魔法科高校の退学希望者   作:無淵玄白

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最新刊……うん、まぁ最強の引きこもり思想だな。要するに達也をアイルマンカー化させることが、全ての解決法と。

本当、オーフェン読んでいたならば、どうしてこういう所に行き着けるのだろうか?いや、まぁ女神も魔獣もそのしもべたるヴァンパイアもいないからな。

それもまた一つの道なのかね。


第三七話「魔法科高校攻防Ⅵ」

 

とんでもない速度で上がる2人の男女だが、とんでもない圧で顔が潰れてなどということはないが、ロケット・マンよろしく飛んでくる魔法師はあちらとしても、予想外だったのか……。

 

「いやースカイランデブーというのもイイものネー♪」

 

「おしっこちびりそう(ショベチ)になったよ」

 

「ワタシが処理してアゲル?」

 

「結構だ!」

 

ようやくのことで止まったのは空飛ぶ甲鉄船の真上、こちらは風を受けて滞空している。この轟風の中で声は聞こえないはずだが、あちらも気づき始めている様子で騒がしいぐらいだ。

 

その様子と対応に疑問を覚える。

 

(対空兵器がない?)

 

魔法師が飛んでやってくるなどと考えていないとしても軍用兵器、都内に存在している国防軍の基地から追尾型のミサイルや自爆型ドローンがカミカゼよろしく放たれることを考えれば何かあってもいいはずだが。

 

考えている暇はない。

 

「あちらの混乱につけ込もう。もう思いっきりやっちまえ」

「ワタシも軍事に詳しいわけじゃないけど奇襲(Sneak)はセンテヒッショウ(先手必勝)だとグランパから教わったわーーーラブレースもネ♡」

 

本当に軍人さん(シリウス)じゃないんだなーなどと思いつつも……。

 

「行くぞ!! 着地と同時に強烈な魔法を頼む!!」

「OK!」

 

気流で行き先を固定し重力中和を制御しつつ滑降よろしく飛ぶように船に向かう。甲板になっているのは恐らくコンクリートの路面だろう。

 

その間にもアンジェリーナの魔法は読み込まれていきーーー。

 

落着すると同時に。

 

「GO!!!」

 

言葉はいらないはずだが、それと同時に周囲に高エネルギーの電磁場が作り出されていく。

 

プラズマの霧…いや海が、全ての生きとしいけるものを赦さぬように容赦なく広がっていく。

 

劇甚たる規模で疾く広がる雷の領域の前では、遮蔽物を利用してアキラとアンジェリーナに銃口を向けようとしたブランシュのメンバーも沈黙していく。

 

悲鳴を上げながら、船内とも工場内とも言える場所に戻っていくようだ。

 

(このまま続けるか)

 

積極的に人殺しがしたいわけではないアキラとしては、こうして巣穴を燻すように広範囲に攻撃をすることにした。

 

アンジェリーナが魔法の展開を50秒は維持していたが……。

 

「ソーリー、アキラ!」

 

工場の外観をありったけ砕いたアンジェリーナは、息切れをした。

 

自分たちを中心に破壊を撒き散らしたことに感謝しつつ……。

 

「選手交代だな」

 

既に魔法を読み込んでいたアキラは、未だに蟠る電磁界のエネルギーも利用して、電流を取り込んだようなボールを作り出す。

 

エアブリットの応用で作り出したそれはアキラを中心に上空へと巻き上がる竜巻を伴いながら電気と乱流を内包した……差し詰め轟嵐球ーーーサイクロンボールとでも言うべきものを周囲で何度も回転させていく。

 

(アキラは無意識かもしれないけどエナジーボールが回転していく度に粒子加速器の要領で圧倒的なパワーが溜め込まれていく)

 

自分たちの周囲に紫電がいくつも走り、発生する颶風が防壁となり、全てを拒む。

 

そしてパワーが溜まりきったボールを一纏めの本当に巨大な大玉にしたところでーーー。

 

虚空ではなく、船体そのもの。自身の足下で炸裂させた。

 

まさに自然災害の脅威に晒された船体はダメージを許容しきれずに、大きく高度を下げた様子だ。

 

窓ガラスが次々と割れた音も響いて下(地上)への被害が気になる。

 

「アンビリーバボー」

 

「ムスペルスヘイムだっけか?内部に展開しなかったのは、あんまり人に危害を加えたくなかったんだろ?」

 

「ソウネ、中で発動させたワタシの魔法でどんな被害が出ているかは分からないカラ……」

 

人死にを恐れたアンジェリーナは、外側を叩くことで相手に脅威を覚えさせたかったようだ。

 

まぁ、シリウスとしての思い切りのよさからのやらかしが無くなったのはいいのだが……。

 

「この姿勢は継続なのか?」

「不安を感じるワタシをナグサメテー!!」

 

