本小説はMyGO!!!!!のベーシストである、長崎そよの誕生日をお祝いする目的にて執筆しております。ただし内容が私のメインに執筆している作品と直接的な繋がりがありませんので、閲覧の際はご了承下さい。

 また、本作品内にてヴァンガードの内容を取り扱っておりますが、其方に関しても既に投稿されている作品との繋がりや関係性は一切ございませんのでご注意下さい。


 この二点を踏まえたうえで、本作品をお楽しみください。

1 / 1
 皆様、おはこんハロチャオ。

 いつもしない挨拶から始まりました、長崎そよ生誕祭記念回となります。本作品は前書きでもお知らせしました様に、当方の執筆しているメイン作品の諸々とは関係が一切ございませんので、ご了承下さい。


 それでは、本編スタートです。

 最後までごゆっくりお楽しみください。


幻の王と破天の騎士

「……そろそろ、だよね」

 

 

 春の暖かな陽だまりが一瞬にして過ぎ去り、少しずつジメジメとした過ごしにくい季節が近づく頃、私はマンションのエントランス前である人と待ち合わせをしていた。きっかけは私から言い出した事なんだけど、その人にも事情があったところに無理矢理捩じ込んでもらったので、少し申し訳無さが混じっていた。

 

 

「やっぱり、私一人でこう言うのは見つけるべきだよね」

 

 

 そう私がボソッと声に出した、その時だった。

 

 目の前には漸く見慣れた車が留まり、その中から今回約束をしていた人物である……颯樹さんが降りて来た。聞けばパスパレのメンバー(特に白鷺さん)から誘いを掛けられてたみたいで、その人にはちょっと悪い事をしたかな。

 

 

「お待たせ、そよ。早めに出たからそこまで道が混んで無くて助かったよ」

「ううん、私も今出て来た所だから」

 

 

 ……嘘。本当は、家から出て来て十数分くらい待ってたんだけどね。彼の性格を加味するのなら、人を待たせてしまうなんて絶対に避けたいと思うはずだし、他ならぬ私がそれを口にしてしまったらお終いだ。

 

 

「立ち話も何だし、乗って。車の中で話を聞こうか」

「ごめんなさい、立希ちゃんの事で色々と世話になってるのに。そのうえ私の頼みまで聞いてくれるなんて」

「いいよ、行こうか」

 

 

 颯樹さんにエスコートされるがまま、私は彼の運転する車の中に乗り込んだ。そしてその道中はMyGO!!!!!(マイゴ)の曲を移動中のBGMとして流しながら……お互いの近況を話し合う事にした。

 

 

 そうして暫くドライブを楽しんでいると……。

 

 

「……着いたよ。さ、降りようか」

「えっと、ここは?」

「僕の行きつけのカードショップだよ。この前の京介とましろのファイトを見て、そよもやりたくなったんでしょ? ならそれに見合う物を探しに行こうか」

「あ、はい!」

 

 

 ……そう、私が今回颯樹さんに頼んでいたのは、ヴァンガードのデッキを見繕って欲しい、と言うお願い。きっかけとしてはさっき彼から言われた通りで……以前立ち会った倉田先輩と京介さんのファイトを見ていたら、自然と私もやりたくなったのが理由の半分。

 

 もう半分は愛音ちゃんが執拗いくらいに誘って来るし、なんなら立希ちゃんも颯樹さんをギャフンと言わせる為に……なんて鼻息荒くしながら始めてたから、私もそれに倣おうかなと思った次第だ(私は何方かと言うと、考えは颯樹さん派なんだけど)。

 

 

 そのお店のドアを潜り、目の前に飛び込んで来たのは。

 

 

「……すごい、これだけたくさんの人が……」

「そうだよ。それにアニメもやってるし、つい最近だと有名な少年誌でも漫画が掲載されるくらいにはヒットしてるからね。まあ僕自身はその漫画は読んでないんだけど」

 

 

 何処を見渡しても人、人、人の連続だった。

 

 幾つかの机が並んでいるであろう場所には、数十人規模の人集りが出来ていて、最近私にとっては少しだけ馴染んで来た専門用語を使いながら遊んでいるし……片やショーケース、だっけ。その販売スペースがある所には、子供連れの家族やカードを買いに来た人たちで溢れていた。

 

 

 そんな光景に惚けていた私を他所に、颯樹さんは誰かと話を付けているみたいだった。彼の行きつけだって言ってたから、たぶん長く通っているのかな?

