添い寝してもらわないと眠れない女の子in百合猛獣だらけの女子寮 〜案の定美味しく食べられてしまうと思いきや、女たらしの才能に目覚めてしまいます!?〜   作:鐘楼

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壊れちゃえ

 バスローブに身を包んだ由衣ちゃんの真っ赤な顔。それは決してシャワーで上気しただけじゃないということは、すぐに分かった。

 

「来いよ、由衣」

「おいで、由衣ちゃん」

 

 魔法にかかった、女の子の顔。

 

 私と深白さんに誘われた由衣ちゃんは、こくりと静かに首を振って、私と深白さんの間に腰を下ろした。瞬間、私達は手筈通りに由衣ちゃんの肩を押してベッドに寝そべらせた。

 

「……それで、由衣はどっちが好きなんだ?」

「ぇ、そ、それは……」

「あ、意地悪ですよ深白さん。……どっちも好き、でいいんだよ。由衣ちゃん」

「ぁ……ん、どっちも好き……」

 

 深白さんの低い声にびくりとした由衣ちゃんに、すかさず優しい言葉を投げかける。深白さんの問いを切り抜けようと強張った由衣ちゃんの頭の中が、私の言葉で弛緩される。そのタイミングで由衣ちゃんの手を握ると、安心したのかまるで赤ちゃんの手のように握り返してきて、心の奥底で粘度を持った熱が疼いた。

 

 ……かわいいなぁ。

 

 私と深白さんに迫られて、早々にわけもわからなくなっている由衣ちゃんは、見ている私のどこか深い部分を塗り替えてしまうほどにかわいらしい。

 

 ……すごい。深白さんの言うとおりだ。

 

 

 シャワールームでの、深白さんとの作戦会議。そこで、深白さんはこんなことを言い出したのだった。

 

「いいか? 今日は、あたしと希沙音で徹底的に添い寝()()側に回る」

「……添い寝にするとかされるとかあるんですか?」

「ある!」

 

 私が疑問を口にすると、深白さんは力強く頷いた。

 

「思い出せ。いつもあたしと添い寝するとき、大体主導権はあたしにあっただろ。それに比べて、前に由衣と添い寝したときはどうだった?」

「あ、常に私が深白さんの真似を……主導権を握っていた気がします!」

「そうだろうそうだろう。……あいつは筋金入りのドネコだからな」

「猫?」

 

 思えば確かに、深白さんの教えてくれた添い寝には役割があるような気がする。それをするとかされるとかって表現しているということは……今日は、二人で力を合わせて由衣ちゃんに添い寝をする、ってことなのかな。

 

「そういうわけで、ここからが作戦だ」

「作戦……ですか。添い寝の」

「そうだ。……具体的には、二人で由衣を挟んで、飴と鞭の役をやる。あたしはまぁ上手くやるから、希沙音は由衣を甘やかすようなことを言いつつ、あたしに合わせて指を使え。そこまでやれば、由衣は壊せる」

「え!? 由衣ちゃん壊れちゃうんですか!?」

「あぁ言い方が悪かったな。正確には最高に気持ちよくなってあたしらのことがどんどん好きになって、すごくかわいくなる状態のことだ」

「なるほど……それは良いことですね!」

 

 普段からかわいい由衣ちゃんが、さらにかわいくなって、しかも私達をどんどん好きになってくれるだなんて、考えれば考えるほど良いことのように思える。私の中で、深白さんの言う作戦に対するやる気が増していく。

 

「まぁ、あとは臨機応変にアドリブで、って感じだけど、ここで一つ。希沙音にテクニックを教えておく」

「テクニック、ですか……?」

 

 そう言って深白さんが示した技に、私は衝撃を受けるのだった。

 

 

 深白さんの言っていたとおり、由衣ちゃんが私達の手の中でどんどんかわいくなっていく。深白さんが由衣ちゃんの胸の中心を避けるように撫でているのに合わせて、私は手を繋いだままもう片方の手で腰を撫でる。それだけで、由衣ちゃんは面白いように蕩けていった。

 

「……っと、由衣-? あたしを見ろ。……ちょっとの間お別れだ」

「み、みしろしゃ……ふぇ……?」

 

 徐に深白さんが取り出したのは……目隠し。それを混乱する由衣ちゃんに取り付けると、あっという間に由衣ちゃんの視界が奪われる。

 

「く、くらい……」

 

 急にそんなことをされた由衣ちゃんは、目に見えて戸惑い始めてしまった。……はっ、こういう時こそ、私の手番……そうなんですね、深白さん!