色恋沙汰(こういうこと)に関してだけは、とんでもなくアクティブなのはどうなんだと思いながらも姫抱きのままに工場船を破壊していた自分たちを前にして……。

 

「随分とやりたい放題やってくれたもんだ……」

 

手勢を率いてやってくるもんだと思っていたキャプテン・ファースト・ノイマンこと……司一(はじめ)氏の登場。下の方から突如やってきたことを考えるに、駆動音は聞こえていたのでどうやら昇降機な機構があったようだ。

 

「アンタが、ブランシュリーダー司一か?」

「キャプテン・ファーストと呼びたまえ」

「やなこった。あんたの選択肢を教えてやる。一つにウチの連中(一高愚連隊)のカチコミで壊滅されなかったことに対して慰謝料を払うか、こんなお空の上まで俺をご足労させたことに対して慰謝料を払うか、まぁとにかくなんとなく俺に慰謝料を払うかだ。みっつ全部でもいいぞ」

「なんなんだ?貴様はーーー」

 

苛立ち混じりの疑問に対する答えなどないがーーー。

 

「どちらにせよ。敵であるということだな。キノエが教えなかったとはいえ、このような魔法師がいたとは失念だ」

 

その言葉に原作を知る人間としては疑問を覚えたが、構わず状況は進む。

 

「一軍の将が自ら手を下すなど下策だがーーー私の信念かお前たちの正義か、因縁の対決だ」

 

そんなもんねーだろと思いながらも、肩に乗っていたオウムが司一の腕を止まり木にした上で、腕を変形させていく。

 

「ミュ、ミューテーションなの?」

 

鳥の頭を恐らく砲口か銃口のようにして司一の腕を己の身体とする鳥に嫌悪を催す。  

もはやオウムの体長どころか質量全てを凌駕する形で、鳥砲とでも言うべきものが、形成された。

 

「戦いの時だ」

 

散弾銃のように何かが放たれるも。

 

「然程の威力は無いが……」

「どう倒したものカシラ……?」

 

ぽこ玉としか表現出来ないものは、サイオン弾の類らしく、物理的な破壊力は殆ど無いのだが。

 

(これが囮で他にメインの攻撃があるのかもしれない)

 

障壁や情報強化の魔法式を揺らすそれを食らうも。

 

「アンタ反魔法主義団体の頭(ヘッド)のくせに、魔法を使うのかよ?」

 

「我らの中にはチカラ弱く、今の魔法師社会からあぶれた「はぐれもの」もいるんだよ!!」

 

その言葉にカチンと来るというわけではないが、それでも少しだけ思うモノが出来たアキラは違う魔法を読み込む。

 

「ーーーはぐれものだったらはぐれものらしくーーー」

 

本当にはぐれていた『魔術士』を識っている。そいつは、魔術士でありながら魔術士の社会だけに価値を置かず、魔術士ではない人々に既知を多く得ている人間だった。

 

故郷から追い出された先で、魔術士社会の「魔王」と呼ばれても一緒に開拓を行い過酷な生活を続けていた人々(開拓者)を見捨てられず、されど怪物と化した人々と戦うために頑張ってきた魔術士たちにその心を見透かされて「最後の利益」のために裏切られてしまった本当のはぐれものだった。

 

まぁある意味、そういうコウモリな態度が悪かったと言えばそうかもしれないが……。

 

それでもーーー。

 

「絶対の安全を求める全ての壁をぶっ壊してでもーーーーーー外(あした)へ向かうべきだったんだよ!!!」

 

閉じ込めてしまう事は、可能性を死なす腐食のシステムなのだから。

 

「ステラレタ(捨てられた)ーー!!!」

 

姫抱きしていたアンジェリーナを上に放り投げてから高速で移動。

わめくアンジェリーナに構わずの接近。

 

当然、司一も接近を阻むべくサイオン弾でこちらの魔法を崩そうとする。そしてこちらの魔法が崩れたところで、鳥の羽が硬質化して飛んでくる。

 

そういう戦法だったらしい。しかし、それらを理解しながらもそれを横にやりながらアキラは接近する。

 

もしかしたらば、羽がどこかにぶち当たったかもしれないが。

 

それでも構わずにアキラは接近をしていき。

 

「ーーーなぜ止まらないーーー!? 痛みをーーー」

 

叫んでいる司一に構わず、最後のダッシュ。退こうとした司一だったが、その間にアキラの手、貫手としていた手が鳥砲の口の中に突っ込まれーーー。

 

「ーーー我は放つ光の白刃!!」

 

光熱波ではなく、強烈な放電現象が閃光のように放出されて鳥を丸焦げにすると同時に。

 

「いぎゃあああ!!!!いぎぎぎ!!」

 

一人の青年の腕を丸焦げにもしてしまった。悶絶して地面を転げ回る司一氏に少々同情していると……。

 

「アキラ!!」

 

