流れ星に願ったら個性豊かな個性が宿った   作:ひまなめこ

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4話ワンフォーオール受け継ぎ/入試までの一年間前編。

「頂きます。」

 

「「「「「頂きます!」」」」」

 

ヘドロヴィラン事件から無事に帰ってきた出久達は家で皆で食卓を囲み、疲弊した体に栄養を送って英気を養う。

 

「どう、爆豪くん。美味しい?」

 

「はい、美味いっす。」

 

午前中に出久と喧嘩した爆豪はヘドロ事件を切っ掛けに仲直りし、今日は新しい緑谷宅で夕食を共にしている。

 

「それより、デク。あの話どうすんだ?」

 

「あの話?」

 

「オールマイトから個性を受け継ぐ話だ。返事をなあなあにして帰ってきただろう。」

 

そう、あの時オールマイトから個性を受け継ぐ話を持ち出された際、出久は即答せずに一度考える時間が欲しいと、その話題を保留にしたのだ。

 

「ちょっと、待って!どう言うこと?オールマイト?個性?」

 

「出久、オールマイトに会ったの?て言うか個性ってなんの事?」

 

「もしかして隠し事?ウチらの中に隠し事するなんて信じられない!」

 

爆豪の言葉に引子、ホタル、なのかが各々反応を示す。

 

「ちょっと!かっちゃん!」

 

「別にバラしても良いだろ。引子さんは親として知る権利がある。他の奴らもお前の個性として、この話を知って一緒に話し合う権利がある。お前は自分の個性に黙って別の個性に浮気する気なんか?」

 

「「「「「「「「浮気!?」」」」」」」」

 

またもや爆豪の衝撃的な一言にその場は唖然とし、特に女性陣はかなり大袈裟に取り乱す。

 

「浮気なんて駄目だよ!ウチらで出久守るからどこの馬の骨とも分からない個性は拾っちゃ駄目!」

 

「アタシも反対かな、出久に何があろうとアタシが焦土作戦実行するから、浮気は止めて!」

 

「浮気、不倫、二股、いつから出久は行けない子になったのかしら?"聞いて"出久、浮気は駄目よ。どんな理由があろうとそれは女の子の信頼を裏切る行為なんだから。」

 

「あまり話は見えてこないけど、私達だけで十分出久を守れるから、個性を受け継ぐ(?)必要はないわ!それよりも信じられるのは己の肉体だけよ。一緒に鍛えましょう!」

 

「私はあまり言葉による説得は得意ではありませんので、どうしても出久さんが浮気したいと言うのであれば…記憶を少し消させていただく必要がありますね。」

 

「「「「「良いぞやったれダリア!!」」」」」

 

なのか、ホタル、カフカ、飛霄、ダリアが口々に出久の浮気を静止し、それに続いて他の女性陣達も言いたい放題言い合う、カオス空間が展開されてしまった。

 

「ちょっと!皆落ち着いて!ちゃんと事情を話すから!」

 

そうして、出久は何とかその場にいる全員を宥めて、先程のオールマイトと個性についての話を詳細に語る。

 

「ーーーーーーと言うわけで、別に浮気では無いんだよ。ただ、自分で言うのも恥ずかしいけど、オールマイトに認めて貰えただけなんだ。」

 

「成る程、イズク様は憧れの人に認めて貰えて、それで個性を受け継ぐ話を持ち出されただけなのですね。」

 

事情を話した事でキャストリスを筆頭に何とか全員に納得して貰うことに成功した。

 

「そう言うことでしたら、(わたくし)は賛成です。イズク様は鍛えておられますが、私達が側にいなければ無個性も同然、然るべき時になれば成るべく共に戦う所存ですが、(わたくし)含め、お仕事で手が離せない方々も多いでしょう。自衛の為に力を付けておくことは悪いことでは無いかと。」

 

「でも、新しい個性のせいで、出久が構ってくれなくなったらアタシ嫌だよ…。ただでさえ今年から受験でしょ?今よりもっと一緒にいる時間が少なくならないか怖いよ。」

 

