IS世界で黄金騎士になりたい!!   作:りっくらっくろっく

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萌芽 〜Immature Gold〜 2

 

 

◇約1ヶ月前

 

 

「ISが反応しました!」

「2人目です!2人目が現れました!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいまザルバ....留守番ごくろーさん」

 

 

ザルバを支柱から外し左手に嵌め直す

 

 

[おう犀牙。何週間ぶりの帰宅だ?退屈で死ぬかと思ったぞ]

 

「3くらいか?悪かったよ。檻の中だと時間が分からなくなるってのは本当だったんだな....」

 

 

疲労から糸が切れた様に体をベッドに沈める

 

 

[分かりきってるが一応聞いてやる。適正検査はどうだった?]

 

「...........進学ないなった...」

 

[そいつは、なんだ.....ご愁傷様]

 

 

ことの発端は2月、織斑一夏が女性にしか扱えない兵器であるISを動かした事で全国の男性を対象に適正検査が実施された。

 

その結果、八重島 犀牙(やえじま さいが)が2人目の適合者と発覚してしまった。

 

 

[だが3週間近くをただ浪費したわけじゃないんだろ?]

 

「うん。保護って名目で留置所に入れられた時はどうなるかと思ったけど、千冬(あね)さんが取り計らってくれてなんとかなったよ」

 

[留守中に色々な人間が訪ねてきたが、めっきり来なくなったのはそれか]

 

「おかげで帰宅できたけど、また出なくちゃいけないみたいだ。ウチに大きめのバッグってあったかな...」

 

[押し入れの奥にキャリーケースがあったはずだが、遠出の予定なんてあったか?]

 

「一応俺も保護対象になったわけだし、然るべき場所を手配するとは言ってたよ。そんで必要なものをまとめとけってさ」

 

 

帰宅したその足でそのまま荷造りに取り掛かる。

 

 

「はぁ...面倒な立場になっちゃ.....

 

〜♪

 

「まったくよぉ〜...ヒトがナイーヴなときに電話なんてかける奴はどこの誰だよぉ〜...」

 

『も、もしもし...今大丈夫、か?』

 

「お前はどう思うよ?」

 

 

電話先の声は憎たらしくも安心感を覚える聴き慣れた声だった。

 

 

『あの...ニュース見たよ』

 

「そっか。正直実感湧かねぇな俺」

 

『千冬姉から今日やっと犀牙が家に帰れたって聞いたさ。調子どうかなって』

 

「強いていうなら出所したてって気分だ」

 

『そんな囚人みたいな感じだったのか!?』

 

「でも姐さんのおかげで20日で釈放(パイ)になった」

 

『それなら良かった.....のか?』

 

「帰れただけでも満足さ。お前の方は時間大丈夫か?」

 

『おう!飯も食ったし風呂にも入った』

 

「なら時間たっぷりだな。愚痴に付き合え」

 

『お安い御用!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『───そんでそこに入ったらISが置いてあってさ』

 

「え?じゃあお前は立ち入り禁止のドアの先に行ったってか?」

 

『え、うん.....』

 

「そんであろう事かそれに触れたと....」

 

『う、うん....」

 

[一夏、お前よく今日まで五体満足で生きてこれたな]

 

「まったくだぜ。...ていうか今どこいんの?100発くらい殴りに行くから教えてくれ」

 

『え、いや...それが俺もよく分からなくて。どっかのホテルってことしか...』

 

「ホテルだぁ?さすが世界最強の弟さんだ。俺なんかさっきまで留置所の檻ん中だぞ」

 

『千冬姉から聞いてはいたけどすごい待遇の差だな...』

 

「次会ったらそのハンサム顔の体積3倍にしてやるから覚悟しとけ」

 

『俺のせいなのか!?ぼ、暴力反対!!!』

 

「電話口で叫ぶな耳が死ぬ」

 

『ご、ごめん!....それと、多分俺らってIS学園に入ることになるよな?こっちにその書類が来ててさ』

 

「俺は何も聞かされてないけど...」

 

[お前たちに関しては事態が事態だからな。犀牙も順当にいけばそうなる可能性は高い]

 

『そっか!それじゃ俺たちまた同じ学校なんだな。先んじてよろしくな犀牙!』

 

「勘弁してよぉ。またお前の憎たらしいツラを3年も拝まなきゃなんないのかよ」

 

