「ブリタニアの地を絶望の淵に陥れ、王国の守護たる聖騎士たちを敵に回した、荒くれ者共の騎士団。その名は――」
「はい16回目! 読者のみんな、今回はちょっと視点を変えてお届けするぜ!
ほら、アニメだと主人公たちが旅してる裏で、敵のボスが暗い部屋で悪巧みしてるシーンが挟まるじゃん?
あれだよあれ! それじゃあカメラさん、王都へズームイン!」
リオネス王都。 その地下深くに存在する、薄暗く冷たい石造りの部屋。
「……ッ!」
ベッドの上で、聖騎士ギーラが大きく息を吸い込み、跳ね起きるようにして目を開けた。
全身は冷や汗に塗れ、その瞳には『死者の都』で受けた凄まじい衝撃の残滓が焼き付いている。
「……戻ったか、ギーラ」
暗がりから、静かで威厳のある声が響いた。
白い髪と整った顔立ち、しかしその奥に底知れぬ狂気を秘めた男、二大聖騎士長の一人、ヘンドリクセンである。
ギーラはすぐにベッドから降り、片膝をついて深く頭を垂れた。
「ヘンドリクセン様……。申し訳ありません。大罪の三人を追い詰めましたが、仕留め損ないました。私の魔力は、メリオダスの『全反撃』によって……」
「気にするな」
ヘンドリクセンは手元の書類から目を離さず、淡々と答えた。
「相手は伝説の逆賊だ。魔神の血を取り込んだ新世代とはいえ、お前一人で三人を相手にするのは元より酷な話。だが、手応えはあったはずだ」
「はい。……しかし、ヘンドリクセン様。一つ、由々しき事態が起きています」
ギーラの声が、微かに震えていた。 ヘンドリクセンが書類から目を上げ、静かに彼女を見下ろす。
「どうした?」
「……彼らの中に、妙な男がいました。頭の先から足の先まで、赤い奇妙な装束に身を包んだ、正体不明の男です。私の爆炎を至近距離で浴び、粉々に吹き飛んだにもかかわらず……即座に再生していました」
「……不死身か。バンと同じだな」
「それだけではありません」
ギーラは顔を上げ、ヘンドリクセンの目を真っ直ぐに見つめた。
「その男は……私が『魔神の血を飲んで強化されている』ということを、完全に把握していました」
ピシッ。 ヘンドリクセンの手に持っていた羽根ペンが、微かに音を立ててひび割れた。
「……何だと?」
ヘンドリクセンの目が、スッと細められる。
「新世代の秘密……魔神の血の存在は、我々上層部の一部しか知らない最高機密だ。それを、七つの大罪と行動を共にする得体の知れない男が知っていたと言うのか?」
「はい。私の前で、明確に言葉にしていました。……まるで、我々の計画のすべてを外側から眺めているかのように」
部屋の空気が、急激に重く、冷たく沈み込んだ。 ヘンドリクセンは窓際に歩み寄り、王都の街並みを見下ろしながら考え込んだ。
「……赤い装束の、不死身の男。そういえば、奇妙な報告がもう一つ上がっていたな」
ヘンドリクセンが呟く。
「バステ監獄の件だ。あそこはバンが脱獄する際、メリオダスとの力比べで破壊されたとばかり思っていたが……生き残った『不気味な牙(ウィアード・ファング)』の報告によれば、崩壊のきっかけは『外からの未知の爆発魔法』だったらしい」
「未知の、爆発魔法……?」
「ああ。監獄の城壁に、何らかの粘土のようなものを貼り付けた直後、城壁の基礎部分が一瞬にして粉砕されたそうだ。その魔法を使ったのが……『赤い装束の男』だと報告されている」
「っ……!」
ギーラが息を呑む。
死者の都で自分を煽ってきた、あの軽薄な男。あの一見ふざけた道化が、バステ監獄の城壁を吹き飛ばすほどの未知の力を持ち、さらに王国最大の秘密まで握っているというのか。
「……七つの大罪だけでも厄介だが、その赤い男……放置するには危険すぎるイレギュラーだな」 ヘンドリクセンの瞳の奥に、暗い殺意が灯った。
