「さて、皆は何から聞きたい?出来る限りあたしと陣が答えちゃうよ~。」
生徒からの疑問に答えるために紫と陣は黒板の前に立っていた。だが、生徒たちは何から聞けばよいのか困っているし、そもそも紫に対する認識は急に現れて中華料理を食べさせてくれた変わった大人なので声をかけようにも躊躇いあり最初に声をかけようとする生徒は誰もいなかった。
”えっと、私から質問しても良いかな?”
「おぉ~。最初はシャーレの先生か~。何でもどうぞ!」
”紫はあの時戦っていた傭兵なんだよね?”
「そうだよ!もう一回見せてあげよっか。」
紫はその場で一回転して傭兵の姿になる。その姿は一般的な生徒と同じようにヘイローもあり、大人のようには全く見えなかった。生徒たちはその変化に驚き、何が起こっているか理解できていないようだった。その姿を面白そうに笑い、その最中にもう一度一回転して大人の姿に戻った。
「フフフッ、アハハハハハ。そんなに驚いちゃうなんて本当に純粋だねぇ~。いや?先生も驚いていたしこれが普通なのかな?まぁ、別にいっか!一般的な反応なんてどうでもいいし、あたしが面白いと感じるならそれはあたしにとって都合がいいし。」
「少なくとも
”えっと、紫は魔法みたいに姿を変えてるってこと?”
先生が自分の理解があっているか確かめるように質問を紫は悪戯っぽく笑っていた。
「ざんね~ん。全然違いま~す。みんなの認識を変えてるだけで~す。」
”認識を変える?”
「そうそう。認識を変えるの。あたしが姿を変わっているように見えてるけど実際は
「ん、それはおかしい。」
「うん?何か分からないことあった。えっとシロコって呼ばれたしシロッコでいっか。それで何がおかしいの?」
「私達が傭兵を攻撃している時にある程度は傭兵の髪色とか姿を共有してた。それなのにあなたの説明どうりだとすればどこかしらでそれぞれの認識に齟齬が生まれるはず。それなのにそんなことが起きなかった。だからおかしい。」
シロコは自分たちが戦っている最中に何も問題が無かったことがおかしいという指摘をしたとき先生とアビドスの生徒たちも思い返していて周りの人と改めて傭兵の容姿に対して確認していたが認識の齟齬が無いことを確認して紫に対して疑念の目を向けた。紫は意外そうな反応をしていたが笑みは絶やしていなかった。
「おぉ~。鋭いねぇ~。気づかない人は全く気付かないのに。フフフッ、誤魔化してもいいけど今回は正直に答えちゃいましょう!あたしが
”「「「???」」」”
「?」
「…はぁ。」
紫の説明に先生と生徒たちは理解できなかった。紫の方も分かりやすい説明だと思っていたのか皆がなぜ不思議そうにしている様子に何で分かってないんだろうか?と疑問に感じていた。そんな中どちらの事情もある程度理解しているのか陣のみは溜息を吐いていた。沈黙の時間を少し経て紫は陣の方へ向いた。この時は先ほど違い笑みには若干の呆れも含んでいた。
「ねぇねぇ、陣。もしかしてあたしたちのこと何も知らないのかな?あたしも全部ミレニアムの皆に説明してはいないけど…あの便利屋の子たちには何も話していないの?」
「いや、
「むむむ、陣!あなた、あたしたちが決めた種族や自分の物の見え方について何も言ってないじゃん!そりゃ、分からない筈だよ。」
「お前は逆に言ったのか。面倒なことを…。」
「相変わらず秘匿主義極まってるねぇ。あたしも種族の事は言ってないよ。ちょっと混乱を起こしちゃうかもしれないしぃ~。でも、
「…意外だな。お前が種族のことをまだ話していないのは。周囲に言いふらすくらいにいは気に入ってだろう?」
「言うなら陣と綾美の三人で一緒にいる時にポーズを決めながら言いたかったからね。三人で集まったら決め台詞っぽくまた言おうよ!」
「…よく飽きずにそんなことできるな。別にやっても良いが。」
「こういうのノリは良いから好きなんだよねぇ~。本当に。とりあえず
「…うーん。その呼び方をお前からされるのはやはり苦手だ。教え子でもない知り合いからもたまに呼ばれるのはまだましなんだが…。こいつの言い方が変に丁寧だからか?いや、今はそんなことより話が進まないから俺がしないといけないのか。」
