あれれ?
ではなくて?
超未来だったり?
いやいや、大昔でも超未来でもなくて
今とあんまり変わらない
少しだけ過去の世界
「これだから実家住まいは」と煽られた子のおとぎ話
原作の隙間を好き勝手に解釈して書いているので解釈違いなど多々あると思いますのでご注意
アニメ、小説、Youtube、ヤチヨのお部屋の情報をもとに作成したので他媒体の情報と矛盾しても見逃してください。
それ以外でも矛盾してても見逃してください
当然のようにネタバレがあるのでご注意ください。
ヤチヨに実家住まいを煽られた子のおとぎ話です。
今は昔
あれれ?
ではなくて?
超未来だったり?
いやいや、大昔でも超未来でもなくて
今とあんまり変わらない
少しだけ過去の世界
ーー1996年 星井祥子(13歳)
[vShokov]:今日秋葉原行ったら人多すぎてマジカオスだった
[Yachi8000]:わかる!ザコン今日も混んでて大変だった
[Yachi8000]:Windows95に買い替えたい〜
[maichan]:95お店に出てた?
[310sato]:周りに買い替えてる人多い(^ ^)
カーテンを閉め切った暗い部屋にキーボードを叩く音が響く
唯一の光源であるパソコンにはいつもの面子との多和いない会話が滑るように流れている。
人付き合いが苦手な私は中学に進学しても一人ぼっち、見かねたお父さんが買い与えてくれたパソコンにはすぐに没頭した。
顔の見えない相手と声を交わさない会話
相手の顔色を伺う必要もなく自分の表情を取り繕う必要もない
インターネットを介したコミュニケーションは私を一人の人間にしてくれた。
今入り浸っているこのチャットルームは女の子用の部屋だ。
学校ではできない、また同じ趣味の同性同士でしかできない話ができてとても楽しい。
まぁ本人が言ってるだけでもしかしたら画面の向こうはおじさんかもしれないが
[Yachi8000]:なんでまだ95年なんだ(爆)
[yukko]:Yachiちゃんずっとそれ言ってる
特に私のお気に入りはこのYachi8000ことYachiちゃんだ。
自称8000歳のおばあちゃん
でも誰よりもパソコンに詳しくて新しいことにも興味津々、喋り方も若いというより幼いと感じることもあるくらい元気いっぱいだ。
実は私よりも年下なんじゃないかと思ってる。
「祥子、ちょっと電話使いたいから変わりなさい」
「はーい」
お父さんが電話機の前で私がパソコンを落とすのを待っている。
うちには電話回線が一本しかないから誰かが電話したい時はパソコンの接続を切らないといけない
名残惜しい気持ちを抑えてキーボードを打つ
[vShokov]:親が電話したいらしいから切るね
[Yachi8000]:これだから実家住まいは
「うっせぇ」
まだ中学生なんだから実家住まいは仕方ないだろ
唇を尖らせながらパソコンの電源を切った。
ーー1999年 星井祥子(16歳)
中学を卒業し高校に進学しても私の生活は変わらなかった
いや変えようとしてみたが悉く失敗した
[vShokov]:ねぇYachiちゃん、友達ってどこで売ってるの?
[Yachi8000]:友達は一山いくらで買えるものじゃないよShoko
[vShokov]:高校生になったから心機一転真人間になろうとがんばったんだけどね、失敗しちゃった
[Yachi8000]:行動できるのは偉いとヤチヨは思うな~
[vShokov]:行動できても結果が伴わないと意味がないと痛感したよ
根暗でぼっちな奴だという評判が地元ではすっかり定着していた。
だから少し離れた新しい学校に入ったときは今度こそ友達を作ろうと決めて自分から積極的にクラスメイトへ話しかけに行った。
けれど、長年染みついた根暗さまでは隠しきれなかった。
笑顔はどこか引きつり、言葉は途中で詰まり、会話もどこか噛み合わない。
そんな不自然さはすぐに周囲へ伝わってしまい、気づけばクラスでは「ちょっと変な子」として扱われていた。
結局、ここでもぼっちになるのだと悟った。
[vShokov]:みんなのドン引きした顔が夢に出てきて死にたくなったよ…
[Yachi8000]:どんまいどんまい、失敗も経験だよ( *´艸`)
[vShokov]:笑ってる!!ひどい!!Yachiちゃんのバカ!!
