ジパングとファイナルカウントダウンをヤマトでやるという実験です。
6章がネタ被りなため公開前になんとか放出をしました。
無限に広がる大宇宙、静寂な光と混沌に満ちた闇の世界。
その暗闇を一隻の戦艦が切り裂きながら進んでいく。
ドレッドノート級前衛武装宙艦ドリフター
ガトランティス帝国の侵略が今日か明日かと迫る中、新型ワープエンジンのテストを行う為ドリフターは木星圏に進出していた。
ドリフターを預かる艦長米倉は元防衛装備庁勤務であり、それゆえにこそ今回の試験航海に甚だ疑問を持っていた。
現在、防衛軍で主流となっているのはヤマトからの流れを汲む日本式のワープエンジンだ。
元を正せばイスカンダルからの技術供与があり、そのデチューン版として存在しているわけだが技術蓄積の結果少なくともガミラス と同程度のものを開発出来たと言う触れ込みで今回のテストが行われている。
しかし古巣である装備庁の友人に聞いても聞いたことがない出どころ不明なエンジンだと言う。
実際米倉自身ワープエンジンについて詳しいわけではないがヤマト搭載のワープエンジン以外まともな開発計画があったと聞いていない。
全くもって信用ならないエンジンに200名近い人間の命を預けるのだから愉快なはずはなかった。
「艦長、ワープ準備完了しました。いつでも跳べます」
気乗りのしない米倉に対して航海長である菊池がまるで機械のように淡々と報告を行なってくる。
吸い込まれるような紅瞳にはなんの感情も乗ってないように見受けられ
こちらを怯まさせてくる、
元マーズノイドの菊池は代々が軍人の家系である、らしい。
幼少の頃よりかくあるべしと育てられたのが理由かはわからないが任務に一切私情を挟まず融通が効かないことで有名だった。
今回の試験航海に際して副官も兼任しているが感情の読めないこの部下が米倉は苦手だった。
複雑な感情を飲み下し米倉は試験開始を告げた。
閃光、跳躍、僅かな目眩
現在の地球式ワープは技術的課題が多い。
その最たるものがワープ直後に発生するワープ酔いだ。
戦場に急行する最など命取りになりかねないが未だこの部分は改善されないらしい。
ぼんやりとするレーダー手に声をかけつつ自身も計器類に目を通していく。
少なくとも手元の機材で不具合は出ていない
「航海長、現在地の割り出しと予定地点との誤差を報告してくれ」
全く信用していない跳躍機関の出来を確かめるべく菊池へと声をかける。
「こちら機関室、緊急です。エネルギーパイプの一部に融解を確認、応急修理にかかります」
結果が出る前から不具合が発生している。ため息をつくのを堪えて現状確認へ務める。確実に他にも不具合は出ているだろう。
「各部署は不具合を調査、報告せよ」
「艦長、こちらを」
そう言いながら示されたディスプレイにはワープ前後の位置情報が記載されているはずだった。
しかし年代表記だけが狂っている。
2161年
おおよそ41年前
自身が生まれる前2度の内惑星戦争すら起きる前である。
なんの冗談だ?
笑えない冗談を言うような性格でなければ場面でもない。冗談だと思いたいと言うのが実情だ。
「ドリフターの自動航行観測機が算出した時空座標です」
思わず皮肉が口をついて飛び出す。
「我々がテストしていたのがタイムマシンだとは聞いていなかったが?」
「自分もです」
流石の無表情っぷりに苛立ちが芽生える。何を他人事のように.
