存在しない人間   作:いん22222

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ようやくルビ振り機能の真実を掴みました。

追記:なんか見返したら文章的におかしい部分が多くありました。本当すみません。

追記二回目:さすがに文ミスが多すぎて自分でも引いてます。


命令不服従、ウェポンズフリー 【ホロウ・インポッシブル Part10】

 「Get me fifty more body bags!(死体袋をあと五十ほど持ってきてくれ!)」

 

 「Sir!! what did you say sir!?(何て言いました!?)」

 

 「Body bags!! fifty more!!(死体袋を!!五十!!)」

 

 「Bring me!! yes!?(持ってきてくれ!!いいか!?)」

 

 「Yes sir!!(了解です!!)」

 

 メッシュ状の黒布を被った兵士の男、部隊長が別言語訛りの英語がよく聞き取れなかったのか、同じように黒布を頭に被りボディアーマーを身に纏っている兵士二名が聞き返し命令に従う。それを見届けた部隊長が目線を前へと戻せばそこは戦場───うや、戦場の跡地だ。

 

 迫撃砲によって出来たであろう破壊された地面、数々の銃痕、そしてドス黒い赤みの混ざった液体が自由奔放に飛び回っていた砂を地面に落とし固めている。

 

 他にあるのは──数々の死に方をした人間たちであろう。褐色肌に眉の濃さが特徴な人種の人間たちが今ではぴくりとも動かない。ほとんどの人間の体には9mmの銃弾が捻じ込まれている。

 首があり得ない方向へと曲がっている者。眼球が両目とも潰されている者。首に大きな切断面が見える者。袈裟斬りで胸の中心部まで斬られたままの山刀、シンプルに頭に風穴が開いている者。

 

 地面に死体の服で被せられたボールほどの大きさの何か(・・)は、支援部隊が到着しすぐに被せられた物体だ。

 

 種類(バリエーション)がさまざまな死に方をした襲撃者たちが多い。その死体らを見てどんな死に方や何が起こったのか、周囲への警戒をしながらも組まされた仲間と共に予測している会話が度々部隊長の耳に入る。

 

 その兵士達を見れば同様にメッシュ状の黒布を被っている。ここに一時駐留している兵士は皆黒布を被っているのだ。

 

 首に掲げられた認識票に記された名前はАртём(アルチョム)。振られた番号は1-3(ワンスリー)。前腕の内側に青の油性ペンで書かれた番号がC(チャーリー)1-3の部隊長であるのを示している。

 

 損害集計はせずとも良いだろう。そのそも奇襲を乗り越えたのが襲撃された三人の内一人のみだ。

 

 戦死、いやそもそも戦死したとも言えない者が二人いるらしい。

 

 支援に来た小隊から間に合わせの黒布とヘルメットを被り、バイタルゾーンを守るために製造された標準サイズのプレートキャリアを装備している生還者へと視線を移す。量産のため製造されたソレは図体のデカいやつに合うものではなかった。

 所々が破け、素肌や見え、これでもかというほど返り血を浴びている服装の上に装備している新品のボディアーマーはどうにも似合っていなかった。

 

 ここは戦場だ。落ち着くために、戦闘服のポケットからCigaretteと直で書かれているソフトパックを取り出し軽く振れば一本をそのまま咥える。電子式ライターのスイッチを押そうとしたところで───

 

 〈───All units!(全部隊!)|platoon-sized enemys approaching the staging area!───〉

 

 舌打ち一発。リラックスタイムはお預けのようだ。

 

 鍛え上げられた前腕が電子式ライターを八つ当たり気味に握り潰そうとするが、そんなことをしている暇はない。

 

 ため息を出しつつ安全装置を解除しコッキングレバーを僅かに引けば真鍮色のそれが見える。続けて各部隊別の配置位置が無線に流れるのを聞きながら全員が動き始める。ボスのほうへと目線を向けれべばすでに戦闘体勢を整えていた。

 

