エロステータスが見えるヒロイン   作:SoftMcherry

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えっちな意図はありません。


第13話「ヒナモちゃんとの楽しい日常」

11月に入り外気からはっきりと寒い寒さが感じられる、そんなある日の授業のことだった。

 

授業は、イナリちゃん、ヒナモちゃんそしてワタシの三人に増え、少しだけにぎやかになった

 

「そろそろ最初のお披露目会に向けた準備を始めましょうか」

 

(でた、お披露目会)

 

(結局何かわかってないんだよね)

 

「なあ、お披露目会ってのはなんだ?」

 

(ナイスヒナモちゃん!)

 

前の絶対性物質の授業の際にも話題には出たが、貴族なら知っていて当然という感じだったため、なんとなく聞けず仕舞いだった。

 

「貴族は正式に貴族と認められるまでに、3回のお披露目会があります。ちゃんとした貴族になりたいなら、必ず出席し課題をこなさなければなりません」 

 

「ふーん」

 

ヒナモちゃんが興味なさげな声を上げた。

 

「皆様は来年の4月の最初の土曜日が、最初のお披露目の場で桜花会と呼ばれています」

 

「そのおうかかい?の課題ってなんですか?出来なかったらどうなりますか?」

 

自慢じゃないけど、能力の高い人間ではない。

 

だから難しい課題なら、こなせないかもしれない。

 

「正式には課題というわけではないんです」

 

そのまま、先生は黒板に向かう。

 

「しかし明らかに出来ていない場合には、貴族の子として十分に教育を受けさせてもたっていない。つまり、正式な子供と認められていないと判断されるのです」

 

「どういうことだ?貴族なのに貴族じゃねぇの?」

 

「そうですね、お披露目会の意味から説明しますか」

 

そう言って黒板におうかかい、あおばのぎ、きっかえんと3つの名前が書かれた。

 

「1度目が桜花会、次が青葉の儀、そして最後が菊花宴です。それぞれ、7歳の春、15から16歳の冬、そして20歳の春に行われます」

 

「3回もあるのかよ〜」

 

(同感、1回でもミスったらダメとかあり得そうで怖い!)

 

「1度目の桜花会では貴族の子として正式に認められる。そして2度目青葉の儀で爵位の継承権があると認められ、3度目の菊花宴で子供の頃から与えられてきた義務果たすことで正式に貴族として認められます」

 

「全部でなくてはならないのですか?」

 

「2回目を出ないというのはあり得ますね。その場合は完全に当主になる権利がなくなりますから、お家騒動を避けるために意図的にでないこともあります」

 

「それで、おうかかいって何するんだ?」

 

「課題としては絶対性物質の創造、ダンスそして社交になります」

 

「絶対性物質が作れねえってことはほぼないだろ?」

 

「ええ、基本的にはありません。しかし0ではないので、極稀にそういうことがありえます」

 

「へ~」

 

ヒナモちゃんが興味なさそうな声を上げるが、ワタシは内心それどころでは無かった。

 

(絶対性物質は作れるけど、ダンスも社交も記憶にないわ!)

 

「リィネは10歳まで絶対性物質作れなかったって言ってたわよ」

 

「このお披露目で絶対性物質の性質と人の顔を結びつけ、今後絶対性物質を使用した悪事が行えなくします」

 

「そ、そういうこともあるんですね…」

 

(あっぶね~!)

 

(公衆の面前で覗きを企んでた!絶対性物質を使用した犯罪は重くなるんだよね!?)

 

(胸のほくろとか言い当てたら死刑とか!?ありえた〜!)

 

「次にダンスですが、これも基本的には心配ありません。基本的なステップが踏めていれば大丈夫ですし、ちょっとの失敗したらなんてこともありません」

 

「でもオレ、ダンスなんてやったことねえよ?」

 

「ボクもありません」

 

「っ!あ、あたしはやったことあるわ!兄さん教えてあげるわ!」

 

「ほんとに?ありがとうイナリちゃん」

 

「い、義妹として、と、当然なんだから!義妹として!」

 

「嬉しいよイナリちゃん」

 

「オレも…にぃにぃとダンスしてえ!」

 

「もっちろ~ん!たくさん練習しようねぇ♡」

 

(デュフフフ)

 

(ロリっ子エンジェルがヤバイ…理性が吹き飛ぶ可愛さね)

 