陣と紫の会話の内容に対して周りは仲が良いのかも?と思いながら会話の内容については不思議がっていた。そして、二人の会話を終えた後、陣が白紙の紙と絵画に必要な道具を袖から取り出した。次に、慣れたように陣は筆に青色の絵の具を含ませて白紙の紙に線を引きその紙を先生と生徒たちに見えるように見せた。
「これがどのように見える?」
「何って紙に絵の具で線を描いただけじゃない。それよりどうやってその袖の中にそんな紙や絵の具を入れられるのよ!大きさ的にも絶対に入られないでしょ!」
「それは秘密だ。黒見セリカの言う通り普通はそう見えるが紫にとっては次のように見える。」
陣はその上から黒い絵の具で五線譜と音符を描いて見せた。そのように出来た譜面は青い線よりも目立っていた。
「紫の視覚からはこのようにただの青い線にも譜面が起こされている。これが何を見てもこんな風に
「おぉ~、説明ありがとう!あたしも陣の
陣は紫の発言に対して少し苛立ちを見せ止めようとしたが無駄だと思ったのか辞めた。諦めた陣の様子を見て紫が改めて教えようとするがアルが遠慮がちに声を紫にかけた。
「陣は紫さんと似たように見えてるものに星の光が見えてるのではないの?」
「う~ん、惜しい!そこの赤髪のアルちゃん?だっけ?正確に言えば
「人が星の光?あっ、あの時に一等星と言ってたのって比喩とかじゃなかったんだね。」
カヨコは陣と出会ってすぐの事を思い返してあれはそのままの意味だったのかと納得をしていた。
「よく覚えていたな。カヨコ。出会ったばかりの事だったから忘れていたと思っていたぞ。」
「ふ~ん。一等星ねぇ~。確かに良い譜面だけど…アハハ、よく分からないや。でも、確かに大物になるかもね!」
”あの、星の光って…”
「そうだな。本人の基質や才能、生命力、あとその時に感じている感情の変化などが星の光のように見えるんだ。」
「そうそう。それによって陣はいろんな場所で教師として働くことが多いんだよ!」
紫の発言に陣は少し顔をしかめる。その顔は言わなくても良いことを言われたようだった。
「…まぁ、合っているがそんな積極的に教師をしている訳で無いぞ。」
「フフフッ、アハハハハハ!陣あんまり面白い冗談言わないでよ。誰かに何か教えて欲しいって言われたらどんな報酬でも教えているじゃん?」
「…一応選んでいるぞ。本気で教えて欲しいというもの以外からはある程度の対価は取っていたし…。」
「それでも法外な対価は取らないじゃん。むしろ陣から得られる知識は質が良いんだからもっと報酬得れるよ!」
「うるさいな。俺も教えることにより新たな理解が得られる可能性もあるし色々な目線が得られるから基本的に俺にとって有益なんだよ。それに俺も成長できるからな。」
「アハハ、相変わらず物好きだねぇ~。
「人を信用することと他人に教えることは違うだろ?それに俺は人の事を信用しないんじゃなくて信用するのに時間がかかるだけだ。」
「フフフッ、相変わらず合わないや~。あたしだったら信用してない相手に対して何かを教えるなんてことするのは絶対に嫌だね。」
「だから言ってるじゃないか。俺にとって有益だから教えているって。」
「相手を信用することによって得られる利益?は有ると思うんだけどねぇ~。まっ、あたしにとっては何も関係ないけど…。」
また、紫と陣の言い合いを周りはなんといえない表情で聞きながらもだれも止めなかった。その後、紫は言い終えると便利屋68の四人の方をじっと見つめてクスリと笑みを浮かべて陣の方を向き愉快そうに笑った。そんな紫の態度に対して陣はまた溜息を吐きながらも先生たちの方を向いてハッとした表情になり咳ばらいを軽くした。
「話が脱線して申し訳ない。紫の言ってる[チューニング]は今回の場合はこの譜面を読み取ることにより相手の思考を合わせて違和感を無くしたんだ。」
”「「「…?」」」”
陣の説明に対して生徒たちと生徒たちは今日何度目かの疑問を表に出した。陣は少し後悔をしてそうな態度を出したがすぐにいつもの態度に戻りながら、紫の方を向いた。その顔をからこれ以上を言って良いのか?と許可を取っているような態度でもあった。そんな陣を手で制しながら紫は一歩前に出た。