「それはウチも嫌だな…。」

 

賛成のキャストリスとは対照的にホタルとなのかは未だに反対よりの意見のようだ。

 

「はあ、今さらそんな事でこのクソお人好しのクソ朴念仁のクソデクがてめえらに構わなくなる訳ねえだろが…。こいつはな、てめえらに迷惑掛けないためにヒーローの夢だって諦めようとしてたくらいだぞ。」

 

「「「「「「え?!」」」」」」

 

「ちょっと、かっちゃん!色々暴露し過ぎ!」

 

「うっせえ!てめえは逆に一人で抱え込みすぎなんだよ!クソデク!もっと周り頼れや!クソが!それと、てめえらもだ!デクは絶てえ浮気何かしねえ、てめえらがデク大好きなように、デクもてめえらの事好きなんだよ!分かったか!」

 

事の発端は爆豪が唐突にオールマイトの秘密暴露したり、紛らわしい言い回しで、浮気と口にしたのが原因であるが、何はともあれ、爆豪が好き勝手この場の空気をかき乱してくれたお陰で、何でも抱え込みガチな出久の本心を皆に伝えることができた。

 

「ありがとう、かっちゃん…。」

 

「へっ!全く世話がやけるわ。後、デク。てめえ、俺に遠慮する必要はねえぞ。」

 

「遠慮?」

 

「てめえの事だ。どうせオールマイトから個性受け継ぐことをズルだって思ってんだろ?」

 

「うっ!それは…。」

 

「分かりやすいんだよ、てめえは。良いか?これはズルでも何でもねえ、ただこの10年間お前がネジ曲がらず、真っ直ぐ鍛えて、育って、そしてその努力がNo.1に認められただけだ。お前の努力が勝ち取った力なんだよ。ズルじゃねえ…それはてめえの力だ。だからもっと高く舞い上がれ!高くなったその壁を今度は俺がもっと高いところから見下ろしてやっから!」

 

「うん!ありがとう!」

 

こうして、出久の中でオールマイトから個性を受け継ぐ決意が固まるのだった。

 

「早速、オールマイトに連絡してみるよ。」

 

「おう!そうしろ。」

 

「爆豪君、今日は遅いからウチに止まって行きなさい。光己さんには私から連絡しておくわ。」

 

「アザっす!」

_

__

___

そして、翌日。

 

早朝5:00の海浜公園。 

 

昨日の夕食の席で皆と話し合った末に出久の中で答えが決まった後、早速オールマイトから貰ったメアドに連絡すると、朝5:00にこの海浜公園へ集合と言うメールが来たのだ。

 

 

その為、今現在メール通りに朝5:00に海浜公園に集合している。

…緑谷一家総勢80人以上プラス爆豪が…。

 

「みっ緑谷少年…随分と大所帯だね…。どうしたんだい?」

 

海浜公園で出久を待っていたオールマイトも流石に困惑を隠しきれない。

彼の個性や活動限界の話など、どれもこれも機密情報なのだから、こうも大勢を引き連れられては困る所の話じゃない。

 

普通、密会にオフ会の乗りで大勢で来たら怒髪天を食らってもおかしくない案件である。

 

「ごめんなさい、オールマイト。皆がどうしても着いていくって聞かなくて…。」

 

「それは…まあ、良いんだが…この人達は?」

 

「えっと、まずこちらが僕のお母さんです…。」

 

そう言って出久は引子の方を指さして、オールマイトに自身の母を紹介する

 

「みっ緑谷出久の母の引子です!よっよろしくお願いします!」

 

「あっこれはこれは御丁寧に…。って言うか緑谷少年、お母さんにゲロっちゃったの?」

 

「それは…紆余曲折あって…すみません!」

 

「ああ、良いんだよ別に…家族だと隠し通すのは難しいからね。それで他の人達は?」

 

「ここにいる人達は皆僕の個性です。」

 