「大出力ワープ時極少数の事例ではありますが時間がズレることがあるというのが報告されています。
おそらくは天測結果を元にズレた時間と空間を算出した物と思われます」
その話は聞いたことがある。元来空間跳躍技術がイスカンダルからもたらされるまで航行用設備が一切なかったのが地球だ。次元羅針盤もイスカンダル製のデッドコピーでしかない。
構造やメカニズムにはブラックボックスが多く未だ未解明な部分も多い。
奇妙な不具合は他にも報告される。
「現在ワープ予定先の火星沖ではなく木星沖に跳躍したものと思われます」
「太陽系内外を問わず一切の通信が不通です。なおこれには地球の防衛軍司令部を含みます」
「地球の光学観測データが地球出発時の地形データと一致しません」
後半は半ば悲鳴のような様相をしていたが一つ一つが否定したい事実を肯定してくる。
さすがに能面のような菊池の顔も若干青ざめて見えてくるのだから不思議なものだ。
「通信長、地球への通信はいまだ不通のままだな?」
「一切の応答がありません、またアンテナの不調も疑いましたがこちらも問題なしです」
そう、これでこちらの通信機の故障であるならよかった、或いは機関に不安がなければ
「機関長、エンジンの復旧状況は?」
「増設したワープエンジンは全損しています、復旧は絶望的です。また過負荷状態になったために通常の波動エンジンにもエネルギーが逆流しています。こっちの復旧には36時間ほど欲しいです」
36時間!24時間ですらない。何にそんな時間を食うんだ!
…いや、理由はおおよそわかってはいる、しかし何故と叫びたくなるのが人だ。
慣れない機材であるのもそうだがそもそもドレッドノート級は高度に自動化なされている。
必要最低限の人員で航行できるとはつまり余剰人員が皆無ということだ。
こんごう型であったならば各部のベテランが仕事を兼任して余剰人員を抽出しダメコン班を増員できただろう。
あるいはかのヤマトならば長期航海に合わせた十分な余剰人員と最後の希望に見合う訓練で間に合わせの応急要員でも専門家並みの仕事ができていただろう。
「なんとか人員を抽出する、可能な限り最短て終わらせてくれ」
甲板部すら載っていない本級で航海科や通信要員は今外すことなどできない、回せるのは砲雷関係の人員ぐらいである。
人足としては専門家で無い以上使いっ走りにしかならないだろうが、いないよりはマシである。
「戦術長、すまないが頼む」
そう言えばびっくりするほど顔を顰めたのは戦術長の青梅である。
髭と眼鏡が特徴的な職人気質な男だ。ガミラス戦時からのベテランであるが元々の所属は宇宙軍でなく海軍だったはず。
そんな男に部下を持ち場から離すような指示を出したわけだ。
事実上の戦闘任務の放棄である。
いい顔をするわけがない。しかし今優先度をつけるなら戦闘部門が一番低い。飲んでもらうしかない。
状況は理解は同じなのだろう。渋顔のままひとつ頷く。
「通信長タキオンバースト通信を許可する。何がなんでも地球と交信しろ。無理だったらここが過去の世界だと断定する。
「航海長、補機のみで通常航行での航海日程を算出せよ。最悪の場合ワープ航法を取らなくても二週間有れば地球に着く。主機は使えない前提で航路の算出をするんだ。それとしばらくブリッジを任せる」
その言葉で菊池はやや引き攣ったような顔になる
鉄仮面にようやっとひびをいれることができた、望ましいわけではないが。
「艦長はどちらに?」
「元は専門家だ、機関室の応援だよ」
格好はつけたが結局のところ使い走り以上のことはできない。
だが概ね機関の調子を把握できたのは大きかった。補機は無事だし機関本体もある程度無理も通せそうだ。
事態が変わったのは交代明け、事件発生後28時間経った時だった。
「艦長!未確認艦18、本艦にまっすぐ来ます。デブリや隕石ではありません!」
「ガミラスか?ガトランティスか?」
「いずれとも違います!自動識別はMAS-1と照合…?
