【南雲 ヒナタ】
「つまり、現状の牢屋敷の環境だと‥‥」
【南雲 ヒナタ】
「常盤さんが魔法を発動しても
あまり役に立たない、ということだね?」
【常盤 シヅハ】
「そのとおりです。こんなことでは、
自分の影すら操作できません」
【常盤 シヅハ】
「ましてやそれを犯行に使うだなんて‥‥
‥‥不可能です」
【篠宮 マコト】
(シヅハさんの魔法は、
今の牢屋敷の環境だと制御が難しい
【篠宮 マコト】
(‥‥おそらく嘘ではないのでしょう)
【篠宮 マコト】
(けれども、本当に例外がないのでしょうか。
なにかが引っかかります‥‥)
【篠宮 マコト】
「
【篠宮 マコト】
「分身が行えることは、移動と会話くらい‥‥
本当にそうなのでしょうか」
【鳳月 カナデ】
「ええ。お恥ずかしい限りですが、
できることは間違いなくその2つのみです」
【篠宮 マコト】
「なぜそう断言できるのでしょう?」
【鳳月 カナデ】
「私の分身は、物に触ることができません」
【鳳月 カナデ】
「扉を開ける、カップを握ってお茶を飲む‥‥
あらゆる行為が一切できません」
【鳳月 カナデ】
「あくまでもできることは、
私の真似をすることのみ」
【鳳月 カナデ】
「それ以上の権能を持ち合わせていません」
【倉科 ミオリ】
「でもでも、オタク的にはありがたいですなあ」
【倉科 ミオリ】
「物販の列に並ぶのを代行してもらうだけでも
かなり助かります。裏山^~」
【鳳月 カナデ】
「まあ、現実的なところは
それくらいのものでしょうね」
【鳳月 カナデ】
「したがって、私には犯行は不可能なのです」
【篠宮 マコト】
(分身に物を掴むことはできない‥‥
それなら確かに犯行は不可能に思えます)
【篠宮 マコト】
(実際、私もイノシシがカナデさんの分身を
通り抜ける瞬間を見ています)
【篠宮 マコト】
(カナデさんの分身は物理的に
なにかに干渉することは不可能のようです)
【篠宮 マコト】
(けれども逆を言えば、カナデさん本体なら
犯行は可能だったとも言えます)
【篠宮 マコト】
(ですが‥‥何かがおかしいような気もします。
留意しておくべきですね)
【篠宮 マコト】
「ちょっと待ってください!」
【篠宮 マコト】
「分身の服が濡れる可能性だって
あるんじゃないですか?」
【黒部 ナノカ】
「いいえ。その点は問題にならないわ」
【黒部 ナノカ】
「犯行後、分身を消してしまえば、
濡れた事実ごと全てを消し去ることができる」
【黒部 ナノカ】
「この場合、濡れようが濡れまいが関係ないわ」
【篠宮 マコト】
「た、たしかに‥‥」
【篠宮 マコト】
(根拠として弱かったようです‥‥)
【南雲 ヒナタ】
「篠宮さん、今は情報が足りない。
一度、みんなの話を聞いていこう」
【南雲 ヒナタ】
「これまでの牢屋敷生活で、3人が話さなかった
魔法に関する情報があるかもしれない」
【南雲 ヒナタ】
「犯人だと疑われている今なら、
それを出し渋る理由もない」
【南雲 ヒナタ】
「きっとみんな正直に話してくれるはずだ」
【篠宮 マコト】
(皆さんの魔法について聞く‥‥)
【篠宮 マコト】
(確かに一度情報を
収集しておいたほうがいいかもしれません)
【篠宮 マコト】
(やってみましょう‥‥!)
