【黒山の狼、乱世を嗤う】   作:パスカルDX

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外伝 第33話 悪鬼いびり――盗賊の朝は嫌がらせから始まる

外伝 第33話 悪鬼いびり――盗賊の朝は嫌がらせから始まる

 

 

北郷一刀が。

 

許昌で迎えた。

 

最初の朝。

 

彼は。

 

目を覚ました瞬間から。

 

何かが。

 

おかしいと感じていた。

 

部屋。

 

荊州の使節へ。

 

与えられた客殿。

 

広い。

 

清潔。

 

寝台。

 

柔らかい。

 

窓。

 

東向き。

 

朝日。

 

入る。

 

室内。

 

危険。

 

ない。

 

少なくとも。

 

目に見える範囲では。

 

一刀は。

 

ゆっくり。

 

身体を起こした。

 

寝台の脇。

 

自分の履物へ。

 

足を入れる。

 

音。

 

鳴る。

 

ぷぅ。

 

一刀の動きが。

 

止まった。

 

静かな。

 

朝。

 

場違いな。

 

間の抜けた音。

 

もう一度。

 

足を。

 

少し動かす。

 

ぷぅ。

 

一刀は。

 

無言で。

 

履物を脱いだ。

 

中。

 

見る。

 

小さな。

 

豚の膀胱を。

 

乾かしたもの。

 

空気を入れ。

 

踏むと。

 

音が鳴る。

 

盗賊や。

 

市井の子供が。

 

悪戯へ使う。

 

くだらない。

 

道具。

 

履物の。

 

左右。

 

両方。

 

入っている。

 

「張燕」

 

一刀は。

 

朝から。

 

その名を。

 

口にした。

 

声。

 

低い。

 

怒り。

 

まだ。

 

小さい。

 

だが。

 

確実。

 

寝台の下。

 

紙。

 

一枚。

 

ある。

 

一刀は。

 

拾う。

 

文字。

 

乱暴。

 

『悪鬼へ。

 

朝から難しい顔をすんな。

 

豚が逃げるぞ。

 

張燕』

 

一刀は。

 

紙を。

 

長く。

 

見つめた。

 

次。

 

小さく。

 

息を吐く。

 

履物から。

 

悪戯道具を。

 

取り出す。

 

捨てる。

 

立つ。

 

衣。

 

着る。

 

腰帯。

 

締めようとする。

 

何か。

 

妙。

 

帯。

 

普段より。

 

短い。

 

一刀は。

 

端を。

 

見る。

 

切られている。

 

正確には。

 

切られた帯を。

 

巧妙に。

 

縫い合わせてある。

 

強く引けば。

 

簡単に。

 

外れる。

 

一刀は。

 

もう一枚。

 

帯の内側へ。

 

紙。

 

挟まっていることに。

 

気づいた。

 

『悪鬼へ。

 

祭で女の前へ出るなら、腰紐くらい確かめろ。

 

俺なら全部奪う。

 

張燕』

 

一刀の目が。

 

細くなる。

 

これは。

 

悪戯。

 

だが。

 

同時に。

 

警告。

 

衣服。

 

寝室。

 

荷。

 

触れられた。

 

つまり。

 

客殿へ。

 

誰かが。

 

入った。

 

護衛。

 

気づいていない。

 

一刀は。

 

すぐに。

 

部屋の中を。

 

調べる。

 

窓。

 

鍵。

 

そのまま。

 

扉。

 

内側。

 

異常。

 

ない。

 

寝台。

 

床。

 

天井。

 

埃。

 

僅かな。

 

痕跡。

 

窓枠の端。

 

細い。

 

糸。

 

黒。

 

黒狼隊のもの。

 

なのか。

 

わざと。

 

残したのか。

 

一刀には。

 

断定。

 

できない。

 

「おはようございます」

 

扉の外。

 

荊州兵。

 

声。

 

一刀は。

 

新しい帯を。

 

荷から出す。

 

扉。

 

開ける。

 

兵。

 

頭を下げる。

 

「北郷様」

 

「朝食の準備が」

 

「整っております」

 

一刀は。

 

兵を見る。

 

眠気。

 

僅か。

 

目の下。

 

ない。

 

夜。

 

見張り。

 

交代。

 

した。

 

「昨夜」

 

一刀が尋ねる。

 

「誰か」

 

「部屋へ入ったか」

 

兵の顔。

 

僅かに。

 

固まる。

 

「いいえ」

 

「誰も」

 

「通しておりません」

 

「本当に?」

 

「はい」

 

一刀は。

 

履物。

 

見せる。

 

踏む。

 

ぷぅ。

 

兵の目が。

 

大きくなる。

 

一刀は。

 

無表情。

 

もう片方。

 

踏む。

 

ぷぅ。

 

兵の顔が。

 

赤くなる。

 

笑ってはいけない。

 

だが。

 

音。

 

間抜け。

 

「これは」

 

一刀が言う。

 

「いつから」

 

「入っていた」

 

「わ、分かりません」

 

「見張りは」

 

「何人」

 

「二人です」

 

「何か」

 

「変わったことは」

 

兵は。

 

少し。

 

考える。

 

「夜中」

 

「魏の医官が」

 

「お見えになりました」

 

「医官?」

 

「はい」

 

「祭で」

 

「お疲れかもしれないため」

 

「眠りを助ける香を」

 

「届けに来たと」

 

一刀の目。

 

僅かに。

 

鋭くなる。

 

「部屋へ入れたのか」

 

「いいえ」

 

「香だけを」

 

「受け取りました」

 

「ほかには」

 

「その後」

 

「黒狼隊の者が」

 

「香は危険物かもしれないため」

 

「確認すると」

 

「ですが」

 

「部屋には」

 

「入れておりません」

 

一刀は。

 

扉の枠を見る。

 

見張り。

 

部屋へ。

 

誰も。

 

通していない。

 

それでも。

 

履物と帯。

 

触られた。

 

時雨は。

 

侵入経路を。

 

示さない。

 

見張りを。

 

疑わせる。

 

魏の医官。

 

黒狼隊。

 

香。

 

複数の情報。

 

混ぜる。

 

誰が。

 

本当。

 

誰が。

 

偽り。

 

分からなくする。

 

そして。

 

一刀が。

 

最初に。

 

誰を疑うか。

 

見る。

 

「北郷様」

 

兵が。

 

不安そうに。

 

尋ねる。

 

「警備を」

 

「増やしますか」

 

一刀は。

 

少し。

 

考える。

 

「いや」

 

「今のままでいい」

 

兵の目が。

 

僅かに。

 

動く。

 

「よろしいのですか」

 

「増やせば」

 

「張燕の思うつぼだ」

 

一刀は。

 

紙を。

 

折る。

 

袖へ。

 

入れる。

 

「俺が」

 

「警戒していることを」

 

「見せたいだけかもしれない」

 

兵は。

 

頷く。

 

一刀は。

 

廊下へ。

 

出る。

 

三歩。

 

歩く。

 

頭上。

 

何か。

 

落ちる。

 

白い粉。

 

一刀の髪。

 

肩。

 

衣。

 

覆う。

 

兵が。

 

剣へ。

 

手をかける。

 

一刀は。

 

動かない。

 

粉。

 

匂い。

 

小麦。

 

毒。

 

ではない。

 

廊下の梁。

 

小さな袋。

 

紐。

 

扉を開けた時。

 

落ちる仕掛け。

 

その袋へ。

 

また。

 

紙。

 

『疑う前に上を見ろ。

 

悪鬼のくせに鈍いな。

 

張燕』

 

一刀は。

 

白い粉を被ったまま。

 

目を閉じた。

 

長く。

 

息。

 

吐く。

 

「張燕」

 

今度。

 

明確に。

 

怒り。

 

混じる。

 

後ろ。

 

兵。

 

顔。

 

俯く。

 

肩。

 

僅かに。

 

震える。

 

「笑いたければ」

 

一刀が言った。

 

「笑っていい」

 

兵は。

 

必死に。

 

首を振る。

 

「いえ!」

 

「決して!」

 

ぷぅ。

 

一刀の履物。

 

音。

 

鳴る。

 

兵。

 

限界。

 

小さく。

 

吹き出した。

 

一刀は。

 

朝日を見る。

 

許昌へ来た。

 

二日目。

 

まだ。

 

朝食にも。

 

辿り着いていない。

 

---

 

食堂。

 

客殿。

 

劉備。

 

関羽。

 

張飛。

 

すでに。

 

席。

 

着いている。

 

劉備は。

 

粥。

 

食べる。

 

関羽。

 

茶。

 

張飛。

 

肉。

 

山。

 

一刀が。

 

入る。

 

三人。

 

見る。

 

白い粉。

 

髪。

 

衣。

 

肩。

 

真っ白。

 

履物。

 

歩くたび。

 

ぷぅ。

 

ぷぅ。

 

張飛は。

 

口の肉を。

 

噴き出しそうになる。

 

両手で。

 

口。

 

押さえる。

 

関羽の目。

 

大きくなる。

 

劉備は。

 

箸を。

 

止める。

 

「一刀さん」

 

「どうしたの?」

 

一刀は。

 

席へ。

 

座る。

 

ぷぅ。

 

張飛が。

 

机へ。

 

突っ伏す。

 

「一刀!」

 

「歩くたび!」

 

「豚が鳴くのだ!」

 

「分かってる」

 

一刀の声。

 

低い。

 

関羽は。

 

立ち上がる。

 

「これは」

 

「張燕の仕業ですか」

 

「ほかに」

 

「誰がいる」

 

劉備は。

 

困りながら。

 

少し。

 

笑っている。

 

