助けた女の子に「…責任を取りなさい」と迫られてる件 作:萩月輝夜
皆様有り難う御座います…そして漸く入学編が終了。
前回戦闘パートが多かったので今回は真夜様成分マシマシです。
解釈違いを引き起こしていたら大変申し訳ない…妙齢な美女が年下の男の子にうにゃうにゃするのって良いと思いませんか…。
禁断の同週に二話投稿…。週末は旅行の為次話投稿厳しい為宜しくお願いします。
頭がぼうっとして身体が気だるさを覚えていた。意識がぼんやりと浮かび上がってくる。
「…いつつ…」
「あっ、お兄様!朔也さんがお目覚めになりました」
頭の後ろに柔らかいものを感じ取ると視界が逆さになって空を見て黒くなっているのに気がつき何故?となっていると自分が置かれている状況とどうしてこうなったのかを思い出した。
「大丈夫か朔也」
「ああ…大丈夫。…俺想子使いきり寸前まで行って…」
「ああ。ギリギリのところだったぞ。後ろから倒れたときは心配したが」
「そっか…二人は大丈夫か?」
朔也は自分の危機的状況を棚に上げ達也と深雪を心配する素振りを見せると深雪は困ったような表情を浮かべ達也は少し目を見開いて呆れたような言葉を掛ける。
「ったく…人の心配をしている場合か?」
「俺の想子の保有量は他の連中より格段に多い。あともう二回打ってても問題ないよ」
正直無理であるが強がりを言って見せると達也は短く「わかった」とだけ告げ黙ってしまう。
「…そもそも俺、なんで深雪に膝枕されてるの?」
「固い床で倒れているのは可哀想です、と深雪が膝を貸したんだ。今はありがたく使わせて貰え」
無愛想な口調だが此方を案じているのが感じ取れる。そして深雪も自ら率先して膝を貸してくれている様だった。
「私がしたかったからお貸ししてます。兄と…私を助けてくださったその勇気に敬意を表して…そして感謝を。…本当にありがとうございます。朔也さん」
優しく微笑む表情が記憶に在る真夜と重なる。
その笑みを受け朔也も微笑んだ。
「…どうしたしまして。深雪にそう言ってくれるのなら体を張った甲斐もあったというものだよ」
「朔也」
「?」
「お前は…あの怪物の正体を知っているか?」
達也の表情は固い。そう問いかけるのは自分の魔法と特異性が通じない相手が現れたのだ。即ち深雪に害が加えられるということであり実際に危うく自分と共に命を落とし掛けたのだから。
そしてあの場で驚いた表情を浮かべたのを見て
「(ここで情報を共有しておいた方が良いんだろうけど…確証は持てない。さっき拾った
嘘と真実を織り混ぜて誤魔化す。
朔也の表情と言動を聞いて達也も”嘘はついていない”と判断したのか先程までの固い表情は薄れ何時ものような希薄した表情へ戻った。
「…そうか。一先ずは感謝を…お前がいなければ俺たちは取り返しのつかないダメージを受けていただろう。
「…流石、と言うべきなのかな…まぁいいや。気にするなよ。”友達”…だろ?」
深雪に膝枕されながらウインクすると膝枕をしている少女は妙に格好がつかない状態の朔也を見てクスり、と笑みを溢し達也も釣られて「フッ…」と息を漏らした。
「さ、帰ろう。そろそろ後の事は十文字先輩がどうにかしてくれる」
「そうだな…魔法を使いすぎて腹がへったよ俺は…」
「あっ…朔也さん頬を…」
「え?ああ、さっき吹き荒れた風で切ったかな…」
「今手当てをします。…あ。」
治癒魔法を行使するほどの想子が枯渇していたことに気がついた深雪は頬を朱く染める。
「(こういうところまでそっくりだなぁ…本当に)そしたらコレでも貼ってくれる?コレ最新式の自然治癒補強パットだから」
「わかりました。では…」
腰のポーチからそう言って取りだし深雪は疑うこと無く手に取り傷が着いた頬に張り付けてくれた。
治療を終えて達也の肩を借りて激戦の後の廃工場を出る。外で構成員と戦闘していたレオ達に介護されながら車に乗り込んだ。
事件の後始末は十文字先輩が引き受けてくれた。首謀者である司一は既に死亡…壬生先輩の剣を曇らせた相手にケジメを取らせようとしたが既に相手はおらず…その相手を目撃していた俺たちに何がどうなったのかを問い詰めてきたが俺と達也は口を合わせで誤魔化した…
朔也達の行為は過剰防衛、器物破損、殺人にエトセトラ…と重罪待った無しになるのだがソコは十師族という特権階級による権力によって放免となるのは当然の帰結でありそもそも十文字家の総領が関わった魔法事件に一般の警官が関われる筈がないのだ。
