四糸乃デンドログラム   作:姫河ハヅキ

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すいませんだいぶ遅れましたァ!
仕事関係で色々あってぇ······執筆の時間取れなくてぇ······
まぁ、あの、はい。ごめんなさい。
期間が空いた割りに文字数少ないですがどうぞ。


第十話 ジョブ構成と魔法属性

◇◆◇◆◇◆◇

 

「転職クエスト、クリアしました」

 

「······まさか一発とはな」

 

「うーん······予想はついていたけれど、やっぱりヤバいね四糸乃ちゃん」

 

 これ以上ない眩しさで輝くジョブクリスタルを余所に平然と報告する四糸乃を、呆れた表情で見つめる二人。もう「こういう生き物だ」と思うことにしたようで、二人が驚いている様子はない。

 

「あ、【魔法騎兵(イリーガル・ライダー)】に就く予定でしたね。条件は満たしているでしょうか」

 

 どうやら条件は満たしていたらしく、再び輝くジョブクリスタル。 

 

「ダメだったらバルグラム君に条件聞こうと思ってたからよかったー」

 

「あのケンタウルス種の彼は【魔法騎兵】だったんですか。······どうやって乗るんです?」

 

「ケンタウルス種の亜人って実は素で騎乗判定なんだよね。だから【騎兵】系統のパッシブが常に乗る」

 

「そんな仕様が······」

 

「トレマスの知り合いにはケンタウルス種の者がいるのか?」

 

「知り合いというか、教え子の一人だね。四糸乃ちゃんの兄弟子さ」

 

「才能のほどは?」

 

「属性変換を自力で習得していて【魔剣聖(イリーガル・ソードマスター)】の《リーダーブレード》をベースにより優れた魔法スキルを編み出したくらい。ちなみに彼のサブ上級職は【大抜刀術士(グレイト・アンシース・ブレイダー)】と【魔法騎兵】」

 

「めちゃくちゃ上澄みではないか!?······ん?サブ上級職が二つ?」

 

「あぁ、彼のメインジョブは騎兵系統魔法騎兵派生超級職【秘法騎兵(アーケイン・ライダー)】だよ」

 

「オマエの教え子に超級職多くないか!?というかバルグラムとやらの情報ポロポロと話して大丈夫なのか!?」

 

「大丈夫大丈夫。レジェンダリアでも有数の個人戦闘型だから、ジョブ構成はとっくに知れ渡ってるんだよ」

 

「【魔法騎兵】の超級職は狙うつもりでしたが、既に在位者がいましたか。AGIとMPが上がるジョブ系統って他にありますかね」

 

「【術神】で満足しないのかオマエ······」

 

「んー······蹴士・魔術師複合系統の【魔法蹴士(イリーガル・ストライカー)】はどうかな。ステータス傾向は【魔法騎兵】と同じだし、なんなら騎乗対象へのパッシブバフの分だけ【魔法蹴士】の方が高かったはず。おまけに超級職の【神秘踵(ミスティック・ストライカー)】は現時点じゃ空位だから、四糸乃ちゃんに足技の心得があるか次第だけど狙うのもアリだと思う」

 

「ふむ、今度冒険者ギルドで【蹴士】に就きましょうか」

 

「複合系統ジョブのステータス傾向なんて、よく覚えているな。まさか超級職の就職条件まで知っていたりは······しないよな?」

 

「ははは。······実を言うと、いくつか知ってる。【神秘踵】もね」

 

「······なんと」

 

「冗談のつもりだったのだがな」

 

「さっき【術神】の条件を教えてもらったから、【神秘踵】の条件はその礼として今明かそうか。

①【魔法蹴士】および魔術師系統上級職レベル100

 

②魔法または蹴りでの累計与ダメージ5000万以上

 

③魔法または蹴りでモンスター5000体討伐

 

④魔法スキル、蹴りスキルでダメージを与えて強敵を10体撃破

 

この四つだ。四糸乃ちゃんなら魔法を使い倒して条件達成できると思うけど、ブーツ装備強化パッシブや蹴りの与ダメージ増加パッシブを無駄にしないために蹴りを練習した方がいいと思うなぁ」

 

「複合系統なのに、思っていたより単純な条件なんですね。累積系のものばかりですし、時間をかければ達成するのは難しくないでしょう。空位なのが不思議です」

 