「張燕さん」

 

「朝から」

 

「元気だね」

 

「桃香」

 

一刀が。

 

劉備を見る。

 

「どこを見て」

 

「そう思うんだ」

 

「だって」

 

「昨日」

 

「夜遅くまで」

 

「華琳さんたちに」

 

「追いかけられてたのに」

 

「もう」

 

「こんなことしてるから」

 

「寝ていない可能性を」

 

「心配しろ」

 

関羽の手が。

 

青龍偃月刀へ。

 

伸びかける。

 

「今すぐ」

 

「張燕を」

 

「捕らえます」

 

「愛紗ちゃん」

 

劉備が止める。

 

「祭の中で」

 

「武器はだめ」

 

「しかし!」

 

「一刀殿の客室へ!」

 

「侵入したのです!」

 

一刀は。

 

粥。

 

見る。

 

自分の器。

 

一つ。

 

ある。

 

匂い。

 

普通。

 

だが。

 

時雨。

 

悪戯。

 

毒。

 

ない。

 

それでも。

 

何か。

 

仕掛け。

 

ある。

 

一刀は。

 

匙。

 

取る。

 

粥を。

 

少し。

 

持ち上げる。

 

底。

 

文字。

 

見える。

 

海苔。

 

細く切り。

 

粥の中。

 

沈めてある。

 

『毒は入れてねぇ。

 

残念だったな』

 

一刀の手。

 

止まる。

 

劉備が。

 

横から。

 

覗く。

 

「何か」

 

「書いてある?」

 

一刀は。

 

器を。

 

劉備から。

 

遠ざける。

 

「何もない」

 

張飛が。

 

身を乗り出す。

 

「見せるのだ!」

 

「嫌だ」

 

関羽の眉が。

 

寄る。

 

「北郷殿」

 

「もし」

 

「危険なものなら」

 

一刀は。

 

器。

 

机へ。

 

置く。

 

「毒は」

 

「入っていないらしい」

 

劉備。

 

張飛。

 

関羽。

 

同時に。

 

器を見る。

 

海苔の文字。

 

読める。

 

張飛。

 

再び。

 

笑う。

 

「残念だったなって!」

 

「どういう意味なのだ!」

 

一刀は。

 

額へ。

 

手を当てる。

 

「俺に聞くな」

 

劉備は。

 

時雨の文字を見て。

 

小さく。

 

笑う。

 

「一刀さんが」

 

「毒を警戒して」

 

「食べないと思ったんだね」

 

「食べる」

 

一刀は。

 

匙を。

 

口へ運ぶ。

 

張飛の目。

 

大きくなる。

 

「食べるのか?」

 

「食べなければ」

 

「張燕が喜ぶ」

 

関羽が。

 

静かに。

 

一刀を見る。

 

「すでに」

 

「十分」

 

「喜んでいると思います」

 

一刀は。

 

粥を。

 

飲み込む。

 

味。

 

普通。

 

悪くない。

 

次。

 

底。

 

さらに。

 

海苔。

 

浮かぶ。

 

『意地になるな。

 

子供か』

 

一刀の動きが。

 

止まる。

 

劉備は。

 

ついに。

 

声を立てて。

 

笑った。

 

張飛。

 

机を叩く。

 

関羽。

 

口元。

 

僅かに。

 

動く。

 

笑い。

 

堪える。

 

一刀は。

 

三人を見る。

 

「笑うな」

 

劉備は。

 

目尻。

 

拭う。

 

「ごめんね」

 

「でも」

 

「張燕さん」

 

「一刀さんのこと」

 

「すごく」

 

「気に入ったみたい」

 

「これの」

 

「どこが」

 

「気に入っているように見える」

 

「嫌いな人へ」

 

「ここまで」

 

「手間をかけないよ」

 

一刀は。

 

粥の底。

 

見る。

 

「手間をかけて」

 

「嫌がらせするのが」

 

「あいつだろ」

 

関羽が。

 

深く頷く。

 

「その通りです」

 

張飛は。

 

肉を。

 

頬張りながら。

 

「鈴々へは」

 

「何もないのか?」

 

関羽が。

 

張飛を見る。

 

「欲しいのか」

 

「一刀だけ」

 

「ずるいのだ!」

 

一刀は。

 

張飛を見る。

 

「代わるか」

 

「いいのか?」

 

「全部やる」

 

「鈴々!」

 

関羽が。

 

止める。

 

劉備は。

 

少し。

 

考える。

 

「でも」

 

「張燕さん」

 

「私たちには」

 

「昨日」

 

「たくさん」

 

「嫌がらせしたよ」

 

一刀の目。

 

僅かに。

 

細くなる。

 

「今日は」

 

「俺だけを」

 

「狙っている」

 

「うん」

 

「たぶん」

 

劉備は。

 

一刀を見る。

 

「一刀さんと」

 

「二人で」

 

「話したいんだと思う」

 

「こんな方法で?」

 

「張燕さんだから」

 

一刀は。

 

否定。

 

できない。

 

その時。

 

客殿の外。

 

太鼓。

 

鳴る。

 

祭。

 

二日目。

 

開始。

 

同時。

 

廊下から。

 

魏兵。

 

一人。

 

入る。

 

頭。

 

下げる。

 

「北郷一刀様へ」

 

「張燕将軍より」

 

「贈り物でございます」

 

一刀の目。

 

鋭くなる。

 

「断る」

 

兵は。

 

困った顔。

 

「ですが」

 

「受け取らなければ」

 

「劉備様へ」

 

「お渡しするようにと」

 

劉備の目。

 

僅かに。

 

明るくなる。

 

「何だろう」

 

一刀は。

 

すぐに。

 

「桃香」

 

「触るな」

 

兵が。

 

木箱を。

 

机へ。

 

置く。

 

関羽。

 

警戒。

 

蓋。

 

開ける。

 

中。

 

白い布。

 

一枚。

 

その上。

 

小さな。

 

木製の冠。

 

子供用。

 

冠の正面。

 

墨。

 

『天の御使い』

 

背面。

 

小さく。

 

『自称』

 

張飛が。

 

椅子から。

 

転げ落ちるほど。

 

笑った。

 

「自称!」

 

「一刀!」

 

「自称って!」

 

劉備も。

 

両手で。

 

口を。

 

覆う。

 

関羽は。

 

目を閉じた。

 

一刀は。

 

冠を。

 

無言で。

 

見つめる。

 

兵。

 

もう一枚。

 

紙。

 

差し出す。

 

『悪鬼へ。

 

祭の間はこれを被れ。

 

子供が喜ぶ。

 

嫌なら、天の御使いらしく空を飛べ。

 

張燕』

 

一刀は。

 

紙を。

 

折る。

 

ゆっくり。

 

丁寧に。

 

四つ。

 

「張燕は」

 

「今」

 

「どこにいる」

 

兵が答える。

 

「存じません」

 

「本当に?」

 

「はい」

 

「昨日の夜から」

 

「誰も」

 

「姿を見ておりません」

 

関羽の眉が。

 

寄る。

 

「姿を消した?」

 

一刀の目。

 

鋭くなる。

 

「この悪戯を」

 

「仕込んだ後」

 

「どこかで」

 

「俺を見ている」

 

兵は。

 

頭を下げ。

 

退出。

 

張飛が。

 

冠。

 

手に取る。

 

「一刀」

 

「被るのだ!」

 

「断る」

 

「似合うかもしれないのだ!」

 

「絶対に嫌だ」

 

劉備も。

 

冠を見る。

 

「少し」

 

「かわいいね」

 

一刀の目が。

 

劉備へ。

 

向く。

 

「桃香まで」

 

「乗らないでくれ」

 

「でも」

 

「子供たちは」

 

「喜びそう」

 

「俺は」

 

「見世物じゃない」

 

劉備は。

 

少し。

 

困った顔。

 

「張燕さんは」

 

「一刀さんを」

 

「祭の人たちへ」

 

「見せたいんだよ」

 

一刀は。

 

冠。

 

見る。

 

天の御使い。

 

悪鬼。

 

荊州で。

 

自分へ。

 

付いた。

 

名。

 

民。

 

信じる。

 

恐れる。

 

だが。

 

許昌。

 

時雨は。

 

その名を。

 

子供の玩具へ。

 

変えようとしている。

 

権威。

 

笑いへ。

 

落とす。

 

人々が。

 

一刀を。

 

恐れず。

 

見られるように。

 

悪鬼。

 

天の御使い。

 

どちらでもない。

 

一人の男。

 

そこへ。

 

引きずり下ろす。

 

「やっぱり」

 

一刀が言う。

 

「性格が悪い」

 

劉備は。

 

笑う。

 

「うん」

 

関羽も。

 

小さく。

 

頷く。

 

「それだけは」

 

「同意します」

 

---

 

祭。

 

二日目。

 

朝。

 

中央広場。

 

一刀は。

 

冠を。

 

被らなかった。

 

当然。

 

持っても。

 

来なかった。

 

その代わり。

 

自分の普段の衣。

 

白い粉。

 

落とし。

 

帯。

 

替え。

 

履物。

 

悪戯道具を。

 

抜いている。

 

祭へ。

 

足を踏み入れる。

 

人。

 

多い。

 

昨日より。

 

さらに。

 

増えている。

 

劉備が。

 

許昌へ来た。

 

噂。

 

一晩。

 

広がった。

 

今日。

 

劉備。

 

関羽。

 

張飛。

 

天の御使い。

 

見られる。

 

民。

 

集まる。

 

一刀は。

 

周囲。

 

見る。

 

時雨。

 

いない。

 

屋根。

 

見張り台。

 

屋台。

 

