仮面ライダーウィザード in第四次聖杯戦争 作:T氏@pixiv
夜中に目覚めたウェイバーは静かに傍で本を読んでいたライダーと話していた。
「夜の空気が静かすぎる感じがする...もう参加者も少なくなってるってことかな。」
窓へ近づくウェイバーと回していた地球儀を止めるライダー。
「ここからは本当に強いもの達ばかりということだ。」
「ん?」
突如、上空に信号弾が打ち上げられる。
「な!?いまのは...」
「妙な魔力の波動だったなぁ...以前にも似たようなものがあったが。」
次々と赤と緑の光が上に昇る。
素早く着替え、庭に出る二人。
「...あのパターンは。」
「なんだ?何かの不調なのか?」
上げ続けられる信号弾。
「色違いで4と7...達成と勝利だよな。あんな狼煙を上げるってことはまさか聖杯戦争が決着したというのか?いや、教会の方角とは違うから教会の連中ではないのか。」
「要するに、誰か気の早いやつが勝手に勝鬨を上げているのだ...あれは挑発だろうよ。」
打ち上げ続けていた信号弾はもうすべて消滅していた。
「今夜は決選の大一番となりそうだな!」
「...そうか、これが...最後なんだな。」
「おうともさ!!さぁ、目指す戦場が定まったとあれば、余もまたライダーのクラスに恥じぬ形で馳せ参じなくてはなるまいぞ!!」
振り上げた剣に雷が降臨し、戦車が飛んでやってくる。
「[[rb: 神威の車輪>ゴルディアス・ホイール]]はセイバー、[[rb:王の軍勢 > アイオニオン・ヘタイロイ]]はアーチャーに使うとしよう。」
「フォーリナーはどうすんだよ?」
「やつは対城宝具レベルの攻撃を持つが...セイバーやアーチャーと比べれば説得の余地はある。」
乗り込むライダーに対して俯くウェイバー。
「乗るのだ坊主...何をクズクズしておる?」
ウェイバーは自身の右手の甲に刻まれた令呪に目を向ける。
「お前が全力で戦えないのは僕にとって嫌なんだ...令呪はな、命令だけじゃなくて回復にも使えるんだよ。」
ライダーの方に手をかざす。
「我がサーヴァントよ、令呪を以て命ずる...ライダー、令呪にこもった魔力をすべて吸収しろ!」
令呪の一つが薄まる。
「うぬ、令呪一つを余に授けるとはな。」
「まだだライダー、ここからは本当に強いものしかいちゃいけないんだろ...」
一瞬、目をつぶって考え込むも右手をライダーにかざし続ける。
「追加だ、ライダー!ウェイバー・ベルベットが令呪を以て命ずる...ライダーよ、必ずや最後まで勝ち抜き、お前が聖杯を掴め!」
もう一つ令呪が薄まり、ライダーは命令を出すウェイバーを静かに見つめる。
「重ねて令呪を以て命ずる...ライダーよ、世界を掴め!失敗は許さない!」
下した右手の甲にはもう主従の証が消えている。
「これで僕はもう、お前のマスターでも何でもない...もう行けよ、どこへなりとも行っちまえ。」
その場から去ろうとするウェイバーだが、一度立ち止まる。
「お前なんか...もうって!?」
腕を伸ばしたライダーはウェイバーを掴み、戦車に乗せる。
「もちろんすぐにでも行かせてもらうが...あれだけ口やかましく命じ、全力を求めさせた以上は当然貴様も見届ける覚悟でいよう?」
「馬鹿か!?もう令呪ないんだぞ!?僕はマスターじゃな痛った!?」
食いかかるウェイバーにデコピンを喰らわせるライダー。
「...マスターじゃないにせよ、余の[[rb:盟友 > とも]]に違いはあるまい。」
「は...僕が、僕なんかでいいのか?お前なんかの隣で...」
赤くなった額を抑えながらも、ライダーの屈託のない笑顔に涙がこぼれるウェイバー。
「あれだけ余と共に戦場に臨んでおきながら何を言うておるのだ?馬鹿者...貴様は今日まで余と同じ敵に立ち向かってきた。ならば、[[rb:盟友 > とも]]だ!!」
うじうじするウェイバーに大声で奮い立たせる。
「胸を張って堂々と余に、比類せよ!」
流していた涙と鼻水をライダーのマントで拭き、顔を向けるウェイバー。
「さて...では第二の令呪に応えるとしよう。」
戦車に雷が走り、二頭の牛が空気を震わせる。
「坊主、刮目して見届けよ!!」
「あぁ、やってみろよ!」
戦車が空へと旅立った。
「...あそこは。」
「建設途中の冬木市民会館だな...言峰綺礼は戦いの主導権を握るためだけに最も儀式に向かない場所を選んだか。」
間桐邸から空へ打ち上げられる信号弾を目にする切嗣と雁夜。
「切嗣よ、敵の誘いに乗るのか?」
「...奴の狙いは僕と...お前だ。」
セイバーの問いに応える切嗣は晴人の方へ視線を向ける。
「俺ねぇ...あいつとは二回しか会ってないんだがな。」
