闇エルフのお忍びグルメ   作:常夏鳳梨

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副題:ロブスターを揉め!!

どうも、常夏鳳梨です。
今回はタイトルの通り、マウルタッシェン──つまりは餃子回です!!
と言うか、世界各地に存在する餃子って凄くね?
あと、本編と関係ないけどもロブスター食べたい。

ちなみに、今回の話の元ネタはロブスターロールです!!


新大陸風マウルタッシェン

「フフフ、今日は良い買い物が出来たな」

 

十二月から一月に突入し、人々が新たな年の始まりを祝っていた頃、香油が入った紙袋を手にディネルースはルンルン気分でヴィルトシュヴァインを歩いていた。

彼女が何故、ここまで嬉しそうにしているかと言うと──自身が好きな香油こと、不思議な水(アクア・アミビリス)七九二を売っているブランドにて、とある画家を絵画をイメージを香油をゲットしたからである。

 

元々、不思議な水(アクア・アミビリス)七九二は紳士用の香油であったが、まだグスタフと結婚していなかった頃にその清涼感のある心地良い香りに惹かれたのか、それ以降の彼女はこのブランドの香油を使い続けていた。

そのためか、この日のディネルースはそのブランドの新作の香油を手に入れるため、首都であるヴィルトシュヴァインに出かけていた。

 

だからなのか、彼女の顔には昔から好きな物が買えた喜びで満たされていて、この香油をいつ使おうかとワクワクとした気持ちを抱きつつ、街中を歩いていたのだった。

 

「それに、新しく発売されていた化粧品も中々に興味深いモノばかりだったな」

 

自身が愛用するブランドの化粧品も気になり始めていたのか、今度行った時に買おうとばかりにそう呟くディネルース。

 

グスタフ王の治世から清潔好きなオークが増えた影響により、ヴィルトシュヴァインでは化粧品を取り扱う店が多く立ち並んでいた。

その中には、彼女が昔から愛用している老舗ブランドもいくつかあったようで、ディネルースは次はどの化粧品を買おうかな?と思っていたとか。

 

しかし、時間帯が時間帯なだけにディネルースは腹が減っていたようで、ふと足を止めるとこんなことを呟いていた。

 

「──腹が減った」

 

そして、ディネルースはそのまま昼食を食べることが出来るレストランを探し始めたものの、中々良い店を見つけられなかったようで、いつの間にか路地裏に入り込んでいた。

なので、そのことに気がついた彼女はやっちまったと言う顔になっていた。

 

しかし、その路地裏には様々な料理屋が並んでいるだけではなく、昼間から営業している酒場などもあったため、ディネルースは今日の昼食はこの路地裏で済ませることにしたのか、どの店にしようかと吟味し始めていた。

 

肉屋から直接卸した肉を使った店に、新鮮な野菜を使ったスープが名物の店。

どれもこれも美味しそうだったため、ディネルースはどれにしようかと迷いに迷った末に、とある店に足を踏み入れた。

 

その店は、貝や魚などの海産物を使った新鮮な海鮮料理を楽しめる店のようで、その店内には木目調が美しいテーブルや椅子の他に、センチュリースターを思わせる音楽が流れていたため、それを見聞きした彼女は思わずこう思った。

この店の雰囲気は中々良いな──と。

 

そして、ディネルースは店内で最初に目に入ったカウンター席に座ると、人間族の店員から革製のメニュー表を受け取った後、それをゆっくりじっくりと見ていた。

 

クラムチャウダーに生牡蠣、それからカクテルシュリンプ。

どうやら、彼女が来店した店は新大陸──もとい、センチュリースターの料理をオルクセン風にアレンジした物が食べられるらしく、それをメニュー越しに知った彼女は面白そうだなと思ったとか。

 

そんな中、彼女がメニュー表の中で見つけたのは──マウルタッシェンと言う料理であった。

この料理は主にオルクセン南部の他に、アスカニアでもよく食べられている料理であったのだが──この店のマウルタッシェンはオルクセンやアスカニアで食べられている味付けではなく、新大陸風にアレンジしたものだと書かれていたため、ディネルースはその料理に強い興味を示していた。

 

だからなのか、その料理は【新大陸風マウルタッシェン】と書かれていて、それを見たディネルースは早速それを注文していた。

 

「すまない、この【新大陸風マウルタッシェン】を一つくれ」

 

彼女自身はマウルタッシェンを食べてことはあったものの、新大陸風と言う肩書きが付いたマウルタッシェンは食べたことがなかったのか、その顔には興味津々とばかりの表情が浮かんでいた。

 

やがて、お昼時なだけに店内に続々と客がやって来た頃──【新大陸風マウルタッシェン】は運ばれてきたのだが、その料理はオルクセンで食べられているマウルタッシェンとは大きく違っていた。

オルクセンやアスカニアで食べられているマウルタッシェンは、スープに浸す形で食べることが多かったが、この料理はバターソースらしきものが掛かっていたため、ディネルースは思わずこう声を漏らしていた。

 

「確かに、これはオルクセンのマウルタッシェンではないな」

 

そう呟いた後、食べるのが楽しみだとばかりにナイフとフォークを手に取ると、そのマウルタッシェンを切るディネルース。

すると、そこから溢れ出て来たのは──大きく切られたロブスターの身であった。

 

【新大陸風マウルタッシェン】

新大陸産のロブスターがたっぷり入ったマウルタッシェン!!

