ラオウ×ONE PIECE   作:トテミくん

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第三章 拳王と覇王色

嵐が過ぎた夜。

 

サニー号の甲板では、小さな宴が開かれていた。

 

ルフィは肉を食べまくり、ラオウの前にも山のような肉が置かれた。

 

ラオウは黙々と食っていた。

 

チョッパーが驚く。

 

「すごい! ルフィと同じくらい食べる!」

 

ルフィが対抗するように肉を詰め込む。

 

「負けねぇ!」

 

ラオウは言う。

 

「食もまた力だ」

 

サンジが腕を組んで笑う。

 

「まあ、食いっぷりがいい奴は嫌いじゃねぇ」

 

ウソップはラオウの隣を避け、かなり離れた場所から聞いた。

 

「な、なあラオウ。お前の世界ってどんなとこだったんだ?」

 

ラオウは肉を置いた。

 

「水は枯れ、食料は奪われ、力なき者は踏みにじられる。そんな世界だ」

 

空気が少し沈んだ。

 

ナミの表情が曇る。

 

サンジも静かに煙草をくわえる。

 

ジンベエは目を閉じた。

 

ラオウは続けた。

 

「ゆえに我は、恐怖によって世を統べようとした。弱き者を守るためではない。我が覇を成すためだ」

 

ルフィは黙って聞いていた。

 

ラオウは自嘲するように笑う。

 

「だが最期に、知った。恐怖だけでは人は救えぬ。力だけでは、愛は得られぬ」

 

ロビンが静かに言う。

 

「それで、悔いはなかったの?」

 

ラオウは目を閉じた。

 

「ない」

 

その声は揺るがなかった。

 

「我が生涯に、一片の悔いなし」

 

その瞬間。

 

甲板の空気が重くなった。

 

全員が感じた。

 

ラオウの奥底から滲む覇気。

 

それは覇王色に似ていた。

 

だが、この世界の覇王色とは少し違う。

 

王の資質というより、王として生き切った者の残響。

 

ゾロが笑う。

 

「すげぇな。覇王色みてぇで、ちょっと違う」

 

ジンベエが頷く。

 

「まるで別の理で鍛えられた覇気じゃ」

 

ルフィは立ち上がった。

 

「なあラオウ」

 

「何だ」

 

「ちょっとやろう!」

 

ナミが叫ぶ。

 

「待ちなさい! なんでそうなるの!?」

 

ルフィは笑っている。

 

「だって強そうだし!」

 

ラオウも立ち上がった。

 

「よかろう」

 

ナミがフランキーに叫ぶ。

 

「船守って!」

 

フランキーは涙目で叫んだ。

 

「俺のサニーがまた試されるのか!?」

 

ジンベエが間に入った。

 

「二人とも、船上では抑えるんじゃ。海が荒れる」

 

ラオウはルフィを見た。

 

「麦わらの小僧。貴様の覇、見せてみよ」

 

ルフィの目が鋭くなる。

 

「行くぞ」

 

次の瞬間。

 

ルフィの覇王色が放たれた。

 

見えない衝撃が甲板を走る。

 

普通の人間なら立っていられない。

 

海鳥が遠くで落ちる。

 

ウソップとチョッパーは思わず震えた。

 

だがラオウは、立っていた。

 

微動だにせず。

 

「これが、この世界の王の気か」

 

ラオウの闘気が膨れ上がる。

 

覇王色と拳王の闘気がぶつかった。

 

空が割れるように軋む。

 

雲が裂ける。

 

海面が波打つ。

 

ルフィは笑った。

 

「ししし! やっぱすげぇ!」

 

ラオウも低く笑う。

 

「貴様もな」

 

二人は拳を構えた。

 

ルフィが先に飛び込む。

 

「ゴムゴムの――!」

 

腕が伸びる。

 

「鷹銃!」

 

武装色を纏った拳がラオウへ迫る。

 

ラオウは片手で受けた。

 

轟ッ!!

 

衝撃でサニー号が傾く。

 

ナミが悲鳴を上げる。

 

「やめろって言ってるでしょおおお!」

 

ラオウはルフィの拳を掴んだまま言った。

 

「妙な身体だ」

 

ルフィは笑う。

 

「ゴムだからな!」

 

「ゴム……?」

 

ラオウは一瞬だけ真顔になった。

 

「人がゴムになるのか。この世界は奇怪だな」

 

「悪魔の実だ!」

 

「悪魔?」

 

ラオウの目が鋭くなる。

 

「悪魔を喰らって力を得るとは、まさに乱世よ」

 

ロビンが微笑む。

 

「説明すると長くなるわ」

 

ルフィは腕を戻し、再び構える。

 

「まだまだ!」

 

ラオウは拳を握る。

 

「来い。海賊王を目指す男よ」

 

だが、次の瞬間。

 

サンジとゾロが同時に割り込んだ。

 

ゾロが刀を抜く。

 

「船が壊れる。続きは島でやれ」

 

サンジがルフィの頭を蹴った。

 

「ナミさんを困らせんな!」

 

ルフィが床に突っ込む。

 

「いでっ!」

 

ラオウは二人を見て、少しだけ笑った。

 

「よい部下を持つな」

 

ルフィは床から顔を上げる。

 

「部下じゃねぇ。仲間だ」

 

ラオウは沈黙した。

 

部下ではない。

 

仲間。

 

その言葉は、拳王にとってまだ少し眩しかった。

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