「え?」

 

「僕の個性は…なんと言うか…架空の人物を召喚する(?)みたいな能力で、今回のオールマイトの個性を受け継ぐと言う話を真剣に考える際に同じく僕の個性である皆と話し合うべきだと、かっちゃんに言われて…。」

 

「成る程、なら仕方ない。」

 

そう、これは仕方ない事なのである。

秘密が多いオールマイトの前に秘密を世間にバラす勢いで大勢で来たのは流石に非常識であったが、ここにいる人の殆どが出久の個性であり、秘密を共有する権利があるのだ。

 

「しかし、この人達が皆個性か…。信じられないな。中には著名人もチラホラいるじゃないか。」

 

「一応、個性届けを出す時に戸籍も作ったので、皆それぞれの能力に合った分野で働いてるんです。それよりも、オールマイトの個性の事を…。」

 

「ああ、すまないね。驚き過ぎておじさん話が脱線してたよ。それで、緑谷少年。答えは決まったかな?」

 

「はい!色々考えた結果。受け継ぐ事に決めました!これからよろしくお願いします!」

 

出久から出た答えはオールマイトにとってとても快い返事であった。

 

原作通り出久はワンフォーオールを受け継ぐ事に決めたのだ。

今後その選択が出久の人生をどう左右するのか見物である。

 

 

「それじゃあ、早速継承を行おう。君の体はかなり逞しいから、器はもう十分出来ているしね。」

 

「器?」

 

「ああ、ワンフォーオールは言わば何代にも渡って蓄積した力の結晶。生半可な器では四肢がもげ、爆散してしまう!」

 

「「「「「「「「「「「「え?!」」」」」」」」」」」」

 

オールマイトの話を聞いて、その場にいる全員が騒然とする。

 

流石に初耳過ぎる衝撃の事実に全員驚きを隠せない。

当然だろう、下手すれば爆発する劇物を受け継ごうとしているのだから、困惑するなと言う方が無理な話だ。

 

 

「出久が死ぬううううう!」

 

「嫌だよおおおお!死なないで!」

 

「安心しろ出久、お前は俺がなんとしてでも守る。」

 

「ああ、友よ。何故あなたはこうも修羅の道を選ぶのですか!」

 

「体が爆散ね…。そりゃ止めといた方が良いぜ。折角五体満足で全身生身なんだからよ。体傷付けるようなマネはよしな。」

 

「モーディス!君の不死身をどうにか伝染させられないのかい?」

 

「無理だ、HKS。」

 

「刃、あなたの出番よ。豊穣の力を出久に譲渡しなさい。」

 

「そんな便利な物じゃない。」

 

穹、星、丹恒、アルジェンティ、ブートヒル、ファイノン、モーディス、カフカ、刃他にも続々と早朝にも関わらずご近所迷惑も気にせず騒ぎ出す。

 

「Oh shit…。緑谷少年、皆を落ち着かせて!」

 

「皆落ち着いて!僕は死なないから。器はちゃんと出来てるから大丈夫だって!」

 

その言葉で何とか全員が落ち着きを取り戻す。

 

「…やっと落ち着いたね。それでは緑谷少年、改めて継承を…。」

 

「はい!」

 

出久の快い返事を受け取り、オールマイトは突然自分の前髪を一本抜いて出久に渡す。

 

「食え。」

 

「は…え?」

 

「まあ、DNAを取り込めれば何でも良いんだけどね!HAHAHA !」

 

「想像と違う!」

 

こうして、出久は晴れてオールマイトからワンフォーオールを受け継いだのであった。

 

「これで暫く経てば個性が宿る筈だ。」

 

「個性を受け継ぎましたけど、オールマイトは?無個性になるんじゃ…。」

 

「HAHAHA !ノープロブレム!私には残り火があるからね。君が次代の平和の象徴になるまでは、まだまだ現役だよ!」

 

とオールマイトと出久が二人で会話を交わしている所に割り込む影が一つ。

 

