オラリオに流れ着いたのは間違いでしか無いだろう 作:Astrad
紫音のベートへの好感度はかなり高いです。
ソーマ・ファミリアの本拠地にて、破落戸共は繁栄を謳歌していた。リリルカ・アーデから脅し取った財産を飲み代として酒盛りをする連中や、更なる強請り集りを企む者共。凡そ紫音が心底嫌悪する要素を兼ね備えた阿呆共がそこには集っていた。
「それじゃ、行くとしますか。ベート殿、よろしく頼みますよ。ベルは2人を守る様に」
発見を避ける為に、ソーマ・ファミリアから少し離れた所で小休止を取り突撃前の軽い号令をかける。フィンには使い魔を使って事の次第を伝えておいているので程なくして事態の収拾に動くだろう。正直、ロキ・ファミリアを巻き込む為にベートに同行してもらった部分もある。
「ああ」
「はい!」
無愛想な返事と活力に満ちた返事を聞いて、私とベート殿の2人が先陣を切ってソーマ・ファミリアの本拠地の敷地へと足を踏み入れた。
「全く、門番1人置かねえなんて、どこまで腐ってやがる。」
ベート殿の言葉の通り、外には誰もいない。いや、正確には酒に溺れて気を失っていると思しき者共なら転がっている。酒を司るファミリアとしてはあるべき姿なのかもしれないが、欲に溺れた時点でどうしようもない阿呆共でしかない。
屋敷の正面玄関、その大扉を蹴り飛ばし突入する。恩恵を持っている眷属が大半であるだろうから、蹴り飛ばされた扉だけで死亡する事はないだろう。轟音に反応して出て来た者共、吹っ飛んだ扉に巻き込まれなかった者共剣を抜き、襲い掛かってくるがベートと紫音に蹴り飛ばされ、一瞬に壊滅する。
「さて、これで大半は除けたでしょう。ベート殿、彼等を頼みます」
殆どの敵が動けなくなったことを確認して、別行動に移る。
「おい、何処に行く気だ」
案の定、ベート殿が咎めてくる。
「彼らの資料を。噂話が真であるのならここは闇派閥と繋がっている可能性が高い。フィンが来る前に可能な限り抑えておく。それに...」
紫音は一瞬ためらう様子を見せたが、その言葉を口にした。それを聞いたベートは納得し、ベル達を連れて上階へ連れて行った。
「さて、あるかなー」
ベル達をベートに任せ、家探しを行う。この肉体は知覚範囲が極度に広いわけではない。だから、音の反射による空洞のチェック、直感に基づいた探査等を行って隠されたものを探し出す。
「おっと、これは...!」
団長の部屋にあった隠し金庫、中をこじ開けるとそこには一つの眼球と闇派閥との取引が記された裏帳簿、そして魔導書が数冊、後は換金性の高い金のインゴットが幾つか隠されていた。一先ず眼球をしまった矢先に新たな気配を察知する。
「こんばんは、フィン。早速だがこれをどうぞ」
一人で急いできたであろう笑顔の下に怒りを滲ませているフィンに、裏帳簿をプレゼントする。
「やってくれたね、紫音。僕を巻き込む為にベートを同行させたんだろ?で、これは…!」
ひとしきり文句を言った後、帳簿を開き始めたフィンは一目で内容を察する。
「ま、そういう事だ。少なくとも団長を始めとした数名は闇派閥との取引を行っている。そうだ、ガネーシャの所には声をかけたか?」
「ああ。ラウルに行ってもらっている。多分もうすぐ来るだろう」
流石はフィン。丸投げしても最高の結果を出してくれる。
「所で、先日君が倒した物について聞きたいのだが、良いかな?」
「構わんが、余り言えるものはないぞ?」
「それでもいいさ。少しでも情報が欲しい。あの敵について、僕たちは情報が少なすぎる。」
貪欲に情報を求める彼。渡せるものなら原作知識も渡したい所だが、30年近く昔に読んだものだからそこまで覚えていないんだよなぁ...
