両親に捨てられた少女は、上野駅から北へ向かう列車に乗った。

行き先は、岩手県平泉。
観光客が目指す寺とは反対側、北上川の河川敷に、日本最古の魔法学校は隠されている。

彼女は魔法を学びたいわけではなかった。
魔法なんて欲しくなかった。
ただ、家にいることを許されなかっただけだった。

夜の川辺で、隠してきた力を示した瞬間、何もなかった景色は金色にほどける。

来る者を、両手を上げて歓迎する。
去る者を、涙と拍手で送り出す。

北のまほろばで、少女は少しずつ知っていく。
自分が化物ではなく、誰かと同じ場所にいてもいい存在なのだと。
  北へ()
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