「おやぁ。あんまり分かってい無さそうだねぇ。アハハッ、まぁ仕方ないんだけど。そもそも前提が分かって無さそうだし。フフフッ、教えてあげましょう!あたしは他人の思考を読み取れるんだよ!」
その発言に対してひどく狼狽えていた奥空アヤネが反応した。
「思考を読み取る?心を読めるってことですか!!」
「その解釈でOKだよ。いやぁ~読めるのには時間かかったんだよねぇ。」
周りの反応などは意に介さず紫は面白おかしく大変だったんだよ。と笑みを浮かべながら過去を思い返すような仕草をしていたがどこかわざとらしさもあった。そんな紫を陣は何か言いたげな目線で見つめていた。
「あっ、そんな常時心を読んでいるようなことはしてないからねぇ~。そんなことをしても無駄に疲れちゃうし楽しくないから読むのは必要な時だけってこと。まぁ、信じなくてもいいよ~。そこの猫耳のセリカちゃん?も信じず詐欺師のように見てるしねぇ~。アハハッ、信じられないってのも面白いわ~。」
「あっ、あの陣様もそういったことが出来るんでしょうか?」
ハルカはどこかおどおどしながらもどこかできるという確信を持ちながら陣に対して質問した。
「それは…」
「出来るよ!!」
陣が言葉を選ぶように答えようとするときに紫が代わりに少し大きな声で答えた。陣が苛つきを顔に出しながら紫を軽く睨みつける。
「アハハ。そんな怖い顔しないでよ。ストレスたまってるからしょうがないかも知れないけど、ね?」
「お前がストレスの主な要因になっているんだぞ? 分からないのか?いや、分かっているから問題なんだがな。」
「おぉ~。見てみて!便利屋の君たち、陣が思考を読めるってのは本当でしょ!いや~、それにしても…」
「うぜぇ。」
「んぐっ!」
陣は振り向きもせず紫の溝内に鈍い音を教室に響かせながら拳をめり込ませた。それによりは苦悶の表情を浮かべ顔を俯かせたところに陣は裏拳を叩き込み顔を仰け反らせ、叩き込んだ裏拳を仰け反らせるよりも早く動かして頭を教卓に掴み叩きつけた。その一連の出来事は僅かな時間で行われて生徒たちや先生はその動作の全てが目に追えなかった。突然のことに驚く生徒たちや先生を気にせず冷めた目を紫に向けたまま頭を掴んでいる手に力を強めていく。骨が軋む音が響く中、静かに陣は口を開いた。
「いつもの事と言えばそれまでだが…本当にこいつの口からは余計なことしか喋らない。いつかは喋るつもりで色々計画していたのに今日で全て崩れた。しかも、話すつもりもない奴にペラペラと勝手に話しやがって…駄目だな。ここで握り潰したらそれこそ生徒たちや先生にとんでもないトラウマを作ってしまう。それは望むことでは無い。いっそ縫い付けた方が早いかなぁ。」
「陣!!」
「ん?アルか。安心してほしい。流石にこれを生徒にはしない。」
「そうじゃなくてその…大丈夫なの?だんだん動かなくなってるけど」
少し顔を青くしているアルの指摘通り、陣が喋り始めていた時には紫の腕は騒がしく動いていたがほとんどその腕は動かなくなっていた。その指摘を受けた陣は紫の方に目を向けすぐにアル達の方へ軽く笑みを浮かべて、紫の片手の
「お前、この程度の痛みで痛がる程やわじゃねぇだろ。いつまりそうしてるつもりだ?それとも残りの四本もやって欲しいのか?」
陣が折った方の指がある片手の残りの四本の指を握りしめると。
「”待って(ちょうだい)。陣。”」
先生とアルが陣に向って走って止めようとしてくるのを見て少し目を大きくさせながらも紫への力は緩めなかった。
「止めてくるとは思っていたが…とりあえず理由を聞こうか。先生、アル。止める理由はなんだ?」
”人が誰かを傷つけるような行為を見過ごすわけにはいかない。”
先生は目を据わらせながら陣を見つめながいう発言に対して陣は鷹揚に頷きながら次にアルの方を見つめた。その眼には普段よりも好奇心がこもっていた。
「あなたと紫っていう人の関係がどういうものかは知らないけど、それでも指を全部折るのは間違っていると思うの。…何にも抵抗をしない人をいたぶるのはアウトローではないわ!」