◆ ◆ ◆
警官隊の車両と十文字家の家人が出入りする廃工場は規制線が張られ進入禁止となっている。
その場所を一望できる郊外の高台にてスーツ姿の男が呟く。
「所詮は木っ端の魔法師…有象無象には扱えぬ代物だったか…だが予想だにしない情報が手に入ったのは僥倖、だな」
手にしている端末には先程の廃工場内部で繰り広げられていた”死闘”の光景が広がっている。
「”コア”の暴走…術者の命を使った”転召魔法”…魔法師を使い捨てするのと適合する術者がいなければ呼び出すことは難しいが嵌まればあれ程に対抗できるようになるとはな」
魔法科高校の生徒は優秀だ、という話を聞いていたが領域外の怪物を相手に渡り合うには力が足りていなかった…しかしその中でも一人の少年はその攻撃を拒絶し”邪神”を滅ぼした姿を見てニヤリ、と邪悪な笑みを溢し告げる。
「紫ノ宮朔也…随分と面白そうな少年だ。君は此方を拒絶するのかそれとも…
そう呟き男は踵を返すと光のゲートが開き歩みを進め入ると消えてしまった。
まるで最初から”いなかった”かの様にーーー。
◆ ◆ ◆
事件の後を話そうと思う。
第一高校で起こった事件は無かったことにされた。
それも当然で魔法師へ対する不祥事を
図書館の機密文書保管庫の扉を壊したのは達也だったがそれもテロリストが壊した、ということになっているらしい(こっちに関しては自己申告をしていないため学校側が勘違いしている)。
事件に関わった紗耶香はマインドコントロールの影響も鑑みて入院を余儀なくされ経過観察中。
司甲も兄からの深刻なマインドコントロールを受けていた、と判断をされお咎め無し。長期療養、という名目だが自主退学することは確実だろう。
あの後達也から魔法に関しての質問が来たが答えなかった、いや答えたくなかったと言うべきか。
達也も自分が”分解”を使ったことに対して突っ込まれることを恐れたため互いに”見なかったこと”にしてた。
数日が経過し五月となった。
土曜も授業がありその日に入院していた紗耶香も無事退院し剣術部の桐原武明と付き合っていた、というのを深雪経由で聞いて微笑ましい気持ちになったと同時に羨ましい気分にさせられた。
騒々しい非日常から一校生が日常へ戻り始めていたそんなある日。
「ごきげんよう。亜夜子さん、文弥さん」
「ご当主様お久しぶりに御座います」
愛知県に在る豪奢な邸宅…四葉分家の一つである黒羽家の一室にて双子の姉弟がモニター越しに真夜と向かい合っていた。姉亜夜子は落ち着いているが弟の文弥は緊張しているか口調が固い。
その光景をみて真夜はクスり、と笑みを溢す。切り出しは早々に通信をいれた理由を述べる。
「さて…お父様の貢さんからお話は少しだけ聞いていると思うけど改めてお伝えします。二人には私の”お客様”を迎えに行って欲しいの」
「お客様?ですか…恐れ入りますがご当主様。迎えに行くだけならばわたくし達でなくともよいのでは…?」
その疑問は尤もであり彼女達の仕事は諜報や交渉といった裏方の仕事であり送迎は含まれていない。
小間使いのような仕事の内容に疑問…そして少しだけ不満を抱くのは当然であったが亜夜子は中学生ながら四葉の仕事を任せられているため不満は表情に出さない。
しかし、ソコは年の功と言うべきか…真夜に見透かされておりまたしてもクスり、と笑われた。
「そうね…本来なら貴方達にお願いするのは憚られたのだけどね…その腕を見込んでの事なの。達也さん達はまだ四葉だ、と知られるわけには行かないし他分家はそういった諜報や腹芸をするには不向きですからね。……それに迎えに行って欲しいという人物は私にとって…とても大切な人なの」
真夜から”信頼している”という言葉が飛び出せば双子は喜びと共に断るという退路を絶たれた…いや最初から断る気など無かったが。
それに当主が自分達が今までみたこともないような表情を浮かべているのをみて特に弟の文弥は顔を赤らめている。
「…わかりました。ご当主様の命令とあれば喜んで引き受けさせていただきます」
「そう?助かるわ二人とも。それでは詳細なデータをそちらへ転送するから宜しくお願いしますね」
「かしこまりました。ご当主様」
そう告げるとモニターが落ちる。黒く自分達の顔が映るだけになったモニターから視線を外し丁度送られてきたデータを確認していると顔を見合わせる。
「この方がご当主様が連れてこい、と命じた方…?」
「なんか随分と…」
