【黒山の狼、乱世を嗤う】   作:パスカルDX

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第二百六十三話 赤壁、開戦

第二百六十三話 赤壁、開戦

 

 

 

夜明け前の赤壁は、深い霧に包まれていた。

 

長江の水面は静かに揺れ、白い靄が川岸を覆い隠している。

 

その静寂を破ったのは、一声の法螺貝だった。

 

低く響く音は川面を渡り、赤壁一帯へと広がっていく。

 

燕軍本陣。

 

時雨は甲冑を身にまとい、静かに赤壁を見つめていた。

 

その隣には星、恋、霞、翠が並び、少し離れた場所には白蓮、華琳、雪蓮、桂花らも集っている。

 

誰一人として多くを語らない。

 

今日が最後の戦いになることを、全員が理解していた。

 

白蓮は馬に跨ると、大きく息を吸った。

 

「燕軍全将士に告ぐ!」

 

王の声が戦場に響き渡る。

 

兵たちは一斉に姿勢を正した。

 

「これが天下を決する最後の戦だ!」

 

「勝てば天下は燕に統一される!」

 

「だが忘れるな!」

 

「我らが守るのは民の未来だ!」

 

「無意味な殺生は許さない!」

 

「武人として誇り高く戦え!」

 

数万の兵が槍を掲げた。

 

「おおおおおっ!」

 

大地を震わせるほどの鬨の声が、赤壁へと轟く。

 

一方、対岸では蜀軍も陣を整えていた。

 

桃香は兵たちの前へ進み出る。

 

諸葛亮、黄忠、関羽、張飛、そして北郷一刀。

 

蜀に残された全戦力が、そこに集結していた。

 

桃香は兵たちを見渡した。

 

その表情にあるのは悲壮ではなく、確かな覚悟だった。

 

「みんな」

 

「ここまで本当にありがとう」

 

「私は戦いたくありません」

 

「でも、守りたい人たちがいます」

 

「建業で暮らす民を守るため、最後まで戦います」

 

兵たちは静かに頷いた。

 

その隣へ北郷一刀が歩み出る。

 

「ここが最後だ」

 

「相手は天下最強の燕軍」

 

「でも、俺たちにも守るものがある」

 

「張燕を倒せば、未来は変えられる!」

 

「最後まで諦めるな!」

 

蜀軍から大きな雄叫びが上がる。

 

その頃、燕軍本陣では時雨がゆっくりと馬に跨っていた。

 

星が隣へ並ぶ。

 

「緊張しているか」

 

時雨は苦笑した。

 

「少しだけな」

 

「最後だから」

 

星は微笑みながら槍を握り直した。

 

「なら安心だ」

 

「緊張しない時雨ほど危ないものはない」

 

霞も笑う。

 

「せやな。昔みたいに無茶だけは勘弁してや」

 

恋は静かに方天画戟を構えた。

 

「時雨」

 

「一緒に勝とう」

 

時雨は三人を見渡し、小さく頷く。

 

「ああ」

 

「全員で帰るぞ」

 

やがて、蜀軍から一騎の騎馬武者が進み出る。

 

北郷一刀だった。

 

その姿を見た時雨も馬を進める。

 

両軍の中央。

 

互いに数十歩の距離で馬を止めた。

 

風だけが二人の間を吹き抜ける。

 

一刀が先に口を開く。

 

「来たな、張燕」

 

「ああ」

 

「約束だからな」

 

一刀は静かに剣を抜いた。

 

「今日で終わらせる」

 

「俺が勝てば蜀は生きる」

 

時雨も刀へ手を添える。

 

「俺が勝てば燕が天下を統一する」

 

「互いに退けないな」

 

一刀は小さく笑った。

 

「だから面白い」

 

二人は同時に馬首を返し、それぞれの本陣へ戻っていく。

 

白蓮は静かに剣を掲げた。

 

その瞬間、燕軍の旗が一斉に風を受けてはためく。

 

対する蜀軍でも桃香が剣を抜き、高く掲げた。

 

長江の風が両軍の軍旗を大きく揺らす。

 

赤壁。

 

古来、幾多の英雄たちが覇を競った戦場。

 

その地で、燕と蜀の命運を懸けた最後の決戦が、ついに幕を開けた。




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  • 高順呂布ルート(ヒロイン恋、霞)
  • 朱霊曹操ルート(ヒロイン華琳、柳琳)
  • 周倉関羽ルート(ヒロイン愛紗)
  • 孫瑜孫権ルート(ヒロイン蓮華、粋怜)
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