 

 

「……お待たせ、そよ。空いてるデュエルスペースの一角を貸し出して貰える事になったから、一先ずはそこでどの国家を使うか決めよう。その後にショーケース前にあるタブレットで、そよの分身を決めないと」

 

 

 ……やっぱり、軽く頭が痛くなってくる……。

 

 でも、ヴァンガードを始めるって決めたからには、こう言うのが連続して起こるはずだし……少しずつ慣れていかないと。

 

 

 そうして私は颯樹さんに連れられ、貸し出しを許可されたデュエルスペースに案内された。……まあ、その時に軽く手を握られた事に関しては、後々愛音ちゃんに問い詰められたら煩いし、私の心の中に留めておこうかな。

 

 

「……さて、そよ。ある程度ヴァンガードについての基礎知識はある?」

「うん、ある程度は。でも本当に基礎的な事だけだけど」

「それで良いよ。最初は誰だって難しい事に関しては分からない物だから。じゃあ、チュートリアルは割愛するね。次に、国家を決めようか。今のヴァンガードをやるうえでメインとなる国家はこの6つで……」

 

 

 颯樹さんがそう説明を始めたので、私は確認の意味合いも込めて話を聞く事にした。後でこれはわかった事なんだけど、どうやら颯樹さんは6国家全てを使えるらしい。ただその中でも取り分け強い愛着があるのは……。

 

 

ユースベルク……」

「そ。今の僕があるのは、コイツのおかげと言っても過言じゃない。最近は新形態も出て来たし、勿論作るつもりで居るんだけどね」

 

 

 ……なるほど。それじゃあ、私も同じ物に……。

 

 

『私の声が聞こえるか、我が先導者』

 

 

 ……え?

 

 

『私だ。目を閉じて、心を集中させろ』

 

 

 私は突如として聞こえた声に、耳を傾けた。……そうして少しした後に目を開けると……。

 

 

「……え。私、さっきまで颯樹さんとカードショップに」

『漸く気が付いたか、我が先導者』

 

 

 そこに立っていたのは、颯樹さんよりも数cm背丈が高そうな男性(?)だった。声が渋く低めなので、人によってはこの声だけで堕ちてしまいそうな程だった。

 

 

「だれ……ですか」

『我が名はガブエリウス幻世界(まぼろしせかい)の支配者となった者』

 

 

 ガブエリウス……? 幻世界……?

 

 

 ……なんだろう、すごく頭痛がする……。

 

 

『お前の名は何だ』

「わ、私……長崎 そよと言います」

『ソヨか。良い名だ。では早速だが要件を伝えよう。私をお前の仲間に加えて欲しい』

 

 

 ……どう言う事?

 

 

『私はこの幻世界にて幻の身体を得た存在。本来であれば惑星クレイからコンタクトを取るのが普通だが、何の因果かお前の願いに私が呼応した。……お前は悔いている様だな、自らが何も出来なかったあの日の事を』

 

 

 ……なんで、知ってるの……。

 

 

『語らずとも良い。だが、その気持ちは私も同じ。そしてお前の目の前に立つサツキも……また然りだろう。奇妙な巡り合わせだが、私には運命と言っても差し支え無い』

「は、はぁ……」

『私の力を使え。案ずるな、必要な物は既に揃えている』

 

 

 既に、揃えてる……って、な、なに?!

 

 

「これは……デッキ!?」

『私のデッキだ。先も言ったが、使う際に必要な物は既に揃えている』

「……あ、ありがとうございます……でも、なんで」

『さて、何故だろうな。敢えて口にするなら、私の気まぐれだ。そしてその先はお前自身で知る事だろう』

 

 

 私はそんな事を言われた後、元の世界に戻って来た。

 

 その後の颯樹さんからの話に拠れば……あと1〜2枚差し替えるだけで、ほぼ向かう所敵無しの構築にできるみたいで。ガブエリウスさん……だったっけ。その人には改めてお礼をするのを忘れずに、私は颯樹さんの先導を受けてショーケースを見に行く事となった。

 

 

 ……そして、諸々のお会計も終わって。再びデュエルスペースにて。

 

 

「あ、ありがとうございます……私の為に、スリーブもデッキケースもなんて。レシートを見せてください、その分のお金は」

「構わないよ。ヴァンガードのスターターキットを揃えるんだ、経験者から負担させてよ。それに、まさか……ガブエリウス自身から先導者を選ぶなんて」

「えっ、こう言うのって普通じゃ」

「じゃないよ。レアケースだね」

 

 

 ……そ、そうなんだ……。

 

 で、このスリーブは?

 

 

「あ、言ってなかったっけ。アニメの中で登場キャラクターが実際に使っている物だよ。色々種類がある中の一つだけど、気に入って貰えると嬉しいな」

 

 

 な、なるほど……じゃあ、有難く使わせて貰おうかな。

 

 私は颯樹さんにお礼を言って、自分のデッキをスリーブに挿入し始めた。スリーブの構成には少しアドバイスを貰いながらも、何とか数分後には全てのカードを挿入し終える事が出来た。

 

 

「じゃあ、デッキが出来たら早速やってみようか。ルールはある程度知ってるって事だったし、そこら辺の説明は必要ならするけどどうする?」

「……いいえ、本番さながらでお願いします」

「そっか。それじゃあ、始めるよ」

「はい」

 

 

 そう言われた私は、颯樹さんに倣う形で無作為にデッキを混ぜる(シャッフル)→手札を5枚引いて、その後に引き直し(マリガン)まで済ませた。そしてライドデッキの一番上のカードをヴァンガードサークルに置いて、再び向き合った。

 

 

「お、なんだなんだ?」

「ちょっと、押さないでよ」

 

 

 ……次第にギャラリーも集まって来た。

 

 たぶん私たちがファイトをするってなったから、それに興味を惹かれたのかな。なら、恥ずかしくない対戦にしないと。

 

 

「行くよ」

「いつでもどうぞ」

 

 

スタンドアップ・

ザ・

ヴァンガード

 

