助けた女の子に「…責任を取りなさい」と迫られてる件   作:萩月輝夜

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評価エグいことになってる…これも映画効果ですかね?(震え)
やっぱり真夜様が好きなんですね…。
日間で二位…!UAが3日でもう10万行きそうで泣きそうです。
コメント全部に目を通せてるわけではないんですが皆さん真夜様の制服姿好きすぎません?絶対家元で毒されてるよこれ…(自分も好きですが)

さてさて入学編も後一話で終了予定です。
少しだけシリアス入りますが基本真夜様がハッピーで純愛するだけの作品です。
よろしくお願いします。



入学編③

魔法科高校の地獄の一週間(部活動勧誘週間)がやってきた。

前年の枠が空いていたところに補充された俺と達也、そして教員枠でいる森崎が自己紹介をしていた。俺と森崎は受け入れられたがやはりと言うか一年生達…いや名指しはしていないが達也へ向け「使えるんですか?」と質問が飛んで来た。

摩利先輩を前にして”二科生(ウィード)”と呼ばない辺り自重は出来ているのだろう。だが其に対して一蹴するように告げた。

 

「使える奴だ。私が実力を確認している。司波の腕前は確認しているし森崎のデバイス操作もなかなかだ。そこにいる紫ノ宮の魔法力は私と生徒会長で確認済みだ」

 

強い言葉で「使える奴だ」と宣言すると難癖を付けてきた先輩は黙ってしまうのを見て苦笑したのは内緒だ。

そして渡辺先輩が立ち上がり号令を掛けると先輩達は風紀委員室を出ていく中で沢木先輩と辰巳先輩が「無理すんなよ?」「分からないことがあれば聞いてくれ」と告げて去っていくのを見送ると渡辺先輩から「付いてこい」と言われ

レコーダーと腕章が手渡され確認し腕に付けると達也は備品のCADを借り受け着用する…確かあれはエキスパート?品らしく良いものなのだとか。

 

今回の仕事はあくまでも鎮圧なので大っぴらにあの特化型を使用は出来ないので今回お留守番だ。

俺の魔法はそれ無しでも威力は下がるが問題なく使用できる。

 

装備を整え委員会室を出ると森崎が達也へ対し嫌みをぶつけるがその程度の嫌みなど通じるわけもなく二基のCADを借り受けた事への”説教”をし続けた。目立ちたいだけ云々かんぬん。

説教が終わり今度は達也と仲良くしている俺を忌々しそうに見て踵を返しその場を立ち去った。

その後ろ姿を見て溜め息を吐いた。

 

「目の敵にしすぎだろあいつ……さ、気にせず行こう。仕事が俺たちを待ってるぞ達也」

 

「余り乗り気じゃないんだがな…」

 

「そういうなよ。逆にここで手柄を立てとかないと後々で面倒なことになるぞ?」

 

「……分かった。だが、なるべくなら事件には遭遇したくないものだがな」

 

達也の脳裏には二科と言うことで侮蔑の視線と先ほどの森崎の件が浮かんでいるのだろうか?

どちらを取ったのか分からないがそう呟き部活勧誘している場所へ二手に分かれるのだった。

 

◆ ◆ ◆

 

「マジかよ…」

 

機材を持って巡回を開始しようか、としていると某RPGよりも早いエンカウントで問題に遭遇してしまった。

一人の女子生徒を巡って複数の部活が強引な勧誘活動を行い…身体接触を行っていた。

 

「ちょっ…!どこ触って…やめっ…」

 

これは立派な痴漢行為であり触れられている少女は悲鳴も上げられずただただ身動ぎしているのを見てその周囲を対象としてこっそりと精神干渉系を発動すると熱気が溢れていたそこの部分だけが不気味に削り取られたような雰囲気になっていた。

 

「(”セフィロ・アリエス”便利すぎるな…発動知覚されにくいし。ってあの中心にいるのエリカじゃないか)すみません。風紀委員会の者です。女子生徒への身体的な接触と強引な勧誘は処罰の対応となります。すぐに解散してください」

 

風紀委員会の名前と腕章を見せつけると先程までエリカを取り囲んでいた部活動はモーゼの十戒のように人の波が割れエリカまでの道を開かせる。

 