[Yachi8000]:ふふふ、ごめんね
[Yachi8000]:ヤチヨもね夢に出るくらいのひどい失敗をしたことあるんだ
[Yachi8000]:思い出すたびに泣きたくなったり死にたくなったりもしたんだけど
[Yachi8000]:それ以上にやってよかった、やって楽しかった~って思い出のほうが強くて
[Yachi8000]:また失敗するかもって怖い気持ちがあってもまたやりたくなっちゃうの
[Yachi8000]:だからねShokoちゃんハッピーエンドを諦めないで
[Yachi8000]:ヤチヨはねハッピーエンドが大好きなのです
[vShokov]:いつになく真面目じゃん
[Yachi8000]:たはは~おばあちゃんは若者に説教するのが大好きなのです
ーー2003年 星井祥子(20歳)
月日が経ち趣味が高じて情報工学系の大学へと進学、3年生となり卒業間近な私は就職活動に追われていた。
エンジニア志望である私は非常に苦戦していた。
「女にできるの?」「うちは男性しかとってないから」「女性はこの業界向いてないよ」
面接官の心無い言葉に何度も何度も心を痛めて泣いてやめたくなった
それでもYachiちゃんに言われたハッピーエンドってやつを諦めたくなくて未だにあがき続けている。
愚痴を吐き出すのはチャットから場所を移した私たちの交流場のインターネット掲示板だ。
Yachiちゃんが開設したホームページにある掲示板には昔からのメンバーと新しく仲良くなった数人で楽しくおしゃべりできる場だ。
526 ショーコ 2003/11/23(日)
もうほんとに無理就活終わらない
527 ユッコ 2003/11/23(日)
がんばれ〜負けるな〜
528 マイ 2003/11/23(日)
就活……面接……お祈り……ウッ頭が……
529 サトー 2003/11/23(日)
諦めて家庭に入るのも手じゃない?
「それができたら苦労しないわ……」
私の根暗は未だ健在だ
リアルでは恋人どころか友達と呼べる存在すらいない。
未だ実家住まいの喪女である。
530 ヤチヨ 2003/11/23(日)
>>526
ヤチヨから提案があるんだけど、よければオフで話さない?
びっくりした、まさかYachiちゃんからオフ会の誘いが来るなんて思いもしなかった。
Yachiちゃんとはなんだかんだ7年の付き合いだ、今まで一度もリアルであった事はない
正直どんな人なのかすごく興味があったので一も二もなく快諾した。
そのあと送られてきたメールには都内にある喫茶店の住所が書かれていた。
商業ビルの隙間に、その喫茶店はひっそりと建っていた。
古びた木の看板に、小さな扉。どこか時代から取り残されたような店だった。
扉を押し開けると、頭上でドアベルが澄んだ音を鳴らす。
店内は思っていたよりも狭く、小さな厨房と、十席ほどのカウンターがあるだけだった。
けれど窮屈さはなく、むしろ誰にも知られていない秘密基地のような落ち着きがあった。
平日の昼間だからだろうか。客の姿はなく、店内には静かなジャズだけが流れている。
「いらっしゃい」
声のしたほうを見ると、カウンターの内側に座っていたお爺さんが、目尻に皺を寄せて笑っていた。
もしかしてこの人がYachiちゃん!?
