「ま、
大切な部分を両手でかろうじて隠した
ジェヴォーダンの獣になった際に服が破れるため元の姿に戻ると裸になってしまうという致命的な欠点…。
先ほど私が巫女装束に着替えた御札と同じものを使って
「慣れない格好かもしれないけどこれしかないから帰るまで我慢してて」
と謝る私をよそに
「めちゃくちゃ
スンスン!スンスンスン!と巫女装束の匂いを嗅いでいる。
「
ジト目で見ながらそう言うと
「ちちち、ちがうもん!いい匂いなのが悪いもん!」
と開き直る始末。
はぁとため息を吐く私。
まぁ、元気そうで良かった。
…さて、私も私のすべきことをしないとね。
するり、と
これは1人前の
...私にとってはお母様の忘れ形見のようなものだ。
ゆっくりと
それを横目に私はゆっくりと舞い始める。
優しく、穏やかに。しかし力強く。
何度も、何度も教わり、体に染み付くほど舞った舞を。
ねぇ、お母様。やっぱり私。舞うのすっごく好きだよ。
だって、こんなにも心が満たされるんだから。
──こんなにも、楽しいのだから。
左腕が使えないため少々いびつな舞になってしまう。
最も危険で最も美しい舞
霊は本来
中には未練があったり、死んだということに気付いてない例もある。
「舞」はその負の感情を忘れさせ、正の感情―─喜びや楽しさなど―─を植え付けるもの...だそう。
そうすることにより魂が浄化されて正しく天へと昇っていく...らしい。
私もお母様に言い聞かされただけだから正しいのかどうかまでは分からない。
とりあえず、この舞は霊を殺すのではなく成仏させることができる特別な舞だ。
あまり人に見せちゃいけないのだが
幸せな時間というものはいつだって一瞬で過ぎ去るもので、私の舞が終わりを迎える。
パタン、と静かに
満月の空を幻想的に照らしながらゆっくりと天へと昇っていく。
男子生徒と女子生徒の霊が「ありがとう」とそう言ったような気がした。
「きれー…」
空を見上げていた
「今度こそ
ニコ、とそう笑いながら私のセリフを取るのだった。