「オールマイト。」

 

「ん?君は…爆豪少年だったね。どうしたんだい?」

 

「俺を弟子にしてくれないか?」

 

「え?」

 

「デクはあんたの個性受け継いで強くなった。だがな、俺はいつまでも置いてかれるのはごめんだ。頼む!俺を弟子にしてくれ!」

 

そう言って爆豪はオールマイトに頭を下げる。

あのプライドが高い爆豪が親友である出久と高め合うと言う約束の為にここまでするのだ。

原作では信じられない光景であろう。

 

「…熱いぜ!爆豪少年!分かった!緑谷少年と一緒に爆豪少年もバシバシしごいて上げよう。」

 

「ああ!頼むわ!」

 

こうして、出久と爆豪の修行の日々が始まった。

 

_

__

___

「急げ!10カ月なんて直ぐだぞ!この海浜公園のゴミを全て向こうのゴミ収集場まで運ぶんだ!」

 

「かっちゃん、どっちが多くゴミを掃除出来るか競争だよ!」

 

「へっ!望むところだ!」

 

出久がワンフォーオールを受け継いだ翌日。

早速、出久と爆豪の修行が始まった。

修行の内容はこの海浜公園に不法投棄されている大小様々なゴミを片付けて綺麗な海を蘇らせること。

 

冷蔵庫やら、ダンベルやらが多く落ちているため筋トレにもなるし、ヒーローへの第一歩としての奉仕活動にもなる。

 

「今日は個性を使わずに素の力だけでゴミを運ぶんだ!」

 

「このくらい…何時もの稽古と比べたら全然…。」

 

「余裕だな!ウォーミングアップにもならねえ!」

 

片や惑星破壊規模の戦闘力を誇る猛者達と10年間鍛練した猛者、片やその猛者と切磋琢磨してきたライバル。

 

彼らの肉体は既にこの星の人間の常識では推し量れない程に仕上がっていた。

 

故に…海浜公園を埋め尽くす程の大量のゴミを二人で全て掃除するのに10カ月どころか半日も掛からなかった。

 

「Oh my God…。特訓の内容がかなり前倒しになってしまったね。」

 

「うーん、ウォーミングアップにはまだ体は温まり切ってないかな…。」

 

「まあ、あのお遊びじゃ、こんなもんだろ。」

 

「君たち…いつもどんな鍛練を積んでいるんだい?」

 

流石のNo.1もこの反応である。

しかし、そこは腐っても平和の象徴。

もしもの為に新たなプランを用意していたのだ。

 

「本来なら、半年以上はこのゴミ掃除に掛ける予定だったけど、たったの半日で終わってしまったからね。仕方ない、予定を前倒してにして、次のステップに行こう!」

 

「「次のステップ?」」

 

頭上に疑問符を浮かべる二人の前に、オールマイトは一度マッスルフォームになって、とある物を重たそうにして運んでくる。

 

「ふぅ~重て~。緑谷少年、爆豪少年。君たちが色々規格外なのは分かった。なので、今から私が君達に課す特訓…この重りを全身に付けて生活して貰う。」

 

そう言って、オールマイトが二人に渡したのは足、腕、胸、首、腰に付けるウエイトトレーニング用の重りだった。

 

「これを毎日ですか?」

 

「Yes!お風呂の時以外は常にこれを付けて生活してね!今の重りに慣れてきたらまた更に重い重りを付けて貰うよ!」

 

「へっ!上等だぜ!10カ月で1トン行ってやるよ!」

 

そんなこんなで出久達の修行兼受験生活は10カ月続く。

ここからは4月から1月までをダイジェストでお送りしよう。

 

ーーー4月。

 

「それでは僕は行ってくるぞ。暫く家を空けるが、僕の事を忘れるんじゃ無いぞ分析卿。」

 

「うん、ケリュドラさんも頑張ってね!」

 