「ぐ、ぬぬぬぬ…兄さん……」

 

「さて、最後の社交ですが…イナリ様とトドロキ様には問題ありません」

 

「ボクそんなに酷いですか!?」

 

「いえいえ、そうではありません。女は基本的に敬語と基本的な所作が出来ていれば問題ありませんし、多少は……いえ、相当適当でも見逃されます。ただし、男性はそうではありません」

 

「…というと?」

 

「笑顔を絶やしてはいけないのです。とにかく、基本は笑顔を絶やさないことです」

 

先生の表情はまっすぐに、ワタシの顔を見ている。

 

それは男と女が、この世界で決定的に違うことを伝えているような気がした。

 

「多少は見逃されます、ですが女性に対して否定的な態度を取り続けたり、貴族としてふさわしくない言動が目に余ると…貴族ではなく、縁組のための子息であることを公表することになります」

 

「……」

 

(縁組ってことは、血縁を作るためだけの貴族?男が?)

 

(女性にさ否定的な態度……?)

 

「男にとって、この評価は……生涯ついてまわります」

 

「ま、兄さんなら大丈夫よ。これから5か月あるんだもの余裕でしょ」

 

「オレが守るぜ!」

 

「あ、あはは…」

 

(まも…る……?なにからだろ?)

 

(皆が見てるお披露目会で女の子に否定的な態度…確かに人間としてふさわしくない態度だけども…想像できないわ)

 

その後ダンスの授業をし、とりあえず時間は過ぎていった。

 

しかしーーー。

 

その惨憺たる授業の結果に、一つのありうる未来の予想がたった。

 

おそらく、これがマドイが高校に通うことになった理由だ。

 

(きっと……)

 

マドイはお披露目式で失敗し、貴族として扱われなくなり、だから作中でも貴族と名乗れなかったのだろう。

 

貴族になるための教育を受けてないから、原作でも貴族を名乗れないのだ。

 

(…ここが踏ん張りどころよ!)

 

……

 

しかし、授業では全くついていけている気がしなかった。

 

思った通り、前世でもダンスはおろか音楽関連の経験がないので、まずはリズム感が全くない。

 

曲に合わせて手を叩くことも出来なかった。

 

そこでいつもなら遊んでいる授業終わりに、ダンスの自主練習を行うことにした。

 

イナリちゃんもヒナモちゃんも付き合ってくれたが、自分のリズム感には進展がない。

 

先生が置いていった古いDVDプレイヤーから緩やかな音楽がながれ、イナリちゃんがそれに合わせてゆっくりと手拍子をする。

 

それに合わせて自分も手を叩くが、ところどころズレてしまう。

 

「兄さん焦らないで、手を叩くことが重要じゃないわ。この曲のリズムはゆっくりだから、自然と合うような一定のリズムを探して」

 

「こんな感じか~?」

隣で手を叩くヒナモちゃんの手は自然とリズムに乗るようで、動きがとても軽い。

 

「ヒナモは合ってるわ」

 

「もっと身体動かすのはどうだ?ほら、手ぇだせよ」

 

そういってボクの両手を握ると、ヒナモちゃんが左右にステップを踏み始めた。

 

「1,2、3、1、2,3…」

 

「オレと息を合わせればいいんだよ」

 

「1,2、3、1、2,3…」

 

「間違えたって誰も怒んねぇんだし、楽しくやろうぜ」

 

ニッコリと笑うヒナモちゃんに誘われるように、ワタシも左右にステップを踏んでいく。

 

すると段々、段々と、自然と呼吸というか左右に揺れる動きがあっていく。

 

「にぃにぃ、たのしいか?」

 

「うん!」

 

手を繋ぐヒナモちゃんに、こちらから告白してしまいそうになる。

 

(ヒナモちゃんから告白じゃないと!)