 敵兵から鹵獲した東側諸国では見慣れた銃器、装填された弾薬は7.62x39mm。

 全員がこれから始まる戦闘へと向かうべく駆け足を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『I won’t run.(俺は逃げん)』

 

 断固として、毅然な様子が文字にも反映されているその文を見た11号の表情は変わらない。

 

 未だ(・・)説得を続けるつもりだ。

 

 「民間人であるあなたが戦闘を無理に継続する必要はないわ。何より相手は訓練された兵士たちよ。」

 

 『You don’t need to take them all on yourself.(お前一人が全てをやる必要はないだろう)』

 

 「…作戦は事実上の崩壊よ。結果として民間人のあなたを負傷させ、兵力はこちらの方が劣っている。それにこれは防衛軍と反乱軍の問題。」

 

 いざこざに入り込むな、とでも言っているのだろうか。心配しているのか。

 どちらにせよ、この状況で協力しない選択肢はあり得ないものだ。

 

 確かにネームドたちの役割は11号を反乱軍の元へ送り届けることだ。その役目は終えさっさと退却することは可能だ。

 しかしネームドにそのようなことをする考えは一切浮かんでいない。

 

 

 最も、撃ち合いがどういうものかという好奇心、言葉を選ばず言えば楽しそう(・・・・)というのがネームドの本音である。

 

 一部だ。決して全部がそうであるというわけではない。

 

 「死ぬのが怖くないの、あなたは?」

 

 『I’d rather fight alone than leave you behind.(見捨てて行くなら一人で戦ったほうがマシだ)』

 

 「…命令違反は軍法会議ものよ。」

 

 『|Right. but I’m a ”CIVILIAN”.(そうだな。でも俺は”民間人”だ。)』

 

 その時次々と何かの集団が近づく音を聞き取った二人は別々に遮蔽物へと身を隠す。影から覗けばアーミーナイフやら防護盾やらを兼ね備えた反乱軍兵士たちが更新を続けている。約三十人、一個小隊規模である。

 恐らくは第一派、別方向から狙うべく控えている別部隊が存在するはず。

 

 どちらにせよやるしかない、11号が行動を考えている中、通信機にブツ切り音が何度も流れていることに気づく。パターンからしてモールス信号であると気づいた11号が横を見れば、ショルダーストラップに取り付けられた無線機のマイクボタンを何度も押しているネームドを目視する。

 

 

───I DO THE OTHER, (他は俺が)YOU DO THAT ENEMYS(お前は奴らを)

 

 

 ネームドからの一方的な言伝であるが、11号はここ数日作戦中の円滑なコミュニケーションのためモールス信号を頭に叩き込んだのだ。

 

 「ウェポンズフリー(・・・・・・・・)、行きなさい。」

 

 意図を理解した11号は大型ナタを引き抜きば、遮蔽物からわざと身を晒し出した。それを視認した敵兵二人がアーミーナイフ───【コヨーテ-PE7】型エーテル重刃を逆手に持ち走り出すも四発の銃声がなり地面へと倒れた。

 

 銃持ちがいるとも考えず突っ込んで来た阿呆から血が流れているのを見たネームドが続けて引き金に指を引っ掛けたまま連射を続ける。反動を抑える左手の力はあえて緩めたままだ。

 一人一人正確に狙っているわけではなく、集団に対し銃弾をプレゼントしているのみ。

 

 コッキングレバーが開放されたままになる音が聞こえれば11号がナタを構え走り出す。

 

 ネームドが後ろで刃の衝突音を聞きながら反対方向へと向かう。鎮痛薬(ロリポップ)を吐き捨てヘルメットを一度脱げばスナイパーベールを一度脱着させた。

 銃弾による被弾でこれ以上損傷でもしたらたまったもんではない。黒色の髪の上に乗せればその上にヘルメットを被せる。

 

 視界に問題はない。警戒するまま建物から出れば早速圧縮され、物体と化した銃弾(エーテルエネルギー)がネームドを歓迎する。

 

