マブラヴ時空で現ナマは武器となるか? ~愛はお金で買えるのって少女漫画で言ってたから~ 作:行徳のり
―――1955年 四国 高知 ボサツ本社
ボサツの会議室に澱んだ空気が流れていた。
そもそもボサツの経営陣は混乱……いや本気で目の前の怪人が理解できなかった。
九州の巨人。
経済の怪人。
新興財閥の雄。
そう呼ばれる男がバカみたいな金を出しての子会社化だ。
抗えもしなかったし、子会社化とは言え社が残ったことには安堵があった。
だが、その怪人が乗り込んで来るとは?
彼らの中で勇気のある取締役が声を上げた。
「……子会社化した以上、ウチは何をすれば?」
経営層は四角井を本気で恐怖していたと言って良い。
主力は猟銃、散弾銃とライフルが主力の小さな会社がボサツである。
金属加工、精密加工に自信はある。
だが、それが出来ない企業ではないのだ、親会社の四角井グループは。
「もちろん銃器関係だ」
若々しい見た目ながら、天才的な相場師でもある四角井の言葉に誰かが唾を呑んだ。
だから社長は、そう四角井総帥に問うた。
「銃、ですか………何を弊社にやらせたいのですか?」
「三つだ。一つ、捕鯨砲の復活」
しかめっ面の四角井はそう言った。
社長は必死で脳に刻み込む。
「二つ、ケースレス弾の開発」
指折り言った四角井の発言。社長はここで、あんぐりと口を開けた。
捕鯨砲は、分かる。かつてボサツで製造していたからだ。
だが、ケースレス弾だと?
弾薬の話を銃器メーカーに持ち込まれたことに彼は本気で混乱した。
しかし四角井は続けた。
「三つ、それを使用した火砲の製作」
そこまで言い切り、ややあって社長は四角井に切り出した。
「武器開発は民間では荷が重いです。しかも軍に話を通す必要があります」
四角井は言う。
「軍は海軍から通す」
その答えを聞いてもボサツの社長は納得できなかった。
だから彼は疑問をぶつけた。
「このご時世に、何を言われるか? 東側へ備えてですか?」
面白くなさそうに四角井は言う。
「ああ、そうだとも。他社には何とでも言わせろ」
四角井は血走った目で念押しする。
「題目は、スペースデブリ破壊用、あるいは軌道衛星投入のライトガスガン実験でもいい」
正気だろうかと、社長は四角井を見た。
見て彼は思い出した。
そうだ、そもそも、この台湾出身の若き経営者は普通じゃない。
流れる汗を拭いながら、社長は口を開いた。
「よ、予算が必要です。ケースレス弾なら化学メーカーだって」
「予算も機材もウチから回す。学者がいるなら帝大どころか海外からだって呼ぶ。必要なら会社だって買ってやる」
彼の目は座っていた。
「やってくれるか?」
はい、しか言えないだろうと社長は思った。
四角井くん「弾薬は自前で供給するんやで?」
ボサツ「キツイっピ!!」
四角井くん「カネもヒトも出すで(威圧)」
ボサツ「わぁ……わ……っ」