香草入りバターソースで召し上がれ!!

 

そのロブスター入りのマウルタッシェンを見た瞬間、彼女は何故この料理が新大陸風なのかを理解したのか、その目をキラキラと輝かせていた。

 

そもそも、ロブスターはセンチュリースターやグロワールなどの冷たい海で獲れるのだが、オルクセン周辺の海では中々お目に掛かれない食材として知られていた。

ディネルース自身もロブスターを食べたのが二度目の大戦の後であったものの、それでも数える程しか食べてこなかったため、こうして食べるのは新鮮だなと思ったのは言うまでもない。

 

そして、そのロブスター入りマウルタッシェンを口に運んだディネルースだったが──そんな彼女の口の中に広がったのは、まさに海の女神とも言うべき旨みの数々だった。

 

プリッとした甘みのあるロブスターの身と、モチモチとした食感のマウルタッシェンの皮。

そのマウルタッシェンを香草の爽やかな風味が漂うバターソースと絡め、待ちきれないとばかりに彼女が口に含んだその瞬間、ロブスターやソースの旨みがこれでもかと爆発したからか、ディネルースは思わずこう思っていた。

 

恐るべし、【新大陸風マウルタッシェン】──と。

 

「美味い──!!」

 

そう声を漏らすのと同時に、目の前にある【新大陸マウルタッシェン】をもう一個、また一個とばかりに食べ進めるディネルース。

その顔には、この店に立ち寄って良かったなという感情がこれでもかと出ていた。

 

なので、店内にてその様子を見ていた他の客達は彼女に対し、幸せそうに食べてるなと思ったとか。

しかし、その客がこの国の女王であるディネルースだとは気づいていなかったようで、そのまま食事を再開していた。

 

そんなことなど知らないディネルースは、あっという間に【新大陸風マウルタッシェン】を完食した後、今度は【新大陸風レモネード】を注文すると、口をサッパリとさせるようにチビチビと飲んでいた。

 

【新大陸風レモネード】

普通のレモネードとは違い、明るいピンク色が特徴のドリンク

ベリーやグレープフルーツの甘酸っぱさも加わって、より美味しくなったぞ!!

 

「オルクセンのレモネードも美味いが、このピンク色のレモネードも美味いな」

 

そう呟いた後、【新大陸風レモネード】を飲みながら店の外を眺めるディネルース。

 

ロブスター料理に、ピンク色のレモネード。

どれもこれもオルクセンには馴染みがない物ばかりではあるが、時代の流れの影響なのかは分からないものの、続々とオルクセンへと入って来ていた。

 

それを見る度に、ディネルースは昔を思い出すかのようにこう思った。

グスタフの予想していた通り、人間族の技術とやらは魔種族を越えてきたな──と。

それは人間族からの文化干渉に対する懸念云々ではなく、魔種族と人間族が少しずつ距離を詰めていった末に、お互いのことを理解している段階なのだと理解している顔付きであった。

 

自身とグスタフの間では子供は出来なかったが、オルクセン国民という名の可愛らしい子が出来たのだと、最近のディネルースは思うようになっていて、その顔には今日という日を懸命に生きている国民達に対し、心の底から応援するかのような表情になっていた。

 

そう思いつつ、料理屋に対して【新大陸風マウルタッシェン】と【新大陸風レモネード】の代金を払った後、店を後にしたのだが──そこでディネルースが目にしたのは、彼女好みの香りの石鹸が売られている店であった。

 

その店を見た瞬間、ディネルースはまるで引き寄せられるように店に近づくと、そのまま石鹸を見ていたのだが──その店では、秋津洲の南の方の泥を使った石鹸を売っている店だった。

それをお試しという形で使った彼女は、その石鹸の泡立ちとスベスベ感に魅了されたようで、すぐさま何個かの石鹸を購入していた。

 

「──また買いすぎてしまったな」

 

そのためか、もう片方の手に石鹸入りの紙袋を持ちつつ、ディネルースは苦笑いつつも満足げな表情を浮かべた後、そんなことを呟いていた。

 

こうして、彼女はそのまま王宮へと戻ったのだが──今度は例の石鹸の使い心地が良かったがために、定期的ではあるが路地裏の方へと通うようになったとか。

何だったら、その勢いで路地裏の飲食店のコンプリートを目指そうとも思ったらしく、彼女の生活に少しだけ彩りが加えられたのは言うまでもないことであった。

 

@YamiDonguri

今日は隠れ名店みたいな場所で【新大陸風マウルタッシェン】を食べたよ!!

あと、食後に飲む【新大陸風レモネード】も美味しかったなぁ

#オルクセン飯




【本日のメニュー】
☆新大陸風マウルタッシェン
☆新大陸風レモネード
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