人混み。

 

黒狼隊。

 

いる。

 

だが。

 

時雨。

 

姿。

 

ない。

 

劉備は。

 

桃の屋台。

 

向かう。

 

張飛。

 

先に。

 

走る。

 

関羽。

 

護衛。

 

一刀は。

 

少し。

 

遅れて。

 

歩く。

 

すると。

 

子供。

 

一人。

 

一刀の前へ。

 

立つ。

 

手。

 

差し出す。

 

「天の御使い様」

 

一刀は。

 

足を止める。

 

子供。

 

小さな。

 

桃。

 

持つ。

 

「これ」

 

「食べて」

 

一刀の目が。

 

僅かに。

 

柔らかくなる。

 

「くれるのか」

 

「うん」

 

子供は。

 

頷く。

 

「張燕将軍が」

 

「天の御使い様は」

 

「桃を買えないから」

 

「恵んでやれって」

 

一刀の表情。

 

固まる。

 

周囲。

 

商人。

 

笑う。

 

子供は。

 

純粋。

 

桃。

 

差し出す。

 

一刀は。

 

受け取るべきか。

 

断るべきか。

 

考える。

 

断れば。

 

子供。

 

悲しむ。

 

受け取れば。

 

時雨の悪戯。

 

成立。

 

「ありがとう」

 

一刀は。

 

桃を。

 

受け取った。

 

子供。

 

笑う。

 

「これで」

 

「一刀様も」

 

「桃を食べられるね!」

 

「ああ」

 

一刀は。

 

言いかけ。

 

止まる。

 

時雨以外。

 

使わない方が。

 

いい。

 

昨日から。

 

感染。

 

している。

 

「そうだな」

 

子供は。

 

走って。

 

去る。

 

一刀は。

 

桃。

 

見る。

 

小さい。

 

傷。

 

少し。

 

だが。

 

甘い香り。

 

紙。

 

葉。

 

裏。

 

付いている。

 

『恵まれてんじゃねぇよ。

 

働け。

 

張燕』

 

一刀の目。

 

細くなる。

 

「どこにいる」

 

小さく。

 

呟く。

 

返事。

 

ない。

 

代わり。

 

広場の端。

 

声。

 

上がる。

 

「天の御使い様!」

 

商人。

 

一人。

 

手を振る。

 

「こちらへ!」

 

一刀は。

 

警戒。

 

近づく。

 

商人。

 

大きな。

 

木箱。

 

置く。

 

「張燕将軍から」

 

「北郷様へ」

 

「仕事を」

 

「預かっております」

 

「仕事?」

 

箱。

 

開く。

 

中。

 

桃。

 

大量。

 

昨日。

 

劉備たちが。

 

持ってきたもの。

 

傷。

 

形。

 

悪い。

 

売れ残り。

 

「これを」

 

商人が言う。

 

「一つずつ」

 

「磨いて」

 

「子供たちへ」

 

「配ってほしいと」

 

一刀の眉が。

 

寄る。

 

「なぜ」

 

「俺が」

 

「天の御使いだから」

 

商人。

 

真顔。

 

「空から来た方は」

 

「桃を磨くのが」

 

「得意だと」

 

「誰が言った」

 

「張燕将軍です」

 

周囲。

 

人。

 

集まる。

 

子供。

 

期待。

 

見る。

 

一刀は。

 

箱。

 

見る。

 

時雨。

 

一刀を。

 

劉備と。

 

同じ場所へ。

 

立たせようとしている。

 

昨日。

 

劉備。

 

桃を配った。

 

一刀。

 

後ろ。

 

見ていた。

 

今日は。

 

一刀自身。

 

民へ。

 

手を伸ばさせる。

 

拒めば。

 

天の御使い。

 

子供へ。

 

桃一つ。

 

配れない。

 

そう。

 

見られる。

 

受ければ。

 

時雨の舞台。

 

乗る。

 

「やってやる」

 

一刀は。

 

箱の前へ。

 

座った。

 

商人。

 

布。

 

渡す。

 

一刀。

 

桃。

 

磨く。

 

子供へ。

 

渡す。

 

「どうぞ」

 

子供。

 

受け取る。

 

「ありがとう!」

 

次。

 

並ぶ。

 

人。

 

増える。

 

劉備が。

 

少し離れ。

 

気づく。

 

笑顔。

 

一刀の隣へ。

 

座る。

 

「手伝うね」

 

「桃香」

 

「張燕の狙いだぞ」

 

「分かってる」

 

劉備は。

 

桃を。

 

手に取る。

 

「でも」

 

「子供が」

 

「喜んでる」

 

一刀は。

 

桃を磨く。

 

「それを」

 

「あいつは」

 

「使ってる」

 

「うん」

 

「だから」

 

「私たちも」

 

「使えばいいよ」

 

一刀が。

 

劉備を見る。

 

「何に」

 

「子供を」

 

「笑顔にするため」

 

劉備は。

 

桃。

 

渡す。

 

「張燕さんが」

 

「何を考えてても」

 

「今」

 

「この子たちが」

 

「嬉しいなら」

 

「全部」

 

「張燕さんだけの策じゃないよ」

 

一刀の目。

 

僅かに。

 

揺れる。

 

劉備。

 

自分で。

 

時雨の舞台へ。

 

乗る。

 

だが。

 

支配。

 

されない。

 

意味を。

 

自分で。

 

変える。

 

一刀は。

 

少し。

 

笑う。

 

今度。

 

商人の笑顔。

 

ではない。

 

「そうだな」

 

二人。

 

並び。

 

桃。

 

磨く。

 

子供へ。

 

配る。

 

時雨。

 

どこかで。

 

見ている。

 

一刀は。

 

確信。

 

している。

 

その時。

 

上。

 

屋根。

 

声。

 

「夫婦で」

 

「桃磨きか」

 

一刀。

 

劉備。

 

同時に。

 

見上げる。

 

時雨。

 

屋根。

 

寝転んでいる。

 

片手。

 

酒。

 

朝。

 

禁止。

 

されていた。

 

はず。

 

もう。

 

飲んでいる。

 

一刀の目。

 

鋭くなる。

 

「やっと」

 

「出てきたな」

 

時雨は。

 

欠伸。

 

する。

 

「出てた」

 

「どこに」

 

「そこら辺」

 

「客室へ」

 

「入ったのは」

 

「誰だ」

 

時雨は。

 

一刀を見る。

 

口元。

 

悪い。

 

「知らねぇ」

 

「嘘をつけ」

 

「証拠あんのか」

 

「この祭で」

 

「俺に」

 

「こんなことをする男は」

 

「お前だけだ」

 

「人気者だな」

 

「認めろ」

 

「嫌だ」

 

一刀は。

 

立つ。

 

劉備が。

 

袖。

 

掴む。

 

「一刀さん」

 

「喧嘩はだめ」

 

時雨が。

 

屋根から。

 

笑う。

 

「ほら」

 

「女に止められてる」

 

一刀の顔。

 

険しくなる。

 

「お前も」

 

「昨日」

 

「曹操に」

 

「追い回されていた」

 

「捕まってねぇ」

 

広場の端。

 

華琳の声。

 

「捕まえたわよ」

 

時雨の身体。

 

僅かに。

 

止まる。

 

華琳。

 

栄華。

 

柳琳。

 

桂花。

 

霞。

 

近づく。

 

華琳の蒼い瞳。

 

屋根。

 

時雨。

 

酒。

 

見る。

 

「時雨」

 

「何だ」

 

「その酒は」

 

「水」

 

柳琳が。

 

穏やかに。

 

言う。

 

「匂いが」

 

「こちらまで」

 

「届いています」

 

時雨は。

 

酒壺。

 

背中へ。

 

隠す。

 

「薬」

 

栄華の扇が。

 

開く。

 

「朝から飲んだ酒代を」

 

「あなたの財布から」

 

「引きます」

 

「祭の経費」

 

「認めません」

 

「一刀の接待」

 

一刀が。

 

即座に。

 

「俺は」

 

「一滴も」

 

「飲んでいない」

 

時雨は。

 

一刀を見る。

 

「空気読め」

 

「お前の不正へ」

 

「協力する気はない」

 

時雨の目。

 

楽しそうに。

 

細くなる。

 

「真面目だな」

 

「お前が」

 

「ふざけすぎだ」

 

「まだ」

 

「始まったばっかだ」

 

一刀の眉。

 

僅かに。

 

動く。

 

「まだ?」

 

華琳も。

 

時雨を見る。

 

「何を」

 

「仕込んだの」

 

時雨は。

 

華琳へ。

 

手を振る。

 

「後で分かる」

 

華琳の笑み。

 

冷える。

 

「今」

 

「言いなさい」

 

「嫌だ」

 

「時雨」

 

「祭だ」

 

「関係ないわ」

 

時雨は。

 

屋根。

 

反対側。

 

降りる。

 

華琳。

 

春蘭へ。

 

視線。

 

送る。

 

春蘭。

 

走る。

 

だが。

 

屋根の下。

 

人。

 

多い。

 

時雨。

 

消える。

 

一刀は。

 

それを見る。

 

次。

 

自分の手。

 

桃の汁。

 

布。

 

子供たち。

 

まだ。

 

並ぶ。

 

「張燕!」

 

一刀は。

 

声を上げる。

 

人混み。

 

返事。

 

ない。

 

少し。

 

遠く。

 

笑い声。

 

聞こえる。

 

---

 

昼。

 

一刀への。

 

嫌がらせ。

 

続く。

 

彼が。

 

祭の屋台で。

 

水を買う。

 

銭。

 

払う。

 

店主。

 

受け取らない。

 