 複数の敵兵部隊がネームドの隠れた遮蔽物を覆うべく動き始めたところへ兵士の頭が”二つ”吹き飛んだ。銃声は三回鳴り全てが二人の兵士へと貫通する形で降りかかる。

 

 硬いヘルメット、それがネームドの感想である。

 

 先ほどウェポンズフリーと11号から直接貰い受けたのだ。幹部らしき人間以外は死んでも構わんだろうと散弾銃から小銃へと切り替え射撃を続ければ敵兵は急ぐように遮蔽物へと身を隠す。

 

 味方二人が死亡、それに加え牽制射撃により慌てた様子で建設途中の壁へと飛び込んで行く様子を見れば再び後方へと走り出した。

 現在の位置はある程度開けている。撃ってくださいと言っているような位置では身も心も落ち着く事はできない。

 

 近くの資材置き場へと移動すれば今度は向こう側から何者かが来るのを視認する。遮蔽物へと体を隠し小銃を角から構えた。引き金を引けば点火された火薬が急速な爆燃により弾頭を突き飛ばした。

 

 単発射撃を何度か繰り返し当たったのは敵の胸部。そこはアーマーがあるため耐えた兵士はそのまま遮蔽物へと身を隠した。

 

 

 

 「奴は一人だ!銃撃小隊A班は右から牽制射撃を続けろ!!」

 

 エーテルエネルギー銃【ファルコン-Mk3】が   可視化光線(レーザーサイト)を照らす先を続け様に連続射撃する。実弾を使用せず、一度燃料を装填すれば熱暴走しない限り長時間の射撃を可能とした。

 

 エネルギー注入機一つあれば一つの任務をこなせるほど燃費の良いそれは兵士の装備を圧倒的に軽量化に成功。ボディアーマーの軽量化も実施されたがため、体を覆うボディアーマーは重要臓器のうち最重要である胸部のみに留まった。

 

 しかしそれは実弾兵器に対しての弱体化も懸念事項である。ある程度は防げるだけなのだ。

 

 ある程度は。

 

 角から出た銃口から弾が発射されれば敵兵士の腹へと着弾し二人が倒れる。倒れた敵兵士の前に不活性エーテル防護盾を構え、他兵士が胸部を覆っているアーマーの背中にあるストラップを掴み取れば後方へと移動を開始。

 

 ネームドが約5メートル横へと移動すれば半身を乗り出し射撃する。防護盾のちょうど右下部位をテコの原理で動かそうと連続で撃ち続けるも動く様子はない。随分と固く、重い盾らしい。

 

 重いというのは機動性を奪うようなものだ。

 

 ならばと手榴弾のピンを抜き、安全レバーを離し二秒待つ。上投げで遮蔽物から投げ出されたそれが怪我人を牽引していた班の真ん中に落ちた。

 

 「ッッ!!」

 

 「手榴弾(グレネード)!!」

 

 頭に叩き込まれた手榴弾に対する行動は足を向け、頭を抱え、遠くへと飛び伏せる事。牽引していた兵士から手を離し我先に逃げようとしていた兵士の体に破片が襲い掛かった。

 

 何十何百という破片が音速を超え体へと飛べばかかればどのようになるかは誰でも分かった。体を貫通するものもいればヘルメット内部へと入り内部で暴れ回る破片も存在する。

 

 痛みに耐えかね悶絶する声が周囲へと響く。何人かの兵士が防護盾を持ちながら近づく。そこへネームドが散弾銃で応戦するも盾を貫通することはない。

 遮蔽物へと身を隠すネームドの横に何かが動くのを捉えればすぐにそちらへと体を向けた。

 

 小銃を撃つには距離が近すぎる。素早くチェストホルスターから自動拳銃を取り出せばスライドが掴まれる。掴んだ相手へと引き金を引けば撃鉄(ハンマー)が撃針(ファイアリングピン)を突き発砲した。

 