【リヴィア・ローゼンタール】
「ええ。その通りですわ。さらに言ってしまえば、この魔法があればもはやアリバイなど無意味。わたくしが疑われるのも無理はございませんわ。
【みなさまがお望みとあらば、犯人として処刑されてもよろしくてよ】。」
【黒部 ナノカ】
「鳳月カナデが犯人ならば、【分身を使って犯行を行ったのでしょう】」
【常盤 シヅハ】
「真壁さんが牢屋敷中に照明を設置したせいで、影の大きさや形が不安定になりました。
これでは能力をうまく活用できません。
‥‥こんな状況では、【私に魔法を使っての犯行は不可能です】」
【篠宮 マコト】
「被害者に気づかれること無く接近し、
溺死させることができる魔法‥‥」
【篠宮 マコト】
「それは時間停止以外にありえません」
【篠宮 マコト】
「犯人はリヴィアさん‥‥あなたです!」
【篠宮 マコト】
「あなたは魔法を発動し、時間を止めました」
【篠宮 マコト】
「その後シャワールームに入り、被害者の顔を
排水口に押さえつけて溺死させた」
【篠宮 マコト】
「‥‥違いますか?」
【早瀬 アキラ】
「
【早瀬 アキラ】
「待ちな」
【篠宮 マコト】
「あ、アキラさん‥‥!」
【早瀬 アキラ】
「さっきのコイツの説明、
ちゃんと聞いてたのか?」
【篠宮 マコト】
「え、ええ。もちろんです。
その上で導き出した結論です‥‥!」
【早瀬 アキラ】
「なら耳掃除をしておくことをおすすめする。
残念だが、話を理解できていないようだ」
【篠宮 マコト】
「そ、そんなことは‥‥」
【早瀬 アキラ】
「第1に‥‥」
【早瀬 アキラ】
「コイツの魔法は、確かに時間停止中に行った
攻撃が解除後に一斉に降りかかる」
【早瀬 アキラ】
「だが、溺死だけは例外だ」
【篠宮 マコト】
「な、なぜ‥‥?」
【黒部 ナノカ】
「なるほど。時間停止中の人は、
“呼吸も止まる”という点ね」
【早瀬 アキラ】
「その通りだ。時間停止中の人間は呼吸が止まる。
だが、魔法を解除してもその人間は死なない」
【早瀬 アキラ】
「これはつまり、時間停止中は
窒息させることができない事を意味する」
【篠宮 マコト】
「じゃ、じゃあ、殺害のタイミングだけ
時間停止を解除すれば問題はありません」
【篠宮 マコト】
「それなら十分犯行は可能です‥‥!」
【早瀬 アキラ】
「
【早瀬 アキラ】
「‥‥第2に」
【早瀬 アキラ】
「白川が疑われていた時と同じく、被害者が
抵抗した時に飛び散る水の問題がある」
【早瀬 アキラ】
「服を用意することは可能だが、コイツは捜査中、
俺と、途中からは三条と共に行動していた」
【早瀬 アキラ】
「着替えるタイミングなんて存在しない」
【篠宮 マコト】
「で、でも。
それこそ時間を止めれば‥‥!」
【早瀬 アキラ】
「それもありえない」
【早瀬 アキラ】
「コイツのドレスは着脱に時間のかかる
無駄に凝った作りになっている」
【早瀬 アキラ】
「3分で着替えて戻るのは不可能だ」
【早瀬 アキラ】
「仮に適当に着替えて俺たちの前に戻れば、
服が乱れた状態で眼の前に現れることになる」
【早瀬 アキラ】
「けれどもそんな現象は起こらなかった。
そうだよな、三条?」
【三条 エリス】
「は、ははははい!」
【三条 エリス】
「私たち、捜査の途中から一緒にいましたけれど、
リヴィアさまの服は乱れていませんでした!」
【早瀬 アキラ】
「と、いうわけだ」
【早瀬 アキラ】
「これら事情から、コイツに犯行は不可能。
犯人の可能性はありえない」
【リヴィア・ローゼンタール】
「弁護ご苦労さま、アキラ」
【リヴィア・ローゼンタール】
「わたくしの代わりに全て
説明してくださって‥‥感謝しますわ」
【早瀬 アキラ】
「チッ‥‥」
【篠宮 マコト】
「ご、ごめんなさい、リヴィアさん!