「北郷様からは」

 

「受け取れません」

 

「なぜ」

 

「張燕将軍から」

 

「天の御使いへ」

 

「物を売ると」

 

「天罰が落ちると」

 

「言われまして」

 

一刀は。

 

店主を見る。

 

「信じているのか」

 

「いいえ」

 

店主は。

 

真顔。

 

「ですが」

 

「張燕将軍が」

 

「店の前で」

 

「一日中」

 

「悪口を言う方が」

 

「天罰より」

 

「怖いので」

 

一刀は。

 

水を。

 

置く。

 

「なら」

 

「いらない」

 

店主が。

 

慌てる。

 

「お待ちください!」

 

「無料なら」

 

「お渡しできます!」

 

「要らない」

 

「ですが」

 

「張燕将軍から」

 

「北郷様が」

 

「意地を張ったら」

 

「子供だと笑えと」

 

一刀の動き。

 

止まる。

 

店主。

 

申し訳なさそう。

 

「子供ですね」

 

一刀は。

 

店主を。

 

長く見る。

 

店主。

 

汗。

 

流す。

 

時雨。

 

怖い。

 

一刀も。

 

怖い。

 

挟まれた。

 

「水を」

 

一刀が言う。

 

「もらう」

 

「ありがとうございます」

 

「礼を言うのは」

 

「俺だ」

 

一刀は。

 

水。

 

飲む。

 

器の底。

 

文字。

 

彫られている。

 

『意地を張るなって朝も言っただろ』

 

一刀の手。

 

震える。

 

僅か。

 

水面。

 

揺れる。

 

近く。

 

劉備。

 

見つける。

 

「一刀さん」

 

「大丈夫?」

 

一刀は。

 

器。

 

伏せる。

 

「問題ない」

 

時雨。

 

いない。

 

だが。

 

どこに行っても。

 

先回り。

 

している。

 

次。

 

武器屋。

 

一刀。

 

護身用。

 

短剣。

 

見る。

 

店主。

 

一本。

 

出す。

 

鞘。

 

立派。

 

柄。

 

握る。

 

刃。

 

抜く。

 

木。

 

刃ではない。

 

木剣。

 

刃に。

 

墨。

 

『天の御使いは武器を持たないんだろ』

 

一刀の顔。

 

険しい。

 

店主。

 

青ざめる。

 

「わ、私は」

 

「知りませんでした!」

 

「張燕将軍が」

 

「北郷様へ」

 

「特別な品だと!」

 

一刀は。

 

木剣を。

 

鞘へ戻す。

 

「張燕は」

 

「どこだ」

 

「知りません!」

 

一刀。

 

別。

 

店。

 

衣。

 

見る。

 

売り子。

 

白い上衣。

 

勧める。

 

背中。

 

刺繍。

 

『劉備の付き添い』

 

一刀は。

 

戻す。

 

果物屋。

 

桃。

 

売らない。

 

栗。

 

買う。

 

袋。

 

開ける。

 

一つだけ。

 

石。

 

入っている。

 

石へ。

 

文字。

 

『当たり』

 

一刀は。

 

石を。

 

握る。

 

捨てない。

 

次。

 

甘い菓子。

 

買う。

 

中。

 

一つ。

 

塩。

 

固まり。

 

噛む。

 

一刀の顔。

 

歪む。

 

屋台の裏。

 

紙。

 

『悪鬼でも甘いもん食うんだな』

 

一刀は。

 

紙を。

 

破る。

 

だが。

 

破った裏。

 

さらに。

 

文字。

 

『紙に当たるな。

 

子供か』

 

一刀は。

 

目を閉じた。

 

深く。

 

息。

 

吐く。

 

劉備。

 

関羽。

 

張飛。

 

後ろ。

 

ついている。

 

張飛。

 

もう。

 

笑い。

 

止まらない。

 

「一刀!」

 

「張燕に!」

 

「全部!」

 

「読まれてるのだ!」

 

「うるさい」

 

関羽は。

 

周囲。

 

警戒。

 

本気。

 

だが。

 

口元。

 

僅か。

 

緩む。

 

劉備は。

 

一刀の袖へ。

 

触れる。

 

「少し」

 

「休む?」

 

「いや」

 

「張燕が」

 

「どこまで」

 

「やるつもりか」

 

「見る」

 

劉備は。

 

一刀を見る。

 

「怒ってる?」

 

「怒ってない」

 

張飛が。

 

即座に。

 

「怒ってるのだ!」

 

関羽も。

 

静かに。

 

「怒っております」

 

劉備も。

 

「怒ってるね」

 

一刀は。

 

三人を見る。

 

「味方は」

 

「いないのか」

 

その瞬間。

 

屋台。

 

上。

 

札。

 

落ちる。

 

『いねぇよ』

 

一刀は。

 

札を。

 

拾う。

 

周囲。

 

見る。

 

時雨。

 

いない。

 

張飛は。

 

地面へ。

 

座り込むほど。

 

笑った。

 

劉備も。

 

目尻。

 

涙。

 

関羽。

 

ついに。

 

顔。

 

逸らす。

 

肩。

 

僅かに。

 

震える。

 

一刀は。

 

札を。

 

強く。

 

握る。

 

「絶対に」

 

「捕まえる」

 

劉備が。

 

笑いながら。

 

尋ねる。

 

「捕まえて」

 

「どうするの?」

 

「同じことを」

 

「やり返す」

 

関羽の目が。

 

僅かに。

 

明るくなる。

 

「私も」

 

「協力します」

 

張飛も。

 

拳。

 

上げる。

 

「鈴々もなのだ!」

 

劉備は。

 

困った顔。

 

「みんな」

 

「乗せられてるよ」

 

一刀。

 

関羽。

 

張飛。

 

止まる。

 

時雨の目的。

 

怒らせる。

 

反応。

 

引き出す。

 

今。

 

三人。

 

完全に。

 

乗っている。

 

「分かっていても」

 

一刀が言う。

 

「腹が立つ」

 

関羽。

 

深く頷く。

 

張飛も。

 

頷く。

 

劉備は。

 

少し。

 

笑う。

 

「じゃあ」

 

「張燕さんが」

 

「一枚上だね」

 

一刀の目。

 

細くなる。

 

「まだ」

 

「終わってない」

 

---

 

許昌の。

 

祭会場。

 

裏。

 

古い倉。

 

時雨は。

 

酒壺へ。

 

口をつける。

 

その前。

 

柳琳の手。

 

酒壺。

 

取る。

 

時雨の手。

 

空。

 

「何すんだ」

 

「朝から」

 

「飲みすぎです」

 

「祭だ」

 

「同じ言葉で」

 

「許されると思わないでください」

 

栄華が。

 

帳簿。

 

抱え。

 

後ろ。

 

来る。

 

「時雨」

 

「何だ」

 

「北郷一刀様への」

 

「嫌がらせに」

 

「いくら使いましたの」

 

「知らねぇ」

 

「知らない?」

 

栄華の声。

 

低い。

 

時雨は。

 

少し。

 

考える。

 

「木の冠」

 

「二百銭」

 

「高いです!」

 

「職人に」

 

「急がせた」

 

「履物の仕掛け」

 

「五十」

 

「粉」

 

「二十」

 

「桃」

 

「劉備持ち」

 

「あなたが」

 

「勝手に使ったのでしょう!」

 

「桃磨きの布」

 

「店主から」

 

「奪った」

 

栄華の扇が。

 

勢いよく。

 

時雨の肩。

 

叩く。

 

「返しなさい!」

 

「後で」

 

「今です!」

 

柳琳は。

 

時雨を見る。

 

「嫌がらせを」

 

「するなとは」

 

「言いません」

 

栄華が。

 

柳琳を見る。

 

「言ってくださいませ!」

 

柳琳は。

 

少し。

 

困ったように。

 

続ける。

 

「ですが」

 

「北郷様が」

 

「本当に」

 

「怒っておられます」

 

時雨の口元。

 

上がる。

 

「いい顔だった」

 

「そこを」

 

「楽しんでいるのですね」

 

「当然」

 

栄華は。

 

額。

 

押さえる。

 

「華琳様へ」

 

「止めていただきます」

 

「曹操も」

 

「楽しんでる」

 

「楽しんでおられません!」

 

倉の入口。

 

声。

 

「誰が」

 

「楽しんでいると言ったの?」

 

時雨の動き。

 

止まる。

 

華琳。

 

立っている。

 

春蘭。

 

秋蘭。

 

桂花。

 

稟。

 

風。

 

霞。

 

華論。

 

揃う。

 

時雨は。

 

酒壺。

 

柳琳の手。

 

見る。

 

次。

 

窓。

 

見る。

 

逃げ道。

 

華琳。

 

気づく。

 

「逃げたら」

 

「祭の責任者から」

 

「外すわ」

 

時雨の眉。

 

僅かに。

 

動く。

 

「いいのか」

 

「外されたい?」

 

「ああ」

 

華琳の笑み。

 

深くなる。

 

「なら」

 

「外さない」

 

時雨の顔。

 

僅かに。

 

曇る。

 

霞が。

 

笑う。

 

「時雨」

 

「完全に」

 

「読まれとるやん」

 

「うるせぇ」

 

華琳は。

 

時雨の前へ。

 

歩く。

 

「北郷一刀へ」

 

「どれだけ」

 

「仕掛けたの」

 

時雨は。

 

指。

 

折る。

 

「朝」

 

「四つ」

 

「祭で」

 

「十三」

 

桂花の目。

 

大きくなる。

 

「十七!?」

 

「まだ」

 

「昼よ!」

 

「午後」

 

「二十」

 