 本来なら銃弾のガス圧によってスライドが後退(ブローバック)すると同時に弾倉から次弾を装填する。しかしスライドを掴まれたことによってそれが叶わない状態だ。

 

 撃った一発は兵士が銃口を別方向へと逸らしていたため当たっていない。長靴を履いた足が下から来るのを体を掲げ膝で防ぐ。そのまま足が巻き込まれた兵士の視界が急転すれば見えたのは三角の模様のゆらめく雲混じりの青空だ。しかしすぐに真っ黒となる。

 

 援護するには遅すぎる兵士二人がアーミーナイフを逆手に攻め込む。その一人がネームドの筋肉が詰まった太脚によって吹き飛ばされた。捻じ回すように前蹴りが腹の中央部へと命中すればエーテル重刃が戦闘服のズボンを少し引き裂くも肌へと届くことはなかった。

 

 コンバットナイフが鞘から破れんばかりに抜き取られエーテル重刃との鍔競り合いが始まる。双方が睨み合うように顔前に競っていれば火花が急速に散り始めた。

 

 兵士の使うエーテル重刃は超高速振動による切断機能を備えている。動かさずともチェンソーのように切断可能のため戦闘以外の用途にも使用されている。

 

 このままではナイフが壊れる、そう判断すれば後方へとステップするネームドに兵士はすぐさま距離を詰めた。

 

 刃の軌道が交わるたびに火花が散る。段々と速度の上がる交じり合いですぐに兵士の限界が訪れてしまう。燃え上がるように痛くなった腕の力を一瞬抜く。それがいけなかった。

 

 力が弱まったと感じ取ったネームドが引き寄せ荒れるように近づき兵士の手を切り刻む。握り手の四本指になぞるよう黒刃を押し込めばグローブをが包んでいたはずの指が三本ボトボトと、地面に落ちた。

 

 「ッッ───

 

 叫びを上げる暇もなく喉へコンバットナイフが刺し込まれる。これにより発声と呼吸が不可能となった。

 

 声になっていない無様な”音”が鳴るのを気にせず梱包されたビニールを手で無理やり引き裂くようにナイフが横へと乱雑に引き抜かれた。頸動脈が切断され外界へと露出したそれが血潮を噴き出す。返り血を浴びたネームドの戦闘服が赤に染まって行く。

 

 先ほど蹴り飛ばした兵士へと目を向ければ未だ咳込んでいる。鳩尾に蹴りをお見舞いしたせいかうまく呼吸をしていない。

 

 小銃を構えれば二発撃ち込む。糸が切れた人形のように動かなくなった兵士へともう一度撃ち込めば周囲を見回した。

 

 その時、全身に鳥肌が立つ感覚、そして突き刺されるような感覚を感じれば反射的に地面へと飛び込む。予想通り狙撃をされた。

 前方の地面に銃弾が飛来するのを見れば匍匐前進のまま前へと進む。資材置き場のおかげで隠れることに成功すれば次の一手を考え始める。

 

 狙撃手であるならすでに移動したはずだ。当たり前である事を厄介に思いつつ隙間から覗けば向こう側の建物へと目を向ける。戦闘状態となり視力が向上している目が何者かを捉えた。

 

 位置は特定した。次に命の狙われたライフル弾の弾頭を持てばそれを一目見る。

 

 

───デカいな。

 

 

 どうも先ほど飛んできた銃弾は見た目では上側が見慣れた真鍮の色、しかし下部が白色だ。

 色の違いや材質の違いはまぁいいだろう。しかし問題は弾頭のデカさである。

 

 

───長すぎやしないか?

