【黒山の狼、乱世を嗤う】   作:パスカルDX

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第二百六十一話 交わる想い

第二百六十一話 交わる想い

 

 

建業城を後にした時雨は、数百騎の護衛を従えて燕への帰路についていた。

 

降伏勧告は拒否された。

 

北郷一刀の挑戦も受けた。

 

次に会う時は、赤壁。

 

それが最後の戦いになる。

 

夕暮れの街道を馬で進んでいると、不意に背後から声が響いた。

 

「時雨!」

 

聞き覚えのある凛とした声だった。

 

時雨が馬を止めて振り返る。

 

一人の武人が街道を駆けてくる。

 

長い黒髪を揺らし、青龍偃月刀を背負ったその姿。

 

愛紗――関羽だった。

 

護衛の黒山兵たちが警戒して前へ出ようとしたが、時雨は軽く手を上げて制した。

 

「大丈夫だ」

 

愛紗は時雨の前まで来ると、深く頭を下げた。

 

「少しだけ、お時間をいただけませんか」

 

時雨は護衛へ目配せする。

 

「少し離れていてくれ」

 

黒山兵たちは一礼すると距離を取った。

 

街道には時雨と愛紗、二人だけが残る。

 

しばらく沈黙が流れる。

 

先に口を開いたのは愛紗だった。

 

「……申し訳ありませんでした」

 

時雨は少し首を傾げる。

 

「何を謝る」

 

「私は……」

 

愛紗は拳を握り締める。

 

「あなたとの同盟を守れませんでした」

 

「桃香様をお守りすることしか考えられず、結果として戦になってしまいました」

 

その声には深い悔しさが滲んでいた。

 

時雨は静かに首を横へ振る。

 

「愛紗一人の責任じゃない」

 

「国が違えば、それぞれ守るものも違う」

 

「誰か一人が悪い話じゃない」

 

愛紗は時雨を真っ直ぐ見つめる。

 

「それでも……」

 

「私はあなたを敵として剣を向ける日が来るとは思っていませんでした」

 

時雨は苦笑した。

 

「俺もだ」

 

「できれば、酒でも飲みながら馬鹿話をしていたかった」

 

その言葉に愛紗は小さく笑う。

 

「時雨らしいですね」

 

穏やかな空気が流れたのも束の間だった。

 

愛紗は再び真剣な表情になる。

 

「赤壁では……私は蜀の武人として戦います」

 

「情けはかけません」

 

時雨も静かに頷く。

 

「それでいい」

 

「俺も燕の将として黒山として戦う」

 

二人は互いの目を見据えた。

 

敵として。

 

それでも、一人の武人同士として。

 

愛紗は最後に深く一礼する。

 

「時雨、赤壁でお会いしましょう」

 

時雨も静かに頷いた。

 

「ああ」

 

「その時は全力で来い」

 

愛紗は踵を返し、建業へ向かって歩き始める。

 

時雨もまた燕への道を進み始めた。

 

同盟を結び、共に語り合った日々は遠くなった。

 

次に相まみえる場所は赤壁。

 

そこでは言葉ではなく、それぞれの信じる道を剣で示すことになるのだった。

 

 

黒山の張燕と天の御使いである、北郷一刀。

2人の決着は赤壁で決まる。

 

天の知識か、黒狼の策。




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  • 高順呂布ルート(ヒロイン恋、霞)
  • 朱霊曹操ルート(ヒロイン華琳、柳琳)
  • 周倉関羽ルート(ヒロイン愛紗)
  • 孫瑜孫権ルート(ヒロイン蓮華、粋怜)
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