華琳の蒼い瞳。

 

鋭くなる。

 

「二十?」

 

「予定」

 

「中止しなさい」

 

「嫌だ」

 

「命令よ」

 

「半分」

 

華琳の眉が。

 

動く。

 

「何が」

 

「半分は」

 

「中止」

 

「残り半分は」

 

「続ける」

 

「交渉になっていないわ」

 

時雨は。

 

悪い笑み。

 

「曹操」

 

「何?」

 

「一刀」

 

「怒ってた」

 

「見れば分かるでしょう」

 

「次」

 

「やり返す」

 

「どうして」

 

「分かるの」

 

「顔」

 

風が。

 

眠そうに。

 

時雨を見る。

 

「怒らせてー」

 

「こちらへ」

 

「仕掛けさせるのが」

 

「目的ですかー」

 

時雨の目。

 

僅かに。

 

風へ。

 

動く。

 

「半分」

 

稟が。

 

続ける。

 

「北郷一刀が」

 

「怒りに任せて」

 

「どの程度の人員を」

 

「私的に動かすか」

 

「見ている」

 

「そういうこった」

 

桂花の目。

 

鋭くなる。

 

「祭の中にいる」

 

「一刀の間者を」

 

「動かさせるため?」

 

「隠れてる奴は」

 

「探すと逃げる」

 

「ああ」

 

「時雨」

 

華琳の声。

 

止める。

 

時雨は。

 

僅かに。

 

笑う。

 

「出てこさせりゃ」

 

「楽だ」

 

時雨は。

 

倉の壁。

 

寄りかかる。

 

「一刀本人が」

 

「怒って」

 

「俺を探せって」

 

「言う」

 

「普段」

 

「劉備のためにしか」

 

「動かねぇ奴が」

 

「一刀の私怨で」

 

「動く」

 

「ああ」

 

「その時点で」

 

「誰が」

 

「一刀へ」

 

「直接繋がってるか」

 

「分かる」

 

栄華が。

 

帳簿。

 

閉じる。

 

「費用は」

 

「情報収集費として」

 

「処理できます」

 

全員。

 

栄華を見る。

 

栄華の頬。

 

僅かに。

 

赤い。

 

「ですが!」

 

「無制限には!」

 

「認めません!」

 

時雨の口元。

 

上がる。

 

「乗ったな」

 

「乗っておりません!」

 

華琳は。

 

時雨を見る。

 

悪ふざけ。

 

嫌がらせ。

 

だが。

 

目的。

 

一刀の。

 

私的命令系統。

 

表へ。

 

引きずり出す。

 

荊州の間者。

 

一刀の手下。

 

誰が。

 

彼個人へ。

 

忠実か。

 

昨日。

 

民の中。

 

一人。

 

動いた。

 

今日。

 

さらに。

 

動かす。

 

「午後の仕掛け」

 

華琳が尋ねる。

 

「何を」

 

「用意しているの」

 

時雨は。

 

少し考える。

 

「秘密」

 

春蘭が。

 

拳。

 

握る。

 

「華琳様!」

 

「私に!」

 

「命じてください!」

 

「時雨を!」

 

「逆さ吊りに!」

 

「します!」

 

時雨は。

 

春蘭を見る。

 

「それ」

 

「午後の仕掛け」

 

春蘭の目。

 

大きくなる。

 

「何?」

 

時雨の笑み。

 

悪く。

 

深くなる。

 

「一刀を」

 

「逆さに吊るす」

 

華琳の笑み。

 

消える。

 

「中止」

 

即答。

 

「まだ」

 

「説明してねぇ」

 

「説明を聞く必要もないわ」

 

「吊るすのは」

 

「人形」

 

華琳の眉が。

 

僅かに。

 

動く。

 

時雨は。

 

懐から。

 

小さな。

 

木札。

 

出す。

 

絵。

 

下手。

 

白い服。

 

黒い髪。

 

逆さ。

 

吊るされた。

 

一刀。

 

『悪鬼捕獲』

 

「祭の催し」

 

時雨が言う。

 

「吊るした人形へ」

 

「輪を投げる」

 

「当たった奴に」

 

「桃」

 

華琳は。

 

しばらく。

 

木札。

 

見る。

 

「北郷一刀の許可は」

 

「取っていないでしょう」

 

「取るわけねぇ」

 

桂花が。

 

怒鳴る。

 

「取りなさい!」

 

霞は。

 

腹を抱え。

 

笑う。

 

「時雨」

 

「ほんま」

 

「殺されるで」

 

「一刀に?」

 

「愛紗に」

 

時雨は。

 

僅かに。

 

考える。

 

「そっちか」

 

柳琳の目。

 

少し。

 

厳しくなる。

 

「時雨」

 

「何だ」

 

「人形であっても」

 

「逆さ吊りは」

 

「よくありません」

 

「なら」

 

「正面」

 

「そういう問題では」

 

「ありません」

 

華琳は。

 

木札を。

 

時雨から。

 

取り上げる。

 

「この催しは」

 

「中止」

 

時雨の顔。

 

僅かに。

 

残念。

 

「仕方ねぇ」

 

「素直ね」

 

「代わり」

 

華琳の目。

 

鋭くなる。

 

「代わり?」

 

時雨は。

 

別の木札。

 

出す。

 

『天の御使い、空を飛べるか競争』

 

華琳。

 

無言。

 

木札。

 

二つに。

 

折る。

 

時雨の顔。

 

少し。

 

寂しそう。

 

霞。

 

笑い。

 

止まらない。

 

「もう一つ」

 

時雨が。

 

懐へ。

 

手を入れる。

 

華琳が。

 

手首。

 

掴む。

 

「出さなくてよいわ」

 

「まだ」

 

「五つある」

 

「全部」

 

「没収」

 

「横暴」

 

「王ですもの」

 

一刀への。

 

嫌がらせ。

 

半分。

 

中止。

 

少なくとも。

 

華琳は。

 

そう。

 

思った。

 

時雨は。

 

口元へ。

 

悪い笑み。

 

残す。

 

すでに。

 

仕込んであるものを。

 

止めろとは。

 

言われていない。

 

---

 

午後。

 

北郷一刀は。

 

ようやく。

 

時雨を。

 

捕まえるため。

 

動いた。

 

直接。

 

劉備の兵へ。

 

命令。

 

しない。

 

関羽。

 

張飛。

 

使わない。

 

許昌へ。

 

潜ませていた。

 

自分の協力者。

 

数名。

 

祭の中。

 

商人。

 

芸人。

 

荷運び。

 

その者たちへ。

 

密かに。

 

合図。

 

送る。

 

張燕の。

 

居場所を。

 

探れ。

 

危害。

 

加えるな。

 

見つけたら。

 

知らせろ。

 

単純。

 

だが。

 

一刀個人の。

 

命令。

 

一人。

 

布屋の男。

 

動く。

 

一人。

 

酒売りの女。

 

動く。

 

一人。

 

旅芸人。

 

動く。

 

黒狼隊。

 

見ている。

 

屋根。

 

華論。

 

指。

 

折る。

 

三。

 

稟へ。

 

報告。

 

栄華。

 

商い。

 

記録。

 

照らす。

 

柳琳。

 

救護所。

 

来た者。

 

顔。

 

覚える。

 

時雨。

 

見当たらない。

 

一刀の協力者は。

 

祭の中。

 

情報。

 

集める。

 

張燕。

 

午前。

 

中央広場。

 

その後。

 

倉。

 

華琳たちと。

 

会った。

 

次。

 

南市場。

 

向かった。

 

酒売りの女。

 

一刀へ。

 

短い。

 

合図。

 

南。

 

一刀は。

 

歩く。

 

劉備が。

 

気づく。

 

「どこへ行くの?」

 

「少し」

 

「散歩」

 

「張燕さんを」

 

「探すの?」

 

一刀の動き。

 

僅かに。

 

止まる。

 

劉備。

 

笑う。

 

「顔に」

 

「書いてあるよ」

 

「俺は」

 

「あいつほど」

 

「分かりやすくない」

 

「一刀さんも」

 

「怒ってる時は」

 

「分かりやすいよ」

 

一刀は。

 

少し。

 

黙る。

 

「桃香」

 

「何?」

 

「一緒に来るか」

 

劉備は。

 

首を横へ。

 

「行かない」

 

一刀の目。

 

僅かに。

 

動く。

 

「どうして」

 

「張燕さんは」

 

「一刀さんと」

 

「二人で」

 

「遊びたいみたいだから」

 

「遊びじゃない」

 

「でも」

 

「少し」

 

「楽しそう」

 

「誰が」

 

「一刀さん」

 

一刀は。

 

否定しようとする。

 

だが。

 

止まる。

 

朝から。

 

腹。

 

立つ。

 

それでも。

 

時雨。

 

次。

 

何を。

 

仕掛ける。

 

どう。

 

裏を。

 

取る。

 

考えている。

 

退屈。

 

していない。

 

劉備は。

 

一刀の背中を。

 

軽く。

 

押す。

 

「行ってきて」

 

「喧嘩は」

 

「だめだよ」

 

「向こうが」

 

「仕掛けなければ」

 

劉備は。

 

困った顔。

 

「絶対」

 

「仕掛けるね」

 

「なら」

 

「無理だ」

 

劉備は。

 

小さく笑う。

 

「怪我は」

 

「しないでね」

 

一刀は。

 

頷く。

 

南市場。

 

向かう。

 

その後ろ。

 

関羽。

 

腕を組む。

 

「桃香様」

 

「本当に」

 

「一人で」

 

「行かせてよいのですか」

 

「うん」

 

「張燕さんは」

 