「えっ?ちょっと朔也くん?」

 

驚くエリカの手を取り走りながら耳元で囁く。

 

「行こう。俺が隠すから…物陰で服直してくれ。乱れてる」

 

「ッ!?」

 

俺はエリカの手を引いて校舎裏の人影が少ない場所へ誘導させ手を離し後ろを素早く向くと当の本人は顔を真っ赤にしてはだけた部分を隠しながら声を上げる。

 

「みるなッ!後ろを向けッ」

 

「…後ろ向いてるから早く直して」

 

衣擦れの音が暫くして収まると問い詰めてきた。

 

「見た?」

 

沈黙は金、というがこの段階では適切ではなかったらしい。

 

「……」

 

「み・た?」

 

見たか?と言われれば見えただろう。ここで黙って立ち去れば良かったがそうも行かない

 

「はい、御免なさい…」

 

俺の記憶に焼き付いているのは色白だが微かに日焼けした肌にスッキリとした鎖骨のライン、そして下着のカップを縁取る飾りとベージュ…確りと覚えてしまった。

 

…しかし()()()()()()()()()()()自分がいたのだ。

 

「(あれ、可笑しいな…美少女の下着姿見たら普通興奮するものなんだが…まるで()()()()()()()()()()()があるんだが…?)つぅ…!?」

 

「こ、これで許したげる…いい!言いふらしたら殺すから!」

 

兎も角として素直に返答した俺の姿を見てエリカは顔を赤くしてぷるぷると震え一発殴る…ではなく蹴りが飛んで来たので受け入れると脛を蹴られて痛かった。蹴りを入れられた後エリカはくるり、と踵を返してその場を立ち去った。

恐らく顔を赤くして下手したら涙ぐんでいたかもしれない。

 

(今度詫びでも入れにいくか…)

 

エリカと分かれた後に巡回を進めるとあれよあれよと問題に行き当たるので内心で「無法地帯か?」と問いかけたいレベルであり終いには”人拐い”が発生していた。

 

「た、たすけてください~~っ!」

 

「わ~」

 

「…無法地帯か?」

 

思わず口に出してしまったトライアスロン・ボード部にてほのかと雫がOBによる強引な勧誘行為が行われていた。

当然ながら其を見過ごす訳には行かないので逃走する先輩達に追い付くために加速術式を展開し並走する。

 

「…うぇ!?君誰!」

 

「風紀委員会です。止まってください」

 

「止まれ、といわれて止まる奴はいないのよ?行くわよッ」

 

停止することを要求したが其を無視してさらに加速しようとしているのを見た。

停止命令を無視し人浚い、そして部外者による校内の侵入…あからさまな”犯罪行為”を見過ごす訳には行かず()()()()使()した。

 

「しかたない、か…」

 

逃走する先輩達へ向け指を突きつけ銃の形を作る。

発動した魔法は加速術式を用いて逃げる先輩達前方に空間質量を変更する魔法を発動し障害物を形成(石ころで躓くような感じに)し無力化させると前にほのか達を含めつんのめるが素早く慣性制御し空間の空気を集約しエアクッションを生成し転倒する前面へ展開すると当然ながら頭から突っ込んだ。

 

「ぐえっ…!?」

 

「ぎゃあああッ!?」

 

まるでボーリングのピンのように頭から突っ込んだOBは気絶しているのか目を回していた。

 

「うわぁあ!?え、え?な、なに…!?あっ」

 

「浮いてる…ふわふわ…わっ」

 

一緒にエアクッションに突っ込んだのか、と思われたほのか達は()()()()()()()()()()()()()()

抱き抱えていた先輩達の腕に摩擦を失くし拘束していたほのか達がすっぽぬけるように仕向けており抜けたほのか達を飛ばさないように空中で加速の慣性を緩やかに落としながら落下させ受け止める形となる。

 

「(意外に複数の魔法を同時展開するの面倒だな)二人とも大丈夫?」

 

「あ、はい…有り難うございます朔也さん」

 

「有り難う朔也さん」

 

受け止めた二人を地面に下ろす。どこにも怪我をした様子はないようで安心した。

 

「どういたしまして…あ、ちょっとまってて。連絡をしないと」

 