4月下旬、今現在出久と他のスタレキャラ達は総出でケリュドラを見送っている。

何故このような事をしているのかと言うと、これからケリュドラは仕事の都合で暫く家に帰ってこれないからだ。

 

そのケリュドラの仕事とは即ち、宇宙飛行士。

 

「ケリュドラ!余裕があったら星穹列車探してくれ!」

 

「もう、あんたは相変わらずだね。こんな時にも冗談言うなんて。もう少し空気読んでよ。」

 

相変わらずの穹とそれにツッコミを入れるなのか、いつも通りの日常。

しかし、その日常からいつも一緒にいた一人がいなくなってしまう。

その事実に出久は少し寂しくなってしまう。

 

「そんなに寂しがるな、分析卿。直ぐにまた会える。寂しくなったら通話をすれば良い。そうすれば、どんなに離れていても常に一緒だ。」

 

「緑のライムラス、カイザーの言う通りだ。また直ぐに会える。もしそれでもどうしても寂しくどうしようもないと言うのなら、私が膝枕をして子守り唄を歌って一緒に寝てあげよう。」

 

「はっハレンチ!まだ出久にはそう言うのは早いと思うの!」

 

セイレンスの言葉に顔を真っ赤にしたホタルが大袈裟なリアクションを取る。

 

「そうかしら?とってもロマンチックじゃない!出久、私ともに一緒に寝ましょう♡」

 

(わたくし)も一緒に寝るのは恥ずかしいですが、せめて寝る前の包容を…。」

 

「デクたんとお昼寝するのも良いですが、夜の方も悪くないですね!」

 

「グリンっちはアタシのだよ!アタシが一緒に寝るの!」

 

「セファリア一人占めは良くありませんよ。」

 

先程まで、ケリュドラのお見送りの為、少し悲しげなムードであったのに、黄金裔女子を筆頭に皆で出久を取り合う争いが発生してしまった。

 

もう、既に勘の良い方はお気付きかと思うが…つまりそう言う事である。

 

この10年間でスタレキャラ達の出久に対する好感度はMAX…いや、既に天元突破しており、特に女子達は出久を恋愛対象として、それはもう、いやらしい目で見ているのである。

 

「お前達は相変わらずだな…。逆に少し安心した。それでは、僕はもう、行く。達者でな!」

 

そう言ってケリュドラは宇宙へと旅立つのだった。

 

ーーー5月。

ある日の正午、緑谷邸のリビングに比較的身長が高く、比較的胸が大きく、そして妖艶な雰囲気を持つ美女達…所謂ママキャラ達が集結し、重苦しい雰囲気を醸し出していた。

 

「あんた達に集まって貰ったのは他でも無いわ。この中で一体誰が出久のママに一番相応しいかを白黒はっきり着けるためよ。」

 

そう話を切り出したのは列車組のママ姫子である。

 

「白黒着ける必要あるかしら?出久のママは私で決まりじゃない。」

 

姫子の言葉を否定し、自分こそが出久のママだと主張するこの女性は星核ハンターのママ カフカである。

 

「不毛なやり取りね。もう少し考えて物をいったらどうかしら?出久には今父親がいない。そして私にも父親がいない。同じ痛みを分かち合える。そして私は昔孤児院を経営していて、子供のお世話はお手の物。出久のママは私しかいないわ!」

 

そう言う彼女はヤリーロⅥのママ ナターシャ。

彼女はこの世界でも孤児院での経験を活かして保育園の先生をしており、本当に子供のお世話はお手の物なのだ。

 

「子育てのキャリアの有無で勝敗が決まるなら、私も結構有利よね?」

 

お次の登場選手は仙舟のママ 御空。

彼女は義理の娘がおり、子育ての経験はしっかりある本物のママなのだ。

 

「皆さん実際に生命をご自身で御作りになられてから物を言ってください。その点私は既に多くの生物を生み出しましたので、ママとしての格はあなた達とは比べるべくもありませんね。」

 