私の推理が的はずれだったようです‥‥」
【リヴィア・ローゼンタール】
「よろしいですわ。
それよりも、早く次に進みなさいな」
【リヴィア・ローゼンタール】
「わたくしでないのなら、犯人は一体誰?
‥‥あなたならもうたどり着けるはずです」
【篠宮 マコト】
(リヴィアさんは犯人ではない‥‥
となると残る2人のどちらかが犯人です)
【篠宮 マコト】
(もう一度よく考え直しましょう)
【篠宮 マコト】
「背後から気づかれないように
接近する方法‥‥」
【篠宮 マコト】
「服が濡れることに対する対策‥‥」
【篠宮 マコト】
「これら2つを解決することができる
魔法の持ち主‥‥それは1人しかいません」
【篠宮 マコト】
「鳳月カナデさん、あなたが犯人です!」
【篠宮 マコト】
「犯行手順はいたって単純。分身を生成し、
分身に被害者を殺害させた」
【篠宮 マコト】
「これならば、服に水が飛んでも
分身ですから関係ありません」
【篠宮 マコト】
「このようにして、あなたは障壁を乗り越え、
犯行を実現させた。違いますか?」
【白川 ミト】
「
【白川 ミト】
「‥‥それは違う」
【篠宮 マコト】
「み、ミトさん‥‥!」
【白川 ミト】
「さっき鳳月さんが話していたでしょう‥‥
分身は物を掴むことができないって‥‥」
【白川 ミト】
「つまり、分身は犯行はおろか、現場に入るため
扉を開けることさえ不可能だった」
【白川 ミト】
「鳳月さんが犯人である可能性はない」
【篠宮 マコト】
「い、言われてみれば‥‥」
【白川 ミト】
「補足すると‥‥」
【白川 ミト】
「ロッカーに着替えが残っているから、
本体が犯行を行い着替えた可能性はない」
【白川 ミト】
「‥‥さらに、鳳月さんは
捜査中私とずっと一緒だった」
【白川 ミト】
「あらかじめ確保した服に
着替える余裕もない」
【白川 ミト】
「‥‥つまり、
本体が犯行を行った線もありえない」
【白川 ミト】
「したがって‥‥
鳳月さんは犯人ではない‥‥」
【鳳月 カナデ】
「し、白川さん‥‥。
私のこと、信じてくれるんですね」
【白川 ミト】
「‥‥思ったことをそのまま言っただけ。
別に深い意味はない‥‥」
【篠宮 マコト】
「ご、ごめんなさい、カナデさん!
私の推理が的はずれだったようです‥‥」
【鳳月 カナデ】
「構いません。一度疑われた以上、
何を言われても変わりませんから」
【鳳月 カナデ】
「それよりも、犯人の特定を急ぐべきです。
この裁判には時間制限がありますから」
【鳳月 カナデ】
「今のあなたなら、
誰が犯人かもう分かるはずです」
【篠宮 マコト】
(カナデさんは犯人ではない
‥‥となると残る2人のどちらかが犯人です)
【篠宮 マコト】
(もう一度よく考え直しましょう)
【篠宮 マコト】
「
【篠宮 マコト】
(‥‥これは‥‥“告発”です)
【篠宮 マコト】
(私たちの中に潜む《魔女》‥‥)
【篠宮 マコト】
(その正体を白日の下にさらけ出す‥‥
‥‥《禁忌の呪文》)
【篠宮 マコト】
(それでも私は‥‥“私たち”は
前に進まないといけません)
【篠宮 マコト】
(それが‥‥殺されたリクアさんへの
唯一の弔いなのですから‥‥!)