「あ、あの・・・私Shokoで・・・・」
「あぁ君がかぐやのお客さんかい」
手でカウンター席を勧められるまま腰を下ろすと、お爺さんは慣れた手つきで、湯気の立つコーヒーを差し出してくれた。
「これを飲んでちょっと待っててもらえるかな」
そう言うとお爺さんは店の奥へと下がっていった
冷えた体をコーヒーで温めているとお爺さんが水槽を持って戻ってきた。
水槽の中には白いもふもふとしたものが揺れる水に従って揺れている。
私の前に水槽を置くと「じゃあ注文があれば呼んでくださいね」といってお爺さんはまた奥へと引っ込んでしまった。
「え、えっとこれどういう・・・・・」
戸惑いながら白いもふもふを見つめているとピョコンと黒い耳が立ち上がった
それと同時に黒くて丸くてうるうるした目も開かれて私と目が合った。
生き物だったことに驚きつつ見つめているとそれはこう言ったの
「初めましてYachi8000で~す。」
喋った、白いもふもふが。
意外とフランクに私と目を合わせながら
「しゃべったあああああああああああああ!!!!」
私の叫び声が店内に轟響いた。
白いモフモフことYachi8000ことヤチヨが私に語ったのは到底信じられないおとぎ話
今から8000年前の日本に月からやってきたかぐや姫
乗ってきた宇宙船が壊れて人の形ではなくウミウシの形しかとれなかったこと
紆余曲折の末に現代まで生きてきたこと
そしてたった一人の女の子と再会したいこと
小さなウミウシからは想像もつかないスケールの大きな話に頭痛がしてきて思わず頭を抱える
「それでそのかぐや姫様がこんな喪女にどんなお話が?」
「あのね、Shokoちゃん前にゲーム作ってたでしょ」
「いくつかゲーム作ってたけど、というかYachiちゃんが絵描いてくれてたじゃん」
学生の頃、長期休みを利用していくつか個人的にゲームを作成していた時期があった
Flushを使った軽いものからDirectXを使った3Dゲームなどいろいろ作っていた。
私に絵心はなかったのでお絵描きが趣味のYachiちゃんに描いてもらっていた。
なぜか海の生き物ばかりだったけど・・・。
それらのゲームは私の個人サイトで公開、配布していたがそこそこの評価を得ていた。
「そうそう、ヤチヨもスケジュールぶっちして徹夜で描いてたな~」
「正直あの鬼スケジュール間に合わせられるとは思ってなかった。私はYachiちゃんが見つけた再現率小数点以下のバグの調査に泣きそうになったよ。あんなのよく見つけたよね」
「ふふふ、ヤチヨは重箱の隅をつつくのは得意中の得意なのです」
こうして話していると実感する、目の前のウミウシはやっぱりYachi8000なのだと
水槽の中でぴょんぴょん跳ねている白いモフモフは見た目こそ予想外だったがいつも画面の前で想像していた天真爛漫な女の子そのままだった。
しばらく取り留めもない昔話に花を咲かせていると店の奥からお爺さんが顔を出した
「かぐや、そろそろ日が暮れてきたけどお話は済んだかい?」
「やっべ!肝心の話まだだった」
かわいらしい丸い目がきゅっと少し細められた
「あのねShokoちゃん、ヤチヨと一緒にツクヨミを作ってほしいの」
「ツクヨミ?」
「そう、みんなが楽しく過ごせる場所」
Yachiちゃんが語って聞かせてくれたのは想像もしていなかった未来の話だった。
仮想空間ツクヨミ
それはネットの世界に作る仮想の現実
人々は特殊なインターフェースを介して意識を仮想空間に投影してそこで歌ったり踊ったり遊んだり思い思いの表現をしてみんなが幸せになれる場所
そういうものを作りたいとYachiちゃんは語る
「い、いやそんなのSFの話で・・・・」