 

「あ、あたしも混ぜなさいよ!」

 

三人で輪になって、時に腕を振り、時に顔を傾けあったり、ゆったりとその場で回ったりしながら、かろうじてワタシはリズムをつかんだのだった。

 

ワタシとしたことが、女の子と楽しむということを忘れてしまっていたようね。

 

前世でやったことがないからって、妹たちを困らせてはいけないわ。

 

(5か月もあれば、きっと大丈夫)

 

……

…………

 

その後きりのいいところで引き上げて、ノルミエ族の皆と一緒に遊ぶことになった。

 

毎日色んな遊びをしていたので、そろそろネタ切れになってきている。

 

そこで力に拠らない、そして技術というか駆け引きがある何度もできるタイプの遊びで、さらにはちょっとHなハプニングも誘発できる遊びを提案した。

 

そう、手押し相撲である。

 

「今日は手押し相撲をしようかな」

 

「相撲ですか?南極調査の方々が言うには、身体をぶつけ合って円から押し出す競技でしたか?男性がしても大丈夫なのですか?」

 

「う、うん?大丈夫だよ?今回は立ったまま、一歩も動いちゃダメなんだよ。このくらいの距離で向かい合って、手で押して相手の体勢を崩した方の勝ちって感じかな」

 

そう言って、イナリちゃんの前まで移動する。

 

「力が強い女が有利じゃないかしら?」

 

イナリちゃんが怪訝そうな声を上げた。

 

「ふふふ、そうでもないんだなぁ。イナリちゃん、みんなのお手本の相手になってもらってもいい?」

 

「ええ」

 

そう言って両手を構えると、イナリちゃんもそれに習って構えた。

遊び方のレクチャーを兼ねて、前にシュッと軽く両手で押し出す。

 

もちろんイナリちゃんは前に手を出していないので当然空振った。

何度も両手を出すが、イナリちゃんは特に手を出す事もなく、ジッとしている。

 

「あれぇ?イナリちゃんはもしかして勝ち方がわからない?」

 

「ふん、分かってるわよ」

 

「じゃあ、これは?」

 

挑発的に両手を前に出したままにしてみる。

 

この状況ならイナリちゃんが押せば、ワタシが確実に負ける。

 

しばしの沈黙のあと、イナリちゃんが動いた。

 

「そこ!」

 

しかしそこは年の功、イナリちゃんの表情を見ていれば手を出すタイミングは分からなくはない。

 

(分かりやすいイナリちゃんも可愛いね)

 

ワタシが手を引いたことで、空振ったイナリちゃんがこちらに倒れ込んでくる。

 

「っ!」

 

一歩踏み出してしまったイナリちゃんが、そのまま倒れてしまわないように胸に抱きしめた。

 

腕の中のイナリちゃんは負けたのがくやしいのか、少し息を荒げている。

 

「ほらね、意外とパワーだけの勝利じゃないんだよ?」

 

「フーッ♡フーッ♡うん…!」

 

「じゃあ、みんなもやってみよっか」

 

イナリちゃんをヨシヨシしながら提案すると、それぞれペアを作って遊び始めた。

 

ルールは単純なので、すぐに理解できるだろう。

 

「にぃにぃ、オレとしようぜ」

 

「うん♡」

 

(はあ…ほんと妹は何人いてもいいものね)

 

空振ったヒナモちゃんがジャンプで胸に飛び込んできたり、ふっつうにヒナモちゃんに押し負けたり、色々あったが時は静かに……進まなかった。

 

バチンっ!ガンっ!バキィっ!

 

ノルミエ族の手押し相撲はとてもバイオレンスだった。

 

たしかにやっていること自体は教えたことの範疇なのだが、手がぶつかる度に金属や竹刀で打ちあっているのかと思うほどの音が響き、押された娘が体勢を崩す訳ではなく後ろにある庭の木まで吹っ飛ばされるのだ。

 

わかっているが、心配になる光景である。

 

そのうち、誰が最強かを決める流れとなり、優勝者がボクと戦うことになった。

 

死の未来が思ったより早く、駆け足で寄ってきたらしい。

 

ラッキースケベを狙うどころではない。

 

空振ってワタシの胸に飛んできたら本能で抱きしめてしまうけど、受け止めたら骨どころか内臓とか普通に逝きそう。

 

結局、おかっぱ頭に泥がついた状態のナァナちゃんが優勝した。

 

まったく手を出さず棒立ちしていたラァレが吹っ飛んだのを見て、ノルミエ族が普通に絶対性物質を使っていたことを確信した。

 

確かに言ってはいなかったけど!ラァレが口から血を出して横たわっていた。

 

(あわわわわ…)

 

ラァレの絶対性物質は[不可知(アンノウンアブル)]らしい。

 

纏った物体が起こすあらゆる変化が、他者からは観測不可能になるらしい。

 

それを使って手押し相撲の駆け引きを一切させず、なんだったら歩いてたらしいし、お腹もパンチしてたみたい。

 

前世もそうだったけど、女の子は女の子に容赦ないよね。

 

手押し相撲においてラァレの絶対性物質は完全にチートなのに、それをねじ伏せるナァナちゃんの凄さは計り知れない。というか既に手押し相撲じゃない。

 

ナァナちゃんと向かい合う。審判のイナリちゃんがその間に立った。

 

イナリちゃんのスタートの合図までに何とかしなければ…。

 

(なんか策はないのかしら!?)