「いや?魔術師系統と蹴士系統だと物理ステータスもMPも中途半端になってしまうから、累積系の条件はむしろ厳しいんだ。強敵撃破なんて尚更だよ」

 

「そうですかね。マスターの間では『累積系の条件は楽だな』という認識なのですが」

 

「······〈エンブリオ〉のステータス補正か」

 

「ご名答。個人差あるみたいだけど、ジョブ3,4つ分は違うんじゃないかな。ティアンとマスターで同じジョブ構成にしてもステータスは大体5割増し、人によっては倍くらい差ができるらしいね」

 

「本当に個人差すごいですけどね。私の【ザドキエル】はMPとAGI以外の補正ないですよ」

 

「ワタシの【イザナミ】はステータス補正全くないぞ」

 

「そうなのかい?あ、〈エンブリオ〉には固有スキルもあるんだったっけ。ステータス補正に寄っているか、スキルに寄っているかでも違うわけだ」

 

「そうですね。ついでに言えば、剣や盾など複数の形態を持つ〈エンブリオ〉もありますが、形態が多いほど一つ一つの性能は低くなる傾向にあるようです」

 

「固有のジョブ、のようなものかな」

 

「その認識でいいんじゃないですかね。突拍子のない能力もあったりするので、UBMや特典武具の方が近いかもですけど」

 

「もし戦うことがあれば、常に『未知の攻撃がくるかもしれない』ということは念頭に置くべきだろうな」

 

「まぁテリトリー系列だと、身構えていても心づもりをしていようと関係なく干渉してくるのもあるわけですが」

 

「固有バステは面倒よな」

 

「なるほどねぇ······ロストしている魔法属性と似た現象を起こす〈エンブリオ〉とか出現しないかなぁ」

 

「以前にロスト属性について話してましたね。何の属性でしたっけ」

 

「教え子も増えたことだし、基本からおさらいしようか。まず大きなくくりとして"天"、"地"、"海"だね。

天属性はエネルギーの発生と気体の操作。三大属性の中で一番攻撃に向いているのが天属性で、ここに含まれるのが火属性、雷属性、風属性、光属性。

地属性は鉱物の強化と操作、あとは固体の操作。魔法とは言いながらも専ら物理的な干渉をするけど、攻守のバランスが取れているのが地属性だ。ここに含まれるのが土属性と重力属性、あとは強度を上昇させるタイプの一部の強化魔法。で、重力属性はロスト中。

海属性はエネルギーの減衰と液体の操作。三大属性の中では防御寄りだね。ここに含まれるのが水属性、氷属性、絶属性、あと《レジスト・〇〇》全般の防御系だ。絶属性はロスト中だね。

そして三大属性には該当しない魔法も少なくない。対アンデッド特化の聖属性、対生物特化の闇属性、死霊術を扱う死属性、ステータスを上昇させる強化魔法、状態異常魔法。

魔法の分類としてはこんな感じかな」

 

「死霊術も魔法の一つなのか」

 

「ふむ······あ、その気になればロスト属性の復元できそうですね私」

 

「はぁ!?」

 

「重力に絶······あと存在すら知られていないみたいですけど風属性に対する防御属性も」

 

「あっ複数なの!?」

 

「試しに弱めの雷属性魔法と風属性魔法を私に撃ってください」

 

 トレマスが四糸乃に向けて魔法を放つと、他の魔法による干渉を受けたとしか思えない様子でかき消された。

 

「【術神】の試練で初見の魔法をいくつか即興で再現させられたんですけど、その中にあったんですよね」

 

「平然と初見の魔法を再現しておるなコイツ」

 

「え、何。まさか《魔力視》で見たのをそのまま再現したってこと?」

 

「むしろそれ以外に転職クエストをクリアする方法があるんですか?」

 

「············は???」

 

 トレマスは初めて会ってから何度も四糸乃に驚かされてきた。魔法の存在しない所からやって来たはずなのにMPの知覚に一度で成功し、教えられずとも魔法の改良を行い、果ては魔法に触れてから一月足らずでオリジナルの魔法を編み出すにまで至っている。