「「すごく整っている顔の普通の人ね…」だね…」
そう意見が一致していたのだ。
通話を終了した真夜の書斎では椅子へ腰掛け燐光のローブを抱き締める。
「やっと…逢える」
そう喜ぶ真夜だったが再開したときにどんな言葉を掛けようか、と思案しているとこの三十三年待たせられたことにたいする鬱憤が吹き出してきた。
「女の心を弄んで待たせた挙げ句自分だけ若いだなんて…面と向かって文句言ってやるわ…!」
そう告げる真夜。しかし自分の男性観を狂わせた青少年を目の当たりにしたらそんなことがどうでも良くなってしまうのだが。
朔也が来るまで真夜はずっとそわそわして椅子を立ったり座ったりを繰り返した。
◆ ◆ ◆
「…そろそろ俺を黒羽姉弟が拐いに来てくれないものか」
土曜日の午前授業が終了し帰宅している最中呟く。授業が終わり喫茶店へ誘われていたが断った。
冗談じみたことを下校しアパートへ向かう最中部屋の前に黒塗りの高級車が止まっているのが俺の視界に入ったのを確認したのか扉が開くと二人の
「紫ノ宮朔也さん、ですね?」
一人は縦ロールの黒髪ツインテールのゴシック…コケティッシュな衣装を身に纏う美少女。
「我々に着いてきて頂けますか」
もう一人はショートカットの黒髪のニットワンピースを着用する美少女…だがそれは”偽り”であることを朔也は知っているが口には出さない。そんなことが吹き飛ぶほどに待ち望んでいた人物が目の前にいるのだから
「!?…(言霊、って本当に在るもんだなぁ…!来てくれたよ本当に…!)えと…はい。そうですけど。君たちは?俺怖い人たちからお金とか信頼を借りたこと無いんだけど…」
冗談じみたことを口走ってみるとツインテール少女はクスり、と笑みを浮かべる。
「くすっ…ここでそんな冗談を言える余裕があるとは…在る意味で大物ですわね」
「姉さん…本当にこの人がご当主様が”連れてこい”って命じた人なの?カッコいい人だけど普通の人過ぎないかな…」
姉へ声を掛ける少女の目には目の前にいるのはどこにでもいる普通の青少年にしか見えなかった。
「ヤミちゃん…人を見かけで判断しない、って何度も言ったでしょう?こういう人畜無害な方が鬼畜だったりするのよ?それとここではヨルと呼びなさいと言ったでしょう?」
姉弟喧嘩?をしているのを見届けてから頬を掻く。しかし、鬼畜とは…女の子が使う言葉ではないだろう。
「あのう…結局俺はどうしたら良いの?」
「「あ…」」
声を掛けられハッとする二人。姉と呼ばれた少女が咳払いして改め用件を告げる。
「んんっ…!それで紫ノ宮さんご同行願いますか?」
「嫌だ、って言っても連れていくんだろ?いいよ。俺を呼んでいるのは…もしかして”四葉真夜”だったりする?」
「「!?」」
その名を告げると先程までの柔和な笑みは鳴りを潜め鋭い気迫が二人へ届くと同時にそう告げると二人は驚き構えた。しかし此方に敵意が無いことを示す為に両手を上げる。
「どうして…?」
「少しだけ”彼女”には面識があってね…連れてってくれる、と言うなら願ったり叶ったりだよ。それにすぐに表情に出すのは宜しくないな。黒羽文弥くん?」
明らかに自分より年上の真夜を”彼女”扱いするその言動に底知れないナニかを感じより恐怖に補強が入る。
纏っている雰囲気すら”偽装”してるようだ。
「ッ…!?」
「貴方、一体何者なの…?」
少女の問いかけに少年は薄く笑うだけで多くの事は語らなかった。目の前の少年が一気に得体の知れない怪物に見えた。しかしそれは瞬時に鳴りを潜め柔和な笑みに戻る。
「それはもっと仲良くなってから教えさせて貰うよ。抵抗するつもりはないから連れていってくれるかい?」
「…すみませんが…目隠しをさせて貰います。所在を知られるわけには行きませんので」
「うん。あ、でも痛くしないでね」
そう告げ車内に連れ込まれる朔也は目隠しと外部の音を聞き取れないように施され暫くの間車両に揺れる事数時間…車が止まり目隠し諸々を解除され視界に飛び込んだのは見慣れた邸宅の門扉だった。
「お待ちしておりました。紫ノ宮朔也様」
そのすぐ近くにいる執事服を着こなす老紳士が朔也を迎え入れた。
「私は執事の葉山、と申します。奥の書斎にて”お嬢様”がお待ちです」
「紫ノ宮朔也です。此方こそ…よろしくお願いします」
ここまで連れてきてくれた姉弟へ感謝の意を示すと先導する葉山の後についていく。
屋敷の中を進むと迎え入れられているのか敵意は感じなかった。暫くして目的の場所へ到着する。