視線の先には倒れ気絶している卒業生OB達へ歩き出し魔法を用いて拘束し支給された端末で連絡を取る。

 

『はい、私だ。』

 

通信に出たのは渡辺先輩だった。

 

「トライアスロン・ボート部付近で卒業生OBによる在校生の拉致被害が発生したのを目撃。これを鎮圧し対象を確保しました応援をお願いします」

 

『なに…?ってあいつらか…分かった。私が行こう。それにしても運がなかったな』

 

「というと?」

 

『常習犯なんだよそいつら。ほとほと手を焼いていたが…良い薬になっただろう』

 

「無断侵入に人拐い、制止無視はスリーアウトですからね。きつくお灸をお願いします」

 

『分かった。巡回を引き続き頼む』

 

「分かりました…って雫?どうした」

 

「朔也さん。私たち本来はこの部活に入ろうと思っていたの。ね?ほのか」

 

「はい、元々そのつもりで見学に…」

 

「ありゃ…そうだったのか。ま、まぁ…案内された、と思って」

 

気を失っているOBを縛り上げ解放されたほのか達の会話を聞くとそもそもその部活に入る予定だったらしい。

捕らぬ狸の皮算用…ではないが俺は倒れている先輩達を見て「ご愁傷さま」と呟く。ほのか達を目的の部活動へ送り届けた後巡回に戻ったその最中第二闘技場での乱闘が発生している、と通報を受け駆けつけると制圧され倒れ伏す剣術部員達の中一人背を向け立っていた達也がいた。

 

◆ ◆ ◆

 

「お疲れ。達也」

 

「朔也か。通報を受けたのなら助けに来てくれても良かったんじゃないか?」

 

「いやいや。俺が通報を受けて到着した時点で制圧殆ど完了していたじゃないか」

 

茜色が空を埋め尽くす時刻となった放課後。部活連本部に召集され学校生徒運営の三名に報告をしていた達也を部屋の外で待っていると報告が完了し出てきたところに声を掛けると少しだけ恨み節をぶつけられたがさらり、と流すと苦笑していた。

本日の勧誘週間は終了した為そのまま帰宅することとなる。教室へ戻る道すがら事の経緯を共有することになる。

事の発端は剣道部と剣術部の闘技場の使用時間を守らなかったことによるトラブルでありソコから生徒同士の試合が行われ逆上した男子生徒が高周波ブレードを防具…殆ど紙装甲の魔法も使われていない漆塗りの防具を切り裂いたのを達也は魔法の不正使用と断定し取り押さえた…其を見た剣術部が二科&トラブルを起こした剣道部は拘束されなかった事に逆上し襲いかかるが全てを無力化した…と言う経緯だ。改めて聞くと度胸も腕っぷしも強いのは軍隊仕込みなのだろうか?この世界だと真夜さんが”あの事件”で心を壊していないので達也にめちゃくちゃな戦闘訓練を行っていない筈なのだが…その事に関してはもっと仲良くならないと聞けないか。

 

「普通は運動部員を一人で制圧するなんて出来ないんだけど…達也って規格外、って言われない?」

 

「そんなことはない…お前が来てくれていたらもっと楽だったぞ?」

 

「分かった分かった…今度何かで補填させて貰うよ」

 

そう告げて其々の教室へ向かい荷物を回収して正面玄関へ集合すると既に達也と深雪、そしてレオ達が集合しておりここから喫茶店でお茶をすることになったらしく誘われた。達也の奢りかな?と思っていると裏切られた。

 

「今日は朔也が奢ってくれるそうだ。一人千円まで」

 

先程のその発言に全員が喜色を浮かべているのを聞いて俺は若干達也を恨み目に見ると深雪がクスり、と笑みを浮かべるのを見て過去の真夜の笑みを思い浮かべた。やっぱり似てる…真夜さんに早く逢いたいなぁ。

 

◆ ◆ ◆

 

地獄の一週間(部活動勧誘週間)の最中、生徒会室での食事中に摩利が紗耶香の事でからかい室内が冷凍庫になり掛ける事件が発生したが順調に”第一高校襲撃”の準備が進んでいた。