「ギーラ。七つの大罪の追撃はギルサンダーや他の者たちにも命じてある。お前は少し休め。……あの赤い男、いずれ私が直々に解剖してやる必要があるかもしれんな」
「……はっ!」
「ひっくしょぉぉぉぉい!!」
ホークママの上で揺られる豚の帽子亭。 デッドプールはものすごい勢いでクシャミをし、持っていたジョッキの酒を盛大にこぼした。
「うわっ、汚ったねェなトマト野郎! どこに向けてクシャミしてんだ!」
バンが嫌そうに顔をしかめる。
「ご、ごめん! なんか今、背筋がゾクッとしたっていうか、どこかのイケオジに解剖される悪寒がしたっていうか……!絶対アレだ、王都のカメラで俺の噂話されてたんだわ!」
「……お前、またわけのわからんことを」
メリオダスが呆れたようにため息をついた。
「なあ、トマト野郎」
「ん? なんだい、不死身ブラザー」
バンは三節棍を軽くもてあそびながら、鋭い目を向けた。
「……死者の都で、俺のエレインがてめェのことを『この世界の外側から観てる魂』だの何だの言ってたな。バステ監獄じゃ俺たちの情報をベラベラ喋ってたしよ。てめェ、結局何者なんだ?」
その問いに、店内の空気がわずかに変化した。 グラスを磨いていたメリオダスも、手を止めてデッドプールを見つめた。
「俺も知りたいな。お前、未来を見通す魔力とも違う……なんか妙な知識を持ってるよな。不死身の体質も、魔神族や妖精族のそれとは全く別物みたいだし」
メリオダスの緑色の瞳が、真剣な光を帯びていた。
「あー……」
デッドプールはコーラを置き、マスク越しに頭を掻いた。
(ここで「俺はお前らの世界の神(作者)に描かれたコミックのキャラだよ」なんて言ったら、アイデンティティ崩壊でみんな発狂しちゃうか?……いや、まあファンタジー世界の住人だし、案外適当に納得するかもな)
「分かったよ。命の恩人(エレインちゃん)に免じて、俺の秘密をちょっとだけ教えてやる」
デッドプールは椅子の上であぐらをかき、芝居がかった手つきで語り始めた。
「俺は、お前たちのいるこの世界(ブリタニア)とは全く違う別の宇宙……『マーベル・ユニバース』から来た。そこには魔力はない代わりに、科学や突然変異(ミュータント)の力を持った超人たちがウジャウジャいるんだ」
「別の宇宙……」
キングが目を覚まし、興味深そうに呟く。
「で、だ。ここからが重要なんだけど……俺のいた世界では、お前たちのこの世界は『七つの大罪』っていうタイトルの、大人気のアニメーション……まあ、箱の中で動く絵巻物みたいな『作られた物語』だったんだ」
「「「…………は?」」」
バン、キング、ホークが揃って間抜けな声を上げた。 エリザベスも「私たちが、物語……?」と困惑している。
「だから俺は、お前ら大罪メンバーの過去も、聖騎士たちの陰謀も、次に行く場所も全部知ってた。俺にとっては、画面の外からポップコーン食いながら見てた『すでに知ってるシナリオ』だったからな」
「おいおい……」
バンが鼻で笑った。
「俺たちの人生が、てめェの世界じゃ絵巻物の娯楽だったってのか? 随分と舐めた話じゃねェか」
バンの声には微かな怒りが混じっていたが、デッドプールはそれを真っ向から受け止めた。
「舐めてないさ。俺はただの一ファンだぜ。……でもな、問題はそこじゃない」
デッドプールは一本指を立て、今までになく真剣な声を出した。
「俺が知ってるお前らの『未来』は、ある決まった結末……ヘンドリクセンを倒して王国を救うところまでだ。でもな、俺がこの世界に落ちてきて、バステ監獄の壁を爆破したり、ギーラに新世代の秘密をバラしたりしたせいで……物語の『ルート』が狂い始めてるんだよ」
「……ルートが狂う?」
メリオダスが眉をひそめる。