 トレマスはその全てを目撃しており、噂には聞いていたが相対したことはなかったハイエンドなのかと確信めいた予感を抱いていた。

 しかし今回の件は異常に過ぎる。前々から「バケモノ」「あってはならない」程の才能だとは思っていたが、一度見ただけでその属性魔法を自力構築できるようになるという習得速度は「バケモノ」という言葉すら生ぬるい。そもそも生物としての規格が違う"異物"なのではないだろうか、とさえ思う。

 

「確か四糸乃の〈エンブリオ〉は、魔法を補助する類の能力は一切ないんだったか」

 

「はい。AGIとMPに偏ったステータス補正と、機動力を強化するスキルが一つ、手数を強化するスキルが一つですね」

 

「······道理で、歴史書や手記で悪し様に書かれるわけだよ」

 

 トレマスは二人に聞こえないような声量でつぶやく。

 彼は長い寿命を活かして魔法だけでなく歴史の研究をすることもある。その際にハイエンドに関する記述を見ることもあるのだが、何故か批判的な記述が多いのだ。行いを否定するところまではいかないが、どこか当たりが強いというか、辛辣な書き方をしている記述がほとんどなのである。

 ハイエンドに近しい人物でもその傾向が強く、トレマスは度々疑問に感じていた。

 しかし今、この瞬間、身をもってその理由を知った。

 妬ましいのだ。

 自分が苦労して一歩ずつ歩んできた険しい道をなんでもない道を歩くようにいとも容易く進んでいくその姿が。

 修練を、努力を重ねて自分がやっと超えた壁を路傍の段差の如くあっさりと超えていくその才覚が。

 本人に悪気など他意がなくとも、どうしても嫉妬や憎悪の念を抱いてしまうのだ。

 

「トレマスさん」

 

「な、なんだい?」

 

 彼は焦る。彼女は悪意に敏感だ、たった今自分が抱いたものにも気付かれたかもしれないと冷や汗をかく。

 だが、彼女の口から放たれた言葉は予想外のものだった。

 

「私を気持ち悪い化け物だと思うなら、素直に言っていただいて構いませんよ。拒絶なり畏怖なりそういった感情を向けられることには慣れていますから」

 

「······なぬ?」

 

「······"慣れている"だって?」

 

 その一言を聞いた途端、数瞬前まで彼女に抱いていた感情が全て吹き飛んだ。

 こんな少女が「疎まれることには慣れている」などとなんでもないかのように言い放ったということが信じられない。

 

「あー······詳しくは聞かん。ワタシに出来ることはないからな。ただ、ワタシはオマエを疎ましく感じたりはしないぞ。パーティメンバーが才能に優れているのはよいことだろうよ」

 

「いや、まぁ······うん。君相手に隠しても無駄だから言っちゃうけど、確かに悪感情は少し抱いたよ。でもね、君を妬んだって僕の腕前が上がるわけじゃないからね。四糸乃ちゃんを嫌ったり遠ざけたりする気はない」

 

「······そう、ですか」

 

 二人の言葉を聞いた四糸乃は人形のように無機質な表情に変化を見せ、四糸乃本人も無自覚そうな微かな笑顔を浮かべた―――ように見えた。




〇四糸乃(片山 柊)の過去

(╹ x ╹)<一話から見せてますし今回もチラ見せしましたが、割と重いです

(╹ x ╹)<それはそれとして才能を見せつけてNPCのメンタルにダメージを与えていくスタイル

(^・ω・^)<しれっと闇を見せるのやめてくれんか???

(^・ω・^)<というか少しは隠す素振りをしてくれ

(╹ x ╹)<スッとお出ししたのにも実は理由があったりします

(^・ω・^)<やはり異常なまでの才能が原因なのか?

(╹ x ╹)<いえ、才能は直接の原因ではありません

(╹ x ╹)<ただ、ない方がある意味幸せだったかもしれませんね

(^・ω・^)<「ある意味」かぁ······

(╹ x ╹)<表面上は幸せなまま死んでいくか、苦難に耐えて足掻きながらも生きていくかの二択でしたからね

(^・ω・^)<壮絶過ぎる

(╹ x ╹)<まぁ詳しくは追々ね

(^・ω・^)<このあとがきだけでも割と言っている気がするが

(╹ x ╹)<いやまぁ、この程度ならね

(^・ω・^)<この程度!?
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