その際に出た”ブランシュ”と言う組織についても共有が完了して事が起こるかもしれない、と言うことが理解されている。達也の方も暗示状態の紗耶香と会話するのもあと一回…その後放送室の占領が発生するだろう。と考えていると声を掛けられる。

 

「お疲れさま。朔也さん」

 

「ああ、雫…」

 

「お疲れですね…」

 

「ああ。ほのか、二人とも有り難う。でもやっと一息つけるかな」

 

地獄の一週間(部活動勧誘週間)が今日で漸く終わり教室にて肩を回し息を吐いていると雫とほのかが声を掛けてくれた。

疲れが顔に出ていたらしいが…達也の方が激務だったのは言うまでもない。

闘技場でのあの一件で悪名?高くなり魔法による妨害を受けるようになっていたがソコは達也難なく対応して恐怖される存在へレベルアップしていたらしい。噂はこっちまで届くようになっている。

 

(しかし、”ブランシュ”ねぇ…そろそろそんな時期か)

 

達也を狙ったのは反魔法団体”ブランシュ”の下部組織である”エガリテ”の構成員…二科生の中に紛れ込み校内の機密文章を狙うため手先となった壬生紗耶香の想いを屈曲、悪意を増幅させ襲撃事件を引き起こすのだ。

 

(真夜さんから通達は来ている筈…だけどなぁ…)

 

本来であれば達也と深雪が甲司の兄である司一を撃破するのだが…。

 

(拠点って確かここから程近い廃工場、だったよな?あと数日もすれば襲撃予定時刻が決定して全員集合するから一網打尽にやっちゃおうか?でもそうすると達也達の出番が無くなってしまう…ううんどうしたものか)

 

早急に対処しなくてはならない事案だが真由美に摩利と…向こうが可哀想になるレベル。

そして達也と深雪と言う最強が二人いる時点で勝ち目が無さすぎるのだ。俺が手を出さなくとも解決するのでそのままにしておく事に決めた。

 

(まぁ、達也の名前を高める為の”資金源”にさせて貰おう……決して楽したいとか言う訳じゃないぞ?)

 

誰に聞かせるわけでもないが言い訳を心の中で呟き心配してくれた雫とほのかへ標準装備された微笑を浮かべると二人は顔を朱くしていた。熱でもあるのだろうか?

 

「おはようございます。朔也さん…お疲れのようですね?」

 

「お早う深雪。でも俺に比べたら達也の方が大変なんだろ。全く…制圧されたからって襲いかかるって逆恨み…器の小さい連中だな」

 

そう告げると深雪は嬉しそうな表情を浮かべる。

兄の実力を理解し褒めてくれているのが嬉しいのか兄への身の程知らずの行動への処罰への満足感か…恐らくと言うか絶対に前者だろうけど。

 

そんなこんなで授業が始まる数分前になったので着席する。相変わらず森崎達のグループからは目の敵にされているが手を出す、何て事はあの連中にそんな度胸はないだろう。

 

そんなこんなで授業が始まる。既に高校生を過ぎ社会人として生きていた前世で再び勉強をすることになるとは思わなかった。が、これはこれで楽しいので良いのだが…

 

(真夜さんと一緒の学生生活だったらもっと楽しいんだろうなぁ…)

 

と、そんなことを思ってしまった。

 

◆ ◆ ◆

 

朔也がそんなことを思っている一方で真夜はくしゃみしていた。

 

「…くちゅんっ」

 

「奥様、お風邪ですか?」

 

「いいえ。誰かに噂されているような気がして…」

 

四葉家本邸の書斎にて真夜が表向きの家業であるホテル経営の資料に目を通していると不意にくしゃみが出た。

小休止の準備で紅茶を淹れていた葉山が声を掛け真夜が返答した。

 

「そうですか…では奥様の想い人かも知れませんな?」

 

「朔也さんが?」

 

「はい。達也殿と同じ学校に通われている、と言うことで今は授業中でしょう。恐らくですがその事で奥様の事を想いだし噂されていたのでしょう」

 

「…朔也さんが…………………………ハッ!?」

 

そういわれ真夜は朔也と共に第一高校で過ごす光景を妄想し若干トリップし掛けるがハッと我に返って咳払いするが既に遅く葉山から暖かい目で見られていた。

 