先生とアルの発言を聞いた陣は静かに目を閉じた。閉じた瞳が開くまでの時間は短かったが、その場の空気には緊張が走っていた。陣の目が開かれると同時に口も開いた。
「考えは理解できる。人を傷つける行為は褒められるものではない。…当然のことだ。抵抗のない者を傷つける行為がもっとしてはいけないというのもよく分かる。俺もその行為は好きではない。抵抗のないこいつを傷つける行為を咎めるアルと先生は凄いと思うよ。素晴らしい人物だと思う。」
軽く笑みを浮かべながら陣はアルと先生を見た。その場に安堵の空気が流れた。
「だが、こいつは駄目だ。」
陣は次の瞬間、紫の指を四本同時にへし折った。激しく揺れ動く紫と対照的に冷酷にそれを見つける陣の二人以外には動揺が走った。
「…どうして?」
「何事にも例外はある。そういうのを認めるのはあれが嫌いだがこいつは駄目だ。碌に忠告をしてもその場の気持ちのみで取り返しのつかん行動をするような奴には痛い目に遭わせんと治らないし、こいつの場合はそれすらも面白いと感じてわざと危険な目に遭うような選択を取る。…それで何度こっちが被害を受けたか…。現に…」
突然、陣の髪がふわりと膨らむように揺れて動きが止まった。目を見開いたまま不自然に静止したその姿はそこだけ時間が止まったようだった。その様子に先生と生徒たちは動揺し声をかけてみるが一切反応しなかった。
「いや~。成功、成功、大成功!アハハハハハハハ。」
嬉しそうに紫は顔を上げた。折れた鼻や切れた口から血を少し流しながらも今日一番の笑顔で笑い続けていた。その様子はどこか狂気的で先生と生徒たちは引いていた。そんな様子の中でも変わらず紫は笑い続けていた。十数秒笑い続けた後、陣の瞳がかすかに揺れた。
「おぉ~。もう、動けるなんて流石だね~。」
紫は笑顔を向けながら指を鳴らすと、陣の周りには
「じゃっ、サヨナラ~。」
空気の焼ける匂いと共に紫がどこからともなく取り出したレーザーポインターのようなものから出たビームにより陣の顔の周りは煙に包まれていた。
「アハハ!やっと当たったよ~!
「ちょっとうちの副社長に何をしたの!」
笑っている紫に対してアルが責める。いつものアルとは違うとても怒っている様子だった。しかし、それを見ている紫は何やら興味深げに笑みを浮かべていた。
「いい仲間関係だねぇ~。本当に、運が悪いって言うけどこういう運には恵まれているのはちょっとうらやましいかもねぇ~。フフフッ、本当に面白いよ。」
「答えなさい。何をしたの!」
「おぉ~、君そんな表情出来るなんて、いいね~。それじゃあ、教えてあげよっか。まず、これは超小型のビーム砲で名前は『タクト』、こんな大きさだけど大抵のものは瞬時に穴を開けれるほどのビームを発生させれるんだ。それを陣に向けて発射しただけだよ。」
自慢気に『タクト』を見せつけながら楽しそうに語るその内容に対して、便利屋の四人の表情には明確に怒りが浮かんでいた。紫に対して四人が何か言おうとするが、それは止められた。
「なるほど、なかなか優秀な武器だな。」
煙を手で払いながら片目を閉じた陣が現れた。閉じた片目の瞼は軽い火傷を負っていたがそこ以外は
「ふむ。この音符にそれはその名からは指揮棒か。テーマがしっかりしているのは良いことだな。まぁ、どうせお前が好きだから付けたんだろうが。」
「その通り!ち、な、み、に、この音符たちの名前は『ア・ピアチェーレ』、なかなか面白い性能でしょ!」
「振動を合わせることにより身体を硬直させる武器か…生徒や先生には使うなよ。」
「アハハッ、当たり前じゃん。あたしも皆と遊びたいしぃ、ね。」
「まぁ、どのような理由であれを使う対象を無制限ににしなかったことは良いことだな。」
「だよね~。流石、あたしって言ったところかな?アハハ。」
さっきまで傷つけあっていたのが嘘のように日常会話をしているような雰囲気だったが、折れた指と火傷を負った瞼の痛々しさが先ほど起こっていたことを証明していた。そんな様子の中先生が二人に近づいた。
”あの、ちょっといいかな。”
「「どうした(の~)、先生?」」
”さっきまで争っていたよね?”
