それはある日のこと。少年、切札ジョーは相変わらずデュエマをしていた。
「いっけー!マスター・W・ブレイカー!!」
『引き金は2度引かねえ…一発が全てだ!』
「うわぁぁぁぁ!?」
今日も今日とて少年は切り札、《ジョリー・ザ・ジョニー》でEXウィンを叩き込んでいた………その時。
「素晴らしい。」
パチ、パチ、パチと乾いた拍手の音と共に、誰かが近づいてくる。声からして男、青年だろう。
その青年は男にしては長めの黒髪に、眼鏡を掛けている。
黒いパーカーを羽織り、その下はTシャツだろう。
それだけ書き出せばごく普通の一般人だが、彼は違った。ニコニコとした笑みに、拍手しながら小学生に近づいてくる仕草。見た目だけならいざ知らず、青年にはとても底知れぬ胡散臭いオーラが漂っていた。普通に不審者である。
「え…お兄さん誰?不審者?」
「ああ、俺?俺は普通の好青年だよ。」
嘘である。普通の好青年はそれを自称しないし、こんな胡散臭くはない。
「……シャチョー達、防犯ブザーとかある?」
「いや…」
「ないプリ…」
「SPなら呼べるけど」
「まあ待って、俺は本当に怪しい者じゃない。ただ君たちのデュエマを見させてもらったよ。」
青年は内心めちゃくちゃ焦りながら静止する。そして、何かのカード…裏面からして、デュエル・マスターズのカードだろう…を4枚取り出す。
「これをあげよう。」
「………お兄さん、今俺からしたら突然現れてカード渡してくる不審者なんだけど自覚ある?」
「いや本当に悪いことをしようとしてるわけじゃなくてだね?」
ジョーもここまで来たら本当に悪い人でないのはまあなんとなくわかるが、それはそれとしてあまりにも怪しい。とりあえず渡されたカードを見てみることにした。
「《ゼロの裏技ニヤリー・ゲット》………何これ?水文明のカードなんて今の俺のデッキじゃ使えないよ?」
「ふふふ。そのカードはちょっと特殊でね。G・ゼロという効果を持っていて、無色クリーチャーがあればタダで使える。」
「無色クリーチャーが…?」
「そう。君の持つジョーカーズは…無色だ。」
そう言って青年はもう1枚カードを取り出す。名前の欄には《無記のイザナイ ウェンディゴ・アパッチ》と書かれており、そのカードの色はジョーカーズ同様白だ。
「……ホントだ!?」
「そういえばそんなカードあったプリね…」
「そして効果も君のデッキでは協力無比。山上3枚を表向きにし、その中の無色を全回収。《サイバー・ブレイン》もびっくりな0コス3ドローだ。」
「超強いじゃん!?」
「…まあ、近い未来使わなくなるんだろうけどね」
「…え?」
「ジョー様!ジョー様!」
青年の発言にジョーが疑問を持った時、ジョーの持つデッキケース、デッキーがこっそりジョーに話しかけてくる。
「…どうしたのデッキー?」
「明らかに怪しいですよこの男!ジョー様が最初言ってた通り普通に不審者ですし、突然ジョー様にそのカードを渡してきたのも不自然です!」
「そ、それはそっか…」
「あの!これお返ししま…」
「ふむ。信用ならない様子だね。わかった、じゃあ…これでどうだい?」
そう言って男はデッキを取り出した。それが何を意味するか、この世界の人物であれば誰であろうと分かるだろう。
「……デュエマ、したいの?」
「そうさ。どうしても信用ならないなら、デュエマで判断してみればいい…どうだい?」
「ジョー様!何かこの男からは危険な匂いを感じます!ここは避けたほうが…!」
「よし!わかった!勝負だ!」
「ジョー様!?」
「だって、せっかく挑まれたし…それにこのカードも使ってみたいし…」
結局ジョーは小学生。貰ったものは使ってみたくなる性分だ。
一方男は「決まりだね!」と相変わらずニコニコしていた。
「はぁ…分かりました。ですが!やるからには勝ちましょう!負けたら何があるか分かりません!」
「もっちろん!」
「準備はいいかい?」
「ああ、そうだ!《ニヤリー・ゲット》をデッキに入れて…よし!」
「「デュエマ・スタート!」」
