緋眼の舞姫〜英雄と悪役の約束〜   作:神無月ほたる

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第29話:決着

刀を受け流しながら時折(ときおり)発砲される弾をギリギリで避けるというジリ貧な状況が続く。

 

そんな状況の私をみて

 

「打つ手なしってところだね」

 

あははは。と楽しそうに笑って煽ってくる。

 

「1人高みの見物して、数の暴力で女の子を甚振(いたぶ)ってさ。さぞ楽しそうだね…」

 

皮肉交じりにそういう。

 

ここに私1人であれば無差別に周囲に(ほのお)を発生させれば何とかなったのだろう。

 

がここには(まい)天宮(あまみや)もいる。もし使えば2人を焼き殺すことになる。

 

それに…私はあまり霊を殺すという方法で成仏させたくない。

 

特にこの霊達は操られているだけなのだから余計に、だ。

 

「もちろん。人を甚振(いたぶ)るのはサイッコーに楽しいよ?」

 

「...どこまでもクズだね」

 

「あはは。そうかも。でもさ、会話に夢中になってると、死ぬよ(・・・)?」

 

という男子生徒の言葉と同時に胸に激痛が走る。

 

「しま...っ!」

 

背中から刀で刺された。

 

ゴポリ、とこみ上げてきた血を口から吐き出す。

 

「ん〜生きて連れてこいって言われたけどまぁ、仕方ないよね変に抵抗するのが悪いんだもん」

 

ズルリ、と私から刀が引き抜かれ、ドサッと(うつむ)きに倒れる。

 

桜木(さくらぎ)っ!!」

 

天宮(あまみや)が叫んでこちらに近づこうとするが霊に邪魔されてしまいこちらに来ることができない。

 

現実ではアニメのようにわざわざ相手の変身を待ったり、必殺技を打たせてやったり、会話を待ってやったりする必要なんてものはない。

 

「はは。この程度なんだ。こんな弱い奴を欲しがるなんて僕にはよく分からないよ」

 

「あぐ、っ!!」

 

グリグリと刺された傷口を踏まれて悶える私。

 

奇襲、騙し討ち、裏切り。

 

──勝つためならば手段は何をとってもいい。

 

勝てば正義。負ければ悪。それがこの世界、現実というやつだ。

 

......だから

 

 

 

 

─―ヒュン

 

 

 

 

 

男子生徒の頭に何かがかする。

 

「あ...れ...?」

 

男子生徒は脳震盪(のうしんとう)でも起こしたかのようなフラフラとした足取りで2歩、3歩私から離れてパタン。と倒れた。

 

 

 

 

―─タァーン

 

 

 

 

という聞き慣れた銃声が数瞬(すうしゅん)遅れて聞こえてくる。

 

(あるじ)を失い命令を聞く必要の無くなった霊たちの動きがピタリと止まった。

 

フラリと起き上がった私はインカムの向こう(・・・・・・・・)にいる狙撃をした人物に話しかける。

 

「ちょーっと遅いんじゃないかな?

 

 

─―阿津斗(あつと)?」

 

 

『遅くなった。すまない』

 

抑揚(よくよう)のない声で謝ってくる阿津斗(あつと)

 

...にしても、発砲の光(マズルフラッシュ)でチラリと見えたけど、1km近く離れた場所からの狙撃とは恐れ入るね。

 

しかも弾を当てるのじゃなくてわざと頭にかすらせて神経を圧迫、意図的に脳震盪(のうしんとう)を起こさせて気絶させるとか...。

 

人間技じゃないや。

 

「お、おい。お前動いても平気なのかよ...」

 

天宮(あまみや)が私の傷口を見ながら心配そうに近づいてくる。

 

「平気。どっちも1週間くらいで治るんじゃないかな?私、傷の治り早いから」

 

「いや、1週間って...お前、心臓刺されたんだぞ?いま立ってることすらおかしいんだが...?」

 

「重要な臓器は何一つ傷ついてないよ。

 

刺される時に軽く体反らして、刺される角度調整したから。

 

このくらい誰でもできるでしょ?」

 

ペッと口に溜まった血を地面に吐き出す。

 

「いや、できねぇよ...」

 

苦笑を浮かべる天宮(あまみや)

 

「というか心臓刺されたにしては出血量少ないと思わなかったの?」

 

やれやれ、とため息を吐く私。

 

「あんときゃ気が動転してて…。そんな細かいところ見れるかよ!」

 

とごもっともなことを言われた。

 

「...まぁそれはともかく、後のこと、お願いしてもいい?

 

霊達の方は私がやっておくからさ」

 

「...殺すなよ?」

 

「殺さないよ」

 

念を押すようにそう言われたのできちんと否定しておく。

 

そもそも私は死人をもう一度殺すのは反対派だ。

 

どうしても必要になればするがそれ以外は基本的にきちんと成仏させてあげたい。

 

...何人も殺してきた私なりのエゴみたいなものかもしれないが。

 

私の言葉を信じてくれたのか、男子生徒を肩に担いで完全に存在を忘れていた買い物袋を離れた場所から回収して去っていった。

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