夢想少女ノ魔女裁判   作:タイホくん

60 / 60
日常パート その8

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─同日 21時38分 マコト・ヒナタの監房─

 

(推奨BGM「ボクとワタシの」♪10)

 

 一通り皆さんの様子を確認することが出来ました。皆さん反応は様々でしたが、自分なりに事件から立ち直ろうとしているようにうかがえました。この分ならば、きっとこの先も大丈夫なはずです。

 

 1日ぶりにシャワーを浴びた私が監房に戻ってくると、ヒナタさんがイスに腰掛けていました。頬杖をついて考え事をしているようです。私が入ってきたのにも気づいていないようで、何やら深く物思いにふけっているみたいです。

 

 声をかけようとも思いましたが、邪魔をするのもいけないと思い、物音を立てないようにそっと自分のベッドに腰掛けます。

 ちょうどそのタイミングでスマホの通知音がなりました。取り出して確認してみると、全体チャットにアキラさんからのメッセージが届いていました。

 

【早瀬 アキラ】

 『次の朝から炊事当番を復活させる。明日は一旦、俺と鳳月が調理を担当する。7時10分頃に出来上がるように調整するので、都合の合うやつは朝食会に参加してくれると助かる』

 

 リクアさんが提案した炊事当番のルールを復活させる試みのようです。以前アキラさんが調理を担当していましたし、そのまま彼女が引き継ぐ形を取ったのでしょう。カナデさんがリクアさんの代理で入ったのは意外でした。彼女、料理もできたんですね‥‥。

 

 メッセージを確認し終わりスマホをポケットにしまうと、ちょうどヒナタさんが立ち上がっていました。帽子を外して机の上に置き、寝る支度を始めているようです。

 

【南雲 ヒナタ】

 「ああ、篠宮さん。帰っていたんだね。おかえり。みんなの様子はどうだった?」

 

 ヒナタさんは私の帰宅に気がついていなかったようです。彼女は洗面台の方に行くと、歯ブラシを手に取ります。

 

【篠宮 マコト】

 「皆さん概ね、元の生活に戻れているようです。‥‥どうやら私の心配は杞憂だったようですね」

 

【南雲 ヒナタ】

 「‥‥杞憂だとしても、みんなの様子を確認しに行くその姿勢こそが重要だよ。‥‥やっぱり篠宮さんはえらいね」

 

 歯磨きを終えると、ヒナタさんは再度イスに腰掛けます。そして、ため息を1つつきました。

 

【南雲 ヒナタ】

 「僕は‥‥未だにどこかあの事件の事が頭に残っている感覚がするんだ‥‥情けない話だけどね」

 

 ヒナタさんは目を伏せます。長い髪の毛が目元にかかって、その表情はよく見えません。

 

【篠宮 マコト】

 「‥‥無理もありません。いきなり殺人事件が起こって、その犯人が目の前で処刑されたんですから。私もヒナタさんの助けがなければ、もっと精神的にまいっているでしょう」

 

 ヒナタさんは立ち上がると、私の方に来てまた膝をつきます。

 

【南雲 ヒナタ】

 「篠宮さんが元気なら、僕はそれで満足だ。‥‥今日は1人で寝られるかい?」

 

 ヒナタさんは冗談交じりにニヤリと笑います。

 

【篠宮 マコト】

 「こ、子供扱いしないでくださいッ! だ、大丈夫です」

 

【南雲 ヒナタ】

 「はははっ。ならいいんだけど」

 

 ヒナタさんはそう言いながらも、私の手を取ります。もう何度となく握った手を、私はゆっくりと握り返します。

 

【南雲 ヒナタ】

 「おやすみ、篠宮さん」

 

【篠宮 マコト】

 「あ、はい。おやすみなさい‥‥」

 

 手を取っておやすみの挨拶をされるなんて、経験がなかったので少しどもってしまいました。ヒナタさんは立ち上がると、二段ベッドの上段へと向かいます。

 

 立ち上がった時に見えた彼女の横顔が、どこか物憂げに見えたのは‥‥私の気のせいだったのでしょうか。

 5分もしない内に、上段からは静かな寝息が聞こえ始めました。‥‥もう眠りに落ちたようです。ヒナタさんもまだ疲れているのでしょう。私も静かに目を閉じて、意識の幕をゆっくりと下ろします。

