闇エルフのお忍びグルメ   作:常夏鳳梨

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副題:冬至祭での一幕

どうも、常夏鳳梨です。
見た目も可愛い上に美味しいドリンクって良いよね。
てなわけで、今回はゼリードリンク回です!!
あと、冬じゃないのにクリスマス回をするのはお約束ってことで。
ちなみに、グミの語源はドイツ語でゴムを意味する言葉らしい。


グミ入りゼリードリンク

オルクセン連邦において、冬至祭(ユール・フェスト)は古くからの一大イベントであった。

この祭りの時期になると、街中には飲食店を含めた様々な出店が広場に出店するためか、多くのオルクセン国民は冬だけしか現れないマルクトにやって来たは、ここぞとばかりに飲み食いをしていた。

 

もちろん、飲食以外にオモチャや雑貨などを取り扱う店もそれなりにあったのだが、その品々も冬至祭(ユール・フェスト)に合わせた可愛らしい仕様になっているため、主に家族連れがそれを買っていくのも珍しくはなかった。

何だったら、ここ最近ではエルフ達の間で使われていたオーナメントも売られるようになり、マルクトはますます賑わっていた。

 

更に言えば──温かなグリューワインやシードルを片手に、冬の寒さに負けずに立ち並ぶマルクトを含めた光景は、主に道洋の人々を中心に人気が高いようで、最近では冬至祭(ユール・フェスト)の時期にオルクセンに訪れる秋津洲人も多くなっていた。

それに加え、その秋津洲でバームクーヘンやシュトーレンも流行っているようで、近頃ではオルクセンやアスカニアに匹敵する物が作られているらしく、そのこともあって今年のマルクトにはそれなりの数の秋津島人が来ていた。

 

「──今年の冬も賑やかだな」

 

そんな光景を目にしたディネルースは、今回の冬至祭(ユール・フェスト)も中々に楽しいなと思いつつ、他国からこの景色を見たいがために訪れる秋津洲人に対し、嬉しさを覚えていた。

 

世界各地での名称は違うけども、今や冬至祭(ユール・フェスト)は冬の時期に人々が楽しむイベントとして定着していた。

星欧に属するオルクセンの場合だと、鶏やガチョウなどの肉の丸焼きを食べるのはもちろんのこと、ドライフルーツやらスパイスやらがたっぷり入ったお菓子を食べたりと、この時期は美味しいモノが食べられる時期であるという認識が強かった。

 

それは他の国でも同じだったようで、この季節の秋津洲ではよくフライドチキンが食べられると聞いたディネルースは、何でフライドチキン?と思ったのはまた別の話である。

 

ともかく、冬至祭(ユール・フェスト)は星欧でも最大のイベントであるがために、様々な種族問わず楽しむ姿がよく見られたため、それを見た彼女はこの時間が長く続けば良いのにと思い始めていた。

それはまるで、亡き夫のことを懐かしむように。

 

かつて、当時はまだ軍人であったディネルースが愛したオークの牡こと、グスタフもまた冬至祭(ユール・フェスト)を愛していた。

冬の時期になると、彼は日が経つに連れてソワソワとし始めた末に、彼女を連れてヴィルトシュヴァインに繰り出しては、その時期限定のマルクトに足を運ぶ──ということを繰り返していた。

 

冬のマルクトを訪れたグスタフは、必ずと言って良い程に食べ歩きを繰り返しており、ディネルースはそんな彼の姿を見るのが好きだったようで、仲睦まじい様子でそれに付き合っていた。

なお、そんな彼女もまたグリューワインなどを飲みまくっていたのは、今回の話とは何の関係のない話である。

 

何だったら、そのマルクトの店の一つにはグスタフを模した人形も飾られていたがために、彼女はクスッと微笑んでいた。

 

「やはり、冬と言えばこれだな」

 

そう呟いた後、マルクトに出店しているどの屋台の料理を食べようかと考え始めるディネルース。

この時期のマルクトに出店している屋台では、アーモンドに砂糖やチョコなどの衣を纏わせたお菓子や、一口サイズの小さなドーナツなどが売られており、それを目当てに来る人々も少なくなかった。

 

現に、ディネルースもまたそれを楽しみに来ている節があったため、ワクワクとした表情が顔に漏れる形で映し出されていた。

 

今年は砂糖衣を纏わせたアーモンドにするか、それとも一口サイズのドーナツにするか。

彼女が頬を緩ませながらそう考えていた時、徐ろに家族連れや若者が多い店を発見したのか、彼女は思わず足を止めていた。

 

その店は、オルクセン国内どころか世界では知らない者は居ない程に有名な菓子メーカーで、主にグミを中心に売っている会社の屋台だったため、ディネルースは珍しいなとばかりの顔になっていた。

彼女自身、女王としてそのメーカーの見学に行ったことがあったからか、すぐに興味を示したのは言うまでもない。

 

「ほぅ──?」

 

そう呟いた後、引き寄せられるようにその屋台へと足を運ぶディネルース。

そこには、冬至祭(ユール・フェスト)の雰囲気によく合うカラフルなグミが瓶詰めにされており、まさに色鮮やかと言っても過言ではない光景に対し、ディネルースは視線はその屋台に固定され始めていた。

 