続いては倫理観以外は完璧な宇宙ステーションのママ ルアン・メエイ。

彼女は生物学のエキスパートであり、その知識を使って沢山の生物を生み出したが…子育ては星と穹に丸投げしていたので、あまり良いママとは言えない。

 

「私の記憶が正しければ、あなた、自分で生み出した生物のお世話をろくにしてなかったじゃない。育児放棄するような女にママを名乗る資格は無いわ。」

 

スタレファンの誰もがルアンに言ってやりたい事を代弁してくれたこのママはガーデン・オブ・リコレクションのママ ブラック・スワン。

彼女は…まあ、可もなく不可もなく…。

 

「皆さん、醜い争いは程々に。出久のママを騙る前にもう一度深く考えてみてください。誰が今まで出久の衣服を仕立てていたか…。そう!私です。出久が小さい時からあの子の下着も寝間着も全て私が作り、あの子のファッションセンスを磨きあげたのはこの私なのです。」

 

そんな彼女はオンパロスのオクヘイマを統治するママ アグライアである。

 

因みに彼女の言ってる事の1割は嘘である。

どの部分が嘘かと言うと…ファッションセンスを磨きあげた…と言う所である。

 

この世界の出久も原作通り壊滅的なファッションセンスをしている。

その上、同じく壊滅的なファッションセンスをしている事でお馴染み某黎明の救世主のせいで更に酷いことになっている。

 

「皆さん何をそんなに言い争っているのですか?出久の記憶を改竄して本当のママになれば良いじゃありませんか!」

 

彼女はダリア、存在しない記憶を植え付けて本当のママになろうとするヤバい奴である。

 

「えっと、本当のお母さんは私なんですけど…。」

 

最後に現れたのは引子。

出久の本当のお母さんである。

 

「引子には悪いけれど、これは誰が一番ママに相応しいかを競う戦いであって、お母さんは対象外よ。」

 

「引子には申し訳無いけれど、お母さんと言う立場から私達をジャッジして欲しいの。」

 

「ジャッジ?何をジャッジするんですか?」

 

姫子とカフカに対し、引子は当然の疑問を抱く。

 

「当然、私達の内誰が一番出久のママに相応しいかよ。」

 

「これから私達が戦い合うから、引子には審判をしてほしいの。」

 

「戦い合うって、駄目ですよ!皆さんが戦ったら家が壊れます。」

 

「ふふっ!少し語弊があったわね。戦い合うと言っても本当に戦う訳では無いわ。私達はこれから誰が一番ママに相応しいかを決める戦い…ママ対決を行うわ!そしてその対決の内容は…ママなら出来て当たり前の料理よ!これから私達が各々作った料理を出すから引子には実際に食べて審査して欲しいの。」

 

「まあ、それくらいなら…別に構わないですけど…。」

 

「ふふっ決まりね。それじゃあ早速ママ対決開始よ!」

 

…となる筈だったのだが…。

 

「…ぐふっ!…これが開拓の…味…。」

 

ママ対決が開始され、各々が自分が得意とする料理を作り、引子に振る舞うまでは順調に事が進んでいたのだが、エントリーNo.1の姫子の料理を引子が食べた瞬間、雲行きが怪しくなった…と言うかママ対決が強制終了してしまった。

食道を抉るような不快感と激痛が引子を襲い、御覧の通り失神してしまったのだ。

 

「どうするの?姫子。引子…動かなくなったじゃない。」

 

「おかしいわね…自信作だったのだけれど…。」

 

そんなこんなで、ママ対決の勝敗は一旦お預けに終わった。

 

また、いつの日か引子が復活したら再び始まるのかもしれない。

ーーー6月

 

「出久、そろそろ衣替えの時期だろう?一緒に夏服を買いに行かないかい?」

 

6月下旬、梅雨が開けて、後は7月と夏の訪れを待つのみとなった季節にファノンが出久を買い物に誘う。

 

「良いね!最近筋肉が付いたから去年のがきつくなってきたんだよね。ちょうど良かったよ。」

 

