未来を掴むのは、幻か真か……   作:なかムー

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 皆さまお待たせしました。グルミク5.5周年を迎えたけど、EGOEGGのストーリーで透さんが女性だと知った際に衝撃を走ったなかムーです。

 今回から幻真星戦が本格的に開始になります。

 それでは、本編をどうぞ。


第四話 幻真星戦

未来を掴むのは、幻か真か…… 四話目

 

 辺りに人が皆無であるからか、静寂に包まれた夜。幻真獣ファイター達は営業時間を終えたスカイツリー前に来ていた。

 

 一行が此処を訪れた目的は、日中に京介のスマホに届いたメールに書かれた内容に従うためであった。

 

 罠の疑いはあるが、此方としては手掛かりが全く無いので、渋々それに従う…といった方が正確ではあるが。

 

 一行以外には、この周囲は営業時間は指定された時刻より数十分前に終わっているのもあってか、誰もいなかった。いたとしても、施設を巡回している警備員くらいか、残業している施設の店員か関係者くらいしかいないが。

 

 

 「……指定された時刻まであと約10分。誰も来る気配は無いな」

 

 

 京介は腕時計で時間を確認しながら辺りを見渡した。しかし自分達以外に誰も来る様子は無かった。

 

 

 「まさかとは思うけど、イタズラじゃないよね?」

 「その可能性はあるとしても……そうだ。誰から送られたものか辿る事は出来ないかしら?」

 『我も試したが、何重にもサーバーを経由された形跡があるから、送信元まで追跡するのは不可能だ』

 

 

 メールの送り主は追跡される事も想定していたようで、それを知る限り、相当頭の切れる人物であるのが窺えた。

 

 しかしそんな事をしている間にも時間はただ過ぎていくらばかりであった。

 

 そして時間はあっという間に過ぎ、時刻は指定された時間になった。

 

 

 「……誰も来なかったね」

 「嗚呼。イタズラだったようだな…」

 

 

 時間の無駄と感じた一行であった。幻影ファイター探しも振り出しに……仕方なく此処は一旦自宅に帰って、幻影ファイターを探すのは翌日に持ち越す事となった。

 

 しかしりんくは何故が腕を組んで仁王立ちしていた。その様子は、何がなんでも動かない…そんな意思を感じ取れるように見えた。

 

 

 「りんくちゃんの気迫、凄い……!」

 「どうやら時間が過ぎても誰かが来るのを待つみたいだね……」

 

 

 今のりんくを見た乙和と希美はそう感じ取るのであった。しかしりんくの顔が何故か俯いていた事に京介は疑念を抱くと同時に、彼女の頭が一瞬動いているように見えたためか、りんくの顔を覗き込んだ。

 

 すると……

 

 

 「グゥー、グゥー……」

 

 

 ……りんくは船を漕いでいた。待っている最中に彼女は立ちながら居眠りするというなんとも無駄に器用な事をやってのけていたのだ。

 

 それに対して、京介はため息をつくと、右手でりんくの頭目掛けてチョップするのであった。

 

 

 「イテッ!?」

 「お目覚めか?」

 「アレ京介くん、スカイツリー並みに大きいドーナツは?」

 「そんなもんは無い。仮にあったとしても、ギネス認定される程のニュースになるわ」

 「「寝てただけっ!?」」

 

 

 此処で漸くりんくが居眠りしている事に気づいた乙和と希美はその場でズッコケた。

 

 

 「でももう夜分遅いから無理も無いかと…」

 「分かるわ。でももう約束の時間は過ぎているのは少し変ね…」

 

 

 その様子に、美夢と緋彩は苦笑いしながらりんくをフォローした。しかし緋彩も腕時計で時間を確認しながら呟いた。

 

 しかし全員は周囲を見渡していたが、空までは見ていなかったからか、誰も気づいていなかった。

 

 空に浮かぶ月が日食のように赫くなり始めている事に……。

 

 そして月が完全に赫く染まったその時……

 

バタッ‼︎

 

 

 何の前触れも無くりんくが倒れたのだ。先程の居眠りとは違って、まるで意識が失った…そんな感じに見てた。

 

 

 「りんくちゃ……⁉︎」

 「どうし……⁉︎」

 

 

 驚く乙和と希美であるが、彼女達もりんくに連なるように倒れ始め、意識を失った。

 

 

 「一体何が…?」

 『……!三人とも、周りを見てみるのだ!』

 

 

 ヴェイズルーグに促されてまだ気絶していない三人が辺りを見渡すと、周囲は霧によって包まれていた。

 

 

 「この霧が…⁉︎」

 「おそらくそうじゃ…⁉︎」

 