 

穢れ知らぬ双眸 ユース

アスピリング・ドラコキッド

 

 

 颯樹さんの使う国家はケテルサンクチュアリで、私はダークステイツ。……さっきガブエリウスさんからカードを貰った立場だし、ここは善戦して良い報告が出来るようにしないとね。

 

 

「僕から先攻で行くよ。スタンド&ドロー、手札を1枚破棄して《迅槍の従騎士 ユース》にライド。ライドした時《エネルギージェネレーター》をセット。続けて、手札から破棄された《勇奏の楽士 コルリーノ》のスキル発動。山札からカード名に反抗黎騎(レヴォルフォーム)を含むカードを1枚選んで、相手に公開して手札に加える」

(手札5→6→5)

(ソウル0→1/ドロップ0→1)

 

 

 反抗黎騎……?

 

 それが、颯樹さんのデッキの中身……?

 

 

「僕は《ユースベルク“反抗黎騎・晄臨(イグジスト)”》を手札に加え、残りをシャッフル。その後手札に加えた晄臨を、そのままソウルに入れる。これでターンエンド」

(手札5→6→5/ソウル1→2)

 

 

 そうして目に入ったのは、ユースベルクの……恐らく別形態と思われる姿だった。黒を基調とした鎧で鎧う姿はそのままに、今にも飛びかかって来そうな程の疾さを思わせる装い……もしかして、颯樹さんに先攻を渡したのはかなり悪手……?

 

 

「私のターンです。スタンド&ドロー、手札を1枚棄てて《フルーシオン・ドラゴン》にライド。ライドした時《エネルギージェネレーター》をセットして、私が後攻なのでEC(エネルギーチャージ)3。次にさっきライドコストとして破棄した《スチームメイデン スパイラルキューティ》のスキルを使用。SB(ソウルブラスト)1またはEB(エネルギーブラスト)3をコストに支払う事で、山札から赫月カードを1枚選んで、相手に公開してから手札に加えます。今回はEB3をコストに支払います」

(手札5→6→5)(エネルギー0→3→0)

(ソウル0→1/ドロップ0→1)

 

 

 ……初めて使うはずなのに、何だかそんな感じがしないのは気の所為なのかな。もしかして……何処かでガブエリウスさん、見てたりする?

 

 

「私は山札から《赫月光》を手札に加えて、その後に山札をシャッフル。そしてアスピリングのスキルで、後攻なのでデッキから1枚ドロー。そのままノーマルオーダー《赫月光》を使用。山札の上から5枚を見て、その中から1枚を選んで相手に公開します。公開したカードがヴァンガードのグレード以下のユニットカードなら、リアガードとしてコールして、それが赫月カードだったなら手札に加えます。……チェック」

(手札5→6→7→6)(ドロップ1→2)

 

 

【山札の上から5枚】

《麗焔魔嬢 オリエンス》

《フィーブライル・ドラゴン》

《幻燈魔嬢 フォルカロル》

《ステムディヴィエイト・ドラゴン》

《リペルドマリス・ドラゴン》

 

 

「私は《幻燈魔嬢 フォルカロル》を公開して、残りを山札に戻してシャッフル。公開したカードはヴァンガードのグレード以下のユニットカードなので、フルーシオンの後ろに(スペリオル)・コール。……行きますよ、バトル。フォルカロルのブースト、フルーシオンでヴァンガードに攻撃」

 

 

 先ずは1点……確実に取りに行く!

 

 

「ノーガード」

「ドライブチェック《喚起の操獣師 ライリー》。ゲット・ドロートリガー。フルーシオンのパワー+10000、デッキから1枚ドロー」

(手札6→7→8)

 

「チェック・ザ・ダメージ《破却の魔女 フェルゴーサ》。トリガー無し」

(ダメージ0→1)

 

「バトル終了時、フォルカロルのスキル発動。このユニットがブーストしたバトル終了時、このターン中にエネルギーをコストに3つ以上支払っているなら、自身を退却させる事で、デッキから1枚ドロー。これでターンエンド」

(手札8→9)(ドロップ2→3)

 

 

 先制攻撃は難無く成功……颯樹さんのダメージは1。

 

 まだ軽く1点与えただけだけど……この手応えは強く感じられる。これがヴァンガード。私も、戦ってるんだ。

 

 

「体感してくれたかな?」

「……うん。まだ、実感が湧かない……これが、颯樹さんや京介さんたちのいつも通り、なんだって」

「そうだよ。僕や京介に千歌、ましろや彩、勇だったり。遅かれ早かれ経験する物だと思っていた……ようこそ、此方側の世界へ」

 

 

 何だかそう言われると、悪い気はしない。

 

 ……むしろ、少しずつ嬉しくなって来る。気になってる人から誘われて、そして一緒にその感覚を味わえるなんて……またと無い絶好の機会だ。

 

 

「スタンド&ドロー、EC3。手札を1枚破棄して《憂いの烈光 ユース》にライド。ここで《迅槍の従騎士 ユース》のスキルが発動。SB1をコストに支払う事で、山札の上から5枚を見て、その中から1枚を公開する。それがユースベルクを含むなら手札に加えて、グレード2以下のユニットカードなら、リアガードとしてコール出来る。……チェック」