【篠宮 マコト】
「‥‥常盤シヅハさん!」
【常盤 シヅハ】
「‥‥! な、なんですか」
【篠宮 マコト】
「今の牢屋敷では、影操作の魔法による犯行は
不可能だった、とのあなたの主張‥‥」
【篠宮 マコト】
「‥‥それは、はたして正しいのでしょうか」
【常盤 シヅハ】
「あ、当たり前です‥‥!」
【常盤 シヅハ】
「牢屋敷中に照明を置かれてしまえば、
私の魔法は使い物にならなくなります」
【常盤 シヅハ】
「私に犯行は不可能です‥‥!」
【星谷 セリナ】
「
【星谷 セリナ】
「そうだよ、マコトっち」
【星谷 セリナ】
「実際シヅハっちは、照明が置かれてから、
露骨に魔法を発動できてなかった」
【星谷 セリナ】
「シヅハっちに犯行は無理なんじゃね―の?」
【朝雛 チサ】
「アタイもそう思う! 魔法を使ってるところ、
あんま見なかったもん!」
【篠宮 マコト】
「
【篠宮 マコト】
「残念ですが‥‥一箇所だけ、
《例外》となる場所があるのですよ」
【三条 エリス】
「れ、れれれ、例外、ですか?
それは一体‥‥」
【朝雛 チサ】
「どこかに影が安定できる
場所があった、ってこと?」
【篠宮 マコト】
「ええ、そのとおりです。
唯一影操作の魔法が可能だった場所‥‥」
【篠宮 マコト】
「それはもちろん、
現場になった《シャワールーム》です!」
【常盤 シヅハ】
「‥‥ぐっ!」
【篠宮 マコト】
「牢屋敷内の照明は、被害者のリクアさんの
提案で設置されたものでした」
【篠宮 マコト】
「しかし‥‥シャワールームだけは感電を
避けるため、照明は設置されませんでした」
【篠宮 マコト】
「つまり、シャワールームの明かりだけは、
通常の照明でまかなわれていた」
【篠宮 マコト】
「この状況ならば、
影操作の魔法は十分に発動可能と言えます!」
【常盤 シヅハ】
「そ、それは‥‥」
【南雲 ヒナタ】
「牢屋敷のほぼすべての場所で
影操作での犯行が不可能な一方‥‥」
【南雲 ヒナタ】
「唯一影操作が発動可能な条件が整った、
シャワールームが犯行現場に選ばれた‥‥」
【南雲 ヒナタ】
「‥‥常盤さんが犯人だとしたら
納得のいく状況だね」
【篠宮 マコト】
「そしてシヅハさん」
【篠宮 マコト】
「あなたの魔法なら、背後に直接近づかずに
被害者を拘束することができます」
【篠宮 マコト】
「さらに、離れたところから犯行を行う事により、
水跳ねをも回避することができます」
【篠宮 マコト】
「両方の条件を満たすことができるのは‥‥
シヅハさん。あなたの魔法だけなんです!」
【常盤 シヅハ】
「
【常盤 シヅハ】
「そ、そんなことはないです‥‥!」
【常盤 シヅハ】
「他の2人の魔法だって、
犯行は十分可能です‥‥!」
【常盤 シヅハ】
「例えば時間停止なら、そもそも真壁さんに
気づかれることなく殺害できるはずです!」
【篠宮 マコト】
「
【篠宮 マコト】
「‥‥残念ですが」
【篠宮 マコト】
「他の容疑者候補2人の魔法には、
実は犯行が不可能な理由が存在するのです!」
【早瀬 アキラ】
「
【早瀬 アキラ】
「その通りだ」
【早瀬 アキラ】
「コイツの魔法は、気づかれずに接近できるが、
犯行時は魔法を解除しないと溺死させられねえ」
【早瀬 アキラ】
「‥‥時間停止中は呼吸が止まる関係上、
窒息させるのが不可能だからだ」
【早瀬 アキラ】
「つまり、背後からの接近は満たせても
水濡れを回避できねえ」
【黒部 ナノカ】
「確かに‥‥呼吸が止まる以上、
水を使った殺害は成立しないわね」
【三条 エリス】
「そして、着替えようにも、ローゼンタールさまの
ドレスは着替えるのに時間がかかる構造です」
【三条 エリス】
「制限時間の3分以内に着替えて、早瀬さまと