ジョーカーズ参上!VS煉獄より蘇りし邪眼の騎士
◇
【そんな訳で始まった謎の男とのデュエマ!ジョーはいつも通り《ヤッタレマン》を召喚し、次のターンに備える!果たして謎の男の実力とは…!?】
ジョー シールド5
??? シールド5
??? ターン3
「俺のターン!《魔誕妖蟲エキサイト・ワーム》召喚!効果で手札から《邪眼皇ロマノフI世》を捨てて、1枚ドロー!この効果で闇のカードである《ロマノフ》を捨てたため、さらにもう1枚ドロー!そして《エキサイト・ワーム》はスピードアタッカーだ!シールドをブレイク!」
現れるは魔誕の勢力となり、火の力を手にした巨大な芋虫のようなクリーチャー。手札を入れ替えたかと思えば、ジョーのシールドへと一直線に突撃していく。
ジョー シールド4
シールドチェック! ✕
「見たことないカードプリ…」
「!?ジョー様、あのカードは…!?」
「シールドトリガー…!ないか〜!」
「……デュエマの後に伝えるべきでしょうか」
「俺はこれでターンエンド。」
デッキーは青年のカード、正しくは捨てられたカードを見て驚愕しているが、ジョーには聞こえていない。デッキーは指摘を諦め、傍観することとした。
「俺のターン!マナチャージして、《パーリ騎士》召喚!墓地の《ジョジョジョ・ジョーカーズ》をマナに置いて、《チョコっとハウス》を召喚!《ヤッタレマン》で、《エキサイト・ワーム》を攻撃!」
ヤッタレマン P2000
エキサイト・ワーム P1000
エキサイトワームがヤッタレマンに向かい突撃してくるが、ヤッタレマンはそれを身軽に回避し、空中で下駄を発射。エキサイトワームはそれにより爆発し、破壊された。
「ターンエンド!」
「やるね。俺のターン、4マナで呪文、《スクリーム・チャージャー》。山札の上から4枚を墓地に置いて…墓地から《アーテル・ゴルギーニ》を手札に回収する。ターンエンドだ。」
山札の上から4枚がひとりでに墓地へと置かれ、その中から1枚が浮遊し、青年の手札へと加えられる。
「俺のターン!マナチャージして、《ヘルコプ太》召喚!俺の場にはジョーカーズが4体居るから、4枚ドロー!」
ジョーカーズ達が点呼を取れば、デッキから4枚がジョーの手札になる。展開により減った手札も、これで補充できる。
「さらにジョーカーズで一斉攻撃ー!」
3体のジョーカーズがシールドを破壊する。さらに、《チョコっとハウス》によりジョーの手札より1枚がマナに置かれる。
??? シールド2
シールドチェック! ✕ ✕ ✕
「…トリガーは、ない。」
「ターンエンド!悪いけど、《ニヤリー・ゲット》を使う前に勝っちゃうもんねー!」
「…俺のターン!6マナで呪文、《
「なんだあのカード…!?」
墓地から現れるは、邪眼の一族の始まり。
「登場時能力でデッキから2枚目の《
ロマノフが地面に向かい銃を放てば、そこから2体目のロマノフが現れる。さらにロマノフはそれでは終わらず、ジョーのシールドを2枚撃ち抜いた。
「ジョー様!このままでは蘇生と攻撃が連鎖してあっという間に展開されながらシールドをブレイクされますよ!?」
「あわわわ…!シールド・トリガー…!」
ジョー シールド2
シールドチェック! ✕ ✕
「…ない!?」
「ならば2体目のロマノフで攻撃!その時さらに《邪眼教皇ロマノフII世》を蘇生!登場時能力でデッキトップ5枚を墓地に送り、《
「えぇ!?」
「そしてWブレイクだ!」
再び地面を撃ち、今度はロマノフII世が現れる。
ロマノフII世が地面を撃てば、そこから展開された魔法陣から現れた触手が、ジョーカーズ達を破壊していく。
そしてさらにロマノフが、ジョーのシールドを2枚撃ち抜く。
ジョー シールド0
「すげえ…」
「あっという間にクリーチャーが3体並んでジョーのクリーチャーとシールドが0に……不審者なのに強いぞ…!」
「うん不審者って呼ぶのやめてくれるかな?」
「不審者なのに見たことないレアカードをあんなに持ってるプリ…!」
「だから不審者って呼ぶのやめて???」