「お前がそれほど周りに影響を与えているということだ、魔法使い。」
「おいおい、なんか飛んでるぜ晴人!!」
仁藤が指をさす方向にはライダーの戦車が見える。
「お前が前に会ったアレクサンドロス大王だ。」
「えぇ!?あいつ、空飛べるのかよ。」
雷に魅入られた仁藤。
「それで私たちはどうアイリスフィールを救出するのだ?」
「セイバー、それに...仁藤だったか。君たちにはライダーの後を追って」
「あーあー、分かってる!皆まで言うな!」
仁藤は切嗣の話を無理やり切り上げる。
「仁藤よ!これでは作戦が分からないではないか!」
「おめー、分からねーのか?要は金ぴかと戦ってこいってことだろ?」
「フォーリナー、この男は碌に話を聞かないのですか!?」
仁藤に対して不機嫌な様子を示すセイバーは晴人と切嗣に訴える目で見る。
「...セイバー、ライダーを尾行してアーチャーを抑えてほしい。」
「な!?」
セイバーは仁藤を見開く。
「こいつは人の話は聞かないが...たまになぜか相手を理解してるからな。」
「...まぁ、いいでしょう。」
「そう拗ねるなって!」
目の前で繰り広げられる漫才に切嗣は唖然とする。
「魔法使い、お前の仲間は愉快なものだな。」
「俺たちはそうやって戦ってきたからな...それで俺と雁夜、それにあんたはどうするん
だ?」
切嗣は冬木市民会館の方へ視線を向ける。
「僕たちは裏側から綺礼を叩く...僕と君のマスターが相手している間、魔法使いはアイ
リを聖杯から切り離してほしい。」
「分かったよ、衛宮。」
静かに見ていた雁夜の方へ視線を向ける晴人。
「雁夜...お前も行くのか?」
「晴人、俺は別に死にに行くわけじゃない...助けられた俺は君の戦いに加勢したい、それだけだ。」
「これは...」
雁夜の強い眼と共にホープリングが手渡される。
「晴人の希望なんだろ?桜はもう一人で大丈夫と言っていた...だから、これは返すよ。」
「...その様子なら頼らせてもらおうか、雁夜。」
晴人が受け取った希望の指輪をこの場の者が見とれていた。
「フッ、今宵もまたいつになく愉快な様子だな、綺礼。」
冬木市民会館の屋上で勝利の狼煙を上げ終わった綺礼はその景色を眺める中、横からギルガメッシュがやってくる。
「さてどうするんだ?俺はここで待ち構えるのか?」
「お前の力を間近で解放されると儀式そのものを危険にさらしてしまう...存分にやりたいのであれば迎撃に出てもらおう。」
「良かろう...だが、貴様の持つ駒が少々足りんのではないか?」
不敵に笑う綺礼。
「...その分、駒自体が奴らにとって致命的だからな。」
「ほう、貴様の開いた舞台に遅れてしまうのは心底残念だが...いくら駒が強いとはいえお前ひとりでは少々荷が重いのではないか?」
「安心しろ、希望を持つということは絶望もあるということだからな。」
地下で寝かせているアイリを思い浮かべる綺礼。
「...令呪でここに呼ぶが、構わないかね?」
「許す。ただし、聖杯の安全までは保証せぬぞ...今宵の俺は手加減抜きで行く。」
「最悪の展開だが、そうなればそれもまた運命だな。」
手すりに寄りかかるギルガメッシュ。
「綺礼よ、どうやら戦う意味については答えを得た様子だが...今でも聖杯に託す祈りはあるか?」
「祈りか、あいにく神に願うものなどないな...だが、強いて挙げるとすれば問いだな。」
「ほう...願いではなく問いと来たか。」
ギルガメッシュは興味深そうに綺礼の顔を覗き込む。
「ではその問いは何だというんだ、綺礼?」
「他者の苦しみを喜び、破滅を愛する欠陥品で悪である私をなぜ神は存在を赦したのか...私と同様に穢れたとされる聖杯が私を肯定する答えを示すのではないか...それが私の問いだ。」
一瞬沈黙が支配するが、ギルガメッシュの腹を抱えて笑う様子で崩れる。
「実に良いぞ、綺礼! 己が誕生の意味を、万象の絶望を以て証明しようというのだな。やはり貴様という器、眺めていて飽きぬわ!」
瞬時に黄金の鎧を身に纏い、下ろしていた黄金の髪が逆立つ。
「貴様のその問い...我が財を以て道を切り開いてやろうぞ。」
黄金の粒子を散らし、姿を消す。
(魔法使いに絆された衛宮切嗣よ...妻を失い、絶望に陥る姿を待ちきれない。)
綺礼が市民会館の中へ戻るころには、冬木大橋で光が広がっていた。
次回、仮面ライダーウィザード
「良い...存分に己を示せよ征服王。」
「おい死ぬ気かイスカンダルのおっさんよ!」
「..どうか僕を導いてほしい!同じ夢を見させてほしい!」
「彼方にこそ栄えあり、届かぬからこそ挑むのだ!」
「さぁ、ショウタイムだ。」
第27話 最果ての海