「此方にて。”お嬢様”、朔也様をお連れいたしました」
『…どうぞ』
葉山に待機するように指示されノックすると室内から声が届く。入室を許可され扉が開き葉山は室内にはいること無く手前で待機し朔也へ入るように促すとその部屋の主が待つ場所へ足を踏み入れる。
「………」
部屋に差し込まれる光が部屋の主を照らし出す。顔は見えずに後ろ姿が視界に入るだけだ。
しかしその後ろ姿はあの日、助け出した記憶の中に在る人物の姿のままだった。
歩みを進め室内にいる人物へ一声を掛けると後ろを向いていた”少女”が俯いたまま振り返る。
「真夜さん…ごめん、待たせてしまった」
苦笑と微笑を浮かべながら一歩近づく。
微かに見える顔に浮かべる表情は記憶に在る”少女”の面影…いや
声を掛けると少し俯いたまま此方へ返答してくれる。無言のまま《流星群》を飛ばされたらどうしようと思ったのは内緒だ。そしてまた一歩近づく。
「ッ…本当です。三十三年も待たせて言葉はそれで終わり?他にはないのかしら?」
怒っているのは当然だろう。
三十三年という月日は無垢な少女を経験深い妙齢の美女に変えるには十分すぎる年月だ。
「…ッ!本当に返す言葉もない………どうしたら許してくれますか…?」
また一歩、と近づく。二人の距離は既にあと一歩踏み出し手を伸ばせば届く距離に近づくと”少女”はパッと顔を上げたその表情は紅潮し目は潤んでいた。
「…許しません。待たせすぎ、ですっ…!」
”少女”の泣き顔が一番心に来るものがある。自分がロクデナシと自覚するには十分だった。
「…ごめんなさい……おっと…」
そう告げると”少女”…四葉真夜は朔也の胸の中に飛び込んできて顔を埋めた。
よろけずに受け止めると顔を胸に埋め自然に身長差があるため上目使いとなる。
「ギュッと抱き締めてくれたら…三十三年のうちの1ヶ月はなかったことにして上げても…良いですよ…?」
上目使いで見上げるその表情は愛おしすぎて唇を奪ってしまいたいほどだった。
「それは…手厳しい。その三十三年を許されるにはどのくらい抱き締めたら良いんですかね?」
胸元に埋まる真夜の体を強く抱き締めると「んあっ…///」と声が漏れるのを聞いて力を弱めお互いがお互いの背中に手を回し抱き締め合う。
「きょ、今日一日、抱き締めてくれたら一年位は帳消しにして上げます…」
許しを得た日数が増えて困惑したが抱き締められる理由を与えてくれた真夜に感謝しつつ抱き締めた。
「…はははっ…了解です。真夜さん」
「……」
「…待たせた俺が言うのもあれですけど…ずっと……抱き締めたかったです」
「……(もうなんでそんなことを素面で言えるのよ!バカバカバカッ!!!んもう…!好きッ!)…バカ!」
百面相している真夜の心情を知ってか知らずか。追撃する朔也。
「……(本当に可愛いなあ…真夜さん。)本当に可愛いなぁ…真夜さん」
「ッ!!……バカッ!誰も彼もそんなことを言ってるんでしょう?」
「?真夜さん以外には言わないよ」
真顔で柔和な笑みを浮かべそう告げる朔也。本心であった。
「!?…うぅ~~~~~ッ」
思っていることを口にだして胸をポカポカと叩かれ「たはは…」と微笑を浮かべる。
顔を真っ赤にして待ち焦がれた少年が目の前にいて抱き締めてくれている。
その温もりと鼓動が幻ではなく現実であることを示してくれた…その事が嬉しすぎて天にも上るほど嬉しすぎて声を掛けられるまで時間を忘れていた。失われた青春がここから始まるかも知れない…。
その事を葉山にからかわれることになるのは別の話。
今回の話で最終回で良いんじゃないかな…と思ってしまう終わり方にしてしまった。
最後にアンケートを取りたいと思いますので宜しくお願いします。
追記…アンケートの内容ご指摘を頂きましたので訂正致します。投稿してくださった皆様の申し訳ございませんでした。
感想&評価待ってます。
九校戦から真夜様を参加させるとしたらどの年代が良いですか?
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十二歳ぐらい(中学生ぐらい)
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十六歳ぐらい(主人公より少し上お姉さん)
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本編(よりは若二十代それで制服を…)