一隻は火星独立艦隊の所属です!他10数隻は未だ不明!」
「再度照合をかけろ!火星艦隊の出現は少なくとも20年は先だぞ!」
「接近中の艦が通信を呼び掛けています!」
「メインに出せ!」
異星人であれば会話ができるか怪しいが少なくともこの28時間で唯一の通信相手だ
「Привет от великих революционных товарищейー」
「未知言語です・・・しかし、これは?システムがオーバーライドされてる?」
通信長の呟きと共にチューニングが合うように意味の理解できる言語に代わる。
「しかるに諸君の所属を述べたまえ…ようやっと通じたようだな?改めてボラー帝国親衛第11巡視艦隊、艦隊司令のベルガーニだ。本宙域はボラー帝国の支配権に編入される予定である。航海の目的及び所属を述べたまえ。」
最悪の二歩手前だ、未確認の異星人国家とファーストコンタクトとなってしまっている。問答無用で沈めればいいガトランティスやガミラスとは違う。政治的な判断が求められる。
だが問答無用じゃない。まだマシなはずだ。
グリーンの軍服にガトランティスに似た緑の肌。だがコサックを思わせる防寒具にもにた制服が大きな違いだろう。
「本艦は地球防衛軍連合艦隊所属戦艦ドリフターである。航海の目的は訓練航海であり、また本恒星系は国際地球連合国に帰属するものである。」
やや驚いた風の異星人。
「このような辺境に国家が存在したとは知らなかった。では改めて本宙域はボラー連邦の支配権へと編入予定である。その予備交渉の為貴国への案内を要求する」
「そのような判断は本職には手に余るものであるから一度本国と交渉が必要だ」
こいつ堂々と地球を属国にするとか抜かしやがったぞ。
「貴艦の通信システム無いし本国との通信が不調なのはこちらで確認できている。
タキオンバースト通信などという電波を広域にばら撒く通信をとっているのがその証拠。
余分な手間をとらせず素直に貴国まで案内をするがいい。どうせようやっと宇宙に出た辺境国家なのだ。変な意地を張ると損をするぞ。
ボラー帝国は寛大である。貴国が献身を怠らなければ滅ぶことも無い。悪くはなかろう」
これは喧嘩を売られたなぁ。買わないわけにはいかない。出なけりゃ舐められずるずると属国まで行ってしまう。
本当に今が過去でもそうでなくても、変わらない。
「一切をお断りする。本艦にはそのような判断をする権限はない。
また本艦は貴艦隊を案内することも無い。もし無理にでも追跡を行うつもりならそれ相応の対応をとらせてもらう」
大きく顔を顰める。がここで交渉を打ち切られても困る。多少なりとも時間を稼がねば戦闘準備さえおぼつかない。
だが至極あっさりと政治将校は話を打ち切った。
「では愚かな選択をしたこと後悔するといい、貴艦を撃沈した後データのみをサルベージさせてもらおう」
実力行使に出てくるか普通?一歩引くとかしない?とはいえ呆けている暇はない。すぐにでも敵艦隊が迫ってくる。
「総員戦闘配置!戦術科は持ち場に戻れない者を退避させろ!機関全力運転は可能か!?」
高度に自動化された弊害で各隔壁は自動閉鎖される。
恐らく機関科の応援に出てた者は殆ど場所に戻れない。
各隔壁近くの退避カプセルに入るしか無い。
「応急修理完了!ワープも可能です!」
「可能な限り、戦闘配置につかせます!」
機関科戦術科の順に返答がある。いずれも鬼気迫る勢いだ。
「一当てだけして時間を稼ぎ一気にワープでずらかるぞ。近接砲雷撃戦用意、主砲三式弾を装填の上待機!」
もしここで拡散波動砲を使えていればまた話は違ったろう。18隻程度ものの数では無い。
ワープが使えるならば波動砲は使えるだろう。だがその時敵が悠長に充填を待ってはくれない。通常砲戦で仕留めるしか無い。
「敵戦艦を中心に鶴翼陣形を形成中、包囲を企図しています」
「全ミサイルハッチ解放、近い順番からバンデット1〜12と設定。各バンデットへミサイルを四発ずつ叩き込め。
主砲は中央最奥の敵戦艦を狙って待機。両舷最大船足敵陣正面を食い破り一気に後方へ離脱する。敵の足を止めることを狙え」
幸いにしてドレッドノートは高度に自動化されている。多少ならば被弾しても人員が不足しても戦闘にも耐えられる、はず。
「艦長、命中は期待せんでください」
つぶやくように戦術長の青海が言ってくる。
「ミサイル斉射はじめ!」
「サルヴォー!」
放たれたミサイルは猛然とビームを乱射しながら突撃してくる敵小型艦をまず狙う。当然のごとく回避される。しかし後続の中型艦は慌てたように回頭をはじめ後方の大型艦艇は動かず迎撃を始める。
射程の関係上どうしても後方の艦へは大型のミサイルとなる為迎撃や回避に専念されれば命中打を出すのにも一苦労する。
しかし牽制の意味としては上出来で、少ない艦艇で欲張った包囲を行ったせいで艦列はぐちゃぐちゃになっている。
本来防御すべき敵旗艦まで走り抜けられるだろう。
中型艦艇にも見事避けられたがどっしりと迎撃を行った大型艦には最低でも一発ずつ対艦ミサイルが命中した。
しかし敵もさるもの、こちらの意図を理解し鶴翼から複縦陣へ艦列を変えつつある。
「敵弾きます!」
通信長も言葉とともに紫色の光弾が迫ってくる。あわや艦橋へ直撃かというところで見事航海長が操艦し避けきった。
高練度なのだろう統制射撃こそ出来ていないが確実に至近弾をたたき出してくる。
「雷撃戦を続け頭を抑えろ、牽制で構わん!主砲、三式!追撃できる艦をここで潰す!