「ソフトウェアのほうは大体の構想と設計はできてるんだ、だけどハードウェアが全然追いつてないのです」
ヨヨヨと泣きまねをしたあと「そこで」と上目遣いをするウミウシ
「Shokoちゃんにハードウェアの研究と開発をお願いしたいのです」
「無理無理無理無理」
なにを言っているんだこのウミウシは、趣味でプログラムをしていただけの喪女にそんなことできるわけがない
「大丈夫、Shokoちゃんならできる!ヤチヨが保証しちゃう!」
「いや、なにその根拠のない自信。大体そういうものの開発にはお金もかかるし」
「お金のことなら大丈夫、ヤチヨが全額投資するからShokoちゃん起業しちゃおう!社長になれば就活しなくて済むでしょ!」
「はああああああああああ!?」
ーー2020年 星井祥子(37歳)
「今日人類史に新たな歴史が刻まれることになる」
『大げさでもなんでもないのがすごいよね~』
手元のスマートフォンから楽し気な声がする
画面にはヤチヨがデザインした八千代がニコニコと笑っている。
長く艶のある銀髪をゆるやかに流し、透き通るような白い肌と落ち着いた海色の瞳を持った美少女だ。
乙姫をモチーフにした和装アレンジと現代的な小物を組み合わせた優雅さのあるデザインをしている。なぜか胸元には大きなメンダコをつけている。
最初見たとき「美化しすぎじゃない?」と突っ込んだが「これがヤチヨの本体のハンサム顔だ」と顔の堀を深くし背景にババアァンと擬音まで出されてしまった。
これだからねらーは・・・・。
私たちは今東京ビッグサイトの舞台裏で出番がくるのを待っている。
今から17年前、悪童のウミウシにそそのかされた私はIT企業「LunaStar」を設立
赤坂の小さなマンションから始まった私たちの会社は10年の時をかけて「スマートコンタクト」通称スマコンのプロトタイプを開発した。
私とヤチヨ二人だけでプロトタイプの開発ができたのは正直「もと光る竹」のチート能力があってのことだった。
最初から答えがわかっている問題を地道に問いていった感じで私自身は何もできていない、月の超テクノロジーすげぇ~
ただプロトタイプにはバッテリーや健康、発熱、耐久など多くの問題点を抱えていた。
個人での限界を感じた私たちはプロトタイプを元に米国の某IT企業に売り込みに行き共同開発を願いでた。
当然すぐに承諾されて規模を拡大しての開発が始まり、7年かけてとうとうスマコンの一般公開が決定された。
表に出てこれないヤチヨの代わりに営業と契約はすべて私が担当した。
隙あらば技術と利益をかすめとろうとする米国の化け物たち相手にコミュ障だなんていっていられなくこの17年で私はコミュニケーションについて大きく成長できた。
そんな私がこれから数百人の前でスマコンのプレゼンをすることになっている。
「やっべ、なんか急に緊張してきた」
『大丈夫?緊張したときは掌にヒトデって書いて飲み込むといいよ』
「それを言うなら人じゃないの?」
画面の中のヤチヨとクスクスと笑い合う、ヤチヨはいつもこうして笑わせて私の緊張を和らげてくれる。
そうしているスタッフが来て壇上に案内される
もう一度ヤチヨと目を合わせ頷き合うとスマートフォンを首からさげ登壇する。
さぁここからが勝負だ。
「皆さん初めまして、LunaStar代表の星井祥子です。」
何百人の視線が私に突き刺さる
生唾を飲み込み後ずさりしそうになるが大丈夫、私にはいつだって頼りになる月のお姫様がついているんだから。
「これから次世代型コミュニケーションツール、スマートコンタクトをご紹介いたします。」
大きな画面にスマコンの資料を映しながら浪々と語る。
笑顔を浮かべつっかえることなくすらすらと言葉が出てくる。