「いやはや…奥様は良く笑うようになりましたな。これも朔也様のお陰、ですな」

 

「葉山さん…か、からかわないで頂戴…」

 

顔を真っ赤にして恥じらう当主を見て微笑みを溢す老紳士は一人の少年に対して感謝を覚えると同時に絶対に責任を取って貰わねばならないな、と決意していた。

そんな一方で真夜は朔也との学校生活に対してポーカーフェイスを維持しつつ妄想を炸裂させていた。

妄想に映るのは朔也と学生時代の自分の姿。

 

(朔也さんと一緒に登校して授業を受けお昼は一緒のお弁当をあーんして…)

 

”朔也さん…”

 

”真夜さん…”

 

同じ通学路を待ち合わせ手を繋いで歩く。

 

”はいあ~ん…”

 

”あ~ん…うん、美味しいよ”

 

”良かったお口にあって…一杯あるから食べてくださいね?”

 

お昼休み、少し人目から離れた場所で二人隣り合って顔を朱くさせながら食べさせ合いをさせ…。

 

(放課後は制服デート…)

 

夕日の見れる高台で二人一緒に…

 

”…一緒に居られるの嬉しいね”

 

”朔也さん…///”

 

(お休みの日は何処かに出掛けずにお家で……っ!きゃあ~~~~~~~~~~ッ!!!)

 

”…今日は家に一人だから貴方の温度を感じていたい。…良いかな”

 

”あっ…朔也さんそんな…私たち、まだ学生、なのよ……あっ…!……”

 

お家デートの際に自分のベッドに隣り合って腰掛けそっと重ねた手を合図に顔を近づけると感じる吐息に高まる鼓動…そして互いの顔がゼロ距離になり私は朔也さんに押し倒されて…!あっ、ちょっと朔也さん顔が良すぎるッ!

 

「奥様?」

 

「(ッ!?…ひゃあああああああっ!?)なにかしら葉山さん?」

 

トリップし完全に当主としての表情を崩しきる前に寸でのところで踏み留まった真夜は声を掛けてきた葉山に返答すると指摘された。ギリギリ理性を保つ。

 

「そちらの書類を既に何度も同じページを捲っておられますが…(これ程までになるほど上の空になるとは…文弥様達の予定がつき次第当家へお連れしていただかねば支障が出るやも知れませんな…)」

 

葉山は真夜が恋煩いをしている、と勘違いし此のままでは仕事に影響が出る、と考えていた。

薄皮一枚で真夜が朔也との妄想を爆発させていた事はバレていなかった。

 

「だ、大丈夫よ葉山さん。少し考え事をしていただけよ。(あああああああっ!やっちゃった~~ッ!うぅ…早く朔也さんに逢いたい…)」

 

そんな想い?を汲み取ったのか葉山は話題転換した。

 

「奥様。そういえば昨今”ブランシュ”が動きを活発化させている模様。第一高校にその下部組織”エガリテ”を潜り込ませている様に御座います」

 

その話題を聞き先ほどまで茹で上がっていた頭をすぐさま切り替え四葉家当主としての側面を見せた。

 

「そう…烏合の衆が集まっただけでしょうけどテリトリーを荒らされるのは気分が悪いわね。葉山さん、達也さん達へ”お願い”して対処するように伝えてくださる?」

 

「畏まりました」

 

「其にしても第一高校に仕掛けるつもりかしら?あそこには十文字家のご子息に七草の令嬢もいらっしゃった筈よ?何を考えているのかしらね…(其に朔也さんもいるし…自殺願望持ちなのかしらね?絶対に勝てるわけ無いのに)」

 

さらっと朔也への評価を上げている真夜なのであった。

 

◆ ◆ ◆

 

とある場所にて。

顔を付き合わせ会話する二人の男性がいた。

一人はメガネを掛けた革命家じみた風体の男性と一人はスーツ姿であり筋肉質な男性…だが顔は良く見えないが発する声色は低く存在感を与えていた。

机の上には銀色のアタッシュケースが広げられており中身が露になっていた。

 

「…これは?」

 

メガネの男性が指差す先には()()()()()()()()()()石が嵌まった指輪があり鈍い光を放っていた。

 