『えぇ!?中学んときそんな風に思ってたのかよ!?』

 

「ははは!相変わらず良い反応だな、冗談だよ。また3年よろしくな」

 

 

 

 

 

 

 

 

「“兵器“を深く知らずに扱えば必ず事故が起こる。そうしないための基礎知識と訓練だ。理解ができなくても覚えろ。そして守れ。規則とはそういうものだ」

 

 

事前知識の足りない犀牙とゼロどころかマイナス圏にいるであろう一夏を無視して授業はどんどん進んでいく。

 

ザルバの解説と憶測とを照らし合わせ何とか喰らい付く中で誰かが暴行を加えられる音がしたが、いちいち反応していてはキリがなく全てに関して無視を決め込んだ。

 

 

「あの、八重島くんの方は分からない箇所はないですか?」

 

「なんとか...ギリギリですけど」

 

「そうですか。どこか詰まったら遠慮なく言ってくださいね」

 

(そういえば布仏って人も教えてくれるって言ってたな...俺よりは確実に知識もあるだろうし心強い)

 

 

二限目は一夏周りでゴタゴタした以外は問題も起きずチャイムが鳴る

 

 

「これどういう理屈なんだよ...今までの常識が否定されてる気分だ」

 

[おい犀牙、勉強熱心なのは結構だが休み時間くらいリラックスしたらどうだ?初日に詰めてもいい事ないぜ?]

 

「そうだよ〜ざっちーの言う通りぃ。ゆっくりお話しでもしよう」

 

「....じゃあさ、こっちの2項目なんだけど...

 

[犀牙、そういう意味じゃない]

 

「初日なのに付箋がびっしりだね〜。ちょっとくらい怠けてもバチは当たらないよぉ?」

 

「でも何かやってないと不安でさ。なんか教室の空気悪いし、さっきから怒鳴り声もうるさいじゃん」

 

だ・れ・が!!うるさいんですの?」

 

「あわわっ!?」

 

 

ロールをかけた金髪の生徒が本音を押し退けて机にドンと手を置く

 

 

「名前出してないけど自覚があるようでなにより!ていうか、俺が今なにをしてたのか見えないんですか?」

 

[やめておけ犀牙。この嬢ちゃんはさっきからお前のことを名指ししてたぞ。反応しないお前にも責任はある]

 

「じゃあ教えてくれても良いだろ」

 

 

ザルバから手痛い指摘を受け教本を閉じる。

 

 

「えっとそれで、何のご用でしょうかMs.オルコット」

 

「コホン。これはご丁寧に。その心意気に免じて先ほどの粗相は許して差し上げましょう。私の寛大な心に感謝してもよくてよ」

 

 

すらっとした細い指を軽く自身の胸元に当てている。

 

 

「本題に入ってくださいよ。名指ししたからには何かあるのでしょう?」

 

「そうですわね。では率直に申します。こちらのお間抜けさんとは違って貴方は見どころがありますわ。」

 

「...というと?」

 

「あの方は期待はずれでした。ブリュンヒルデの弟であり、男でISを操縦できると聞いていましたから少しくらい知的さを感じさせるかと思っていましたけど、てんで駄目」

 

「ほほう...」

 

「所詮は客寄せパンダか、よくて実験用の猿と言ったところでしょうか」

 

「.......は?」

 

「ですが貴方は身の程を弁えている。己の不足を補うために身を削るその姿勢、評価に値しますわ!」

 

 

ひと通り言い終えて満足したのか、鼻高々に犀牙を見下ろす。

 

 

「....何か言いたげだなザルバ」

 

[お前もそうだろ]

 

 

ザルバをセシリアへ向ける。

 

 

[嬢ちゃん、その傲慢さはいつか身を滅ぼすぞ]

 

「なっ、悪趣味な指輪の分際で口答えですの!?」

 

「ははは、傲慢さに関しちゃザルバの言えた事じゃないだろ」

 

「へー!ざっちーに口悪いイメージ湧かないな〜」

 

「のほほんさんもザルバと一緒にいれば分かるさ」

 

「ちょっと!私を無視して盛り上がらないでいただけます!?」

 

「....なぁ、ひとついいか?」

 

 

普段の柔らかな声色とは打って変わり地を這うような低く暗い声色になる。

 

 