そして、運命のシールドチェック。ここでトリガーがなければ、ジョーは負けだ。
「お願い…!シールドトリガー…!」
シールドチェック! ✕ ◯
「…!来た!シールドトリガー!《バイナラドア》!効果で《ロマノフII世》を山札の下に!」
『ほなバイナラ』と言いつつ現れたバイナラドアが、ロマノフII世を吸い込んでしまう。その後にはピンポーン、と音だけが残った。
「…ここで引いてくるか、流石だね…!」
「俺のターン…でも、まだジョニーは手札にない…!だったら!」
「逆風も風の内…!」
瞬間、辺りは荒野へと変わる。
ジョーに向かって、逆風が吹いている。戦局的な意味でも、実際の意味でも。
「俺が…!追い風に変える!」
カードで作られた風車が回る。風が強くなり、ジョーは空中へと飛ばされる。
「ドロー!一発!」
風がさらに強くなり、限界まで風車の回転が速くなったその瞬間を狙い、ジョーが指鉄砲で虹色の光を放つ。
「バッキュン!ズッキュン!ドッキュン!ドロー!!」
そうして風車が壊れ、その内の1枚のカードが虹色の光で撃ち抜かれる。カードが1枚、「WANTED DRAW」と描かれた手配書に叩きつけられる。そのカードは…《ゼロの裏技ニヤリー・ゲット》だ。
「来た!呪文、《ゼロの裏技ニヤリー・ゲット》!効果で3枚表向きにして…!全部無色のカード!手札に加える!」
「…ジョニーを引き込んでしまったか……!」
「7マナで《ジョリー・ザ・ジョニー》を!召喚!!」
カタパルトが龍の形に変形し、射出される。そこから現れたのは、赤い服装に身を包んだ機械のガンマン、ジョリー・ザ・ジョニー!
「ジョニーで攻撃!いっけー!マスター・W・ブレイカー!!」
ジョニーの攻撃は、一度にシールドとクリーチャー、両方を破壊する。ジョニーの放った弾丸が、2体のロマノフとシールドを貫通し、さらに青年へ向かって飛んでいく!
「くっ…!」
??? シールド0
シールドチェック! ✕ ✕
「トリガーは…ない!!」
「ジョニーの効果!攻撃の終わりに相手のシールドもクリーチャーもなければ、俺はゲームに勝つ!!」
「うわぁぁぁ!!」
「俺達勝ったぜ!ジョー!」
「デッキー!」
勝利 上出来!
「………うん、見事だ!その調子でこれからもデュエマを楽しむといいよ!」
負けたというのに、ニコニコとした笑顔を崩さず、そのまま立ち去ろうとする青年。そして一方のジョーはと言えば…
「…うん!ありがとー!お兄さん!」
こちらもデュエマを通して彼が不審者ではないと気づき、笑顔で見送るのだった。
「………あの人なんだったプリ?」
「うーん…ただの親切な人?」
「にしては凄い不審者だったけどね………」
「………帰ろっか!」
そうしてシャチョー達とも別れたジョー。そこで、ずっとだんまりを決め込んでいたデッキーに話しかけられる。
「………ジョー様。気づきませんでしたか?」
「え?あのお兄さんのこと?悪い人じゃないと思うけど……」
「………ジョー様。あのカード、ロマノフは………」
「
「………えぇ!?」
「あの方はそのドラゴンを、何枚も使っていました。………あの方は、ただ者ではありません。」
ジョーとデッキーが、青年への疑惑を深めていた頃。当の青年はと言うと………
「………あれ?冷静に考えたらアーテルとロマノフってドラゴンじゃね?…………もしかして、やらかした???」
今頃自分のガバに気づいていた。
副題「あまりにも立ち回りがガバガバすぎるジョー編転生者」
・転生者
ガバカウント
①そもそも不審者
②色付きジョーカーズを示唆(近い未来〜)
③ドラゴンを使用
立ち回りガバガバの全身ガバ人間。
転生特典的なので前世のカード全部持ってる。ロマノフは「この時期ならジョニーだろうし銃対決するか!」で持ってきた。なおドラゴンな模様。これからキラに狙われたり全方位から怪しまれたりする。ちなみに名前はない。
・ジョー
ニヤゲ4枚嬉しいです。
・デッキー
多分デュエマ中気が気じゃなかったと思う。