「ある一定の魔法力が必要だがこれがあれば能力を底上げ出来る。君の《邪眼》も強化できるだろう。其に”アンティナイト”を人数分用意させた」

 

「ほう…?ここまで用意するとは…見返りはなにかな?魔法科高校の魔法資料?其とも”人材”かな?」

 

男性が目を細める。

こちらの目的を知った上で支援する、と話を持ちかけてきた男は確かにこちらを支援する裏組織と繋がりがあった。

潤沢な火器、そして対魔法師用の”アンティナイト”そして奥の手の”この宝石”だ。

小規模な基地であれば制圧できるほどの資材を投じて協力する目的はなにか、と探りをいれる男だったがスーツの男の目的を納得した、いや()()()()()と言うべきか。

 

「私が望むのは未来だ…魔法師を殲滅し人間が再びこの地球を支配することだ。其以上でも其以下でもない」

 

興味など無い、と言わんばかりにスーツの男性は立ち上がり踵を返す…そのとき背を向けたまま告げた。

 

「…君たちの作戦が上手く行くことを祈ろう。失敗すれば君たちはスポンサーに切り捨てられるだろうからな」

 

「ッ…!ああ、理解しているよ。期待していたまえ」

 

そう無情な言葉を受けた男は少しだけ恐怖の色を浮かべ返答するとスーツの男はそれを背中で受け退出する。

一人になったメガネを掛けた男性は相手が置いていったアタッシュケースの中身を取り出し指へ嵌める。

その瞬間に体に力が漲りあの青い輝きは次第に輝きを禍々しく増していく。指輪の形は”山羊”を象り宝石を取り込んだ。

 

「ふはははっ…素晴らしいっ…此が”力”か…!」

 

男の瞳が紅く輝く。

予想外の”力”がこの世界に入り込もうとしていた。

 

◆ ◆ ◆

 

『全校生徒の皆さん!僕たちは学内の差別撤廃を目指す有志同盟です』

 

遂に学校への差別撤廃を要求する学内有志同盟が放送室をジャックした。

其を受け朔也と達也が出動しマスターキーを奪い放送室を閉じていた紗耶香達を言葉巧みに解除するように促し、其を受け紗耶香がドアを解除するが確保され暴れるが真由美が話し合いの場を設け討論会を開くこととなったのだ。

 

双方時間を置かずに討論会開催は翌日となり有志同盟は複数で登壇し対応するのは生徒会長である真由美たった一人なのは揚げ足を取られないための策であった。

放課後でありながら講堂には多くの生徒…一科と二科の生徒達。一方で風紀委員会は今後に起こるであろう”事態”に際して警備に着いていた。生徒会に属する深雪そして風紀委員会に属する達也と朔也は講堂の守りに就く。

そして始まる討論会…有志同盟の質問に対して真由美が反論、と言う流れを繰り返す。

有志同盟は何かしらの具体策を出さずにただ”平等に”と言う言葉を使い議題を引き伸ばす…具体性の無い観念論に真由美が繰り出す具体的な曲解しようの無い数値を示す真由美に実態の無いスローガンを掲げる有志同盟は反論できる筈も無かった。

そして討論会は真由美によってその趣を呈し始めたのだ。

学内に広がる優越感と劣等感…学校の制度と指導数の絶対的な不足と直ぐには変えられない現実、一科と二科のカリキュラム内容が同じであること…諸々を突きつけられ論破された。

 

(会長…俺が生徒会室で言った台詞引用されたんですね…なんか恥ずかしいな)

 

有志同盟のスタンスを崩す言葉に真由美に問われた自分の台詞が引用されており気恥ずかしさを覚えたがそれを聞いていた深雪が此方に笑みを浮かべていた。その言葉と真由美の表情は一科と二科にインパクトを与えていた。

そして真由美はこの差別へ対する制度を改革する…という公約を宣言する場所に変えてしまう。

完全に場を支配し飲み込まれた有志同盟の反論は完全に消え公約を表明した真由美は生徒より拍手で受け入れられこれにて一件落着…というわけには行かなかった。

 

(ッ始まったか…!)

 

拍手が鳴り響き全員が陶酔していたその最中、講堂の窓を震わせ爆音が鳴り響いたのだった。

 




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