 

 続いて美夢と緋彩も霧の影響によるものなのか、意識を失い、その場に倒れ込んだ。

 

 

 「美夢!緋彩さ…⁉︎」

 

 

 そして最後に京介も、意識を失いその場に倒れ込むのであった。

 

 


 

 

 「京介くん、京介くん!」

 『キョウスケ、キョウスケ…キョウスケ!』

 

 

 意識を失ってどれ程の時間が経ったか分からないが、京介は美夢とヴェイズルーグの呼びかけで目覚めた。

 

 しかもその際、京介は美夢に膝枕されていたが。あとは他の幻真獣ファイターも既に目を覚ましていた…といったぐらいだ。

 

 

 「ありがとう、美夢。それで俺はどのくらい気を失っていたんだ?」

 「私も目が覚めたのがついさっきだから分からないよ。一応ヴェイズルーグさんが呼びかけてくれたけど…」

 「そうか…ヴェイズルーグ」

 『数十分程だ。だがキョウスケ、周りを見てみろ。君達が気を失っている間に色々と変化が起きたみたいだ』

 

 

 ヴェイズルーグにそう言われた京介は立ち上がると、即座に辺りを見渡した。すると、空の月は赫く光っていて、至る所に霧も出ていた。

 

 しかしそれ以上に目がいくのは、スカイツリーがいつのまにか巨大な塔に変貌していたのだ。螺旋階段を描く様に天に向かっているその塔は、尋常では無い程の威圧感を放っていた。

 

 だがそれと同様に目を引くのは、その塔の前にそびえ立っている、固く閉ざされた城壁に酷似した物だ。それのせいか、塔から湧き出てる威圧感を更に増しているように感じた。

 

 

 「……もしかしてこれが貴方の言っていた災いですか?」

 『そうだ』

 

 

 ヴェイズルーグの返答を聞いた美夢は周囲を見渡して状況確認をした。他のメンバーも、その異質さに対して不安を抱いているのか、周囲を見渡すばかりであった。

 

 

 「それでヴェイズルーグ。俺達はどうすればいい?」

 『一先ずは情報収集から始めよう。正直に言えば、地球で起きた赫月の影響がどれ程のものなのか、我でも検討が出来ん。クレイでの出来事と同様ならば、おそらく人々の生活にも影響が出ている筈だ』

 

 

 ヴェイズルーグの提案は確かに無難であった。赫月の影響が出始めたのは、どんなに短く見積もっても一時間程である。しかし時間が短いとはいえ、影響を及ぼさないという道理は無いのだ。

 

 それに、幻影ファイターの事もあるから、何処にいるか情報収集をして、物事を円滑に進められる可能性が高くなるのだ。

 

 

 「分かった。でも今日はもう遅いから翌日にしよう」

 「そうね。それじゃ皆んな、私の家に来てちょうだい。今日は家に泊まるといいわ」

 

 

 確かに緋彩以外全員高校生のため、こんな真夜中に出歩いていると『夜遊びをしてる高校生集団』と勘違いされてもおかしくないのだ。

 

 それに加えて緋彩は一人暮らしをしているのと、彼女の住んでいるマンションはで、一泊そこで夜を明かしてから翌日情報収集に移した方がこの後の都合もいいのだ。

 

 そうと決まれば此処にいても、辺りを巡回している警察官や警備員に見つかって補導される訳にはいかないので、全員は緋彩のマンションに向かおうと動き出した。

 

 

 『目覚めた様だな、幻真獣ファイター達よ』

 

 

 しかしその時、そんな声が辺りに響いた。京介を始めとした6人は周囲を見渡した。最初は気の所為かと思い、りんくと美夢と乙和の三人は胸を撫で下ろしていた……だが。

 

 

 「……っ、みんな、見て!」

 

 

 ふと聴こえた希美の声で、京介や緋彩も含めた5人は全員彼女の指を差した方向を見た。そこにあったのは黒い霧であった。

 

 その後黒い霧が集約していくと、一人の人物となった。その人物は外見は男性で、黒いローブに身を包んでおり、白い長髪に髪先にいくつもの装飾が施されていた。他に特徴を挙げるとすれば、頭に生えている二本の角…といった具合である。

 

 

 『漸く気付いたか。この時を待っていた』

 「誰だお前は」

 『そういえば其方は私が誰か知らなかったな。そうだな、名乗らねば無作法と言う物か。我が名は『ガブエリウス』。幻世界の王となりし者』

 

 

 その存在は自らを『ガブエリウス』と称し、聞き慣れぬ単語と共に6人に言い放った。

 