途中から合流した私の前に戻るのは不可能です」
【常盤 シヅハ】
「な、なら分身なら‥‥!」
【常盤 シヅハ】
「分身なら犯行時の水跳ねも
気にすることなく殺害が可能です‥‥!」
【白川 ミト】
「
【白川 ミト】
「鳳月さんの分身は、物を持てない。
‥‥だからそもそも彼女に犯行は不可能」
【白川 ミト】
「本体が犯行を行ったとしても、
やっぱり着替えの問題が立ちはだかる」
【白川 ミト】
「‥‥鳳月さんにも無理」
【リヴィア・ローゼンタール】
「分身が役に立たない以上‥‥
彼女を犯人とするのは無理がありますわね」
【常盤 シヅハ】
「くっ‥‥ぐうう‥‥」
【篠宮 マコト】
「つまりシヅハさん。あなたなら‥‥」
【篠宮 マコト】
「‥‥いえ、あなただけが、犯行を行える条件を
唯一満たしているんです!」
【常盤 シヅハ】
「わ、私は‥‥」
【三条 エリス】
「そ、そんな‥‥!
常盤さんが犯人だなんて‥‥信じられません!」
【白川 ミト】
「でも‥‥篠宮さんの推理には
確かに筋が通ってる。疑う理由は十分にある」
【早瀬 アキラ】
「‥‥常盤。お前の言葉を聞かせろ。
黙っていれば、そのまま有罪になるだけだぞ」
【篠宮 マコト】
「‥‥私はここに”告発”します」
【篠宮 マコト】
「シヅハさん‥‥
あなたがこの事件の犯人だと!」
【常盤 シヅハ】
「
【常盤 シヅハ】
「い、言われなくとも‥‥
反論してみせます!」
【篠宮 マコト】
「し、シヅハさん‥‥」
【篠宮 マコト】
(明らかに様子がおかしいです。
やはり、彼女がこの事件の‥‥)
【南雲 ヒナタ】
「篠宮さん、気をつけたほうがいい」
【南雲 ヒナタ】
「常盤さんは今、
犯人だと指名されて興奮状態にある」
【南雲 ヒナタ】
「これからきっと、
怒涛の勢いで《反論》が飛んでくる」
【南雲 ヒナタ】
「ここを斬り抜けないと‥‥流れは
篠宮さんにとって不利なものになってしまうよ」
【篠宮 マコト】
「で、でも、一体どうすれば‥‥」
【南雲 ヒナタ】
「ここで必要なのは相手の主張を斬り返し、
主張の弱点を引き出して論破することだ。」
【南雲 ヒナタ】
「主張の弱点となる部分は
【声色が明確に違う】はず」
【南雲 ヒナタ】
「色が違う言葉がない発言にとれる行動はない。
【斬り伏せる】ことで次の発言を引き出すんだ」
【南雲 ヒナタ】
「【声色が明確に違う】箇所がある‥‥」
【南雲 ヒナタ】
「つまり主張に弱点がある発言が現れたら、
その言葉を【叩き斬る】ことができる」
【南雲 ヒナタ】
「そうなれば、あとは主張と“ムジュン”している
証拠品をつきつけてやればいい」
【南雲 ヒナタ】
「とはいえ、
【声色が明確に違う】箇所があったとしても‥‥」
【南雲 ヒナタ】
「証拠品の間にムジュンがないと判断した場合は、
【叩き斬る】ことはお勧めしないよ」
【南雲 ヒナタ】
「こちら側が不利になり、
議論が振り出しに戻ってしまう」
【南雲 ヒナタ】
「もしムジュンが見つからないと判断したら、
【叩き斬る】のではなく、【斬り伏せる】」
【南雲 ヒナタ】
「押してもダメなら引く必要がある、
ということだね」
【篠宮 マコト】
「重要なのは、“証拠品との間にムジュンを
抱える主張の弱点”を発見すること‥‥」
【篠宮 マコト】
「‥‥その1点につきる、ということですね」
【南雲 ヒナタ】
「その通りだ、篠宮さん」
【常盤 シヅハ】
「何をぶつくさと
相談し合っているんですか‥‥?」
【常盤 シヅハ】
「篠宮さん。私を犯人だと
決めつけたのはあなたです」
【常盤 シヅハ】
「ならば‥‥私の《反論》にも、
しっかりと耳を傾けてもらいますよ‥‥!」
【篠宮 マコト】
(《反論》が飛んできます‥‥!)