自分と司氏の間に割り込むーーーー。

 

「お面ライダー!?」

 

お面を被った青年だろう茶髪の御仁が現れた。縁日で売られている版権ギリギリのお面のそれは、この上なくこの男に似合っていた。

 

「仮免ライダードラゴン内藤というお節介焼きだ。申し訳ないが、これ以上の狼藉はやめてもらおうか石田アキラ君」

 

「ヒ、ヒロシ君……」

 

呻くような司氏の言葉で、とりあえずお面ライダーの名前だけは知れた。

 

「この船の安全な落着と引き換えだ。司直に引き渡すのは仕方ないかもしれないが、ヒトは殺すな。それだけだーーー」

 

そのヒロCというよりもコニシでこんにちワンリキーな声に圧された。どうやらこの船の制御機構は一応、このヒトの手にあるようだ。

 

ならば……。

 

「信用していいか分からんが、首魁がアレじゃな……」

 

「言ってやるな。彼も色々と必死だったんだ」

 

その言葉の後に船に乗り込んできた司波兄妹だったが……。

 

「終わったのか?」

 

司波達也の疑問。肩を竦めつつ口を開く。

 

「まぁ一応、ね。乱痴気騒ぎ自体は終わっちまったから佳境はすぎてるかな?」

 

良く分からんが、と言いながらもヒロシとやらは、何かの術を使ったのか船を自然落着させていく。

 

手をついた甲板からどうやら船を操っているらしく、翅の羽ばたきが少しずつ収まり下へと落ちていく。

 

「一高の校庭ならばこの船を下ろすことは可能だろう。船の形状(カタチ)を保っていられるのも、そこまで長くないだろうが、まぁその後は自分たちで考えろ」

 

アンタたちのせいでこうなったんだが。と文句を言いたくなるが、どうにものこのヒロシという男はブランシュ所属ではーーー。

 

「アンタ、もしかして岬美涼さんの兄貴の岬寛(ひろし)か?」

 

ついぞなき閃きが走り、相手の正体を看破した。

 

「ーーーーーー君には感謝している。俺が懸念していた二科創設の裏側を暴き、少なくとも変化をもたらしたことには、だが……君のようなカンの鋭い少年というのは、厄介だな」

 

別にニーナ(?)とアレキサンダー(?)の行方なんて気にしちゃいないのだが、観念したらしき岬寛OBはお面を取って素顔を見せる。

 

治療した司一氏を眠らせてからーーー。

 

「美涼には黙っておいてくれると嬉しいーーーそれと女の子の扱いは大事にしなよ。さらばだ。後輩たち」

 

船の縁に足を乗せてから飛び立ったーーーと思いきや、いつの間にかやってきたヘリコプターに飛び乗り、岬寛は、この場から離脱していく。

 

なんのこっちゃと思いながらも、結局事件は解決したようなしていないような。

 

「で、司波くんアイズで見た限り、この船の魔法はどうなん?」

 

「お面ライダーならぬ岬OBの言う通りこのままいけば学校の校庭に降りるだろうな……中にいるブランシュ構成員の方々もどうやら眠っている。多少の怪我をしているものもいるが、重篤なものはいない様子だ」

 

そこまで聞いちゃいなかったし、コヤツの目ん玉の詳細を知るのはどうかと思えたがーーーまぁ自慢したかったのだろうと思って船の縁から下の様子を見ていると。

 

 

「ア〜〜〜キ〜〜〜ラ〜〜〜」

 

何だかアーマーゾーンな掛け声にも聞こえかねない低い声で、後ろから抱きついてきたのはアンジェリーナであった。

 

そして気付く。思い出す。こやつの扱いをぞんざいにしたことを。上に放り投げたことを。

 

「ア、アンジェリーナ、頼むから落ち着いて、一旦落ち着こう。話せばわかるから!」

 

口から出るセリフが完全に浮気男のようであると、端から見ていた司波兄妹は思ったが、同じ男として達也だけは。

 

(男は女に追い詰められると、こういう台詞しか出てこないんだな)

 

などと考えていたが次の瞬間には。強烈な放電をアキラに食らわせていくリーナ。

 

言い訳無駄!とでも言わんばかりに、終わったあとには、リーナの背中に「天」とか、巨大な赤文字が出ているように見えたそんな一幕であった。

 

何があったのかは……放電を食らってピクピクしているアキラを横にしてむっすーとしているリーナの様子から察するしか無い。来たのが遅すぎて察しようが無いのだが。

 

ともあれそうしている内に船は安全に、というほどではないが一高関係者をどよめかせながら校庭にとてもではないが、とんでもない重量物が落ちたとは思えない感覚で落着する。

 

後始末は色々と残るもメインは終わったーーーそう思えるのであった。

 

 





ちなみにアキラの術のイメージはスターオーシャン2リメイクの方のルシフェルの「亡びの風」を意識しました。
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