沖田オルタが初めてのおつかいをする話

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カルデア初めてのおつかい(沖田総司オルタ)

これはとあるマイルームのひと時から始まった。

 

 

ショゲナイデヨベイベ~♪

 

 

マイルームのベッドの上、沖田総司オルタ、通称オルタちゃんが寝転びながらタブレットでとあるテレビ番組を見ていた。

 

それはよくある、小さな子供がおつかいをしてそれを危険が無いように番組側が見守るというヤツである。

 

オルタちゃんは「おー」など「ほー」などベッドの上でコロコロ寝転びながら言っている。

 

 

「なぁ、マスター」

 

「ん?どうしかした?」

 

 

画面から目を離さずにオルタちゃんはマスターである藤丸立夏に声をかける。

 

「こいつらは何をしているんだ?小さな子供をこそこそ追いかけまわしているぞ?不思議み」

 

「あー、その人たちは、カメラマンさんだよ。さすがに小さい子一人や二人で遠くに行かせるのは危険だったりするしね」

 

「そういうものなのか?」

 

こてん、と首をかしげるオルタちゃんに藤丸はクスっと笑う。

 

「そういうもの。それに、こうして頑張ってるところ見てると応援したくなったり、最後はがんばったね、すごいねって褒めてあげたくなるよね。ほら、オルタちゃんはどうかな?」

 

「………ふむ」

 

何やら神妙な面持ちでタブレットに視線を落とす。そこには親に褒められている子供の笑顔が映っていた。

 

 

「そうだな」

 

何かを考え付いたような顔つきになるオルタちゃんはそっとタブレットを閉じ、

 

 

「マスター、明日、付き合ってくれ」

 

コトッと厚底ブーツを鳴らし立ち上がるオルタちゃんはキラキラした顔とグッと拳を握ってそう言った。

 

 

「いいけど、なにするの?」

 

「明日のお楽しみだ。楽しみ」

 

 

疑問符を浮かべる彼を見つめオルタちゃんはマイルームを後にした。

 

 

 

-翌日-

 

 

 

コンコン

 

 

マイルームを叩く音で藤丸は誰が来たのか予想する。

 

 

「おはよ、オルタちゃん」

 

「ああ、おはよ、あ、、、こほん、マスター。準備はいいか?」

 

 

そう言うのは、昨日とは違い藤丸は視線をほんの少し下げる。

 

オルタちゃん、昨日のアルターエゴ霊基と変わって水着霊基(第一再臨)となりほんの少し身長が低くなっていたのだ。

 

「あれ?今日は水着霊基?その姿ということは?」キョロキョロ

 

沖田総司オルタの自我のある長刀『煉獄』、普段は刀の姿をしているが水着霊基だとオルタの霊基を分け小さな少女となる不思議な存在。

いつもなら、二人一緒にいるはずなのだがその姿が見られない。

 

「ああ、煉獄ならアレをやってもらっている」

 

「アレ?アレってなに??」

 

「ああ、『はじめてのおつかい』というやつだ。というわけでマスター」

 

一拍、ためて、こう一言。

 

「尾行するぞ」

 

如何にも真剣な表情で言う彼女に対して藤丸はポカンとした表情で返したのであった。

 

 

----

 

 

「それで、はじめてのおつかいはいいけど。煉獄に何を頼んだの?」

 

「ん?」

やって来たのは森林に設定されたシュミレーター内。藤丸の疑問に沖田オルタは少し気まずそうに「あー」とつぶやいて

 

「そんなことより、いたぞ。煉獄だ」

 

何かをごまかすように森の先に煉獄を発見し、見つからないように木の陰に身をひそめる。

 

不思議に思いながらも藤丸も同じようにする。

 

「え?キャスジル?」

 

視線の先にいたのはキャスタークラスのジル・ド・レェ。何やら不穏な空気を漂わせてかの二人は対峙していたのだ。

 

「なに、どういう状況?」

 

なんとも意外な組み合わせに藤丸は疑問を吐露するが、状況はすでに動いていた。

 

煉獄はジルに一言二言なにかを言うとジルはにこやかに手に持っている魔導書を開き海魔を呼び出したのだ。

 

「!!」

「待て、マスター!」

藤丸は驚き突然のことで体を動かそうとしたら瞬時に沖田オルタに止められた。

 

「マスター、少しだけ様子を見ていてくれ」

 

真剣な声色の沖田オルタの言葉に藤丸はもう一度膝を着いて様子を見ることにした。

 

 

 

「はあ!」

 

一閃。煉獄は小さな体を駆使し所持している短刀を抜き放ち海魔を両断したのだった。

 

「おみぃごとっ!」

 