(手札5→6→5)(エネルギー0→3)

(ソウル2→3→2/ドロップ2→3)

 

 

【山札の上から5枚】

《ユースベルク“反抗黎騎・翠嵐(テンペスト)”》

《誓盟の騎士 エディンヴェイド》

《破弓の騎士 スフィルト》

《パラディウムジール・ドラゴン》

《水界の精霊王 イドスファロ》

 

 

「《誓盟の騎士 エディンヴェイド》を公開。残りを山札に戻してシャッフル。公開したカードがグレード2以下のユニットカードなので、リアガードとしてコール。続けてエディンヴェイドのスキル発動。ヴァンガードがユースを含むなら、CB(カウンターブラスト)1を支払う事で、山札の上から7枚を見て、その中の1枚を公開する。公開したカードがユースベルクを含むなら、それを手札に加えて、このカードと別名で且つヴァンガードのグレード以下のユニットカードなら、ユニットの居ないリアガードサークルにコール出来る。……チェック」

 

 

【山札の上から7枚】

《破弓の騎士 スフィルト》

《ユースベルク“反抗黎騎・晄臨”》

《四精織り成す清浄の盾》

《パラディウムジール・ドラゴン》

《轟破の騎士 ベスルテイン》

《勇奏の楽士 コルリーノ》

《ヴァリションリガー・ドラゴン》

 

 

「《轟破の騎士 ベスルテイン》を公開し、残りを山札に戻してシャッフル。そしてベスルテインはヴァンガードのグレード以下のユニットカードなので、リアガードとしてコール。続けてライドコストとして破棄された《湖の巫女 リアン》のスキルを発動。SB1をコストに支払う事で、自身をエディンヴェイドの後ろにコール。登場した時、デッキから1枚ドローして、その後手札から1枚破棄。そして手札から破棄されたコルリーノのスキルで、山札から晄臨を手札に加え、そのままソウルに。《破弓の騎士 スフィルト》をコールし、バトル。ベスルテインで攻撃」

(手札5→6→5→6→5)

(ソウル2→1→2/ドロップ3→4)

 

 

 ……よ、ようやくバトル……。

 

 何だか目が回って、対応できなくなりそう……。でも、ここで大ダメージを貰う訳には行かない!

 

 

「ライリーでガード!」

(手札9→8)(ドロップ3→4)

 

「スフィルトのブースト、ユースで攻撃」

「ノーガード!」

「チェック・ザ・ドライブ《ヴァリションリガー・ドラゴン》。ゲット・クリティカルトリガー。エディンヴェイドのパワー+10000、ユースのクリティカル+1」

(手札5→6)

 

 

 こ、ここでクリティカル!?

 

 

「ダメージチェック。1点目《煌結晶(ファイアレガリス)》。2点目《フィーブライル・ドラゴン》。何方もトリガー無し」

(ダメージ0→2)

 

「リアンのブースト、エディンヴェイドで攻撃」

「ノーガード。ダメージチェック《スチームスカラー マルニガル》。ゲット・ヒールトリガー。フルーシオンのパワー+10000、ダメージ1回復!」

(ダメージ2→3→2)(ドロップ3→4)

 

「ターンエンド」

 

「スタンド&ドロー、EC3。手札を1枚破棄して《アテインメント・ドラゴン》にライド。ここで《フルーシオン・ドラゴン》のスキルが発動。EB3をコストに支払う事で、山札から赫月カードを1枚手札に加えます。私は《赫月光》を手札に加えて、残りを山札に戻してシャッフル。そのまま《赫月光》を使用。山札の上から5枚を見て、その中から1枚を選んで公開。公開したカードがヴァンガードのグレード以下のユニットカードならば、リアガードとして新たにコールし、赫月カードだったら手札に加えます。……チェック」

(手札8→9→8→9→8)(エネルギー0→3→0)

(ソウル1→2/ドロップ4→5→6)

 

 

【山札の上から5枚】

《麗焔魔嬢 オリエンス》

《フリンティ・スラッシャー》

《リペルドマリス・ドラゴン》

《魔王竜 ガブエリウス“幻影”》

《リヴァレントダガー・ドラゴン》

 

 

「《麗焔魔嬢 オリエンス》を公開し、残りを山札に戻してシャッフル。その後、オリエンスをリアガードとしてコール! その時にスキル発動。バトルフェイズ以外にこのユニットが、ユニットカードの能力以外で登場していて、尚且つこのターン中にノーマルオーダーを使用しているなら、SB1をコストに支払う事で発動し、山札の上から5枚を見て、その中から1枚を選んで公開します。公開したカードがヴァンガードのグレード以下のユニットならば、リアガードとしてコールし、ノーマルオーダーだったら手札に加えます。……チェック」

(ソウル2→1/ドロップ6→7)

 

 

【山札の上から5枚】

《フィーブライル・ドラゴン》

《リヴァレントダガー・ドラゴン》

《麗焔魔嬢 オリエンス》

《幻燈魔嬢 フォルカロル》

《喚起の操獣師 ライリー》

 

 