目標、敵旗艦の直掩戦艦2隻、1番2番主砲は確固判断にて射撃、沈めて構わん!」
そう言ってのけられるだけの性能がドレッドノートにはある。
三式弾はミサイルと違い発射タイミングを掴めなければ補足することも難しい。
わざとミサイルの熱源に紛れるよう発砲すればそれだけで追跡は困難である。
「次弾装填は無理だ、外すなよ」
こちらの指示に対し青海は返答する余裕もなさそうだ。
しかしそのかいあって、旗艦直掩の戦艦2隻はそれぞれ1発づつ三式弾が直撃
その内に秘めた破壊力が発揮され炎上することとなった。
「間も無く敵艦隊と交差します!」
大破炎上する敵艦二隻は既に死に体ではあるが敵旗艦は健在だ。
「近接戦闘用意!グレネード、パルスレーザー全て叩き込め!」
瞬く間に対艦グレネードとパルスレーザーの雨が敵旗艦と僚艦に降り注ぐ。
僅かに反応できた砲塔が応射してくるがそのほとんどは防御機構に阻まれる。
つまり一部は命中しこちらを削ってくるということだ。
けたたましいサイレンと共に非常灯へ切り替わる。
「艦尾ハッチ解放!近接信管を設定して余ったグレネードをばら撒け!即席の機雷代わりにするんだ!」
「左舷補助エンジン被弾!応急処置開始!」
「エネルギー充填完了!飛べます!」
一つの指令と二つの報告が同時に飛び出す。
慣性航行はできている今、一気に逃げるべきだ。
「緊急ワープ!」
その言葉と共に艦はまばゆい光に包まれた。
ワープの閃光を再度抜ける
赤茶けた惑星に一瞬、地球を幻視するがよくよく見れば大陸の形が違う。
火星、か
どうやら当初の設定座標にワープアウトした様だ
戦闘は一瞬だったはずだが、艦の被害は燦々たるものだった。
実弾、ミサイルはほぼ払底し左舷の補助エンジンも全損、艦自体の出力も15%ダウンしている
人的被害も深刻だ、全部署で40名近くKIAないしMIAであり、特に被害の多い戦術科では20名近くを失っている。
一時凌ぎこそ出来たものの敵艦隊は此方の空間航跡をトレースして来るはずだ。
迎え撃つか、逃げるか、逃げるならどこへ?