オルクセン連邦の女王であるディネルースは、あまりグミを食べる機会は無かった。

ただ、お忍びでアンファングリア旅団の面々の家に遊びに行く際に食べることが少しだけあったため、その思い出もあってなのかは分からないものの、彼女はその屋台の列に並び始めていた。

 

そして、その列に並んだ際に店員からメニュー表を貰ったディネルースの目に入ってきたのは、ゼリードリンクの上に屋台を運営しているメーカーのグミが乗った商品で、それを見た彼女はこう思った。

今の時代には、こんなメニューがあるのだと。

 

それと同時に、この時期にピッタリだなとも思ったのか──より一層ワクワクとした感情が高まっていた。

 

「いらっしゃいませ!!ご注文は何にしますか?」

「そうだな、この【グミ入りゼリードリンク】を一つ頼む」

「分かりました!!では、グミの方はどうしましょうか?」

「そうだな──とりあえずは豚鼻型のグミにしてくれ」

 

そう言葉を交わした後、その屋台で売られている【グミ入りゼリードリンク】を注文するディネルース。

それから数分後、豚の鼻の形をしたグミが入ったゼリードリンクを受け取ると、そのままルンルン気分で屋台を後にしていていた。

 

そのドリンクは、イルミネーションを思わせるかのような色合いのゼリーが炭酸水が混ざられたモノで、それを見た彼女はステンドグラスみたいだなと思ったとか。

 

【グミ入りゼリードリンク】

見た目も味も抜群なドリンク!!

ちなみに豚の鼻の形をしたグミの他にも、ドングリの形をしたグミやヴルスト型のグミもある模様。

 

「──綺麗な飲み物だな」

 

いかにもネット映りが良さげで、視覚的にも楽しげなドリンクを手に持ちながら、ディネルースはそう呟くのと同時に太めのストローを使う形で、その【グミ入りゼリードリンク】を一口飲んでいた。

 

ドリンクのゼリー部分は、カラフルな色味とは裏腹にそこまで甘くは無かった。

けれども、その甘くサッパリとした味と炭酸のほのかな清涼感との相性は良かったようで、彼女はこれはイケる!!とばかりの顔になっていた。

 

しかも、そのゼリーやグミなどの異なる食材の食感も重なり合うことにより、次第にこの【グミ入りゼリードリンク】を飲み食いすることが楽しくなってきたのか、ディネルースはその飲み物を飲む度に心躍っていたとか。

 

「うむ、これは意外とイケるな」

 

そんな言葉を漏らしつつ、ふと例のグミが有名な菓子メーカーについて想いを巡らせるディネルース。

 

星歴九二〇年に創業したその企業は、二年後に豚の鼻の形をしたグミを発売して以降、星欧大陸随一のグミ製造会社として知られるようになっていた。

やがて、時が経つに連れてグミに関する品数も増えていき、国際的な人気を誇るようになったことは、彼女自身もオルクセンの女王として誇らしく思っていた。

 

しかしながら、時折こういう菓子をグスタフと共に食べたかったと思う日があったのか、アンファングリア旅団のOB達と共にグミを食べた際には、寂しげな顔を浮かべることが多々あった。

だからなのか、自身が購入した【グミ入りゼリードリンク】を飲み終えたディネルースは、例のグミを売っていた屋台へと戻ったかと思えば、そのままいくつかのグミを購入していた。

 

豚の鼻型グミにドングリ型のグミ、猪型のグミに加えてヴルスト型のグミなど、屋台での量り売りという形で多種多様なグミを買ったディネルースは、そのグミ入りの袋を手に再びマルクトを歩いていた。

 

すると、どこからか歓声が上がったかと思えば──その声のした方にあったのは、イルミネーションが点灯された大きなモミの木であった。

多くのオークやコボルト、それからドワーフにエルフ達はそのイルミネーションに釘付けになっており、次第に冬至祭(ユール・フェスト)を祝う歌がその場に響き渡っていた。

 

「今年も良いモミの木が飾られているな」

 

イルミネーションで彩られたモミの木を見つめつつ、ポツリとそう呟くディネルース。

 

そして、早く王宮に戻ってそっちのパーティーも楽しまないと思ったのか、彼女は周囲に正体がバレないうちにマルクトが開催されている広場を後にしていった。

 

それから数時間後、彼女は王宮でのパーティーにてベレリアンド戦争にて仲を深めた元官僚や元軍人達と共にご馳走を食べ、ここぞとばかりに火酒やワインなどの酒を飲み、冬至祭(ユールフェスト)を祝っていた。

その際、酒に強い彼女は酔いはしなかったものの、それでもこうして戦友達と共に食事が出来たことが嬉しかったのか、とても満足げな顔になっていた。

 

ちなみにこれは余談だが、そのパーティーにアンファングリア旅団のOB達やシュヴェーリンはともかく、かつてはグスタフの側近であったゼーベックも参加したらしく、彼ら彼女ら達にとって有意義な時間になったのは言うまでもない。

 

こうして、十二月が終わりを告げ──オルクセン連邦では、また新たな年が始まろうとしていたのだった。

 

@YamiDonguri

今日はマルクトで【グミ入りゼリードリンク】を飲んだよ〜!!

見た目も味も抜群だから、また飲みたいな〜!!

#オルクセン飯




【本日のメニュー】
☆グミ入りゼリードリンク
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