 ……当然、この声はこの場にいるのは彼ら以外には無く、真実を知るのは京介たちだけとなっていた。

 

 

 「幻世界……そんな世界の王が、俺たちに何の用だ」

 『ほう? やる気が無いのなら、この地球も惑星クレイも、全ては幻が支配する事になるが?』

 

 

 ガブエリウスの傲岸不遜な物言いに、京介は内心腹が立って仕方が無かった。

 

 

 「あ、あの……幻が支配する、って……」

 『そうだな。今から私たちとお前たちで、あるゲームをする事にした』

 「ゲーム、だと」

 『そうだ。私たち幻影ファイターと、お前たち幻真獣ファイター……双方の世界を賭けたゲームだ。その名を』

 

 

幻真星戦

 

 

 「幻真、星戦……」

 「お互いの世界を賭けた、ゲーム……」

 

 

 ガブエリウスからの内容を聞いた6人は、暫し呆気に取られていた。その様相は様々で、自分の持っている幻真獣カードに目を移す者も居れば……歯軋りを立てながら、ガブエリウスを睨んでいる者も居た。

 

 

 『我が手にある物は『幻創カード』。幻世界を支える赫月の魔力を集積したカードとなる』

 「……つまり、そのカードを手にすれば、赫月病の進行も食い止められる……そう言う認識で良いのか」

 『そうだ。だが、タダでくれてやる訳には行かない。その為の『幻真星戦』だ』

 『なるほどな。幻影ファイターと幻真獣ファイターを戦わせ、真にこの世界に存在するに相応しい方を決めようと言う事か』

 「……そうか、全て話が繋がった」

 

 

 全てを理解した京介は、目の前に居るガブエリウスをキツく睨みつけた。……当然、他の5人もその気持ちは同じ様で、各々には闘志が宿っていた。

 

 

 『全ての幻影ファイターを倒し、ミラージュタワーの最上階まで辿り着く事があれば、その時は私直々に相手をしてやろう。……ただし』

 「……なに?」

 『用心する事だな、お前たちの戦いの火蓋は……既に切られている。幻影ファイターは何処に息を潜めているか、私にも分からないからな』

 

 

 そう告げた後、ガブエリウスはその場から忽然と消えた。

 

 

 「……やる事は決まったね」

 「ああ。幻影ファイターを全て倒して、ミラージュタワーの道を拓く」

 「そしてガブエリウスを倒して、幻創カードを手にする……実際に成し得られるかは、難しい事だけれど」

 「私たちは……絶対に、勝つ!」

 

 

 目的が完全に理解した事により、幻真獣ファイター全員は、世界を元に戻す事を改めて決意したのであった。

 

 しかし今日はもう遅いので、ヴェイズルーグの提案通り、明日から情報収集をする事で話は収まった。

 

 

 「情報収集?ハッ、随分とお気楽なんだな。お前たちは」

 『!?』

 『誰だ!』

 

 

 突如として聞こえた声に、ヴェイズルーグは問答した。そうして現れたのは……。

 

 

 「う、うそ……」

 「ち、ちょっと待って……」

 「最初から、アンタかよ……」

 

 

 幻真獣ファイター達は物陰から現れたその姿を見ると、大半は驚愕していた。尤も、京介は呆れながらも内心驚いていたが。

 

 現れたのは、黒髪のショートヘアの少年…盛谷(もりや) 颯樹(さつき)であるからだ。

 

 彼はヴァンガードにおいて右に出る者はいないほどの実利者だ。彼とまともにファイト出来る人物はいないに等しい。仮にいたとしても片手の指で数える程度しかいないが。

 

 

 「話は全て聞かせて貰った。なるほど、お前たちはこの世界を消すつもりらしいな。だがそれは無理だ」

 「……どう言う意味だ」

 「俺が教えてやる。お前たちを、この世界から存在ごと消し去る事でな!」

 

 

 そんな颯樹の言い回しからすると、彼が幻影ファイターであるのは間違いなかった。その事実を突きつけられた希美とか乙和はその場から崩れ落ちそうになった。

 

 

 「ヴェイズルーグさん。これも赫月の影響なんですか?私の知ってるこの人はこんな性格じゃないんですが」

 『この者が君達とどんな関係かどうかは我は知らないが、そうと捉えてもいいだろう。それにあの言い回しだと、彼は幻影ファイターの一人として我等を襲撃に来たのは確かだ』

 

 

 ガブエリウスからの呼び出しと宣戦布告を告げられて間もないのにも関わらず、幻影ファイターと邂逅を果たした事に対して、先程のガブエリウスの言葉に信憑性が増すと同時に戦いはもう始まっているのに改めて実感したのであった。

 

 