「《幻燈魔嬢 フォルカロル》を公開し、残りを山札に戻してシャッフル。その後、フォルカロルをオリエンスの後ろにリアガードとしてコール。《リヴァレントダガー・ドラゴン》をコールし、バトルに行きますよ、リヴァレントダガーでヴァンガードに攻撃」

(手札8→7)

 

「ベスルテインでインターセプト」

(ドロップ4→5)

 

「アテインメントでヴァンガードに攻撃」

「阻め、ヴァリションリガー」

(手札6→5)(ドロップ5→6)

 

「……ドライブチェック《ステムディヴィエイト・ドラゴン》。ゲット・クリティカルトリガー! オリエンスのパワー+10000、クリティカル+1! フォルカロルのブースト、オリエンスでヴァンガードに攻撃!」

(手札7→8)

 

「ノーガード、チェック・ザ・ダメージ《ユースベルク“反抗黎騎・翠嵐”》《四精織り成す清浄の盾(エレメンタリア・サンクティテュード)》。トリガー無し」

(ダメージ1→3)

 

 

 ……よし、ダメージは3点!

 

 このまま押し込めてしまえば、もしかして……!?

 

 

「バトル終了時、フォルカロルのスキル発動。このユニットがブーストしたバトル終了時、このターン中にエネルギーをコストで3つ以上支払っているなら、自身を退却させる事でデッキから1枚ドロー。これでターンエンド」

(手札8→9)(ドロップ7→8)

 

「スタンド&ドロー、EC3」

(手札5→6→5)(エネルギー3→6)

(ソウル2→3/ドロップ6→7)

 

 

 ……な、なんだろう……何処からか、雷が……。

 

 

天を落とすは漆黒の騎士

《ユースベルク“破天黎騎・再鍛”》にライド!

 

 

 そんな名乗りと共に現れたのは、黒を基調とした鎧を身に纏った騎士だった。左腕には紅いハンカチが巻かれていて、右眼が見えるであろう場所には、思わず痛々しく感じてしまう程に十字傷が刻まれていた。

 

 そしてその周りには、絶えず雷鳴が鳴り響き、その場に居る者を思わず萎縮させてしまう感覚があった。

 

 

「お、おいアイツ……もしかして、黒雷の騎士かよ……!」

「えっ、嘘……じゃあ、私たちとんでもない瞬間に立ち会っちゃった!?」

 

 

 えっ……。

 

 じゃあ、私って……そんな人から施しを受けてる、って事になるの!?

 

 

「《憂いの烈光 ユース》のスキル発動。このユニットが【反抗励起(レヴォルドレス)】を能力に持つグレード3にライドされた時、EB3を払う事で、ドロップからグレード2以上のユニットカードを1枚選んで手札に戻す事が出来る。……僕は《ユースベルク“反抗黎騎・晄臨”》を手札に戻す。更にドロップの《轟破の騎士 ベスルテイン》のスキル発動。ライドフェイズにユースベルクを含むグレード3以上が登場した時、SB1を払う事で、自身をコール」

(手札5→6)(エネルギー6→3)

(ソウル3→2/ドロップ7→6→7→6)

 

 

 ……う、うそ……。

 

 たった1回ライドしただけで、ほぼ盤面が万全と言っても良いくらいに戻って来ちゃった……。それにさっきから聞こえて来る【反抗励起】って、もしかして。

 

 

「このままバトルに行くぞ。エディンヴェイドでヴァンガードに攻撃。この時にスキルを発動。このユニットが攻撃した時、SB1をコストに支払う事で、ヴァンガードとバインドゾーンにあるユースベルク1枚につき、そのターン中、自身のパワー+5000!」

(ソウル2→1/ドロップ6→7)

 

「リヴァレントダガー、オリエンスでガード!」

(ドロップ8→10)

 

「次だ。スフィルトのブースト、ユースベルクでヴァンガードに攻撃!」

 

 

 ……ここは、様子見!

 

 

「ノーガード!」

「チェック・ザ・ドライブ。ドライブ1《ユースベルク“破天黎騎・再鍛”》。ドライブ2《ヴァリションリガー・ドラゴン》。ゲット・クリティカルトリガー。ベスルテインのパワー+10000、ユースベルクのクリティカル+1」

(手札6→8)

 

「ダメージチェック。1点目《魔王竜 ガブエリウス“幻影”》。2点目《喚起の操獣師 ライリー》。ゲット・ドロートリガー! アテインメントのパワー+10000、デッキから1枚ドロー!」

(手札9→10)(ダメージ2→4)

 

 

 ……くっ、強い……!

 

 ドロートリガーをダメージで引けたのは御の字だけど、それでもやっぱり火力が凄まじい……!

 

 

「ヴァンガードを続けている限り、強さの果てに本当の終わりは無いよ」

「……そ、そうなんですか?」

「そう。戦えば戦う程に新しい発見もあるし、その度に自らの糧となり更に伸び行く事ができる。……今から見せるのは、僕の挑戦する意志だ」

 

 

落ちろ、何処までも

 

反抗励起(レヴォルドレス)

《ユースベルク“反抗黎騎・晄臨”》!