大きく手を広げ感嘆の声をあげるジル・ド・レェ。「では、あとはお任せあれ」っと言うジルに煉獄はコクンと頷きその場を後にしようとしていた。

 

 

「いや、ほんと、どういう状況?」

 

「マスター、煉獄を見失ってしまう。行くぞ」

 

もはや疑問符しか浮かばずポカンと呆けるしかない藤丸に沖田オルタはマスターの手を引いて煉獄の後を追うのであった。

 

 

 

----

 

森のをしばらく進むと潮の香り。海岸線に出たのだ。

 

そこにはアロハシャツが異様に似合うクランの猛犬。

 

「クーフーリン?」

 

ランサーのクーフーリンが浜で釣りをしていたのだ。

 

そこに煉獄が近づき、彼の側にあるクーラーボックスの中身を覗いていた。

 

クーフーリンは海にしかけを投げている竿先を見ながら、今日はボウズ(何も釣れていない意)だというジェスチャーをしながら首を横に振っていた。

 

煉獄は自分もやってよいかとクーフーリンの側に置いてある竿を指さし、クーフーリンは「いいぞ」と煉獄に釣りのレクチャーを始めた。

 

「これは、はじめてのおつかい、、なのかな?」

 

「ふむ、なんというか」

 

つい、二人の言葉が重なってしまった。

 

「「父親の家族サービス」」

 

と、そこで、煉獄の竿に大きな反応。

 

「はぁあ!!」

 

大きく竿を振り海から釣り上げられたのは

 

「アソボ、アソボ」

 

サメ型のエネミーだった。

 

えぇー、、、、

 

もっともな感想を抱いた藤丸だったが哀れエネミー。煉獄の速攻の攻撃が一も二もなく繰り出され倒されたのだった。

 

クーフーリンは「やるねぇ」ヒューっと口笛を一つ漏らし負けてらんねーな、っと気合いを新たに竿を振りかざすのであった。

 

そこからは怒涛の爆釣。ザリガニ型、魚型、ケルピーから半魚人まであらゆる水系エネミーを釣り上げたのだった。

 

“煉獄が”

 

隣で涙を堪えてるクーフーリンは先ほどから一切竿に反応がないようだ。

 

「これはアレだな。張り切って子供に教えるがいいところを見せられない父親の図というやつだな」

 

「うん、やめてあげてね」

 

沖田オルタのするどい呟きに藤丸は苦笑いしか返せなかった。

 

あらかた釣り終わったら煉獄はその場からまた移動を始めた。別れ際にクーフーリンは「約束だからな」っと煉獄に言いシュミレーターから出たのだった。

 

ちなみに、クーフーリンが薄っすら涙を浮かべていたを見逃さなかった藤丸は心の中で手を合わせ、煉獄の後を追った。

 

 

 

----

 

 

ところ変わって、岩肌険しい山道。煉獄は小さな体を跳ねるように軽快に進んでいく。

 

 

「さすがに小さいから身軽だな」

 

「いや、サーヴァントだったらあれくらい、、、、いや、そもそも煉獄は刀でしょ?サーヴァントの枠組みに入るの?」

 

そんな疑問を抱えつつ、険しい岩肌を登りなら煉獄の後をつける二人。

 

しばらく行くと、

 

 

「円卓組?」

 

円卓の騎士、ガウェイン、ランスロット、トリスタンがいた。

 

岩肌広がる森林側の広場、そこに場違いに三人とも水着を着ていた。

 

 

「ああ、噂の円卓三兄弟というやつらか」

 

「いや、兄弟ではないけどね」

 

何とも言えないコメントに藤丸はツッコミを入れる。

 

 

そんな二人をよそに輝けるイケメンパラダイスに煉獄は特に何か感情を出すわけでもなく話しかけているようだ。

 

少し離れているので会話内容としては「我が王」や「やるのですか」や「準備は出来ているとも」などと断片的にしか聞こえてこなかった。

 

というところで、三人は何か意を決した表情で各位、武器を突然構えるのだった。

 

 

ドドドドドドドドド!