 

 

 .338ラプアマグナムや.408シャイタック弾でも類を見ない大きさ。薬莢を込めるとしたらどれほどデカくなるだろう。

 

 動画投稿サイトやアプリなどでは薬莢含めた銃弾自体が出てくるクソのようなAI動画が流れてくることもあるが、まさにソレを実現したかのような弾頭。弾丸の白部位には雷管がない。

 

 確実にネームドを殺す気らしい。

 

 当たれば確実に一枚の防弾プレートを貫通するだろう。自然と口の両端が吊り上がりそうになるもそれは直ぐに引っ込まれる。この弾丸は先ほど脳天抜きをされ掛けた───いや、された際にやられた物とは別物(・・)だ。

 

 まぁ今それとこれとは関係ない。重要なのは狙ってきた野郎を対処することだ。

 

 これほど弾丸がデカければ狙撃であるのは間違いない。半自動小銃(DMR)の類でもないとネームドは予想した。恐らくは手動装填の狙撃銃であろう。

 

 ボディアーマーを体に纏い、小銃と散弾銃、自動拳銃とクソ重い大口径回転式拳銃、近接装備二つを持っているとは考えられない速さで走り始めた。早速一発がネームドへと降りかかるも怯む事なく走り続ける。

 

 準備運動なし、駆け足なしの急な全力疾走であるが体はついていけている。右足左足で地面を蹴り肉薄していく速さはアスリート並みの走行速度だろう。

 

 続けて一発、一発と弾丸がネームドの通った跡道や進行方向へと進む。その速度は予想していた銃器の連射速度ではない。

 

 その銃弾が前腕の横を掠めた時、妙な感覚を捉えた。

 

 

───電気か?

 

 

 掠めた際に感じた痛みは高速で飛来する物体が皮膚や肉を抉り取る痛みではない。数十分前にその痛みを感じたばかりなのだから間違いない。

 

 今のは電気による感電や、痺れる痛みだ。

 

 そこで成程とネームドが持っていた違和感をようやく解消した。相手の持っている銃器は電磁銃(レールガン)の類だ。

 電流を流し磁場の生み出せばどうたら、とネームドは覚えがある。それならあのデカい弾丸も理解できる。消音器をつけているだろうとはいえ銃声が聞こえなかった事にも納得が行く。火薬を使用しないため銃声がほぼなくなるのだ。

 

 あと少しで建物へと入れる。しかしその時だ。

 

 ネームドの胴体へ一発、銃弾が当たった。

 

 何かが砕ける感覚を捉える。だが止まることなくネームドはエントランスへと侵入した。小銃を構えつつ入るも警戒している敵兵士はいない。

 

 耳を澄ますも音は聞こえなかった。単独であるらしい。

 

 壁へと背中をつけプレートキャリアのチャックを開く。内部の防弾プレートを取り出すも出てきたのは砕けた破片だ。

 二枚目の防弾プレートが弾丸の侵入を防いだらしい。内部で銃弾がバラバラとなっている。

 

 まだ使える。内部へと押し込みチャックを閉めれば見るのは外側である。

 

 それを見た時、ネームドは思わず舌打ちを漏らす。右側の弾納へと被弾していたからだ。

 弾倉を上へと引っ張れば案の定弾倉が拉げているではないか。

 

 暴発が起きないだけ幸運だった。ダンプポーチに入れれば小銃を構え四階へと向かった。

 

 先ほど捉えた狙撃手の位置は四階だ。奴はそこにいる。

 

 

───狙撃はしたいが狙撃されたくはない。

 

 

 なんとわがままだろう、この男は。

 

 気配を隠す事なく階段を三段飛ばしで登っていく。この建物に来ているのはバレているのだ。

 

 ホロウ内にしては随分綺麗な状態で残っているビルの壁に掲げられている数字は【4】小銃を構えつつ進めば白色のオフィス内では目出つ黒い円形がネームドを狙っていた。

 

 銃口と判断したネームドが咄嗟に横へと飛べば銃声らしき音が同時になり銃弾を飛ばす。横へと飛んだネームドの方が僅かに速かった。銃弾が買ったばかりの新品の上着とTシャツを引き裂き、表面皮膚を抉る。

 