「ああ。本来なら起きないはずの事件が起きたり、敵が早く動いたりする。現に、王都にいるヘンドリクセンのおっさんは、すでに俺という『イレギュラー』の存在に気づいて警戒し始めてるはずだ。俺が原作を壊しちゃったからな」
デッドプールは立ち上がり、両手を広げた。
「つまり! 俺の持ってる『ネタバレ知識』は、これからは役に立たなくなる可能性が高い!これからお前らを待ち受けるのは、俺も知らない、作者も知らない、完全な『未知の未来』ってことだ!!」
静まり返る店内。 『自分たちの未来はすでに決められていたが、それが今、白紙に戻った』。 その奇妙で壮大な告白を前に、大罪メンバーたちは無言で顔を見合わせた。
やがて。 「……ぷっ」 メリオダスが、小さく吹き出した。
「ニシシシ! なーんだ、そういうことか!」
メリオダスはいつもの無邪気な笑顔に戻り、ジョッキにエールを注ぎ始めた。
「お前が神様の予言書みたいなのを持ってるのかと思ってたけど……それが使い物にならなくなったんなら、ちょうどいいや」
「え? 団長、怒らないの? 俺のせいで敵が強くなったり早くなったりするかもしれないんだぜ?」
デッドプールが拍子抜けしたように聞く。
「別にいいさ」
メリオダスはドンッ、とジョッキをカウンターに置いた。
「俺たちの運命が、最初からどこかの誰かに決められてたなんて……そんなつまらねえ話はないからな。白紙に戻ったんなら、これから俺たち自身で、好きなように未来を決めてやればいいだけだ」
「違いねェ」
バンも悪びれたように笑い、ジョッキを手に取った。
「絵巻物だろうが何だろうが関係ねェよ。俺の前に立ち塞がる奴は、魔神だろうが神様だろうが全部ぶっ飛ばすだけだ」
「僕も……団長やバンと同じだよ」
キングもクッションの上で力強く頷いた。
「おおお……!」
デッドプールは感動のあまり、マスクの目尻から涙(のように見える汗)を流した。
「みんな、カッコいい! さすが少年漫画の主人公たち!よし、俺もただの解説役(スポイラー)は卒業だ! これからは俺自身の運命も懸けて、お前らと一緒にガチで戦ってやるぜ!」
「おお! 頼もしいな赤い変態!」
「お前のその不死身の体、存分に弾除けとして使ってやるよォ!」
「だから俺は弾除けじゃねえっての!」
店内に、ようやくいつもの明るい笑い声が戻ってきた。
「とりあえず、ディアンヌの神器『ギデオン』を取り戻すのが先決だな。向かうは商業都市バイゼル。そこで毎年デカい『喧嘩祭り』が開かれてるらしい」
「バイゼルの喧嘩祭り……」
キングが宙に浮きながら呟く。
「よォーし! 出番だぜ! 読者も俺も大好きなトーナメント編の始まりだ!」
デッドプールが両手を挙げて歓声を上げた。
【次回予告】
「いやー、ついに俺の秘密をカミングアウトしちゃったよ! でも団長たちが器デカすぎて助かった!これからは原作の知識に頼らない、俺たちだけのオリジナルストーリーが始まるぜ!(知らんけど)
さてさて、一行が到着した商業都市バイゼル! そこで開催される喧嘩祭りの優勝賞品は、なんとディアンヌちゃんの神器『ギデオン』!
次回、八つの大罪 第19話!
『バイゼル喧嘩祭り開幕! 1UPキノコとトマト野郎の予選突破!』
俺の華麗なマーシャルアーツを見せてやるぜ! 次回も絶対見てくれよな!」
かなり後になりますが、結構物語に関わるオリキャラを出してもいいですか?それとも既存キャラのみで話進めたほうがいいですか?因みに出したいと思ってるオリキャラは最高神や魔神王並みの存在として出すつもりです。
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オリキャラ出してもOK
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既存キャラだけにして