「一刀さんを」

 

「傷つけないよ」

 

「なぜ」

 

「そう言い切れるのです」

 

劉備は。

 

時雨が。

 

一刀へ。

 

仕掛けた。

 

悪戯。

 

思い出す。

 

履物。

 

粉。

 

冠。

 

桃。

 

菓子。

 

全て。

 

腹は立つ。

 

だが。

 

危険。

 

ない。

 

「張燕さんは」

 

「嫌がらせしたいだけだから」

 

関羽は。

 

深く。

 

息。

 

吐く。

 

「それも」

 

「十分」

 

「問題です」

 

---

 

南市場。

 

人。

 

中央より。

 

少ない。

 

呉の品。

 

多い。

 

魚。

 

香辛料。

 

水軍用。

 

縄。

 

布。

 

時雨は。

 

古い。

 

酒樽の上。

 

座っていた。

 

足元。

 

空の。

 

籠。

 

手。

 

何も。

 

持っていない。

 

一刀が。

 

見つける。

 

周囲。

 

見る。

 

協力者。

 

三人。

 

離れた位置。

 

いる。

 

時雨は。

 

一刀を見る。

 

「遅ぇな」

 

一刀は。

 

時雨の前へ。

 

止まる。

 

「朝から」

 

「散々」

 

「好き勝手してくれたな」

 

「楽しんだか」

 

「楽しんでない」

 

「顔が」

 

「笑ってる」

 

一刀は。

 

自分の口元へ。

 

意識。

 

僅か。

 

ある。

 

笑っていない。

 

はず。

 

時雨。

 

適当。

 

「嘘だ」

 

一刀が言う。

 

「引っかからねぇか」

 

「朝から」

 

「何度も」

 

「同じ手を」

 

「使われればな」

 

時雨は。

 

酒樽から。

 

降りる。

 

「成長したな」

 

「誰のせいだ」

 

「俺」

 

時雨は。

 

胸を張る。

 

一刀の目。

 

細くなる。

 

「客室へ」

 

「侵入した方法を」

 

「言え」

 

「嫌だ」

 

「帯を」

 

「切ったのも」

 

「お前か」

 

「知らねぇ」

 

「履物も?」

 

「豚が」

 

「勝手に入った」

 

「粉も?」

 

「お前が」

 

「引っかかった」

 

「認めているだろ」

 

時雨は。

 

笑う。

 

一刀は。

 

周囲。

 

見る。

 

人。

 

少ない。

 

だが。

 

店主。

 

いる。

 

聞いている。

 

時雨。

 

一刀を。

 

怒らせ。

 

声を。

 

上げさせたい。

 

民の前。

 

冷静。

 

崩す。

 

「ここへ」

 

一刀が言う。

 

「俺を」

 

「呼び出すために」

 

「朝から」

 

「嫌がらせをしたのか」

 

「違う」

 

「なら」

 

「何だ」

 

「嫌がらせが」

 

「先」

 

「呼び出すのは」

 

「ついで」

 

一刀の額へ。

 

僅かに。

 

青筋。

 

時雨は。

 

それを見る。

 

満足。

 

「いい顔」

 

「張燕」

 

「何だ」

 

「一度」

 

「殴っていいか」

 

「劉備に」

 

「聞け」

 

「なぜ」

 

「お前の飼い主」

 

一刀の目。

 

一気に。

 

冷える。

 

周囲。

 

空気。

 

変わる。

 

時雨。

 

笑み。

 

消さない。

 

「桃香は」

 

「俺の主じゃない」

 

「なら」

 

「何だ」

 

「俺が」

 

「守ると決めた人だ」

 

「勝手に?」

 

「本人も」

 

「望んでいる」

 

「本当に?」

 

一刀は。

 

時雨を見る。

 

「何が言いたい」

 

時雨は。

 

一刀の後ろ。

 

視線。

 

流す。

 

一刀。

 

気づく。

 

自分の協力者。

 

三人。

 

動いている。

 

時雨の位置を。

 

囲むように。

 

自然。

 

近づく。

 

「俺を」

 

時雨が言う。

 

「探すだけで」

 

「三人」

 

「使ったな」

 

一刀の目。

 

鋭くなる。

 

三人。

 

止まる。

 

時雨は。

 

笑う。

 

「布屋」

 

「酒売り」

 

「芸人」

 

「昨日」

 

「劉備の周りにいた奴とは」

 

「別口」

 

一刀は。

 

何も言わない。

 

「劉備を」

 

「守るための網と」

 

「お前が」

 

「個人で使う網」

 

「分けてんのか」

 

時雨は。

 

一刀へ。

 

一歩。

 

近づく。

 

「それとも」

 

「同じ奴を」

 

「俺への腹いせで」

 

「使ったか」

 

一刀の拳。

 

僅かに。

 

握る。

 

時雨。

 

目的。

 

理解。

 

嫌がらせ。

 

怒らせる。

 

一刀が。

 

自分の者を。

 

私的に。

 

動かす。

 

その瞬間。

 

誰が。

 

一刀個人の。

 

命令を。

 

受けるか。

 

見る。

 

「最初から」

 

一刀が言う。

 

「これが」

 

「狙いか」

 

「半分」

 

「残り半分は」

 

「お前の嫌そうな顔」

 

時雨の笑み。

 

悪い。

 

心底。

 

楽しそう。

 

一刀は。

 

目を閉じる。

 

息。

 

吐く。

 

怒り。

 

抑える。

 

「三人を」

 

「捕らえるのか」

 

「まだ」

 

「なぜ」

 

「小物」

 

「お前に」

 

「繋がる線が」

 

「分かりゃ」

 

「今は十分」

 

一刀は。

 

時雨を見る。

 

「俺が」

 

「逆に」

 

「お前の黒狼隊を」

 

「見つけている可能性は」

 

「考えないのか」

 

「見つけていいぞ」

 

「何?」

 

時雨は。

 

両腕。

 

少し。

 

広げる。

 

「見せてる」

 

一刀の目。

 

僅かに。

 

揺れる。

 

「黒狼隊は」

 

「見えるところへ」

 

「置く」

 

「お前が」

 

「見つけたって」

 

「安心する」

 

「その後ろ」

 

「本当に見てる奴は」

 

「別」

 

一刀は。

 

周囲。

 

見る。

 

屋根。

 

店。

 

客。

 

誰。

 

黒狼隊。

 

誰。

 

普通の民。

 

分からない。

 

時雨は。

 

一刀の。

 

視線。

 

楽しむ。

 

「探せ」

 

「間者探し」

 

「好きだろ」

 

「お前が」

 

「手紙で」

 

「散々」

 

「煽ったからな」

 

「見つかったか」

 

一刀は。

 

答えない。

 

時雨の笑み。

 

深くなる。

 

「見つかってねぇ顔だ」

 

「お前も」

 

「同じだろ」

 

「何が」

 

「俺の者を」

 

「全部」

 

「見つけていない」

 

時雨は。

 

少し。

 

一刀を見る。

 

認める。

 

ように。

 

目。

 

細める。

 

「だから」

 

「面白ぇ」

 

一刀の眉が。

 

動く。

 

時雨は。

 

酒樽へ。

 

再び。

 

腰掛ける。

 

「雑魚なら」

 

「昨日で」

 

「終わってた」

 

「ああ」

 

一刀が。

 

言いかけ。

 

止まる。

 

時雨の口元。

 

上がる。

 

「今」

 

「言いそうになったな」

 

一刀の顔。

 

険しくなる。

 

「お前のせいだ」

 

「知ってる」

 

「楽しいか」

 

「かなり」

 

「本当に」

 

「性格が悪いな」

 

時雨は。

 

一刀を見る。

 

「褒めんな」

 

「褒めてない」

 

「知ってる」

 

二人。

 

少し。

 

沈黙。

 

悪意。

 

警戒。

 

敵意。

 

だが。

 

妙な。

 

似たもの。

 

ある。

 

一刀は。

 

劉備を。

 

守るため。

 

人。

 

使う。

 

裏。

 

動く。

 

時雨は。

 

華琳と。

 

魏を。

 

守るため。

 

嘘。

 

罠。

 

使う。

 

違い。

 

自分の悪意を。

 

誰の名で。

 

背負うか。

 

「悪鬼」

 

時雨が呼ぶ。

 

「その呼び方を」

 

「やめろ」

 

「嫌だ」

 

「俺は」

 

「悪鬼じゃない」

 

「荊州じゃ」

 

「そう呼ばれてる」

 

「敵が」

 

「つけた名だ」

 

「便利そうに」

 

「使ってんだろ」

 

一刀の目。

 

細くなる。

 

「敵を」

 

「恐れさせることは」

 

「悪くない」

 

「劉備の隣で?」

 

「桃香を」

 

「守るためだ」

 

時雨は。

 

鼻で笑う。

 

「また」

 

「守るため」

 

「それしか」

 

「ねぇのか」

 

「お前は」

 

「何のために」

 

「戦う」

 

「欲しいから」

 

「何を」

 

時雨は。

 

少し。

 

南市場。

 

許昌。

 

空。

 

見る。

 

「全部」

 

一刀の目。

 

僅かに。

 

動く。

 

「曹操も?」

 

「曹操は」

 

「俺が選んだ」

 

「魏は?」

 

「曹操のもん」

 

「民は?」

 

「俺が守ると」

 

「決めた」

 

「黒狼隊は?」

 

「俺のガキども」

 

「女たちは?」

 

時雨の目。

 

一刀へ。

 

戻る。

 

「聞きてぇのか」

 

「お前が」

 

「桃香について」

 

「聞くからだ」

 

時雨は。

 

少し。

 