 

「……だいじょうぶ。私がここにいるよ、由衣ちゃん。こわくない、こわくない」

 

 暗闇を怖がっているようにも見えた由衣ちゃんを安心させる言葉を囁くと、私は突き動かされるように深白さんに教わったテクニックを実践していた。

 

「……ひゃうっ!?」

 

 それは即ち……耳舐め。初めて聞いたときは耳を舐めるという発想に衝撃を受けたし、その後深白さんに試しにやってもらってさらに衝撃を受けた。その感覚は、くすぐったいというものによく似ていたけれど、ぞわぞわして、肩が甘く震えて、腰が浮くようなあの感覚は、指だけじゃどうしても届かない場所まで到達することができそうで。

 

「待っ、きさね、いま、びんかんで……っ」

「ゆーい。今は希沙音様と深白様、な?」

「は、はい……みしろさま、きさねさま……っ」

 

 甘えるような、捧げるような声色で名前を呼ばれて、私はどうしようもなく嬉しくなってしまった。それが、まるでペットに言い聞かせる飼い主のような深白さんの言葉によって引き出されたものなのだとしても、私の舌で由衣ちゃんが変わってしまったみたいで、とてもぞくぞくしたのだ。

 

「……んっ、由衣ちゃん、どう? 上手くできたかな?」

「見れば分かるだろ。っていうか、由衣はほんと感度良いよな」

「はっ、はーっ、あっ、~~~~っ」

 

 私の技に対する感想なのか、深白さんの意地悪な言葉に対する反応なのか、由衣ちゃんは身を震わせた。深白さんも、言葉の割にはとても愉しそうにしていて、私にもそれが伝わってくる。由衣ちゃんを通して、深白さんとも繋がっているみたいな……そうだ。深白さんが意地悪をした分、私が由衣ちゃんを甘やかしてあげないと。

 

「安心して。あんなこと言ってるけど、深白さんも由衣ちゃんのこと大好きだから。安心して、どんどん恥ずかしいところ見せて、ね? だって、今のそんなところが、とっても──」

「ほんと、昼間にどれだけ喚いていても、夜はこれだもんな。責めてるんじゃないぞ、由衣? あたしが言いたいのは、お前のそういうところが、ほんっと──」 

 

「かわいい()由衣ちゃん(由衣)

「あ、ぁ、あぁ……~~~~っ」

 

 完全に同期した私と深白さんの囁きによって、それだけで、ついに由衣ちゃんは腰を浮かせて痙攣した。知っている……これは、なにより雄弁な由衣ちゃんの歓喜の声だ。

 

 よく頑張ったねと、私がそっと由衣ちゃんの頭を撫でると、由衣ちゃんが息も絶え絶えのまま久々に言葉を紡いだ。

 

「み、みしろしゃま、きさねしゃま……、あ、お、あたま……っ、おかしくなる……っ!」

 

 その言葉に、私と深白さんは一瞬だけ視線を交わらせ、共に獰猛な笑み……そう表現するほかない不思議な表情を浮かべる。

 

「だいじょぶ、だいじょぶ。おかしくなった由衣ちゃんも、きっとかわいいよ」

「ずーっとあたしたちが見ててやるから、安心しておかしくなろうな、ゆーい」

 

 

 これが……三人でする添い寝。私は今、深白さんとも由衣ちゃんとも一つになっている。

 

 私は、心の奥底から迸るような昂りと、お姉ちゃんにプレゼントをもらった時のようなワクワクが絡み合った衝動のまま、革命的な夜を過ごした。

 

 

 

 

 

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