「な、何ですの?」

 

「自論だけどさ、誰かを侮辱するってのはなぁ、そいつと親しく縁がある人間の特権であり不可侵、信頼の証だと考えてる。そのテリトリーを不躾に踏み荒らすようなヤカラと話す口は持っちゃいない。分かったら自分の席に帰りな。もうすぐ授業始まるぞ」

 

「っ....!覚えておきなさい....!!」

 

 

 

 

 

 

3限目は織斑千冬が教鞭を執るようで山田先生は犀牙の後ろでノートを持っていた。

 

 

「あ、あの、気が散るとかないですか?大丈夫ですか?気になるようなら場所を変えますけど....」

 

「いえいえ、お構いなく」

 

 

犀牙もノートを開く。

 

 

「この時間は実践で使用する各種装備の特性について説明するんだが、その前に再来週行われるクラス対抗戦に出る代表者を決めないといけないな」

 

「山田先生、対抗戦の代表って?」

 

「いろいろ役割はありますが、俗に言う学級委員長みたいなものです」

 

「へー」

 

 

千冬も同じ説明をしたのか周りから続々と手が挙がる。

 

 

「はいっ。織斑くんを推薦します!」

「私もそれが良いと思いますー」

「私も私もー!」

 

「織斑くん大人気ですね。八重島くんは立候補しないんですか?」

 

「俺はそういうのガラじゃなので」

 

 

そもそも周りは織斑一夏推薦派で溢れ入り込む余地はないに等しい。

 

 

「今の俺が引っ張れるのは手じゃなくて足なんで。こういうのはもっと実力とリーダーシップのある人間が務めるべきで.....

 

「だったら俺は犀牙を推薦します!!!」

 

「はぁ!?」

 

 

一夏が立ち上がり人差し指を力強く犀牙に向けていた。

 

 

「正気かお前ェ!?」

 

「死なば諸共だ!」

 

「1人で死にな!!」

 

「頼むっ!!一生のお願いだ!!!」

 

「ごめん被る。織斑先生、俺は辞退....

 

「他薦されたものに拒否権などない。選ばれた以上は覚悟をしろ」

 

「そんな....」

 

「よしっ!」

 

[だがこのまま行けば結局は投票多数で一夏がクラス代表になるんじゃないか?]

 

「あ....」

 

「そうじゃん!一夏ァ!負け戦なんて仕掛けてねぇで潔く1人で死にな!」

 

「ここまで来てそりゃ無いだろ!!」

 

(八重島くんはこっちが素なのでしょうか...)

 

「まぁ頼まれれば手助けは惜しまないからさ、大人しく人柱になってくれ」

 

「人柱って....わ、わかったよ...」

 

「なんだ八重島は推薦取り下げか?では無投票当選で織斑に.....

 

「納得いきませんわ!!!」

 

 

セシリアがバンッと机を叩いて立ち上がった。

 

 

「そのような選出は認められません!大体、男がクラス代表だなんていい恥さらしですし、そもそもクラス代表という名誉ある座を罰ゲームの様になすりつけ合うなど到底許せません!!」

 

「....確かにそれは一理あるな、悪かったよ。.....じゃあ先生、俺はこちらのMs.オルコットを推薦します」

 

「....ふざけていますの?」

 

「今はふざけ無しだ。アンタは言ってたはずだ、“自分は代表候補生でありエリートの中のエリート“だって」

 

「も、もちろんですわ!!」

 

「そこまで登り詰めるほどの人間だ。才能ありきだとしても血の滲むような努力で今の地位にいるはずだ。そういう奴こそ上に立って他を引っ張るべきだと俺は思う」

 

「....まさか、貴方からそのような発言が出るとは驚きですわ」

 

「実績と性格は分けて考えてるんでね。一同どうでしょう。ここは色眼鏡抜きにしてMr.織斑とMs.オルコット、どちらがクラス代表にふさわしいのか。...先生、ボード借りますね」

 

「好きにしろ」

 

 

千冬の背後のボードに2人の名前を書き、セシリア・オルコットの名前の下に一本線を入れる。

 

 

「これは俺の票。.....ではまず、織斑一夏が代表にふさわしいと思う人は挙手。」

 

 

手を挙げた人数を数えて正の字でカウントしていく。

 

続けセシリアも同様に行い、集計が終わる。

 

 

「ありゃ、こいつは驚いた」

 

[同票で五分五分か。どうする犀牙?]

