ラオウ×ONE PIECE   作:トテミくん

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第二章 拳王、麦わらの船に乗る

サニー号に引き上げられたラオウは、甲板に立っていた。

 

というより、甲板の一部を沈ませていた。

 

フランキーが青ざめる。

 

「おいおい、重すぎだろ! サニーの床が悲鳴あげてんぞ!」

 

ラオウは足元を見る。

 

「この船、脆いな」

 

フランキーが叫ぶ。

 

「脆くねぇ! お前が規格外なんだよ!」

 

チョッパーはラオウの身体を見て目を丸くしていた。

 

「すごい傷だ……でも心臓は動いてる……いや、なんか変だぞ。生きてるけど、普通の生き物じゃないみたいだ」

 

ロビンが静かに言う。

 

「死後、別の世界から転移してきた……という可能性もあるわね」

 

ウソップが叫ぶ。

 

「ロビン! 怖いことを真顔で言うな!」

 

ラオウは当然のように言った。

 

「我は一度死んだ」

 

全員が固まった。

 

ルフィだけが目を輝かせる。

 

「へぇー! 死んだのに生きてんのか! おもしれぇな!」

 

ナミは頭を抱えた。

 

「受け入れ早すぎるでしょ……」

 

ブルックがラオウの前に出る。

 

「死後に蘇るとは、親近感がありますね。私も一度死んでますので!」

 

ラオウはブルックを見た。

 

「骨が喋っている」

 

ブルックは嬉しそうに礼をした。

 

「はい、骨です。パンツ見せて――」

 

ラオウの眼光が飛んだ。

 

ブルックは即座に正座した。

 

「失礼しました」

 

サンジが珍しく止めなかった。

 

「今のはお前が悪い、骨」

 

ゾロはラオウをじっと見ていた。

 

「おい、ラオウとか言ったな」

 

「何だ」

 

「お前、剣士じゃねぇな」

 

「拳だ」

 

「だろうな」

 

ゾロの口元がわずかに上がる。

 

「だが強ぇ」

 

ラオウもゾロを見る。

 

「貴様もな。刀に己の命を乗せる目だ」

 

ゾロは笑った。

 

「一度やってみてぇな」

 

サンジが呆れる。

 

「いきなり喧嘩売るなよ」

 

「お前も蹴りたそうな顔してるぞ」

 

「まあな」

 

ナミが叫ぶ。

 

「やめなさい! 船が壊れる!」

 

ジンベエはラオウに向かって静かに言った。

 

「ラオウ殿。お主がどこから来たかは分からぬ。じゃが、この海は新世界。強者と狂気が渦巻く場所じゃ」

 

ラオウは海を見た。

 

「新世界」

 

その言葉を噛みしめる。

 

「よい名だ」

 

ロビンが尋ねた。

 

「元の世界へ戻りたい?」

 

ラオウはしばらく沈黙した。

 

荒野。

 

拳王軍。

 

トキ。

 

ユリア。

 

ケンシロウ。

 

自分は死んだ。

 

己の生は終えた。

 

ならば戻る場所はない。

 

「我が道は終わった」

 

ラオウは低く言う。

 

「だが、この世界に来たのならば、見るまでだ。この海の強者を。この世の王を」

 

ルフィはにっと笑った。

 

「じゃあ一緒に来いよ!」

 

ナミが叫ぶ。

 

「だから軽いって!」

 

ラオウはルフィを見る。

 

「麦わらの小僧。貴様は海賊王を目指すと言ったな」

 

「ああ!」

 

「ならば聞く。海賊王とは何だ。支配か。覇か。恐怖か」

 

ルフィは即答した。

 

「この海で一番自由な奴だ!」

 

ラオウは目を見開いた。

 

自由。

 

支配ではない。

 

恐怖でもない。

 

ルフィはまっすぐ笑っていた。

 

「おれは誰かを支配したいわけじゃねぇ。好きな奴らと飯食って、冒険して、嫌な奴はぶっ飛ばす。それだけだ!」

 

ラオウは黙った。

 

生前の彼なら、笑い飛ばしたかもしれない。

 

だが、今のラオウは死の間際に愛を知った。

 

支配ではない王。

 

恐怖ではない覇。

 

自由の王。

 

「ふ……」

 

ラオウの口元がわずかに動く。

 

「面白い。ならば見届けよう」

 

ルフィは拳を突き上げた。

 

「よし! ラオウ、仲間――」

 

ラオウが遮る。

 

「我は誰の配下にもならぬ」

 

ルフィは首を傾げた。

 

「配下じゃねぇよ。乗るだけだ」

 

「……」

 

ラオウはしばらくルフィを見た。

 

そして低く言った。

 

「ならば、しばし同じ船に乗る」

 

ルフィは笑った。

 

「宴だー!」

 

ナミが即座にツッコむ。

 

「この嵐で宴できるか!」

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