なんちゃってアヴィケブロン先生で行く呪術廻戦   作:童慈

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生まれ出るはアヴィケブロン

 「おお!これは我が家の相伝術式たる『土塊呪法』の原型、『泥土呪法』か!よくやったぞ土影、これで我が家は安泰だ!」

 

 俺の5歳の誕生日に突如として脳内に流れ込んだ情報により、混乱し暴発した術式が辺り一体の大地を波打たせる。それを自らの術式で相殺した父が笑みをこぼしながら言葉を紡ぐ。

 

 「その術式の解釈範囲が広すぎるあまりに莫大な呪力を必要とされる術式だが、お前はその点を天与呪縛で補える。そしてその天与呪縛の代償を術式で補える。完璧だ。歴代伊邪家当主でお前を超える者は存在しないだろう。まさしく歴代最強だ。」

 

 満面の笑みで俺を褒める父。けど俺は自認弱者で強者としての務めを果たしたくないので釘を刺しておく。

 

 「父よ。僕は強くない。父と母、兄弟姉妹、一族の者達の庇護と愛により僕は生かされてきた。誰かの助けがなければ生きられなかった僕は決して強者ではない。」

 

 「土影よ。お前は自らを卑下しすぎる。お前の呪力操作は一族内で比肩する者がいないほどだ。天与呪縛の恩恵とはいえ、お前の血の滲む努力がなければそこまでにはならん。」

 

 父がまたヨイショしてくる。やめろ!俺を努力の人みたいに言うな。動けない故に暇だったから呪力で遊んでたら色々できる様になっただけなんや。

 

 「故にだ父よ。本来この様な体で生まれた僕は弱肉強食の摂理の元に淘汰されるはずだった。長老達もそうすべきと言っていたのを知っている。それを拒み、愛を持って育んでくれた。僕は弱い。この目は光を知らず、何かを手で掴む事もできず、足で地を踏みしめる事もできず、日の光に焼かれるほど肌は弱い。これを弱者と言わずしてなんと言う。」

 

 「土影……、お前は自らを弱者と定義するのか。では何故自らより年上兄弟姉妹の危機を呪力砲で救った。弱者ならば逃げ隠れ庇護されるものであろうに。」

 

 昨年の事を言ってきやがった。しゃあないやん。呪詛師が両親及び強めの一族の者が留守のお家に襲撃かけてきたんやから。そこそこ強そうやったからまず間違いなく兄弟姉妹の誰かが殺されるだろうし、年上組は慌ててるし、相手は障害者の俺見て油断してるし、速殺するのが一番効率が良かったんや。

 

 因みに俺にリーゼントするほどの毛量はないので目からブラフマーストラしてやったら見事に蒸発してくれました。その日から兄弟姉妹からヒーロー扱いされています。

 

 「父よ。僕は弱者だ。これは決して違わない。しかしそれが誰かを守らない理由にはなりえない。我が家はこの淡路島唯一の呪術師の一族。我が家の役目は弱者の救済。例え弱く生まれ術式が弱くても、この家に生まれた以上、一族の誇りに懸けて怯え震える弱者を捨ておく事などできない。」

 

 俺の保身のためになぁ!

 

 「土影よ。お前の考えはよくわかった。決して強者と驕らず弱者に寄り添うその誓い。呪術師として弱点にもなろうその覚悟、父として嬉しく思う。お前は我が家の誇りだ。」

 

 涙を流し俺を褒める父。待て、俺はそんな高潔な人間じゃない!天与呪縛のアヴィケブロン縛りのせいでなんかいい風に誤訳されてるんや!

 

 「ところで土影よ、その手足は動くのか?そしてその格好は?」

 

 父が恐る恐る聞いてくる。手足はともかく格好が気になるのだろう。現在の俺の格好は第三再臨のアヴィケブロン先生とほぼ一緒である。マントの棘と角がないだけで腕四本にスパイクの様な脚先。そして日本要素がほぼない格好。そらなんでそんな風になったと聞きたいわな。

 

 「手足を求めて術式に意識を向けたら、術式の深奥にこの姿が見えたから模倣して見たのだが、一般の目から見てどこかおかしいだろうか、父よ?」

 

 「いや、おかしくはない。おかしくはないが………そのなんと言うのか……都市部で見るこすぷれいやーなる者にしか見えんのだ。」

 

 「ふむ?ならば違う装いの方がいいだろうか?この姿は術式の範囲と効率を上げてくれるので良いと思ったのだが、一般に憚れるならやめておこう。」

 

 「いや、良い。その姿が良い。破廉恥というわけでもなく、術式向上が見込める姿を、羞恥心で捨てるのは非合理的だ。それによく見ればお前にとっては合理的な格好だ。肌の露出がないのは日から肌を守るため。手が二対あれば一体は掌印、一対は戦闘に使い分けができる。所々にある金の装飾はお前の術式で変形させ盾にも矛にもなる。針先の様な金の脚も変形させられるのなら相手にロクに動けないという思い込みを抱かせる事ができる。ただ、その、他所に行く時はマントしまって手を一対だけにできぬか?」

 

 凄まじいマシンガントークでフォローしてくる父。実は我が父はかなりの子煩悩。呪術師らしいとこもあるがかなり良心的な人である。我が一族も比較的良心的な者が多い。禪院家と繋がりがあるが、頭禪院なわけではないのだ。

 

 「その程度なら可能だ父よ。ならば以降は我が家と戦闘時は今の格好で。これ以外の場所ではマントと手を隠そう。」

 

 「すまぬな。窮屈な思いをさせるがよろしく頼む。」

 

 ほっとした様子の父。目が見えないのにわかるのは天与呪縛の恩恵のおかげだ。俺の耳は捉えた音を立体的に捉える。微かな振動さえあればどこに何がいてどんな状態かわかる3Dスキャン兼広域探査レーダーが俺の耳なのだ。半径50m内であれば姿形がわかり、半径500mないであればどこに何がいるかわかる。

 

 「父よ。一つお願いがある。」

 

 「なんだ?今日はお前の誕生日であり、術式が開花しためでたい日だ。可能な限りの願いなら叶えよう。」

 

 「2級の呪霊1体と3級の呪霊5体、4級の呪霊10体が欲しい。」

 

 「構わんが、何に使うのだ?泥土呪法に呪霊が必要などと過去の記録にはなかったが……」

 

 ふっ、愚問だな父よ。アヴィケブロン先生なのだから作る者は決まっている。

 

 「それはできるまで秘密というものだ。ただ一つ言えるのは呪霊は炉心に使う。」




 天与呪縛その1。全盲。
 恩恵。音、振動による反響定位による広範囲索敵。一定範囲内の精密な情報取得。
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