学生時代の根暗なんてもうどこにもいない、今ここにいるのはヤチヨと歩んで強く踏み固められた星井祥子だ。
「以上がスマートコンタクトの基礎スペックの説明となります。」
最後まで説明を終えて一息つく、会場の反応は上々といった感じだ、みんなが興味深く私の話を聞いてくれている。
だが安心するのは早いぞ怪物共、月のお姫様がこれぐらいで満足すると思うな。
「最後に我がLunaStarの新プロジェクトについて発表させていただきます。」
会場の照明が落とされ真っ暗になると壇上の画面に一面の水面と星空、そして赤い鳥居が映し出される。
鳥居の奥から一人の少女がこちらに歩み寄ってくる
胸元のメンダコから赤い唐傘を取り出し楽し気にくるくると回す。
傘の回転に合わせて音楽が鳴り始め、少女の周りから光でできた魚が無数に現れ少女の周りを泳ぐように回りだす。
幻想的なその風景に会場の全員が息をのむ、そして少女の口が開かれる。
『もう泣かないで、きっとまた会えるからそっと君が笑った』
少女の静かで穏やかな歌声が鼓膜を揺らす
ヤチヨらしい、人を応援し励まし一人じゃないよと伝えてくれる優しい歌だ
画面に映る光景だけで誰もが言葉を無くしている、だが残念だったなこのコンサートはスマコンがあってこそだ。
会場で唯一スマコンを装着している私は月の歌姫のコンサートを独り占めしている。
楽しそうに歌いながら舞い踊るヤチヨと目が合いにっこりと笑いかけられる。
思わず涙がこぼれた、これまでの苦労は今この瞬間のためのものだったのだと悟った。
ヤチヨ、ヤチヨ、ヤチヨ
ありがとうあの時励ましてくれて
ありがとうハッピーエンドを教えてくれて
ありがとうハッピーエンドまで導いてくれて
今ここが私のハッピーエンドだよ
歌が終わりヤチヨが傘を閉じると光でできた魚たちが一斉に消える。
少女の神秘的な海色の瞳が私を、そして会場の全員を見つめる
『ヤオヨロー!初めまして!AIバーチャルライバーの月見ヤチヨです!』
ヤチヨの神秘的な雰囲気が霧散し天真爛漫な少女の顔になる。
ニコニコと笑いながらこちらに手を振るヤチヨの隣に和服の少女が歩み並ぶ。
その顔は私そっくりだ。
「月見ヤチヨプレゼンツ、仮想空間ツクヨミプロジェクトの始動をここに発表いたします。」
画面の中の私とリアルの私が同時にそう宣言した。
ーー2030年 星井祥子(47歳)
「コラボライブなんてどういう風の吹回し?」
『いつものヤッチョの思いつきなのです nn』
ツクヨミ内に設けられたLunaStarのオフィスでニコニコと笑うヤチヨと向かい合う。
突然発表された「ヤチヨカップ」の開催と優勝者とのコラボライブ。
寝耳に水のその情報に車で移動中だった私はすぐさまツクヨミにログインしこうしてヤチヨを問い詰めている。
基本的にツクヨミの管理運営はヤチヨに一任しているが、大きなイベントやライブについてはLunaStarやスポンサーとの打合せもあるので事前に連絡があるはずだった。
『ヤチヨカップについてはヤッチョがぜーんぶやるから心配無用なのです』
「いやそこは心配してないけどさ・・・・」
『およよ?なんだか不満そうですな、どうしたどうした?』
思わず視線を落とすと覗き込むようにヤチヨが聞いてくる。
いい歳して子供っぽい反応だと思うがどうしても感情が抑えられない。
「だって・・・・」
『だって?』
「・・・・・・今までずっと二人でやってきたのに突然一人でやるなんて水臭いじゃない」
遊びに誘われなかった子供のような発言に思わず頬が熱くなる。
早寿を目前にした婆が何を言ってるんだか
そんな感情を読み取られたのかにんまりと笑ったヤチヨに頭を撫でられる
『ショーコちゃんはいくつになっても いとかわゆし おぉ~よしよし。』
「子ども扱いすんな・・・・・・」