 「へっ!初っ端からラスボスクラスのファイターを俺達にけしかけて来るなんて、何処ぞの幻想郷の住人でも頭使うぞ?どうやらガブエリウスは相当のマヌケのようだな」

 「京介くんっ⁉︎」

 「なに煽ってるのっ⁉︎」

 

 

 しかし京介は意を介さずに此処にいないガブエリウスに対して挑発ともとれる愚痴を呟くのであった。

 

 それを聞き取った颯樹は、ピクリと眉を顰めた。

 

 

 「ほう?俺達のボスであるガブエリウスに侮辱するとはな……。お前はどうやら相当の命知らずと見て捉える」

 「幻影ファイターをそこら中に散りばめた挙句に自分だけ塔に引き篭って、高みの見物を決め込んでるヤツがボスだって?猿山の大将の間違いだろ。そんなの何処ぞの一方的なパワハラ会議を持ち掛ける鬼と同じだろ。悪い事言わねぇから、そんなブラック上司の元にいないで早めに転職したらどうだ?」

 「ちょっと京介くん、これ以上颯樹くんを煽らないで!!」

 

 

 まんまと挑発に乗る颯樹であるも、京介は全く気にせず火に油を注ぐのであった。しかし近くにいた乙和に無理矢理引き剥がされたのは言うまでもなかった。

 

 

 「……まずは減らず口を叩くお前から先に始末させて貰う。お前を最初に消せば幻真獣達は機能しなくなる筈だ」

 「ほう?まず敵を叩くには頭を潰せって教えを受けたようだな」

 

 

 颯樹と京介は自然な流れかのようにデッキケースを掲げてファイトの態勢を取った。

 

 まさか幻真星戦がこんな形で戦いの火蓋を切る羽目になるとは思いもしなかったようで、乙和とりんくは戸惑いを隠せなかった。

 

 

 「……待って京介くん」

 「希美お姉様?」

 「希美ちゃん?」

 「ノゾミーチカ?」

 「うん、それやめて」

 

 

 しかし颯樹の登場によって今まで黙って見ていた希美が口を開いた。

 

 

 「……ここは私にやらせて」

 「ちょっと希美、正気⁉︎」

 「正気だよ。でなければ私はそんな事言わないから」

 

 

 唐突に変な事を言い出したと感じた乙和が無理矢理止めに入るも、希美の意思は変わらずであった。

 

 

 しかしその直後、全員のスマホから一斉に着信音が鳴り響いた。

 

 そこに記されていたのは……。

 

 

幻真星戦(げんませいせん)

 

愛川 希美vs.盛谷 颯樹

 

 

 「やっぱり、こうなっちゃったか……」

 「希美が颯樹くんとファイト!?」

 

 

 希美は全てを理解していたようで割り切っているも、乙和は驚愕と戸惑ったままであった。

 

 

 「そこの女の相手をする事になるとはな……。俺としては減らず口を叩く畜生(げんまじゅう)を従える道化を始末したかったのだがな……まぁいい。まずはそこの女を見せしめのために始末するのも悪くないか」

 

 

 一方で残念そうにする颯樹であるが、気持ちを瞬時に切り替えてファイトの態勢を取るのであった。

 

 

 『気をつけろノゾミ。あの者から途轍も無い力を感じるぞ』

 「分かった。……やろう、颯樹くん」

 「元よりそのつもりだ」

 

 

 希美達がそう言葉を交わした後、床が突如として赫く発光し、その下から螺旋を描くようにファイトテーブルが形成された。

 

 それを見た希美と颯樹は定位置に着き、お互いが向かい合う形となった。

 

 

 「まずは初戦か…」

 「京介くん。希美お姉様、勝てるかな……」

 「大丈夫。彼女を信じろ」

 

 

 颯樹の実力を熟知している美夢は不安を抱くも、京介に諭されるのであった。

 

 しかしそんな考えを抱く間にも、ファイトの準備は着実に進んでいった。そして……

 

 

盛谷 颯樹、愛川 希美。

カードを掲げよ。

 

そして叫べ、開戦の狼煙を。

 

 

か」「か」

「「ディヴァイン!」」

 

 

時は満ちた。

 

これより、

世界を賭けた一戦を始めよう。

 

 

 「本気で来いよ、お前の大切な世界の為に」

 「……戦わなくちゃ行けないなら、私は……戦う!」

 

 

スタンドアップ・

ザ・(ゼット)

ヴァンガード

 

 

 お互いのFV(ファーストヴァンガード)が表向きになった事により、幻真星戦(げんませいせん)開始の狼煙が上がるのであった────。




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 それでは、次回をお楽しみに。
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