地球は選択肢にない。奴らを地球へやるわけにはいかんのだ。
しかし当てもなく太陽系外を放浪するわけにもいかない。
迎え撃つ、それも全滅させこちらの情報が漏れない様にする為に完膚なきまで勝たねばならない。
波動砲を使う
菊池もそして青海も頷く。
この状況を打破できるのは波動砲を除いて他にはない。
菊池は多少何か言いたげだったが、ぐっと飲み込んでいた。
今の状況では仕方がないだろう。
艦の修理に全力をあげ、また戦闘時に未配置となってはたまらない。
波動砲を打てる程度の応急修理を行い、敵を待つことにする。
程なくして奴らはやってきた。
火星を背にした本艦に対しいっそ堂々とした面持ちで突き進んでくる。
ボラーと名乗った奴らは、どうやら特徴的な陣形を組むみたいだ。
とにかく上下左右に広く厚みのない陣形を好む。
最終的には包み込む様に包囲へと移るのだろうが、正直な話拡散波動砲にとってはいい的でしかない。
敵旗艦の護衛はいない様で、隻数も幾分か減っていた。
「拡散波動砲発射用意!」
号令に従い、艦が鳴動を始める。
あちこちにガタが来ており、波動砲発射後まともな戦闘は不可能だろう。
逆に言えば1射のみならば問題なく打てるという事だ。
波動砲艦隊計画の一隻、何があろうと波動砲を撃つことが出来る事が求められた艦、ドレッドノートの本懐だ。
「エネルー充填70、80、・・・」
ボラー艦隊は陣形をそのままに慎重に近づいてくる。
あの指揮官であれば怒りに任せて突撃を敢行してくるものだろうと思ったが、当てが外れたな。
だが無意味だ。
すでに波動砲の射程圏内に彼らは足を踏み入れてる。
「エネルギー充填100%!」
その言葉と共に艦が大きく鳴動する。
これ以上は持たないかもしれない。
「波動砲発射!」
シークエンスを無視した行為だが、波動砲は問題なく発射される。
と同時に砲口の一部から波動エネルギーが漏れ出る。
まばゆい閃光が幾条もの光へと広がって敵艦隊を飲み込んで行く。
そして全てを焼き尽くす光はドリフターにも牙を剥く。
艦首が最初に裂け制御された破壊が出鱈目に拡散した。
一際強い閃光と共に正面衝突事故のような衝撃に意識を飛ばしかける。
そうしてどうにか確認したのは破断した艦首と死屍累々というしか無い艦橋、そして消し飛ばされた敵艦隊と唯一生き残った敵旗艦の姿だった。
「誰か生き残りは……」
そう呼びかけるが反応はない。艦内通信も全く反応がない。
見える範囲に居る人間はいずれも倒れ血を流し返事をしない。
かく言う自分も艦長席から体を動かすことができない。骨は数本折れて呼吸に支障が出ているから肺にもダメージが来ている。
そしてそんな中艦橋から見える敵艦はこちらも満身創痍ながらゆっくりと向かってきている。砲を動かしてこちらを狙ってきている。
決着をつけねばならない、と言うことだろう。
操艦、索敵、攻撃、全ての機能を艦長席からオーバーライドする。
機関出力は未だ健在。主砲発射も可能。
つくづくドレッドノートはマシンとして優秀だ。
火線というには忍びない低威力の物が流れてくる。
もはや避ける能力もないが被弾を気にせずこちらも距離を詰める。
元から鳴っているアラームと新たな損傷を知らせる報告、そのどちらも聞き流す。
ショックカノンの有効射程を大きく踏み込み主砲を斉射する。
飛び出したのは2条の光線
吸い込まれるように敵艦へと命中する。
一呼吸遅れ爆炎を挙げゆっくりと火星に沈降していく敵艦。
レーダーに敵は映らずもはや脅威はない。
勝利した。その思いが込み上げてきた直後身体中の痛みを思い出す。
アドレナリンが切れたのかもしれない。
そして艦のアラートに目を通す。かろうじて生きていた武器システムはダウンしあちこちで不具合を吐き出している。
自動防護シャッターが降り有毒ガスが吹き出し生命維持装置も稼働限界に近い。
生き残るには地球に行く他ない。
空気と水があるのは近傍ではあそこだけだ。
ありとあらゆるエネルギーを寄せ集め地球へのショートワープを行う。
閃光と目眩、そして激痛。
月軌道だろうか大きく青い地球が見える。
地球を出発したのはつい先日のはずなのに何年も旅をした気分になる。
実際には何十年と前の地球ではあるが。
「何もかも、懐かしい、か」
そう一人呟くと共に意識が遠のいていく。
操舵から手が離れ月の地表へと。
ああここまでのようだ……
2161年5月9日 月面裏
「こちら国連月面調査団、ヴィクター・ハント。クレーター内部に巨大な人工物を発見した!指示を求む!」
to be continued?
この話は?
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面白かった
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改善点はあったが良かった
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面白くなかった