『ごめんね、でもこれはヤチヨが一人でやりたいことなんだ』
「・・・・・わかった。」
頭をなでるヤチヨの手をつかみ眉根を寄せて顔を近づける
「ただし下手なコラボ相手だったらLunaStar代表取締役権限で中止にさせてもらうから」
『ヨヨヨ~そんな横暴な』
「ヤチヨの初コラボライブだよ、最高で最強なものじゃないと絶対に許さないから」
『心配しなくてもいいよ、きっと最高のライブになるから。ヤッチョが保証しちゃう』
どこか遠くを見ているような目でそう言われ何も言えなくなった。
ヤチヨカップは「かぐやいろP」という新進気鋭の新人ライバーたちが優勝した。
結果が出た後に調べたが、活動期間は1か月ほどでゲーム実況、歌ってみた、やってみたなどとにかくできることはなんでもやってきた節操のないライバーだった。
最後のブラックオニキスとのKASSENで見せたかぐやといろPのコンビネーションに少し心揺らされたがそれでもヤチヨと釣り合うとはとても思えなかった。
ヤチヨを呼び出してそのことを伝えたが大丈夫大丈夫とはぐらかされてしまった。
いいだろう、そこまで言うなら実際に見極めてやろうじゃないか。
クソみたいなライブしたらツクヨミに居られると思うなよ、かぐやいろP
コラボライブが終わった。
今ちょっと話す余裕がない、目と鼻から全身の水分を出すのに忙しいからだ。
よかった、正直めちゃくちゃよかった。
だってヤチヨがあんなに楽しそうだったんだから。
人生の大半を共に過ごした友達だからわかってしまった、ヤチヨはほんとうに心の底からあのライブを楽しんでいた。
孤独にステージに立っていた私たちの歌姫、孤独じゃないよと伝え続けてくれた孤独な歌姫。ようやく一緒に歌える人と出会えたんだね。
そう思うと涙が止まらなくなってしまった。
悔しいが認めてやるよかぐやいろP、これからヤチヨをよろしくな。
なんて思ってたら突然のかぐやの卒業ライブの発表があった。
ふっっっっっっっっっっっっっっっざけんなよゴラァァァァァァァァ!!!!!!
「代表取締役権限で二人のアカウント情報の開示を求める!!!!!!!」
『ど~ど~落ち着いて』
「このタイミングで卒業とかふざけてやがる!!直接ぶん殴らないと気が済まない!!!!」
『ヨヨヨ、ショーコちゃん血圧あがっちゃうよ』
泣きエモートで誤魔化そうとしても無駄だ、私は本当に怒っているんだ。
「ヤチヨはこれでいいの!?」
『ヤッチョは・・・・・』
ヤチヨの顔から笑みが消え、袖を強く握りしめる。
だがそれも一瞬ですぐに笑顔を取り繕う。
『ヤッチョはそれが運命なら従うのです』
なんだよその顔・・・・・・らしくないじゃない。
かぐやいろPの卒業ライブがはじまった。
ヤチヨがわざわざ用意したKASSENのフィールドを使ったスペシャルステージだ。
一曲目が始まろうとしていた時に異変が起きた。
見たことのないユニットが突然群れをなして現れたのだ。
「なによ・・・・あれ・・・。」
知らない、あんなの私は作ってない。
KASSENはツクヨミプロジェクトの一つとして私が作ったゲームだ。
KASSENのすべてを知り尽くした私が知らないユニットなんて存在するはずがないのだ。
「ヤチヨ・・・・どういうことなのヤチヨ」
ライブ中だが何度も何度もヤチヨにDMを飛ばす。
--だがライブが終わっても返信はなかった
かぐやいろPの卒業ライブ以降からヤチヨと連絡がとれない
卒業ライブで起こったイレギュラーについて問いただそうと何度も連絡したが送信に失敗してしまった。
ネット越しだと埒が明かないと赤坂にある「もと光る竹」のところまで行ったがそれでも返事はなかった。
「ヤチヨ・・・・どうして答えてくれないの」