 

「正直これは想定してなかったなぁ....先生、いっそ2人で代表は.....

 

「無理に決まっているだろう」

 

「ですよね.....」

 

 

どうしたものかとボードを見つめる中、セシリアから声があがる

 

 

「でしたら決闘ですわ!」

 

「「決闘?」」

 

「ええ!投票が割れたのであればこれ以上の議論は無意味。実力を示すほか無いのではなくて?」

 

 

力強い眼差しで一夏と犀牙を交互に見つめる

 

 

「ちょい待ち、理屈は通っちゃいるが一夏はど素人.....

 

「受けて立つ!!」

 

「少しは考えて喋れバカ!」

 

「いや、あの目は本気だ。ここで尻尾巻いて逃げたら男じゃない」

 

「決まり、ですわね」

 

「......もう知らん勝手にしろ」

 

 

進行役を千冬へ返し席につく

 

 

 

◇放課後

 

 

 

「どうするよ一夏?」

 

「え?」

 

[試合は来週の頭。それまでにISの操作をモノにする必要があるぞ?]

 

「お前のことだから勝ちを目指すんだろ?」

 

「勿論だ!真剣勝負で手を抜くほど腐っちゃいないさ」

 

「じゃあ尚更どうすんだよ?IS動かせるっつってもズブの素人なんだぞ?勝算なんて那由多の彼方だ」

 

「でも一週間あれば基礎くらい.....

 

「相手はプロの卵。基礎こなした程度じゃせいぜい10秒くらい持ち堪えるのが関の山だろ」

 

「や、やってみなくちゃ分かんないだろ?」

 

[勝負に絶対はないと言うが...]

 

「いや、やってみせるさ!例え負けるとしてもタダでは終わらせねぇよ」

 

「はいはいそうですか。そんじゃ俺はお先に。姐さんに整備室に来いってお達しなんで」

 

「おう。またな」

 

 

 

 

 

 

「来たか八重島」

 

「遅れてすいません。道中で大量のパパラッチを撒いてたら道に迷ってしまって」

 

「構わん。それより今回呼びつけた件だがな」

 

 

2人の目線が部屋の中央に置かれた作業台に向く。

 

無骨で飾り気のない整備室ではどうしても浮いてしまう鮮やかなオレンジの物体が鎮座する。

 

 

「この巨大ニンジン型のオブジェは....」

 

「十中八九、束だろうな」

 

 

千冬に送られた“匿名“のメッセージにより判明し現在に至る。

 

 

「どうやらザルバならこいつを解錠できるらしい」

 

「どうだ?ザルバ」

 

[そいつから特殊な信号が流れているな。俺を翳してみろ]

 

 

ザルバを巨大ニンジンに翳して数秒後、いくつかのパーツが隆起しニンジンの正面が観音開きになる。

 

 

「う、うそ.....」

 

「赤鞘と来たか....」

 

 

オブジェの中身は赤い鞘に納められた一振りの剣。

 

名を魔戒剣(まかいけん)といい魔獣ホラーを狩るために魔戒騎士が握る鎧を召喚するための剣。

 

その中でも赤鞘の魔戒剣は特別な意味が込められており、魔戒騎士の最高位『黄金騎士ガロ』の鎧と称号を受け継いだ証でもある。

 

 

すぅ.....はぁ.......これ....俺が持っちゃって良いんですかね......」

 

「なんだ嫌か?」

 

「とんでもない。でもどうしてたば姐が魔戒剣を....」

 

「後々の解析は必須だがひと通り触ってみろ」

 

 

魔戒剣をオブジェから取り出しす。

 

どうやら本家の様に持つ者の精神力で重さが変わる性質は無いようで、遠慮なく鞘から引き抜く。

 

──ハイパーセンサー起動 出力40%

──パワーアシスト起動  出力40%

──シールドエネルギー  残量30%

 

魔戒剣を引き抜いた瞬間、視界一面に様々な情報を映し出される。

 

 

「.....?なんだ、これ...視界が一気に広がったぞ.....」

 

[...なるほど。そいつはISだったのか]

 

「IS?これが?」

 

[正確にはISのシステムだけが限定的に起動してる状態だ]

 