 

すると、森林の方角から何やら巨大生物の足音が複数、わずかに聞こえてくる鳴き声は藤丸の耳には少し懐かしく聞こえた。

 

というか

 

「「「コケーーー」」」

 

鶏型のエネミーだった。

 

「「「うおおおおおお」」」

 

ガウェイン、ランスロット、トリスタンはエネミーに向かって突撃して行った。

 

なお、藤丸は鶏型のエネミーに一つ違和感を抱いていた。いや、その違和感は彼らの頭の一部分を見たら即解消したのだ。

 

 

そう、金色のアホ毛が、円卓特攻のしるしを見つけてしまったのだった。

 

 

 

----

 

 

まもなくして、かの勇猛をふるった円卓の騎士たちは円卓特攻持ちの鶏たちに倒れ伏したのであった。

 

 

「せぇええい!!!」

 

 

「「「コケー?!」」」

 

 

間髪入れず煉獄の刀が鶏達を狩りとる。

 

構図としては大の大人が小さな女の子に助けてもらうようになってしまっていた。

 

 

「ふむ」

 

「わ~、騎士王たちはなんていうだろう」

 

何とも言えない感想を口走る藤丸。

 

その間に煉獄は円卓たちにぼそぼそと何かを伝え、その返事に地面に伏してる彼らは親指を立てて了承の意を伝えていた。

 

 

 

「っと、ここまでだな。あ、マスター部屋に戻るとしよう」

 

「え?ここまで?行っちゃうみたいだけど、、」

 

「いいんだ、とにかく戻るぞ」

 

唐突なことに煉獄を指をさす藤丸だが手を引かれそそくさとシュミレーターを後にするのだった。

 

 

 

----

 

 

マイルーム、藤丸は少し疲れを見せ、ベッドに腰を掛けて一息ついた。

 

「ふう」

 

先ほどまで行動を共にしていたもう一人は今部屋にはいない。何やら用事があるようですぐに戻ってくるようではあるのだが、

 

「さてと」

 

藤丸は落ち着いたところで思考をめぐらす。

 

と言っても、ほとんど答えは出ている。

 

なぜ、彼がこのようなことをしているのかはわからないが、短くない付き合いだ。これだけはわかる。

 

 

コンコン

 

先ほどまで同行していた人物がマイルームに入ってくる。

 

 

「マスター、いいか?」

 

「あ、おかえり」

 

「ああ、ただいまだ。それと」

 

「もしかして、またどこか行くの?」

 

「ん?ああよく分かったな。すまないが付き合ってくれるか?」

 

 

 

 

「いいよ、“煉獄”」

 

 

 

 

藤丸は仕方ないなぁっとつぶやきながら腰かけていたベッドから立ち上がり顔をあげる。

 

そこには大きく目を見開いてキョトンとした表情の彼がいた。

 

 

「あー、、、、もしかしてバレた?」

 

「え?まあ、うん」

 

先ほどまでの雰囲気と打って変わって、頬をポリポリと指で搔きながらイタズラが見つかったような表情をしていた。

 

 

「あっそう。で?主のマスターはどこから気付いていたのかな?」

 

「わりと初めぐらいから?と言っても違和感はあったしね」

 

「というと?」

 

「オルタちゃんの物真似は上手だったけど、はじめマイルームに入ってきた時うっかり「あ、マスター」って言ってたけど、あれ、「主のマスター」って言いかけたでしょ」

 

 

煉獄は観念したように降参の恰好をした後、「わちゃー」っと言いながら片手で顔を覆っていた。

 

「ほかにもいろいろあるけど、一番は“小さくなってるオルタちゃん”を見守ってる時、ものすごくそわそわしてたからね」

 

「やれやれ、そこまで気づいていたのね。や、そわそわの方じゃなくてね?」

 

そんなにわかりやすかったかねー?っとつぶやく煉獄に藤丸は質問を投げかける。

 

「ところで、その恰好、というかどうやって二人は入れ替わったのさ?そんなことできたっけ?」

 

「ん?これか。これに関してとある筋の協力を」

 

「どこの筋?」

 

「花の魔術師」

 

何しとんだあのグランドろくでなし。

 

思想する藤丸の脳内に「なんだか面白そうだから」っと爽やかに胡散臭い笑顔を浮かべるとっぽいにいちゃんが囁いていた。

 

 

「まぁいいや、それで、なんで今回こんなことを?」

 

「あ~、まあ、それは、、、」

 

言いよどむ煉獄。

 

「言いにくいこと?」

 

「そういう訳じゃないんだがな、っと、そろそろか」

 

マイルームの時計の時刻に目をやり煉獄は藤丸の手を引く。

 

「主のマスター、とにかく来てくれ」

 

何が何だかわからず藤丸は手を引く煉獄の後へついて行くことにしていた。

 

 

----

 

「食堂?」

 

煉獄が藤丸を連れてきたかった所。その答えがわかった藤丸はそう零した。

 

「ああ、さ、こっちだ」

 

煉獄が食堂の入り口を開けると食堂のカウンター近くに見覚えのある小さな影がこちらに気づいた。

 

ぴょこーんっとケモノ耳があるならぴんと立ててあるだろう反応を見せる沖田オルタ(煉獄バージョン)はとことこと近寄ってくる。

 