「それは、そうだがそれがどうしたんだ?」
「そうそう。いつもの事だよ~。」
”いつもの事って、わざとや…。”
「「それは違う。」」
先生の言葉に二人はこればかりは譲れないとばかりにしっかりと否定した。
「俺は本気でこいつに対して苛ついたし、痛い目に遭わせなんと治らんと思って行動した。」
「あたしはそれに対してなんか仕返ししたいな~と思って『タクト』を使ったし、陣に初めて攻撃を当てたという事実が欲しかった。」
「「これは俺(あたし)がわざとではなく本気で考えて行動したことだ(よ~)。」」
先生に向ける顔は真顔と笑顔でそれぞれ違っていたがどちらの瞳もこれだけは譲れないという意思が見えていた。奇妙な圧が教室全体に広がり誰も何も口にしなかった。
「まっ、わざとやってると思われること何度かあったしいいけどね~。」
「…優先順位を変えているだけなんだがなぁ。」
「だねぇ~。その見切りが早すぎるのが問題だと思うけど。」
顔に現れていないが少し不貞腐れているように感じる陣の物言いに紫は面白そうに突っ込みを入れた。それにより場の空気はまた変化した。一通り言い合いが繰り返された後、紫は生徒たちの方を愉快そうであるがどこかとぼけた表情で見つめた。
「う~ん。どこかまで話が進んだんだっけ?いや~、陣との話はいつも長くなってしまってすまないね~、生徒の諸君。確か、[チューニング]の説明まではしたと思うんだけど…、生徒の皆はなんで気絶していたかも知らないんだっけ?それはあたしがドッキリよ用に作った特別性の閃光弾のせいだけどね!いや~碌に実験とかもせず試作品を実践で使ってみたけど思ったより威力が高くて驚いたよ、アハハ。本当に皆に怪我が無くて良かった良かった。」
「ドッキリ?それにしては威力が高すぎる気がするけど…。」
「試作品だからね!キヴァトスの生徒がどれくらいの耐性を持っているか知らなかったからとりあえず…生身の先生が近くで食らったら後遺症が残るぐらいにするつもりだったんだ!まぁ、それの数倍?いや、それ以上のものになってしまったのは大誤算だけどね。アハハ。」
カヨコの疑問に即座に紫は答えたがその答えを聞いた者たちにとっては本日何度目かの驚きを与えた。陣は思わず紫に向けて手を振り上げようとするが、振り上げたまま一瞬固まりそのまま手を下して不満気に紫を見つめ続けた。そんな中、生徒たちにある疑問が芽生えた。
「でも、それだと私たちがそんな威力の閃光弾を食らって無傷なのおかしくない。特に私たちはアビドスの皆よりも近くにいたし。」
「分かんないの?」
ムツキが皆の中に生まれていた疑問を代弁したかのように聞いたが、それに対して紫は意外そうに聞き返した。
「君たちは特に知っているはずだよ~、アハハ。どうして無事だったのか?いや、君たち目線は無事だけど
”それって、どういうこと?”
先生の質問に答えず、おもむろに紫は折れた指を生徒たちと先生に見せつけながら、もう片方の手に何か書かれた紙を持って折れた指に当てた。すると、紙の方が折れ曲がって紫の指は元通りになった。便利屋の四人にとってその紙は既視感があった。それは、陣がくれたお札に文字が違うが形も大きさも似ていた。そのことに思い至り四人の視線は自然と陣に集まった。それに応えるように陣は懐から紫と同じ紙を取り出して、火傷を負った瞼に当てた。先ほどと同様に紙は火傷を負ったように赤くなり陣の怪我は治った。
「おや?気づいたかな?にしても丁寧だよねぇ~。」
紫自身は誰かと言っていないがその視線は陣に向いていた。そのことから他の生徒にもだれがやったのかは明白になり、何とも言えない視線が陣に集まった。陣はその視線に対して最初は何も反応はしなかったが、少し時間が経った後、便利屋の四人の近くに向って歩いた。その行動に対して周りの生徒や先生どころか四人も疑問を感じていたが、それに対して陣は何も答えず喋り始めた。
「詳しくは答えられんし、それより先に話すべき相手がいる。先生が言ったように俺が個人的にアビドスに手を出すことは無い。そして、今回の件の埋め合わせはいつか必ずする。…願わくば、次は敵対無しで会おう。」
陣はそれだけ言うと転移用の結界を出して便利屋の四人と一緒にその場から消えた。
「アハハハハハハハ。そういう選択するんだ!最っ高だよ!陣。」
周囲は突然、便利屋68が消えたことに動揺していたが、ただ一人だけ紫は楽しそうに笑い続けていた。
今回、セリフとセリフの間の地の文を多くしてみましたがいかがでしょうか?個人的にはイメージがつきやすいと感じるので皆様もそうなれば幸いですが…。本文の話になりますが三人目の名前は綾美です。本当はここで名前も登場させないことも考えましたが紫なら普通に言うようなと思ってそうしました。今回の話で紫の性格は結構出しましたが簡単に言うと快楽主義者です。陣と性格がだいぶ違いますがどんな関係かは今後書いていく予定です。次は残されたアビドスの生徒たちと紫かも?
面白いところや違和感に思ったところなどがあれば感想お願いします。
出来るだけ感想には返答するのでよろしくお願いします。
~視点と最初に書いているが同じ話で視点を変えたほうが良いか。
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変える
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変えない