【篠宮 マコト】
(その反論を“ぶった斬る”‥‥)
【篠宮 マコト】
(‥‥ヒナタさんの言葉を信じて、
やってみましょう‥‥!)
【常盤 シヅハ】
「けれども、それはこの事件が殺人である可能性を示す、単なる要素の1つに過ぎません」
・首の周りのアザ【つきつける】
死体の首周辺についていたアザ。U字型になっており、首の後ろから側面にかけてついている。正面部には痕がない。
・腰の周りのアザ【つきつける】
死体の腰周辺についた縄のような細長い痕。身体全体を一周している。被害者の死亡直前に命綱として巻かれたロープの位置と太さに酷似している。
・排水口に詰まった髪の毛【つきつける】
現場となったシャワールームの一番奥のブースに詰まっていた髪の毛。水の流れを阻害していた。事件当日の朝、星谷セリナによって除去されている。
・床に落ちた石鹸【つきつける】
死体の足元付近に落ちていた石鹸。タイルに接している裏面は濡れてヌルヌルになっているが、表面は水がかかった形跡が一切ない。
【篠宮 マコト】
「これが証拠です!」
【常盤 シヅハ】
「‥‥本気で言っているんですか?」
【篠宮 マコト】
「え、ええっと‥‥違いましたかね?」
【常盤 シヅハ】
「もし本気でその証拠で私の意見を
叩き切れるとでも言いたいのなら‥‥」
【常盤 シヅハ】
「‥‥今すぐ、やってみてください」
【篠宮 マコト】
「う‥‥遠慮しておきます」
【常盤 シヅハ】
「‥‥次余計なことを言えば、
この影のムチが物を言います」
【常盤 シヅハ】
「人を告発することは、それだけの重みを
背負っていること‥‥忘れないてください」
【篠宮 マコト】
(ムチじゃなくて
クチで物を言ってほしいです‥‥)
【篠宮 マコト】
(まずいです‥‥
間違えてしまいました!)
【篠宮 マコト】
(逆にこちらが‥‥
押し返されてしまいます!)
【篠宮 マコト】
(シヅハさんが犯行を行った明確な痕跡‥‥)
【篠宮 マコト】
(言い換えれば、シヅハさんが犯行を行ったときに
残る痕跡、と言えばいいのでしょうか)
【篠宮 マコト】
(これまで私たちは、現場に残されてきた
様々な痕跡について話し合ってきました)
【篠宮 マコト】
(その中に、まだ一度も話題に
上がっていなかったものがあります)
【篠宮 マコト】
(捜査の時には、何を示していたのか
判断できなかったあの痕跡‥‥)
【篠宮 マコト】
(今なら分かります‥‥その正体が!)
【篠宮 マコト】
(この証拠で《叩き斬って》みせましょう‥‥
シヅハさんの反論を!)