「正直な話、アインナッシュに近い感じなんだよなぁ...」
「アインナッシュ?」
フィンは怪訝な顔をする。
「私があっちで戦った死徒...モンスターの一種みたいなものだが、あの女は多分大本の端末にしか過ぎないような感触だったなぁ」
「そっかぁぁ...よし、紫音。借りを一つという事で、遠征に来てくれないかな?保険が欲しい。」
少しためらうそぶりを見せた彼は、そう尋ねて来た。私の回答は言わずもがな。
さてここからは纏めに入るが、この後数分後にガネーシャ·ファミリアの部隊が2個分隊ほどラウルに連れられてやって来た。彼等に証拠を渡し、事後処理を押し付けた私達は取り敢えず解散する事にした。翌日、ガネーシャ·ファミリアに出頭した私は、色々な情報を基にガネーシャとお話する事でリリルカの犯罪歴を握り潰してもらった。
翌々日の早朝。
「アイズさんと訓練!アイズさんと訓練!」
浮かれ白兎はオラリオの旧市街、城壁へと向かう道をスキップしながら歩いていた。これには理由がある。昨日、バベルに赴いた時に彼は彼女に出会う事があり、その時に訓練の約束を取り付ける事に成功したのだ!
浮かれていた白兎は周囲への警戒を怠っていた。故にその衝突は避けようがなかった。
突如横道から現れた山吹色の弾丸により、ベルは轢かれてしまう。レベル3とレベル1、故に彼は踏ん張る事もできずに押し倒される。
ベルの眼の前にいるのは山吹色の髪をした妖精。ロキ・ファミリアのlv.3魔導士たるレフィーヤ。
「ごめんなさい!大丈夫ですか…ってベル!?いつの間にこっちにいたんですか?」
彼女はこの白兎と面識があった。祖母に連れられ世界を巡っていたベルは一時期、学区に身を寄せていた時期があったのだ。
「レ、レフィ…?」
「レフィィィ?私を何て呼ぶべきか、しっかり教え込んだのに...まだ教育が足りませんか?」
頓珍漢な呼び方をした白兎は思い出す。この妖精が自分に強いてきた呼び方を。
「レフィーヤ…義姉さん」
程なくして2人は、押し倒しているかの如き姿勢を解き、歩きながら話していた。彼が学区から離れ、世界を旅していた時のこと、そして彼がオラリオに来てからの事。
「そう言えばベル、御姉様…アイズさんを見ませんでしたか?」
彼の動きを一変させたのはこの言葉。動きがぎこちなくなっていくベルが何かを知っていると判断したレフィーヤは追求を始める。
「ベル、何か知っているのですか?」
肩に手をかけようとした瞬間。
「ごめんなさぁぁいぃぃぃ!!」
白兎は全力で逃げ出したとさ。
「なんか、すごく疲れているようだけど...大丈夫?」
「だ、大丈夫です...」
城壁の上で訓練を開始する前、こんな一幕があったとさ。
「ベルのバカ、一体どこに行きやがったんですか...!」
旧市街地でベルを見失った後、彼女はあちらこちらを捜索していた。そして、城壁の上に2人を発見し、怒りのまま突き進もうとした所に。
「はい。ちょっとストップ」
縄で簀巻きにされ、空に吊り上げげられた。
「ひゃぁああああ!だ、誰ですかって、紫音さん?」
「こんにちは、レフィーヤ嬢。君のはやる気持ちはわかるとも。だが、うちのベルの為に少し目を瞑ってくれないかな?」
昨日、アイズ嬢との訓練の約束を取り付けたから朝の訓練を暫く休ませてほしいと聞いたからこっそり尾行していたが、色々とレフィーヤ嬢の反応がおかしい。
「うちの...?」
おや...?何か地雷でも踏んでしまったか?
そう思いながら次の言葉を待っていると、次の瞬間彼女は縛られていることを忘れているかのごとく暴れ出した。
「ベルは私の義弟です!あの白兎は私の弟だっって魂が叫んでいるんです!なのにアイズ御姉様の所にふらふら寄りやがって…!」
ふーむ。これはどうした事か...この問題は早めに解決しておいた方がよいが、原作だとどうだったか...まだ余り関係がなかったはずだが、いや、もう原作は気にしない方がよいな。
そんな思考を背景に、紫音は一つの回答をたたき出した。
「よし、それではこの私がその悩みを解決して進ぜよう。レフィーヤ嬢、お耳を拝借...」
彼女はその言葉を聞いた後、少し考えこむ様子を見せた後、首を縦に振った。
この世界のベルはヘラと一緒に世界を旅したことがあり、その途中で一時期学区に身を寄せる事がありました。そしてレフィーヤに義弟にされました。
レフィーヤ:ベルの祖母がヘラなのを知っている
ベル:紫音とシルが人間ではないことを知っている
紫音:アルフィアが義母なのを知っている
眼球に関しては紫音が隠したので誰にも気づかれていません。