 

 

「これが、反抗黎騎……晄臨」

「バトル終了時、手札かドロップにある反抗黎騎にライドし、ドライブ-2。それが再鍛の【反抗励起】。今回は手札からライドしたので、それにかかるコストは不要」

(手札8→7)(ソウル1→2)

 

 

 【反抗励起】……新しい形態に姿を変え、息付く暇も与えずに敵を屠る、ユースベルクの十八番……。

 

 

「この時、再鍛のスキルが発動。バトルフェイズ中にこのユニットがライドされた時、手札を1枚破棄する事で、晄臨のドライブを1に変更する。そして晄臨のスキルもこのタイミングで発動。EB3をコストに支払う事で、リアガードを1体選んでスタンドさせる事ができる。僕が選ぶのは……エディンヴェイド」

(手札7→6)(エネルギー3→0)

(ドロップ7→8)

 

 

 ……っ、それじゃああの高火力の攻撃が、もう1回!?

 

 

「更に前列のユニット全てのパワー+10000。そしてスフィルトのスキルも有効となり、自身をスタンドし、パワー+10000」

 

 

「おいおい、冗談だろ……」

「分かってはいたけど、いつ見ても苛烈……」

「と言うか今相手してる女の子、可哀想……。確か初心者なんでしょ……?」

「何言ってんのよ、颯樹様が手を抜く訳無いでしょ!? あの人はアレで良いの、それを受けて何も無かったらそこまでだった、って事だから!」

 

 

 まあ、言わんとしてる事は分かるんだけど……。

 

 

「あの、ファイト中です。お静かに」

「……騒がしいな」

 

 

 私がそう言うや否や、颯樹さんがひと睨みして観衆の人たちを黙らせた。彼の凄みに圧倒されたのか、さっき口々に言い合っていた人たちは口を噤む他無かった。声色から察するにファンの人も居たみたいだけど、そんなのは関係無いからね。

 

 

「ベスルテインでヴァンガードに攻撃」

「パイアスブレス、ステムディヴィエイトでガード!」

(手札10→8)(ドロップ10→12)

 

「スフィルトのブースト、晄臨でヴァンガードに攻撃」

「リペルドマリスで完全ガード!」

(手札8→6)(ドロップ12→14)

 

「チェック・ザ・ドライブ《加護の魔法 プロロビ》。ゲット・ドロートリガー。デッキから1枚ドローし、エディンヴェイドのパワー+10000。リアンのブースト、エディンヴェイドでヴァンガードに攻撃」

(手札6→8)

 

 

 パワーの合計は43000……。

 

 ここで5点目に届かせる訳には行かないけど、アテインメントのパワーが20000で、シールド要求値が25000……。今ここでガードしたら、確実に次のターンの攻め手を失うか、次に守備権を得た時のガード値が足りなくなる可能性がある。

 

 

 ……ここは、仕方ない!

 

 

「ライリー、マルニガルでガード。ここでライリーのスキルが発動。相手のヴァンガードがグレード3以上の時、自身のシールド値を+5000!」

(手札6→4)(ドロップ14→16)

 

「ターン終了時、ソウルの再鍛にライドして、その後に晄臨はバインドされる。これでターンエンド」

(ソウル2→1)(バインド0→1)

 

 

 あ、危なかった……。

 

 この攻撃を受けてダメージ5になる展開も良いかな、と思ったんだけど、あの颯樹さんの攻め方を見るに、次のターンからもっと激しくなるのは火を見るより明らか。だったらここは、多少賭けではあったけど、自分のダメージを軽くする方が先決。

 

 

 ダメージトリガーでドロートリガーが来てくれた事は、なんとか救いだったけれど……でも、もう残りのドロートリガーはあと1枚だけで、ヒールトリガーは残り2枚しか無い。

 

 

『追い詰められている様だな、ソヨ』

「正直、劣勢かな……。颯樹さんの事を甘く見積もってた訳じゃないけど、ここからどう巻き返そうか悩んじゃうよ」

『しかし、ここからは私たちの攻める番。ここで成る可くサツキに痛手を与える事を考えろ』

「……わかった」

 

「スタンド&ドロー、EC3」

(手札4→5→4)(エネルギー0→3)

(ソウル1→2/ドロップ16→17)

 

 

 私が手札を1枚捨てた後、颯樹さんが何が来ても良い様に少し身構え始めた。……このままやられっぱなしは性に合わないし、受けた分の痛みは返させて貰いますよ!

 

 

聖なる力は既に古く、

黒の秘術が世界を正す。

 

刮目せよ、幻纏いし王の姿を!

《魔王竜 ガブエリウス“幻影”》にライド。

 

 

「ここでライドされた《アテインメント・ドラゴン》のスキル発動。このユニットがガブエリウスを含むグレード3にライドされた時、山札の上から3枚を見て、その中から1枚選んで手札に加え、1枚を選んで破棄し、残りを好きな順番で山札の下に置きます。……チェック」

 

 

【山札の上から3枚】

《リペルドマリス・ドラゴン》

《フィーブライル・ドラゴン》

《フリンティ・スラッシャー》

 

 

「……1枚を手札に加え、1枚を破棄して、残りを山札の下に戻します。《赫月光》を使用。山札の上から5枚を見て、その中から1枚を選んで公開します。公開したカードがヴァンガードのグレード以下のユニットカードならコールし、赫月カードなら手札に加えます。……チェック」

(手札4→5→4)(ドロップ17→18→19)

