ラオウ×ONE PIECE   作:トテミくん

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第四章 拳王、島へ上陸す

数日後。

 

サニー号は新世界の小さな島へ到着した。

 

名を、ガルム島。

 

海軍の支配下にあるはずの島だったが、今は異様な空気に包まれていた。

 

港には壊れた軍艦。

 

町には火の跡。

 

人々は怯え、家の中に隠れている。

 

ナミが周囲を見る。

 

「何かあったみたいね」

 

ロビンが耳を澄ませる。

 

「噂では、最近この島に“新しい支配者”が現れたらしいわ」

 

ウソップが震える。

 

「新しい支配者って、嫌な予感しかしねぇ!」

 

その時、町の奥から悲鳴が聞こえた。

 

ルフィが走り出す。

 

「行くぞ!」

 

ゾロ、サンジ、ジンベエが続く。

 

ラオウもゆっくり歩き出した。

 

町の広場では、海賊たちが住民を集めていた。

 

中央には巨大な男。

 

賞金首、鉄腕のバルガ。

 

新世界で名を上げようとする海賊だった。

 

バルガは住民の前で笑っていた。

 

「この島は今日から俺のもんだ! 海軍も逃げた! お前らは俺に食い物と金を差し出せ!」

 

老人が震えながら言う。

 

「もう何もありません……」

 

バルガは老人を蹴り飛ばした。

 

「なら命でも差し出せ!」

 

その瞬間。

 

ルフィの顔から笑みが消えた。

 

「おい」

 

バルガが振り向く。

 

「あ?」

 

ルフィは静かに言った。

 

「おっさんを蹴るな」

 

バルガはルフィを見る。

 

「麦わらのルフィ……!? 四皇じゃねぇか!」

 

海賊たちがざわつく。

 

だがバルガはすぐに笑った。

 

「へっ、ちょうどいい! ここでお前を倒せば、俺の名は――」

 

言葉は途中で止まった。

 

ルフィの隣に、ラオウが立ったからだ。

 

広場の空気が変わる。

 

住民たちは息を呑む。

 

バルガですら、無意識に後退した。

 

ラオウは蹴られた老人を見た。

 

そしてバルガを見る。

 

「貴様がこの地の支配者か」

 

バルガは汗を流しながら叫ぶ。

 

「な、なんだてめぇは!」

 

ラオウはゆっくり前へ出る。

 

「弱者を踏み、恐怖で奪う。それが貴様の覇か」

 

「黙れ!」

 

バルガは巨大な鉄腕を振るう。

 

武装色を纏った一撃。

 

普通の人間なら肉片になる。

 

ラオウは避けなかった。

 

拳がラオウの胸に当たる。

 

轟音。

 

だがラオウは一歩も動かない。

 

バルガの表情が凍る。

 

「な……」

 

ラオウは低く言った。

 

「軽い」

 

次の瞬間、ラオウの拳がバルガの腹に突き刺さった。

 

ただの一撃。

 

だがバルガの巨体が浮いた。

 

鉄腕が砕け、身体が広場の壁まで吹き飛ぶ。

 

「がはっ……!」

 

海賊たちは震えた。

 

ルフィは感心したように笑う。

 

「やっぱ強ぇな!」

 

ゾロも口元を上げる。

 

「化け物だな」

 

サンジが煙草をくわえ直す。

 

「ああいう雑魚相手だと、余計に差が分かるな」

 

バルガは血を吐きながら立ち上がった。

 

「ふざけるな……俺は……この島の王に……!」

 

ラオウの目が冷たくなる。

 

「王?」

 

その一言で、空気が凍った。

 

「王とは、己の全てを背負う者だ。恐怖を振りまくだけの賊が、王を名乗るな」

 

バルガが叫びながら突進する。

 

「黙れえええ!」

 

ラオウは掌を突き出した。

 

「北斗剛掌波」

 

見えない剛の波が放たれた。

 

バルガの巨体は空中で止まり、そのまま地面へ叩きつけられた。

 

意識を失い、動かなくなる。

 

住民たちは静まり返っていた。

 

やがて、誰かが膝をついた。

 

恐怖ではない。

 

安堵だった。

 

ラオウはその光景を見ていた。

 

かつてなら、彼はこのまま支配者として君臨したかもしれない。

 

恐怖で秩序を作る。

 

それが拳王の道だった。

 

だが、今。

 

ルフィが老人へ手を差し出している。

 

「大丈夫か?」

 

老人は涙を流して頷いた。

 

ルフィは笑う。

 

「肉あるか?」

 

ナミが後頭部を殴った。

 

「台無し!」

 

住民たちが、少しずつ笑い始めた。

 

ラオウはその光景を見て、静かに目を細める。

 

恐怖で従わせるのではない。

 

救って、笑わせる。

 

それもまた、王の姿なのか。

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