「なら、早速…「待ちなさい。」

 

早速出久とファイノンが服を買いに出かけようとした直後、一つの影がその行く手を阻んだ。

 

「アグライア、なんで僕達を止めるんだい?」

 

「服を買いに行く必要が無いからです。夏服でしたら私が仕立てます。そうすれば余計なお金も掛からずに済みます。」

 

「分かってないね、アグライアは。服を買うのに意味があるんじゃない。買い物に出掛ける事に意味があるんだ。それに、いつもアグライアが用意してくれる服ばかりでは、ファッションセンスが偏ってしまうだろ?やっぱり知見を深めるためには色んなブランドの服を見てみる必要があると思うんだ!」

 

「…一理ありますね。でしたら私も同行します。あなた達だけでは服のラインナップが壊滅的になりかねませんので。」

 

そうして、ファイノン、出久、アグライアの三人でショッピングに出掛ける事になった…のだが…。

 

「出久、見てくれ!このTシャツ。真ん中にTシャツって書いてある。面白い服だね!」

 

「ファイノンさん、見て!この服!オレンジと緑の横シマシマ模様。凄くお洒落だと思わない?」

 

「…はあ、やはりこうなりましたか…。」

 

案の定壊滅的なセンスの二人による壊滅的なファッション祭りが開催されてしまった。

 

「あっ!見てくれ!この寝間着、アナイクス先生が好きそうじゃないかい?ゴジラのパジャマ!」

 

「この鎧!ホタルさんのサムみたいだ…。凄いよ!中に冷却装置があって、真夏の夜でも快眠出来るんだって!」

 

「はあ…お二人とももう少し落ち着いてください…。」

 

「ファイノンさん、見てみて!」

 

「ん?」

 

「ゴミキングの着ぐるみ!」

 

「ハハハ!相棒達が喜びそうだね!よし、買おう!」

 

「買わないで下さい!お金の無駄です!」

 

二人の暴走を止めるために来たは良いものの結局食い止めきれず、アグライアはファイノンと出久がクソダサTシャツを買うことを阻止することが出来なかったのであった。

 

「沢山買えたね!」

 

「うん!大漁だよ!」

 

「あなた達暫く外出禁止です。」

 

「「え?」」

 

ーーー7月

 

「出久!誕生日…」

 

「「「「「「「「「おめでとう!!」」」」」」」」」

 

「ありがとう!皆!」

 

今日は7月15日。

出久の15歳の誕生日である。

 

「はい、出久!俺と星から綺麗なゴミをあげる!」

 

そう言って穹は比較的綺麗でピカピカなステンレス制のゴミを出久に手渡した。

 

「え?」

(ゴミ?誕生日プレゼントでゴミ渡す人とかいるの?…いたわ目の前に二人も。まっまあ、プレゼントは物の良し悪しじゃなくて気持ちだから…。)

 

「冗談だよ。本当はこっち。」

 

 

そう言って星と穹が出久に渡したのは大きくて豪華な装飾が施された箱であった。

 

「…開けてもいい?」

 

「ああ!」

 

「勿論!」

 

二人の了承を得て出久は箱を開ける。

すると中に入っていたのは…。

 

「…バット?」

 

「ただのバットじゃないぞ!色々ダイヤルとかボタンとか弄れる所があるだろ。それを操作して電撃を発したり、火を出したり、ワイヤーを出してたりして、色んな状況に対応出来る万能サポートアイテムだ!」

 

「凄い!ありがとう!穹さん!星さん!」

 

星穹からのプレゼントはバット型のサポートアイテム。

ヒーローを目指す出久にとってはこの上なく嬉しい物だろう。

 

「次は私かな。ほい、プレゼント。」

 

そう言ってプレゼントを渡してきたのは銀河一のハッカーにしてゲーマーの銀狼。

 

「空けてみて。」

 

「うん…。これって…!」

 

中身はなんと、出久がずっと欲しがっていた携帯ゲーム機ス●ッチ2であった。

 