【常盤 シヅハ】
「現場に残った私の犯行の痕跡を‥‥!」
・首の周りのアザ【つきつける】
死体の首周辺についていたアザ。U字型になっており、首の後ろから側面にかけてついている。正面部には痕がない。
・腰の周りのアザ【つきつける】
死体の腰周辺についた縄のような細長い痕。身体全体を一周している。被害者の死亡直前に命綱として巻かれたロープの位置と太さに酷似している。
・排水口に詰まった髪の毛【つきつける】
現場となったシャワールームの一番奥のブースに詰まっていた髪の毛。水の流れを阻害していた。事件当日の朝、星谷セリナによって除去されている。
・床に落ちた石鹸【つきつける】
死体の足元付近に落ちていた石鹸。タイルに接している裏面は濡れてヌルヌルになっているが、表面は水がかかった形跡が一切ない。
【篠宮 マコト】
「これが証拠です!」
【常盤 シヅハ】
「‥‥本気で言っているんですか?」
【篠宮 マコト】
「え、ええっと‥‥違いましたかね?」
【常盤 シヅハ】
「もし本気でその証拠で私の意見を
叩き切れるとでも言いたいのなら‥‥」
【常盤 シヅハ】
「‥‥今すぐ、やってみてください」
【篠宮 マコト】
「う‥‥遠慮しておきます」
【常盤 シヅハ】
「‥‥次余計なことを言えば、
この影のムチが物を言います」
【常盤 シヅハ】
「人を告発することは、それだけの重みを
背負っていること‥‥忘れないてください」
【篠宮 マコト】
(ムチじゃなくて
クチで物を言ってほしいです‥‥)
【篠宮 マコト】
(まずいです‥‥
間違えてしまいました!)
【篠宮 マコト】
(逆にこちらが‥‥
押し返されてしまいます!)
【篠宮 マコト】
「その言葉、斬ってみせます!」
───────
【篠宮 マコト】
「シヅハさんが犯行を行った際に
残った痕跡‥‥それはこれです!」
【白川 ミト】
「それは‥‥なに‥‥?
細いなにかの痕みたいだけど‥‥」
【早瀬 アキラ】
「細い痕‥‥まさか!」
【篠宮 マコト】
「シヅハさんの魔法‥‥それは、捉えた影を
“紐状”にして操るというものです」
【篠宮 マコト】
「気づかれずに接近し、服を濡らさないように
犯行を行わないといけない以上‥‥」
【篠宮 マコト】
「魔法で作り出した影の縄で
被害者を拘束する必要があります」
【篠宮 マコト】
「被害者の首や腰に残った痕‥‥
これらは犯行の際についたものなのです!」
【常盤 シヅハ】
「ぐッ‥‥」
【篠宮 マコト】
「抵抗する人間を押さえるとなると、
相当強い力を掛けなければなりません」
【篠宮 マコト】
「そうなれば、抑えられた部位がうっ血して
痕として残る可能性は十分にありえます」
【篠宮 マコト】
「つまり、これらの痕は犯行時に
ついたものと考えるのが自然です!」
【篠宮 マコト】
「これが、シヅハさんが犯行を行った痕跡です」
【篠宮 マコト】
「あなたが犯人でなければ、
こんな痕は残らない!」
【常盤 シヅハ】
「
【常盤 シヅハ】
「首の痕はともかく、
腰の痕については説明がつくはずです‥‥!」
【常盤 シヅハ】
「被害者は事件前、腰に縄を巻いて
降下作業をしていたと聞いています」
【常盤 シヅハ】
「腰についた縄の痕はその時に
ついたものの可能性があります‥‥!」
【篠宮 マコト】
「
【篠宮 マコト】
「いいえ、それはありえません」
【篠宮 マコト】
「被害者が腰に縄を巻いて
作業をしていたのは事実です」
【篠宮 マコト】
「しかし、それはあくまでも
“命綱”としての役割を有するのみでした」
【篠宮 マコト】
「痕がつくほど強く
巻き付けられたはずがない!」
【星谷 セリナ】
「
【星谷 セリナ】
「そーそー、そのとおり!」
【星谷 セリナ】
「リクアっちの腰縄を巻いてあげたのは
あーしなんだけど‥‥」
【星谷 セリナ】
「あんなうっ血するほど強く巻いてね―から!」
【星谷 セリナ】
「死体についた腰の縄の痕は作業の時に
ついたもんじゃねーって断言できるぞ!」
【常盤 シヅハ】
「ぐっ‥‥ぐううッ!」
【篠宮 マコト】
「死体についた痕は、影操作の魔法以外で、
残ることはありえないのです!」
【三条 エリス】
「そ、そんな‥‥!