 明日はアキラさんが朝食会を開いてくれます。‥‥少しずつ、日常を取り戻さないといけません。それが、私たちがもう一度スタートラインに立つために、欠かせない過程なのですから。

 

 小さく静かな決意と共に、私は眠りにつきました。

 

 

 

(次回投稿予定日:10月3日(土) 19:05

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

従順少女ノ魔女裁判(作者:夏目)(原作:魔法少女ノ魔女裁判)

【感覚操作】の魔法を持つ少女・尾形(おがた)トウカは、目を覚ますと見知らぬ牢屋敷に拉致されていた。▼ トウカをはじめとした14人の少女に、不気味なフクロウ・ゴクチョーが淡々と告げる。「面倒なことに、そのうち囚人間で【殺人事件】が起こる」と──。▼ 魔法のせいで嫌でも感じ取る凄惨な事件の気配。冷え切った関係。嫌疑の視線。秘めた怒り。潜めた息遣い……。トウカは直…


総合評価:2266/評価:9.22/連載:21話/更新日時:2026年04月10日(金) 19:01 小説情報

異誕少女ノ魔女裁判(作者:異誕少女ノ魔女裁判制作チーム)(原作:魔法少女ノ魔女裁判)

◆異誕少女ノ魔女裁判とは?◆▼『魔法少女ノ魔女裁判』の合作二次創作小説です。▼14人の制作メンバーから生み出されたオリジナル魔女因子たちによる魔女裁判が行われます。▼日常→事件→裁判→処刑の流れは踏襲していますが、原作のストーリーとは一切関係ありません。▼略称は『いのさば』です。▼◆あらすじ◆▼「オマエらは、世界に仇なす【魔女】になる可能性があると判断された…


総合評価:249/評価:8.62/連載:31話/更新日時:2026年09月24日(木) 20:00 小説情報

原罪:自称ニセモノ名探偵  (作者:三日月ノア)(原作:魔法少女ノ魔女裁判)

虐待施設での惨劇事件を起こした橘シェリー。▼職員は殺害したものの、頭部に衝撃を受け、感覚を遮断できないほどの痛みのあまり気絶してしまう。▼ しかし意識を失った彼女は目覚めることなく・・・・・・▼代わりに目覚めたのは橘シェリーの身体に成り代わった一般社畜男性だった。▼思い出す。▼明日リリースされるはずだったゲーム、▼この世界は『魔法少女ノ魔女裁判』 だと。▼「…


総合評価:1978/評価:8.89/連載:36話/更新日時:2026年07月10日(金) 20:00 小説情報

百八十度ノ魔女裁判(作者:ミズハ)(原作:魔法少女ノ魔女裁判)

致命的な間違いを犯してしまった二階堂ヒロは、それでも百八十度回った世界で歩み続ける。▼己が正しいと思う道を。▼新しい友情、新しい関係、狂ってしまった友情、狂ってしまった関係。▼その先にヒロが目にするものとは……?▼エマとヒロの立場逆転の再構成モノです。▼愛が止まらずまのさばの再構成をイメージして執筆しました。▼原作プレイ済みを推奨します。▼pixivとのマル…


総合評価:475/評価:8.69/連載:35話/更新日時:2026年09月09日(水) 09:55 小説情報

ろうやしきノそのご(作者:緋色鈴)(原作:魔法少女ノ魔女裁判)

▼全てが終わって、魔女因子が取り除かれた世界。▼島を離れた少女達が平穏な日常へと戻ることができた、ハッピーエンド。▼けれど一方、魔法がなくとも、魔女がいなくとも。▼監獄島の牢屋敷に残ることにした少女達と、残らざるを得ない少女達。▼彼女らが身を置くのは、まだまだ平穏とは程遠い、非日常の世界だった。▼【概要】▼・魔法少女ノ魔女裁判の本編後の時間軸を描いた二次創作…


総合評価:460/評価:8.65/完結:48話/更新日時:2026年07月22日(水) 18:00 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>