笑う。

 

「全部」

 

一刀の眉。

 

上がる。

 

「欲張りだな」

 

「盗賊だぞ」

 

「お前は」

 

「失うことを」

 

「怖がらないのか」

 

時雨の笑み。

 

僅かに。

 

薄くなる。

 

「怖ぇよ」

 

即答。

 

一刀の目。

 

変わる。

 

「だから」

 

時雨が続ける。

 

「奪われる前に」

 

「噛み殺す」

 

「全部」

 

「守れると思うか」

 

「思わねぇ」

 

「それでも?」

 

「盗賊は」

 

「取れるだけ」

 

「取る」

 

時雨は。

 

一刀へ。

 

指を向ける。

 

「お前は」

 

「全部」

 

「守れる顔をする」

 

「だから」

 

「気に入らねぇ」

 

一刀は。

 

静かに。

 

時雨を見る。

 

「俺は」

 

「桃香へ」

 

「不安を与えたくない」

 

「だから」

 

「笑う?」

 

「必要なら」

 

時雨は。

 

口元を歪める。

 

「商人の笑い方」

 

一刀の目。

 

冷たくなる。

 

「お前は」

 

「曹操へ」

 

「全部」

 

「見せているのか」

 

「見せてる」

 

「恐れも?」

 

時雨は。

 

少し。

 

黙る。

 

一刀。

 

見る。

 

「見抜かれてる」

 

「同じことだ」

 

「違ぇよ」

 

「何が」

 

「俺は」

 

「隠しても」

 

「剥がされる」

 

一刀の目。

 

僅かに。

 

動く。

 

時雨の笑み。

 

少し。

 

本物。

 

「お前は」

 

「劉備が」

 

「剥がそうとした時」

 

「笑って誤魔化す」

 

一刀は。

 

答えない。

 

南市場。

 

人。

 

遠く。

 

声。

 

祭。

 

明るい。

 

二人の間。

 

静か。

 

「張燕」

 

一刀が言う。

 

「嫌がらせを」

 

「続けるのは」

 

「俺が」

 

「気に入らないからか」

 

「半分」

 

「残り半分は」

 

「お前が」

 

「どこまで」

 

「劉備を」

 

「信じてるか」

 

「見るため」

 

一刀の目。

 

鋭くなる。

 

「俺は」

 

「桃香を」

 

「信じている」

 

「なら」

 

「全部」

 

「話せ」

 

「話している」

 

時雨は。

 

笑う。

 

「嘘つけ」

 

一刀の拳。

 

再び。

 

僅かに。

 

握る。

 

時雨は。

 

立ち上がる。

 

一刀の肩。

 

軽く。

 

叩く。

 

一刀。

 

払おうとする。

 

時雨。

 

先に。

 

離れる。

 

「今日は」

 

「ここまで」

 

「待て」

 

「何だ」

 

一刀は。

 

時雨を見る。

 

「朝からの」

 

「嫌がらせ」

 

「全部」

 

「やり返す」

 

時雨の目。

 

楽しそうに。

 

光る。

 

「やれよ」

 

「後悔するな」

 

「退屈させんな」

 

一刀は。

 

冷たい。

 

笑み。

 

浮かべる。

 

今度。

 

商人。

 

ではない。

 

悪鬼。

 

呼ばれる。

 

男。

 

顔。

 

「明日の朝を」

 

「楽しみにしてろ」

 

時雨の笑み。

 

さらに。

 

悪い。

 

「今夜から」

 

「仕掛けろ」

 

一刀の眉。

 

動く。

 

「なぜ」

 

「待つの」

 

「面倒」

 

「お前が」

 

「言うな」

 

二人。

 

初めて。

 

同時に。

 

僅かに。

 

笑った。

 

---

 

一刀が。

 

劉備たちのもとへ。

 

戻った時。

 

劉備は。

 

すぐに。

 

気づいた。

 

「一刀さん」

 

「少し」

 

「楽しそう」

 

一刀の顔。

 

戻る。

 

「そんなことない」

 

張飛が。

 

一刀の腰。

 

見る。

 

「何か」

 

「ついてるのだ」

 

一刀は。

 

後ろ。

 

見る。

 

腰帯。

 

小さな。

 

紙。

 

貼られている。

 

いつ。

 

時雨が。

 

肩を。

 

叩いた時。

 

紙。

 

『悪鬼、盗賊に完敗』

 

一刀の顔。

 

固まる。

 

関羽が。

 

紙を。

 

読む。

 

目を閉じる。

 

張飛。

 

爆笑。

 

劉備も。

 

笑う。

 

一刀は。

 

紙を。

 

剥がす。

 

「張燕」

 

遠く。

 

南市場。

 

時雨の。

 

笑い声。

 

聞こえた。

 

一刀は。

 

紙を。

 

丸める。

 

捨てない。

 

袖へ。

 

入れる。

 

劉備は。

 

その動き。

 

見る。

 

「取っておくの?」

 

「証拠だ」

 

「何の?」

 

「明日」

 

「やり返すため」

 

張飛の目。

 

輝く。

 

「鈴々も」

 

「手伝うのだ!」

 

関羽も。

 

腕を組む。

 

「私も」

 

「張燕へ」

 

「積年の恨みがある」

 

劉備は。

 

困る。

 

「祭が」

 

「嫌がらせ大会に」

 

「なっちゃうよ」

 

一刀は。

 

劉備を見る。

 

「桃香」

 

「何?」

 

「止めるか」

 

劉備は。

 

少し。

 

考える。

 

時雨。

 

悪い。

 

楽しそう。

 

一刀。

 

怒っている。

 

だが。

 

少し。

 

楽しそう。

 

関羽。

 

張飛。

 

乗り気。

 

祭。

 

民。

 

笑う。

 

危険。

 

ない。

 

なら。

 

「怪我を」

 

「しないなら」

 

「少しだけ」

 

一刀の目。

 

僅かに。

 

柔らかくなる。

 

「分かった」

 

関羽が。

 

真剣。

 

「では」

 

「張燕へ」

 

「泥を」

 

「投げるのは」

 

「許されますか」

 

劉備は。

 

即座に。

 

「だめ」

 

関羽の顔。

 

僅かに。

 

残念。

 

張飛が。

 

手を上げる。

 

「桃の種は?」

 

「だめ」

 

「粉は?」

 

「だめ」

 

一刀が尋ねる。

 

「履物へ」

 

「音の鳴るものを」

 

「入れるのは」

 

劉備は。

 

一刀を見る。

 

一刀。

 

真顔。

 

本気。

 

「……一回だけ」

 

関羽。

 

張飛。

 

一刀。

 

目。

 

輝く。

 

劉備は。

 

小さく。

 

息を吐く。

 

「張燕さん」

 

「みんなを」

 

「悪くしちゃった」

 

---

 

夕方。

 

華琳の私室。

 

時雨は。

 

長椅子。

 

寝転ぶ。

 

足。

 

肘掛け。

 

越える。

 

酒。

 

柳琳に。

 

取り上げられた。

 

代わり。

 

茶。

 

薄い。

 

時雨。

 

不満。

 

華琳は。

 

机。

 

報告。

 

読む。

 

「時雨」

 

「何だ」

 

「北郷一刀が」

 

「三人の協力者を」

 

「動かしたそうね」

 

「ああ」

 

「あなたを探すために」

 

「動いた」

 

「ああ」

 

「それで」

 

「目的は達した?」

 

「半分」

 

華琳は。

 

時雨を見る。

 

「残り半分は」

 

「明日」

 

「何があるの」

 

「一刀が」

 

「やり返す」

 

華琳の眉。

 

僅かに。

 

動く。

 

「なぜ」

 

「分かるの」

 

「言ってた」

 

「本人が?」

 

「ああ」

 

「止めなかったの?」

 

時雨は。

 

茶。

 

一口。

 

飲む。

 

「何で」

 

「止める」

 

「楽しそうね」

 

「ああ」

 

華琳は。

 

小さく。

 

息を吐く。

 

「祭を」

 

「私闘の場へ」

 

「変えないで」

 

「私闘じゃねぇ」

 

「嫌がらせ合戦」

 

「余計に悪いわ」

 

時雨は。

 

少し。

 

笑う。

 

華琳は。

 

報告。

 

机へ。

 

置く。

 

長椅子。

 

近づく。

 

時雨の脚。

 

下ろす。

 

自分。

 

端。

 

座る。

 

「北郷一刀と」

 

「何を話したの」

 

「悪口」

 

「誰の」

 

「一刀」

 

「本人へ?」

 

「ああ」

 

「ほかには」

 

「劉備」

 

華琳の蒼い瞳。

 

僅かに。

 

鋭くなる。

 

「何を」

 

「劉備を」

 

「信用してるなら」

 

「全部話せ」

 

「そう言った?」

 

「ああ」

 

「一刀は」

 

「何と」

 

「話してるって」

 

「嘘」

 

「そうでしょうね」

 

華琳は。

 

時雨の顔を見る。

 

「あなたは」

 

「私へ」

 

「全部」

 

「話している?」

 

時雨は。

 

華琳を見る。

 

「見つかる」

 

「質問へ」

 

「答えていないわ」

 

「隠しても」

 

「曹操が」

 

「勝手に」

 

「剥がす」

 

華琳の口元。

 

僅かに。

 

上がる。

 

「当然でしょう」

 

「私の隣で」

 

「秘密を抱えたまま」

 

「眠れると思わないことね」

 

「怖ぇ女」

 

「誰を」

 

「選んだと思っているの?」

 

「俺」

 

「なら」

 

「責任を取りなさい」

 

時雨は。

 

少し。

 