 

やったことはないけど、こう……奇をてらわないと勝てないのは確実だ。

 

アッパーみたいに、下からの攻撃ってどうだろうか。

 

ブンブンとしたから上に手を振ってみる。

 

(スナップを利かせたら……使えないよね?)

 

(だって相手の手を押すことが前提の競技だもん)

 

(サイドはどうかな?……無理か)

 

「ま、マドイ様…それは何?」

 

ナァナちゃんが、緊張した様子で話しかけてきた。

 

その表情はなにやら上気していて、鼻息が荒い。

 

「ん?あたらしい方法を探しててね?」

 

「それを……私に?」

 

「ん?まあボクが勝てたらね?」

 

ヒナモちゃんやイナリちゃんの好感度が上がるかもしれない。

 

(やっぱり頼れるお兄ちゃんって所見せたいじゃん?)

 

最悪ナァナちゃんの胸元に飛び込めば、どう転んでもワタシにとってWinしか残らない

 

スッとナァナちゃんが手を挙げた。

 

その様子をイナリちゃんが不思議そうに見ている。

 

「私の負け」

 

「え?」

 

「はぁ!?兄さんなにしたの!?」

 

「にぃにぃすげー!」

 

ナァナちゃんが歩いてきて、スッと後ろを向いた。

 

何が始まるのかと身構えると、お尻を突き出した。

 

「ナァナちゃん?」

 

「約束、マドイ様に勝利を譲ったらペンペンしてくれるはず」

 

「に、兄さん?」

 

怪訝そうな、それでいて怒りが混じったイナリちゃんの目がこちらに向いた。

 

(な、なんにもしてないのに!)

 

「え、え~と…」

 

「焦らすなんて大人」

 

「とりあえず叩いたらいいんじゃねぇか?」

 

「…そう…だね?」

 

(ヒナモちゃんもああ言ってるじゃん!ほら、文化の違いってやつ?)

 

(ここで約束というのをひっくり返すのは…よくないやん?)

 

(ソフトSMをナァナちゃんが許可してくれてるやん?)

 

(じゃあお尻叩くやん?ナァナちゃんが喜ぶんなら、それでええと思うねん)

 

魅惑のお尻に思わず住んでもいない関西の方言が出始めたあたり、きっと自分の理性は通天閣を観光中なのだろう。

 

「えい!」

 

意を決した一撃は意外と力が籠っていたのか、大きな音を立てた。

 

「お”っ♡っ~~~♡一発目としては絶妙。次が欲しくなる」

 

喘ぎと冷静な分析が同時に飛んできて、少し混乱する。

 

唯一正確にナァナちゃんのお気持ちを表明しているのは、ヘコへコと揺れるお尻だけだった。

 

「えい!」

 

要望通りに先ほどよりも速度をつけたからか、もっと小気味の良いスナップ音がした。

 

「くひぃっ♡もっと強く、出来れば少し下の方を叩いてほしい」

 

「えい!」

 

……

…………

 

そうして5回ほど叩いた。

 

イナリちゃんは呆然とその光景を見つめ、ヒナモちゃんは笑っていた。

 

ナァナちゃんは完全に地面に突っ伏しているのに、突き上げられたお尻は未だ魅惑的にフリフリしている。

 

その光景をノルミエ族の皆は何故かキラキラした目で見つめているのだった。

 

(なんで…)

 

(ノルミエ族では褒めるときにお尻たたくとか、そういうのがあるのかな?)

 

「マドイ様…一生ついて行く♡」

 

地面に顔を付けたまま、ナァナちゃんが短くそう言った。

 

「ありがと!」

 

(これは結婚ってことじゃない!?)

 

(いやぁ、女の子のお尻たたくの?)

 

(ちょっと心苦しいところはあったけど、結婚や愛は人それぞれの形があるってことね?)