「......こちらでも確認した。ザルバの言う通りのようだ。装甲部分は粒子化されたままか」

 

「先生、俺猛烈に“アレ“がやりたいです」

 

「気持ちは分かるが待て、....初期化(フォーマット)はザルバを介して終わっているようだな。幸い時間はある最適化処理(フィッティング)を済ませていけ」

 

 

10分程度のモニターとの睨めっこの末、最適化処理が終わる。

 

 

「これでその鎧、もといISはお前の専用機だ」

 

「ありがとございます姐さ...いや織斑先生。ところで俺の寮室って結局どうなったんですか?」

 

「織斑の方はなんとか都合が付いたがお前の方までは手が回らなかった。すまない」

 

「え....じゃあ、俺は寝床無しですか!?」

 

「心配するな。警備の観点から一時的に寮長室が当てがわれる事になった。場所は行けば分かる。これが鍵だ。スペアだから無くすなよ」

 

「良かった....何から何まで本当にありがとうございます」

 

「礼には及ばん。お前にしてやれる事はこのくらいだからな.....」

 

 

途端に千冬の声色が重くなる。

 

 

「......どうしました?」

 

「お前は強いな...」

 

「はい......?」

 

「...一夏には私という後ろ盾がある。だがお前には何も無い」

 

「...なるほど。....まぁ、言わんとする事はだいたい分かりますよ。でも気にしないでください」

 

「.....個人を贔屓はできないが何かあれば力になろう」

 

「ありがとございます。でもそうならない事を祈るばかりですね」

 

「....今日はもう部屋にいけ。正式な部屋割りは決まり次第連絡する」

 

「そうですか。では俺はこれで」

 

 

 

 

 

 

 

「寮長室は....突き当たりか」

 

 

ザルバに読み込ませたマップを頼りに長い廊下を歩き続ける。

 

道中他の部屋の扉が少し開いてはすぐ閉じるを繰り返す。

 

バンッ バンッ バンッ バンッ

「ちょ!?やめてください!!箒....篠ノ之さん!!....あっ、犀牙!!」

 

 

先ほどから廊下に響く壮絶な破壊音と親友の叫びがだんだんと近づいてくる。

 

 

「犀牙ぁぁぁぁ!!」

 

「おい待てこっち来るなバカ!!!」

 

「覚悟ぉぁ!!!」

 

 

ガキンッ

 

 

寸前で魔戒剣を入れ込み大惨事は免れた

 

 

「おいテメェ....人を盾にすることに躊躇なかったな」

 

「いやぁ...ちょうど良さそうな物持ってたからさ。てかそれ魔戒剣?本物か!?」

 

「一夏ァ!!!乙女の神域を侵すだけでは飽き足らず他人を盾にするとは...貴様それでも男か!!!」

 

「そう思ってんなら攻撃やめてくれませんか!?」

 

「まずい犀牙!袈裟来るぞ!」

 

「お前...背中に張り付くな!!!」

 

 

ひと振りひと振りが落石を思わせるほどの容赦ない剣戟が降り注ぐ。

 

一般的な竹刀や木刀ならおがくずに成り果てている威力だがそこは流石は篠ノ之束製の魔戒剣。剣本体より先に使用者の限界が訪れる。

 

 

「ま、まずい.....腕が痺れてきた.....」

 

(こいつ...私の剣を悉く防ぐとは.....)

 

 

途端に剣戟が止む。

 

 

「お.......?助かった.....」

 

「...お前、剣術を修めているのか?」

 

はぁ....はぁ......いや全く」

 

「では今の剣裁きはなんなのだ?」

 

「全部見様見真似だよ」

 

「真似だと?誰だ?どこの流派だ?」

 

「いやぁ...誰のどの流派なんて聞かれても...

 

「廊下で騒ぐな馬鹿共!!!」

 

 

パアンッ パアンッ パアンッ

 

 

「な、なんで俺まで....」

 

「全員速やかに部屋に戻れ」

 

 

千冬の一言で2人は頭頂部のコブをお供に部屋へと戻る

 

 

「全く血の気の多いやつだ」

 

「あの剣戟....マジで死ぬかと思った...」

 

「ひとつアドバイスだ。剣を扱うならまずはリストを鍛えろ」

 

「はい...死ぬ気で鍛えます....」

 

「ははは、励めよ黄金騎士」

 

 

 

 

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