笑う。

 

「一刀も」

 

「劉備に」

 

「剥がされりゃ」

 

「楽なのにな」

 

華琳の目。

 

僅かに。

 

柔らかくなる。

 

「それを」

 

「言葉で」

 

「伝えず」

 

「朝から」

 

「豚の音を」

 

「履物へ仕込んだの?」

 

「ああ」

 

「なぜ」

 

「面白ぇから」

 

華琳は。

 

時雨の頬を。

 

引っ張る。

 

「痛ぇ」

 

「それだけでは」

 

「ないでしょう」

 

「半分」

 

「残り半分は」

 

「警備」

 

「見た」

 

「客殿へ」

 

「本当に」

 

「入ったの?」

 

時雨は。

 

少し。

 

黙る。

 

華琳の目。

 

細くなる。

 

「時雨」

 

「入ってねぇ」

 

「では」

 

「どうやって」

 

「内緒」

 

華琳の指。

 

頬。

 

強くなる。

 

「痛ぇ」

 

「全部?」

 

「ああ」

 

「言いなさい」

 

時雨は。

 

華琳の手首。

 

掴む。

 

「客殿の侍女」

 

「買収した」

 

華琳の目。

 

僅かに。

 

鋭くなる。

 

「誰を」

 

「買収?」

 

「金じゃねぇ」

 

「何で」

 

「休み」

 

「祭の三日」

 

「家族と」

 

「回りたいって」

 

「代わりに」

 

「黒狼隊の女」

 

「入れた」

 

華琳は。

 

黙る。

 

警備。

 

乱していない。

 

客殿。

 

管理。

 

正式。

 

交代。

 

その中。

 

時雨の者。

 

入れる。

 

一刀の護衛。

 

外。

 

見張る。

 

侍女。

 

疑わない。

 

「悪辣ね」

 

華琳が言う。

 

「ああ」

 

「侍女の休暇まで」

 

「利用したの?」

 

「喜んでた」

 

「そういう問題ではないわ」

 

「家族に」

 

「菓子も」

 

「渡した」

 

華琳は。

 

時雨を見る。

 

悪党。

 

買収。

 

だが。

 

相手。

 

望み。

 

満たす。

 

脅さない。

 

傷つけない。

 

その上で。

 

穴。

 

使う。

 

「北郷一刀は」

 

「見抜いた?」

 

「まだ」

 

「教えるの?」

 

「嫌だ」

 

「では」

 

「彼は」

 

「護衛を疑い続ける」

 

「それが」

 

「見たい」

 

華琳の目。

 

細くなる。

 

「疑心を」

 

「植えたのね」

 

「一刀が」

 

「自分の手下を」

 

「どこまで」

 

「信じるか」

 

「見る」

 

「悪趣味」

 

「ああ」

 

「でも」

 

華琳は。

 

時雨の胸へ。

 

手を置く。

 

「あなたも」

 

「昔は」

 

「誰も」

 

「信じなかったでしょう」

 

時雨の笑み。

 

少し。

 

薄くなる。

 

「今は?」

 

華琳が尋ねる。

 

時雨は。

 

華琳。

 

見る。

 

次。

 

扉。

 

外。

 

栄華。

 

柳琳。

 

桂花。

 

春蘭。

 

秋蘭。

 

霞。

 

皆。

 

気配。

 

ある。

 

時雨を。

 

逃がさないため。

 

集まっている。

 

明らか。

 

「多すぎる」

 

「何が」

 

「信用する奴」

 

華琳の目。

 

柔らかくなる。

 

「なら」

 

「北郷一刀にも」

 

「少し」

 

「分けてあげなさい」

 

時雨は。

 

嫌そうな顔。

 

「嫌だ」

 

「なぜ」

 

「あいつ」

 

「気に入らねぇ」

 

「それでも」

 

「明日の嫌がらせを」

 

「楽しみにしている」

 

時雨の口元。

 

悪く。

 

上がる。

 

「ああ」

 

華琳は。

 

時雨の額へ。

 

指。

 

当てる。

 

「本当に」

 

「子供ね」

 

「違う」

 

「どこが」

 

「盗賊」

 

「同じようなものよ」

 

扉。

 

開く。

 

栄華。

 

帳簿。

 

手。

 

入る。

 

柳琳。

 

薬箱。

 

桂花。

 

書類。

 

春蘭。

 

縄。

 

持っている。

 

時雨の目。

 

縄へ。

 

向く。

 

「何だ」

 

春蘭が。

 

胸を張る。

 

「捕まえた後」

 

「逃げないよう」

 

「縛る!」

 

時雨は。

 

華琳を見る。

 

「首輪じゃ」

 

「なかったな」

 

華琳の笑み。

 

深くなる。

 

「今夜は」

 

「縄で我慢しなさい」

 

「嫌だ」

 

「逃がさないわ」

 

時雨は。

 

窓。

 

見る。

 

秋蘭。

 

外。

 

立つ。

 

霞。

 

屋根。

 

華論。

 

廊下。

 

黒狼隊。

 

裏。

 

自分の部隊まで。

 

包囲。

 

使われている。

 

「盗賊を」

 

「囲むとは」

 

「いい度胸だ」

 

桂花が。

 

怒鳴る。

 

「あなたの!」

 

「悪ふざけの!」

 

「後始末を!」

 

「するためよ!」

 

時雨は。

 

長椅子から。

 

立つ。

 

「捕まえてみろ」

 

春蘭が。

 

縄。

 

構える。

 

華琳。

 

手。

 

上げる。

 

「捕らえなさい」

 

時雨は。

 

窓へ。

 

走る。

 

秋蘭。

 

塞ぐ。

 

反対。

 

扉。

 

栄華。

 

柳琳。

 

いる。

 

栄華。

 

扇。

 

柳琳。

 

微笑み。

 

逃がす気。

 

ない。

 

時雨は。

 

止まる。

 

次。

 

机の下。

 

潜る。

 

桂花が。

 

叫ぶ。

 

春蘭。

 

追う。

 

華琳は。

 

額へ。

 

手を当てる。

 

「時雨!」

 

「何だ!」

 

「大人しく!」

 

「捕まりなさい!」

 

「盗賊が!」

 

「大人しく!」

 

「捕まるか!」

 

私室。

 

騒ぎ。

 

広がる。

 

外。

 

祭。

 

灯り。

 

夜。

 

近い。

 

遠い。

 

客殿。

 

一刀は。

 

時雨へ。

 

仕返しするため。

 

関羽。

 

張飛と。

 

策を。

 

練る。

 

劉備は。

 

止める。

 

ふりをしながら。

 

少し。

 

楽しみにしている。

 

時雨は。

 

魏の将たちへ。

 

追われながら。

 

笑う。

 

明日。

 

一刀が。

 

何をする。

 

どんな顔で。

 

自分の前へ来る。

 

待ち遠しい。

 

二人。

 

敵。

 

悪鬼。

 

盗賊。

 

劉備と。

 

華琳。

 

それぞれの王の隣。

 

立つ男。

 

だが。

 

祭の二日目。

 

したこと。

 

履物を鳴らす。

 

粉を落とす。

 

粥へ文字を書く。

 

冠を贈る。

 

桃を磨かせる。

 

菓子へ塩を入れる。

 

腰へ紙を貼る。

 

全て。

 

くだらない。

 

全て。

 

悪ふざけ。

 

その奥。

 

互いの。

 

目。

 

手。

 

人。

 

心。

 

探る。

 

戦。

 

剣。

 

抜く前。

 

二人は。

 

嫌がらせで。

 

相手の懐へ。

 

入り始めていた。

 

時雨は。

 

一刀の怒りを。

 

奪った。

 

一刀は。

 

時雨の興味を。

 

奪った。

 

明日。

 

取り返す。

 

盗賊同士ではない。

 

だが。

 

奪われたものを。

 

そのままに。

 

しておけない。

 

北郷一刀は。

 

客殿で。

 

小さな。

 

音の鳴る袋を。

 

時雨の履物へ。

 

入れる方法を。

 

真剣に。

 

考えていた。

 

関羽は。

 

泥。

 

使えないことへ。

 

まだ。

 

不満。

 

張飛は。

 

粉の袋を。

 

すでに。

 

三つ。

 

作っている。

 

劉備は。

 

桃の皮を。

 

細く。

 

剥きながら。

 

「怪我だけは」

 

「しないでね」

 

と。

 

何度も。

 

念を押した。

 

一方。

 

華琳の私室。

 

机の下。

 

引きずり出された時雨は。

 

春蘭の縄を。

 

見ながら。

 

悪い笑みを。

 

浮かべた。

 

「明日」

 

「面白くなりそうだな」

 

華琳の蒼い瞳が。

 

細くなる。

 

「その前に」

 

「今日の罰を」

 

「受けなさい」

 

「面倒」

 

「あなたが」

 

「始めたことでしょう」

 

「一刀のせい」

 

「全て」

 

「あなたのせいよ」

 

時雨は。

 

笑う。

 

祭は。

 

残り。

 

一日。

 

悪鬼の反撃が。

 

始まる。

 

そして。

 

黒山の盗賊は。

 

罠へ。

 

かかるふりをして。

 

さらに。

 

悪い罠を。

 

仕掛けようとしていた。




感想、評価、お気に入りよろしくお願い致します!

次の作品の主人公とルートは誰がいい?

  • 高順呂布ルート(ヒロイン恋、霞)
  • 朱霊曹操ルート(ヒロイン華琳、柳琳)
  • 周倉関羽ルート(ヒロイン愛紗)
  • 孫瑜孫権ルート(ヒロイン蓮華、粋怜)
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