水槽のウミウシに問いかけても答えはなかった。
『ウミウシ状態でした、ごめんね~ nn』
数日後、ヤチヨから普通に連絡が来た時は怒りで頭の血管が切れるかと思った。
気が済むまでヤチヨに怒りをぶつけ気が済んだところで何があったかを問い詰めた。
そして語られたのは月のお姫様の本当のおとぎ話だった。
ヤチヨはかぐやだった。
卒業ライブで現れたのは月からのお迎えでライブ後かぐやは月へと本当に帰っていた。
そのあといろPからの歌が月に届きもう一度地球へとやってきたが事故に遭い8000年前の地球に不時着してしまったと。
そしてかぐやはヤチヨとなり8000年の輪廻を巡りいろPと再会を果たした。
昔言ってた再会したい女の子とはいろPのことだった。
輪廻が終わりヤチヨとしての役割を終えてそのまま終わろうとしていたところに正体を看破したいろPがやってきて説得され戻ってきたということだった。
「バカ」
『ヨヨヨ~何も言い返せないのです』
話を聞いただけだがいろPヤバいな、なんでヤチヨとかぐやが結びつくんだよ
名探偵も真っ青な推理だよ
「ヤチヨ」
『なに?』
「ハッピーエンド、連れて行ってもらえるといいね」
私にヤチヨをハッピーエンドに連れていくことはできない
だけどいろPならきっと・・・・・。
目元に涙を浮かべたヤチヨが小さくうなずいた。
ーー2040年 星井祥子(57歳)
今私は商業ビルの隙間にある古びたカフェでアイスコーヒーを楽しんでいる。
傍らには最近手放すことができない木製のステッキが立てかけられている。
弱り切った足腰はもう杖がないとまともに歩くこともできない、私も歳をとったものだ。
30年以上前に初めてここを訪れた時のことを感慨深く思っているとドアベルが鳴る。
振り返ると妙齢の女性と金髪の少女が入店してきた。
店内を見回した金髪の少女と目が合った。
「初めまして、vShokovです。」
金髪の少女の目が見開かれた。
その顔がなんだかおかしくてつい笑ってしまう。
金髪の少女が歩み寄ってくると見慣れた笑顔でこう言った。
「初めまして、Yachi8000です。」
ねぇヤチヨ、ハッピーエンド・・・・・見つかった?
ツクヨミの開発運営に現実に協力者必要だよなと想像しての作品でした。
気づいたらスマコンとツクヨミの開発をしたスーパーウーマンが生まれていました。
小ネタ
・1996年ネット事情
当時は電話回線を使ってネットに接続していました
パソコンを使う際は電話機から電話回線を抜いて使っていたのでどっちかしか使えませんでした。
・ヤチヨの失敗
ドジっちゃった
・祥子の就活
当時のエンジニアは9割男性で女性の仕事ではないというのが一般認識でした。
今だと違うのかな
・喫茶店のお爺さん
名前はジョン・カーター氏
ワインが好き
・ハンサム顔
レロレロレロレロ
・LunaStar
「月」見ヤチヨと「星」井祥子二人の名前から
・ヤチヨの歌
ロンリーユニバース/Aqu3ra
公式に歌ってみたがあがっています、いい曲なのでみんな聞け
・代表取締役権限
ふじゅ~でリアルの買い物までできるならツクヨミの権限かなりありそうだなと妄想
確実に金融機関とのつながりはありそう
・コラボライブ
祥子さん泣きすぎて最後の月人のところはそれどころではありませんでした。
後で知ったけどヤチヨが言う通り悪質なハッカーの仕業だと思い込んでいました。
・YC型、KG型の開発について
『というわけでショーコちゃんにはヤッチョたちのボディーの開発に協力してほしいのです』
「だが断る」
『なぜに!?』
「いろPの覚悟を計らせてもらう、ヤチヨをハッピーエンドにつれていけないやつにヤチヨを任せるつもりはない」
「ヨヨヨ、強火オタクすぎるのです」