 

(まあ恋愛強者のワタシは知ってたけどね?前世から動画見ながら丹念に色々練習してたからね?テクニシャンの自覚はあったよ?)

 

「誓命の騎士になる」

 

「え?」

 

(騎士じゃない!お嫁さん!!)

 

「ダメですよナァナ、それは私です。既にマドイ様から証を頂いておりますので、これは決定事項です」

 

何かを受け取っているらしいリィネが何故かせいめい?の騎士になる事が内定しているようだ。

 

よくわからない。

 

「残念、でも騎士になる」

 

騎士で決定したようだ。

 

なんでノルミエ族の娘たちは仲良くなるとお嫁さんじゃなくて騎士になったり、忠誠を誓っちゃうんだろうか。

 

(ああ…ビジネスライク的な関係なのかな。将来の相手としては魅力的じゃないのかな?)

 

(…今度メイドさん含めて、皆に男性の好きな所とかタイプを聞いてみようかしら?)

 

イナリちゃんは少し考え込むように、ナァナちゃんを見つめていた。

 

「にぃにぃすげぇ!今回も勝っちゃったな!」

 

少し荒んだ心で、抱き着いてくる小さな頭をナデナデする。

 

ロリっ子からの純粋かつ尊敬の眼差しだけが、ワタシの心を癒してくれるのだった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

それから少し日が経って11月半ば、ヒナモちゃんが通うようになってからひと月になったある日、家族でお出かけすることになった。

 

少し強い冷たい風が吹く中、朝早くからトドロキ家に向かった。

 

ヒナモちゃんは今朝も来ていて、当然一緒に行くことになった。

 

前世では乗ったこともないような、長いリムジンに乗る。

 

驚くほど快適な車内で広々としているのに、イナリちゃん、母様、ワタシそしてヒナモちゃんの順番で固まって座り、久しぶりに長時間母様とイチャイチャする時間が出来たのだった。

 

最近のお披露目式に向けた努力や勉強の進捗を聞いては、満足そうに微笑む母様のお顔は軽く国宝モノだと思う。

 

「ヒナモもしっかり学んでいるようだな」

 

イナリちゃんと同様に、とてもスペックの高いヒナモちゃんは、すぐにワタシたちの勉強スピードに追いついていた。

 

なんだったら、ダンスが上手な分既にワタシを追い越している。

 

「マドイ、様が貴族になるなら、オレも貴族になる、です?」

 

「そうかそうか、お披露目式ではマドイを守ってやってくれ」

 

「おう!じゃねえや、はい!」

 

「あ、あたしも守ります!」

 

ヒナモちゃんは丁寧な言葉遣いが苦手だが、日々の母様の前では敬語にするという形でがんばっている。

 

そしてイナリちゃんはさらに魔法で努力を進めている、と今回はお留守番のノルミエ族から聞いた。

 

(さすがメインヒロイン、スペックが高い高い)

 

中学くらいからの勉強は結構忘れてしまっているから、そのうち勉強もダンスもできない落ちこぼれの兄になってしまいそうだ。

 

「そういえば次のイナリの誕生日パーティだが、母上も来るそうだ」

 

「え!?スミちゃんが来られるのですか?」

 

祖母の記憶は、マドイの幼い記憶にもしっかりと記憶にある。

 

基本的に全てを見下していたマドイだが、前当主と言うこともあり尊敬していた。

 

「養母様の母君ということは、兄さんのおばあ様でしょ?そんな呼び方してもいいの?」

 

「うん、イナリちゃんも慣れていかないとね。ワクシマ家では叔母様とか叔父様って呼ばないんだよ?みんな名前にちゃん付けなんだ。おばあ様はスミレだからスミちゃん」

 

「ワクシマ家はみんな仲いいんだな!」

 

「ふむ、そもそも出会うことの少ない分家の人間には呼び捨てだからな。イナリが知らなくても無理はない。だがワクシマ本家の人間として生きていくなら、イナリも慣れていきなさい」

 

「わ、わかりました」

 

「に、マドイ、様…オレにもなんかあだ名つけてくれ、ください」

 

「ん~そうだね…ヒナモちゃんだから、ナモちゃんってどう?」

 

「なんかよわっち~、あ、えっと…弱そう、です」

 

「ダメだった?」

 

「ううん!めっちゃ気に入った!」

 

敬語も忘れた満面の笑みの天使に、ぴったりの可愛いあだ名が出来たのだった。

 

 

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