常盤さんが、本当にそんなことを‥‥?」
【白川 ミト】
「‥‥でも、篠宮さんの言葉には
説得力がある」
【白川 ミト】
「私も、あの縄の痕が“影の縄”だと
言われれば、納得してしまう‥‥」
【鳳月 カナデ】
「くっ‥‥」
【鳳月 カナデ】
「けれど、ここで決めつけるのは
まだ早すぎるのでは?」
【鳳月 カナデ】
「証拠があるとはいえ、
決定打にしては少し弱い気もするのです」
【早瀬 アキラ】
「だが‥‥実際、影の縄で
縛った痕にしか見えねえんだよな」
【早瀬 アキラ】
「少なくとも“偶然”で
片付けるには無理がある」
【リヴィア・ローゼンタール】
「‥‥篠宮さんの指摘は論理的で、
一応の筋は通っていますわ」
【リヴィア・ローゼンタール】
「常盤さん、いかがかしら?」
【リヴィア・ローゼンタール】
「この場に黙って立ち続けることは、
もはやご自身を追い詰めるだけですわよ」
【南雲 ヒナタ】
「ローゼンタールさんの言う通りだ」
【南雲 ヒナタ】
「今のままでは、みんなが常盤さんを
疑う流れになってしまう」
【南雲 ヒナタ】
「‥‥何か申し開きがあれば、
遠慮なく聞かせてもらうよ?」
【常盤 シヅハ】
「‥‥‥‥‥‥」
【常盤 シヅハ】
「‥‥ふふ。
なるほど、なるほど」
【常盤 シヅハ】
「‥‥随分と私を
追い詰めたつもりのようですね、篠宮さん」
【篠宮 マコト】
「シヅハさん‥‥!」
【篠宮 マコト】
(まだ笑っています‥‥この状況で!)
【常盤 シヅハ】
「確かに、今の説明は一見すると
筋が通っています」
【常盤 シヅハ】
「ですが‥‥その“縄の痕”が、必ずしも影によって
ついたものであるとは限らないのです」
【黒部 ナノカ】
「‥‥別の可能性があるということ?」
【常盤 シヅハ】
「ええ。その通りです」
【常盤 シヅハ】
「皆さんが忘れている可能性‥‥
それを今から提示して差し上げます」
以下、作者後書き
原作に欲しかったので追加したミニゲームその2でございます。
議論スクラムに比べるとアクション性が高いミニゲームなので、結構再現するのが大変といいますか。
当初予定していたイラスト抜きバージョンでは雰囲気が出なかったため、イラスト担当にめちゃくちゃものすっごく頑張っていただきました。この場を借りて改めてお礼申し上げます、いつもありがとうございます。
反論ショーダウンはV3版が和風っぽい印象になっていますが、シヅハさんが最初の相手になったのはマジの偶然です。ビックリ。
ちなみに、「影迹無端(えいせきむたん)」とは、「痕跡や手がかりになるものが何もないこと」という意味だそうです。影にまつわる単語を探していて見つけたので採用しました。
パッと見何を言ってるか分かんないかもしれませんが、V3の反論ショーダウン一発目が「雲外蒼天の極みだ!(CV.大塚明夫)」なのでまあ多少むずい四字熟語でもいいかとなったので、採用となりました。
さあさあ捜査パートのあたりで結構な人が犯人の正体を察していたと思いますが、ようやく正式に告発がなされました。ここから追いつめのターンに入りますよ〜。審問パートの推奨BGMがさらりと二段階目のあの曲になったの、気づきましたか?
あの曲いいですよね〜。尋問アレグロとして最適なBGMだと思います。
さてさて。シヅハさんを追いつめ切るまで、もう少しばかりお付き合いくださいまし。
では。