「凄い!これ今中々入荷しなくて何処のお店でも販売停止なのに、良く買えたね!」

 

「べっ別に偶々ヨ●バシカメラ行ったらまだ在庫があったから見つけたついでに買っただけだし…。」

 

嘘である。

実は銀狼も例に漏れず出久に想いを寄せている。

その為、今出久が最も欲しい物を全力でリサーチして、そして日本中の家電量販店の情報を集めて、ス●ッチ2が販売している店舗を割出し、やっとの思いで手に入れたのだ。

 

「受験が終わったら…また一緒にゲームやろ…。」

 

「うん!」

 

銀狼は顔を真っ赤にしながら俯いてフェードアウトしていった。

 

「次は私ですね。私からはこちらを…。」

 

そう言って次にプレゼントを渡してきたのは緑谷邸の被服担当アグライア。

 

「私からは少し早いですが、出久のコスチュームを送らせて頂きます。」

 

アグライアから送られてきたプレゼントはなんと、出久が雄英で着ることになるヒーローコスチュームであった。

 

「先程私からと言いましたが、訂正します厳密には私と引子からのプレゼントです。引子が出久の部屋を掃除している最中に見付けた出久が描いたコスチュームのデザインノートを少し拝借して、それを元に私なりにアレンジを加えて作りました。」

 

「ありがとう!凄く嬉しいよ!」

 

「いえ、喜んでくれたようで何より。それよりも実は引子はあなたの部屋を掃除する際にベッドの下からこの様な物まで見付けたそうです。」

 

そう言ってアグライアが懐から取り出したのはオールマイトのグラビア雑誌と金髪年上ムキムキ美女の写真が写っているエロ本。

 

「オールマイトは良いとして、こちらの本については後で話があります。」

 

「うっ…はい…。」

 

「…たっただ、金髪年上と言うチョイスは悪くないので、説教は程々にしてあげます。」

 

この女…実は出久のエロ本のジャンルが自分に近いことに対して少し…いや、かなり優越感に浸っている。

 

「次は僕だね。僕からはこのネックレスをあげよう。彼女が出来たら、デートの時に着けて行くと良い。きっとそれだけで彼女は君にメロメロさ。」

 

次は我らが豪運ギャンブラー アベンチュリンによるプレゼントで、中身は大層高級そうなネックレスだ。

 

「…凄く…高そうだね。いくらしたの?」

 

「何、ほんの5億ぽっちの安物さ。」

 

「5…億…。」

 

プレゼントである以上ありがたく受け取っておくが、小市民の出久にこれを普段から着ける勇気は無いので、永久的に封印である。

 

「次は私ね!私からはとってもロマンチックな贈り物をプレゼントするわ♡」

 

お次は緑谷邸一のロマンチスト キュレネからのプレゼント。

 

「これは…何?」

 

キュレネから渡されたのは小さな高級感溢れるジュエリーボックス。

 

「空けてみて。」

 

「うん。」

 

言われた通りに開けて見るとそこにはキラキラと輝くダイヤモンドが嵌められた指輪が入っていた。

 

「指輪!?」

 

「ふふっそうよ。凄くロマンチックでしょ?特別に私がその指に嵌めてあげるわ。」

 

そう言ってキュレネは出久の指にプレゼントの指輪を嵌める。

但し、薬指に…。

 

「本当のプレゼントは…あ・た・し♡」

 

「え?」

 

「「「「「「「「はあ!?」」」」」」」」

 

「何それアタシ認めない!」

 

「ウチだって!それがまかり通るならウチをプレゼントするよ!」

 

「お子ちゃま、駄目だよそんな節操無しを嫁に貰っちゃ。貰うなら、気品溢れる知的な女性にしなよ。私とか。」

 

「勝手に自分を売り込まないでくれるかな?泥棒猫達!グリンっちを奪うのはあたしだよ。」

 

こうして、年に一度の出久の誕生日は騒然とした終幕を迎えるのだった。

 

 

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