 手斧を取り出し投げつければそれをかわすべく体を動かす声が聞こえた。正確な射撃は必要ない、そう思い一瞬の隙を逃さず撃ちながら接近すれば相手も引き合うように距離が縮まっていく。

 

 この以上近づけば小銃は役に立たない。自動拳銃へと持ち替えれば射撃精度を安定させるべく片腕を伸ばし撃った。それがいけなかった。

 

 潜り込むように下から手首を掴まれ上方向へと強制的に向けられる。当てるつもりで撃った銃弾は空を切ったのだ。

 回し蹴りの要領でやる蹴りはネームドの膝を地面へとつけさせた。

 

 素早く手首を撚れば銃身を掴まれる。同じように撚れば保持状態が限界となり手放してしまう。武装解除を実行した相手が引き金を引くも同じように自動拳銃の後部を掴んだ。

 

 ハードナックルグローブを着た手が叩きつけるように銃身を押し付け人差し指を撃鉄前へと挟んだ。

 

 相手が何をされたか分からない(・・・・・)まま引き金を引くもネジ切りされた銃口から火が出ることはない。撃鉄が起き上がる前にその間へ指を挟んでいるためだ。

 

 ネームドの自動拳銃は【ハンマー方式】である。銃身内部のトリガー連動のシアーで解放されて雷管を叩く【ストライカー方式】ではない。

 ハンマー方式は撃鉄が撃針を叩き雷管を穿つ。一種の弱点でもあるそれを利用した。

 

 相手はハンマー式の拳銃であると気付いた時には顔の大部分を覆っているバイザーへ拳が迫っていた。とはいえそれも顔を逸らし回避してみせた。

 

 コイツ/この人は只者ではない、それは両者が既に悟っている。

 

 回避した相手が腕を掴みネームドの懐へと入る。脇下へと手を通せば脚を根のように床へと張り引っ掛けることに成功させる。そのまま後ろへと投げつけた。

 

 同様に投げられたネームドは掴まれた腕を離さず両手で引き込む、筋肉を遺憾無く発揮し腰へと前蹴りをかませば相手が倒れた。

 

 まだ手を離すつもりはない。そのまま力を込め思い切り捻るように引っ張れば───

 

 ゴキッと、何かが折れるか、外れる音がオフィス内へと響いた。

 

 「ア”ッッ…!!」

 

 プラプラと揺れる右腕が動く気配はない。脱臼には成功させたらしい、肩甲骨から肩の骨が外れ筋肉による固定がかかっている状態だ。自らの意思で動かそうにも激痛が伴う。

 目の前の敵兵士、目に入る体つき、そして顔からして女だ。鼻から上を覆っているバイザーのLED部位が赤く点滅している。

 

 女であろうと命を狙ってきたには変わりない。小銃の安全装置を親指で弾く、単発か連射か分からないがどちらにせよ弾は出る。

 

 引き金に指を乗せ引こうとする。そこへ何やら異音をネームドは聞き取った。ハウジングをずらせば相手、女兵士の耳から何かの声が聞こえた。

 

 銃口を顔前に近づけたまま耳から補聴器のようなイヤホンを抜き取り耳を澄ます。聞こえるはずのない声がスピーカーから漏れ出ていた。

 

 〈──ガー!トリガー!!状況は?応答してくれ!」

 

 

───アキラ?

 

 

 なぜあいつの声が、コイツの無線機から聞こえる。

 

 肩を抑えている女兵士、もといトリガーを見れば、相手もネームドを”視る”。

 

 

 視線が交わった。




次回はぁ!!11号マシマシ戦闘マシで行こうと思うのですがぁ!欲しい方いますでしょうかぁ!いましたら感想にてお願いします!

 もちろん書くつもりです!しかし今回のような話の量かと言われたらそうでもありません!!

 ち・な・み・に

 ネームドを狙った人物、トリガーへとやった、投げ技をされ地面に追いやられても腕を引っ張り腰を蹴る技はバイオヴィレッジのとあるシーンにて登場します。
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