 

 

【山札の上から5枚】

《魔王竜 ガブエリウス“幻影”》

《幻燈魔嬢 フォルカロル》

《ステムディヴィエイト・ドラゴン》

《喚起の操獣師 ライリー》

《怨恨の冥竜神 ゴルマギエルド》

 

 

「《幻燈魔嬢 フォルカロル》を公開し、残りを山札に戻してシャッフル。公開したカードはヴァンガードのグレード以下のユニットカードなので、誰も居ない列の後ろにコール。《パイアスブレス・ドラゴン》をコール。登場時に効果がありますけど、今回は使用せず。続けてドロップの《フィーブライル・ドラゴン》のスキル発動。私のヴァンガードがガブエリウスを含むグレード3以上で、私の場のユニットが全て別名なら、SB2をコストに払う事で、自身をコールします。コールする場所はパイアスブレスの前!」

(手札4→3)

(ソウル2→0/ドロップ19→21→20)

 

「……なるほど、そう来たか」

「続けてドロップの《リヴァレントダガー・ドラゴン》のスキルも発動。私のヴァンガードがガブエリウスを含むグレード3以上で、私の場のユニットが全て別名なら、EB3をコストに支払う事で、自身をコールします。フォルカロルの前にコール!」

(ドロップ20→19)(エネルギー3→0)

 

 

 ヴァンガードの攻撃は守られる前提だけど、それ以外を無傷で抑えようと思ったら大きな損失になる……そう簡単に、勝ちは渡しません!

 

 

幻纏いし王の力、

今こそここに示そう。

 

禁術、始動。

【幻影スキル】発動

 

 

【幻影スキル】……何なんだよそれ……」

「ねえ。確か何処かであったヴァンガードのイベントの時にsumimiの子が使ってたデッキ……アレと何か関係があるんじゃ」

 

 

【幻影スキル】……そうか。何処で使って来るか、と思っていたが、このタイミングとはね」

「手札、ドロップ、ソウルの何れかから赫月カードを1枚バインドする事で発動し、このターン中私は『あなたのバインドゾーンの赫月カードが1枚以上なら、あなたの前列のユニットすべてのパワー+5000。3枚以上なら、+5000ではなく+10000。』を得ます。コストとしてドロップの《赫月光》1枚をバインド。今のバインドゾーンには赫月カードが1枚だけなので、前列のパワーは+5000するだけなんですけどね」

(ドロップ19→18)(バインド0→1)

 

 

 その後の効果については、実際に経験して貰う方が早いから敢えて言わなかったけれど……もし私の予想が正しければ、颯樹さんの勝ちはこの【幻影スキル】の影響で限り無く0に近くなった。

 

 これで手札を多めに使ってくれるなら好都合、手札の損失を嫌ってダメージを受けるなら……私にとっては願ったり叶ったり。

 

 

この試合……必ず、勝つ

 

 

「パイアスブレスのブースト、フィーブライルでヴァンガードに攻撃。ここでフィーブライルのスキル発動。私のヴァンガードがガブエリウスを含むグレード3以上なら、自身のパワー+5000!」

(パワー26000/

 

「ヴァリションリガーでガード」

(手札8→7)(ドロップ8→9)

 

「ガブエリウス“幻影”でヴァンガードに攻撃。その時にスキル発動。CB1をコストに支払い、攻撃を終えたばかりのフィーブライルとパイアスブレスをソウルに入れる事で、ドロップからグレード3以下のユニットを2体まで、同じ縦列にコールできます。私が呼び戻すのは……フィーブライル、フォルカロル!」

(ソウル0→2)(ドロップ18→16)

 

「へぇ、初めてファイトをした……にしては、かなり上手いプレイングをするね。やっぱり観戦していてある程度の知識があったのかな?」

 

 

 ……やっぱりお見通し。私、この人には何をやっても勝てる気がしないかも。

 

 

「ユニットの効果でソウルに置かれた時、パイアスブレスのスキルが有効になります。自身をバインドして、デッキから1枚ドロー」

(手札3→4)

(ソウル2→1)(バインド1→2)

 

「来なよ、ノーガード」

「ツインドライブ。1枚目《喚起の操獣師 ライリー》。ゲット・ドロートリガー。リヴァレントダガーのパワー+10000、1枚ドロー。2枚目《フリンティ・スラッシャー》。ゲット・クリティカルトリガー! リヴァレントダガーのパワー+10000、ガブエリウスのクリティカル+1!」

(手札4→6→7)

 

 

 ……よし、これで流れは掴めた!

 

 あとはダメージ5まで追い詰めて、私の勝利を確実の物にするだけ!

 

 

「チェック・ザ・ダメージ。1点目《破弓の騎士 スフィルト》。2点目《リクーパレイト・エンジェル》。ゲット・ヒールトリガー。ユースベルクのパワー+10000、ダメージ1回復」

(ダメージ3→5→4)(ドロップ9→10)

 

 

 ……ヒール、トリガー。

 

 そりゃあ今の今まで1枚も見えてないんだから、このタイミングで引きますよね。でも、この攻撃はどうですか!