「よく来たな。ますた、主のマスター」

 

「あ、うん、こんにちわオルタちゃん」

 

「ああ、こんにちわだ。、、、む?」

 

いつも通り普通の会話。沖田オルタは普段通りに返したのだが何やら違和感を感じ煉獄(オルタちゃんバージョン)の方へ眼を向ける。

 

「わるい主。バレてたみたいだ」

 

「ム、そうか。煉獄にはできるだけ私の声が届かないような距離を保つように言っておいたのだがバレてしまったか」

 

 

なるほど、尾行中に会話内容があまり聞き取れなかったのはそう言うことか。

 

 

得心がいった藤丸はポンと手を叩く。

 

「まぁいい、そんなことよりマスターこっちに来てくれ」

 

小さな手に引かれ藤丸は沖田オルタのあとを追う。

 

 

「先輩、例のものを頼む」

 

「だからそういうのはやめないかと言っているだろう」

 

沖田オルタが先輩と呼ぶのは抑止の守護者の先輩でありカルデア食堂の料理長を務める赤い外套の男。エミヤだった。

 

やれやれといった呟きを漏らしながらカウンターから出てくるエミヤの手には湯気がたちこめる土鍋があった。

 

コトッと机の上に土鍋を置き、藤丸はそれに目をやった。

 

「これは、、おでん?」

 

「ああ、正確には海鮮多めのおでんだがね」

 

たしかに、その内容は海鮮の種類が豊富で食欲を掻き立てる。っと、その中に奇妙なものが見えた。それを藤丸は知っていた。

 

「これ、もしかして海魔も入ってる?」

 

そう、よく見ると今日見かけたばかりのエネミーの素材で出来たおでんだった。

 

「そっちはキャスターのジル・ド・レェから。こっちは円卓の騎士から。あとはアロハシャツのランサーからもあるのだが何故か物悲しい雰囲気を出していたが、何かあったのかね?」

 

「、、、、うん、ちょっとね」

 

藤丸は曖昧に返事を返すと再び鍋に視線を戻す。

 

さすが料理長エミヤ。数多のエネミーをその華麗なる技術で美味しそうに仕上げていたのだ。練り物、鶏肉、卵、その他もろもろ。

 

「マスター」

 

と、椅子を土台にその鍋から箸を使いちくわを藤丸の口元に持って行き「あ~ん、だ」と言う。

 

藤丸は普段子供サーヴァントからも似たようなことをされているので慣れたものだ。ちくわを自然と口に運ぶ。

 

 

すると

 

 

ポンッ

 

と、軽い音をたて目の前にはいつも通りのアルターエゴ霊基の沖田総司オルタの姿。

 

突然のことで藤丸は目を丸くする。

 

 

『どうやら時間みたいだな』

 

沖田オルタの背中から長刀へと姿を変えた煉獄がそう零す。

 

「そうか、ん?どうしたマスター。顔が赤いぞ?」

 

目の前にいた幼女が唐突に綺麗な顔立ちの美人に変身。それが眼前に突然現れたのだ。慣れていたとしても藤丸の頬に熱が含まれるのは仕方のないことだ。

 

 

「んぐ、なんでも」

 

ゴクッと食したものを喉に遠した藤丸は息を少し詰まらせ答える。

 

「ところでマスター」

 

「え、なに?」

 

少し真剣な表情で沖田オルタは椅子の上に正座をする。

 

「私は今日がんばってこれらの素材を集めた」

 

「うん」

 

「はじめてのおつかいというヤツだ」

 

「うん」

 

「とってもがんばった」

 

「うん」

 

「とってもとってもがんばったのだ」

 

「うん」

 

「、、、、、、、、、」

 

 

なにかを伝えようとしている沖田オルタ。ついには黙ってしまった。

 

ポンッ

 

藤丸は彼女が少し頭を垂れてることに気づき彼女の頭に手を置き優しく撫で始める。

 

「オルタちゃん。とっても美味しかった。がんばったね」

 

最後に

 

「ありがとう」

 

その言葉を聞き普段表情に乏しい彼女は子供のように笑った。

 

 

今回『最大の目的』を達成したことに大変満足した沖田オルタは大好きなおでんに舌鼓を打つ。

 

 

その後、協力してくれたみんなと共に鍋を囲み幸せをかみしめたのだった。

 

 

 

 

 

なお、後に子供サーヴァントによるはじめてのおつかいや円卓の強化クエスト(チキン)、大紅蓮超釣り大会(イベント)などがあったようだが、それはまた別の機会に。

 

 

 

 

おわり

 

 

 


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