 

 

「フォルカロルのブースト、フィーブライルでヴァンガードに攻撃。フィーブライルのスキル発動。自身のパワー+5000!」

(パワー26000/

 

「阻め、エディンヴェイド。インターセプト」

(ドロップ10→11)

 

「バトル終了時、フォルカロルは自身のスキルにより退却して、デッキから1枚ドロー。フォルカロルのブースト、リヴァレントダガーでヴァンガードに攻撃! この時にリヴァレントダガーのスキル発動。私のヴァンガードがガブエリウスを含むグレード3以上なら、SB1をコストに支払う事で、自身のパワー+5000!」

(手札7→8)

(ソウル1→0/ドロップ16→17→18)

(パワー43000/

 

 

 この攻撃はさっきみたいに、手札を1枚使うだけじゃ防ぐ事は出来ない……何がなんでも通す!

 

 

「ここはノーガードだ。チェック・ザ・ダメージ《リクーパレイト・エンジェル》。ゲット・ヒールトリガー。ユースベルクのパワー+10000、ダメージ1回復」

(ダメージ4→5→4)(ドロップ11→12)

 

 

 ……そ、そんなっ!?

 

 

「……バトル終了時、フォルカロルは自身のスキルにより退却して1枚ドロー。ターン終了時、ガブエリウス“幻影”のスキルでコールしたリアガードをソウルに入れて、ターンエンド」

(手札8→9)

(ソウル0→1/ドロップ18→19)

 

 

 後攻となった私の第3ターンが終わった現在、互いにダメージは4。私の手札は9枚で、颯樹さんは7枚。さっきの攻撃が上手く行けばこのターンでゲーム終了(エンド)……もし何か不手際があっても、首の皮一枚と言う展開になるはずだった。

 

 

 でも、そうはなって無い。

 

 つい先程のダメージチェックで捲れた、2連続(ダブル)ヒールのせい。しかもそのどちらも有効……結果的に私は、4回攻撃した中でダメージを1つしか与えられず、次の颯樹さんに攻撃権を明け渡してしまった。

 

 

「……なるほど。そよの【幻影スキル】、然と見せてもらった。その程度であれば……僕の敵じゃない。例え相手が高き天であろうと、偽りに満ちた世界を統べる王であろうと……僕の前に立つのなら」

(手札7→8)(エネルギー0→3)

 

 

容赦無く落とす

 

 

「!?」

 

 

 ……な、なに……この、颯樹さんから感じられるとてつもない威圧感は!?

 

 

「ペルソナ……ライド! ユースベルク! ペルソナライドボーナスに因り、デッキから1枚ドローし、このターン中のみ前列のパワー+10000!」

(手札8→7)(ソウル1→2)

 

 

 ペルソナライドもして来た……マズい!

 

 

「《誓盟の騎士 エディンヴェイド》をコール。ヴァンガードがユースを含むなら、CB(カウンターブラスト)1を支払う事で、山札の上から7枚を見て、その中の1枚を公開する。公開したカードがユースベルクを含むなら、それを手札に加えて、このカードと別名で且つヴァンガードのグレード以下のユニットカードなら、ユニットの居ないリアガードサークルにコール出来る。……チェック」

(手札7→6)

 

 

【山札の上から7枚】

《破弓の騎士 スフィルト》

《勇奏の楽士 コルリーノ》

《水界の精霊王 イドスファロ》

《パラディウムジール・ドラゴン》

《リクーパレイト・エンジェル》

《湖の巫女 リアン》

《ユースベルク“反抗黎騎・翠嵐”》

 

 

「《湖の巫女 リアン》を公開して、残りを山札に戻してシャッフル。公開したカードがヴァンガードのグレード以下なので、ベスルテインの後ろにコール。その後リアンのスキル発動。1枚ドローした後、手札を1枚破棄。そして破棄されたコルリーノのスキル発動。山札から《ユースベルク“反抗黎騎・翠嵐”》を手札に加えて、それをソウルに入れる」

(手札6→7→6→7→6)

(ソウル2→3/ドロップ12→13)

 

 

 状況は整った……いよいよ、覚悟を決めないと。

 

 

「エディンヴェイドで攻撃。スキルでSB1をコストに支払う事で、このターン中のみ自身のパワー+10000」

(ソウル3→2/ドロップ13→14)

 

「な、なんで!? さっきのターンでエディンヴェイドが攻撃した時は、上昇値は5000止まりだったのに!」

「嬢ちゃん、いい事を教えてやるぜ」

 

 

 私が颯樹さんにそう聞き返した時、突然外野に居た男性から声をかけられた。……少し怪しいけど、聞いてみようかな。

 

 

「どう言う事なんです?」

「実はな、あのエディンヴェイドってヤツは……ヴァンガードとバインドゾーンにあるユースベルクを含むカード1枚につき、そのターン中永続でパワー+5000されるのさ。つまり、だ」

 

「僕のバインドゾーンには晄臨がある。それに伴ってヴァンガードサークルとバインドゾーンに1枚ずつある事になり、攻撃時にパワー+10000された……って事だ」

 

 

 ……な、なるほど……。

 

 

「あ、ありがとうございます」

「気にすんなって」

 

 

 とは言ったものの、パワーの合計値は30000……晄臨のスキルを加味するのなら、スタンドした後がかなりの高威力になる危険性がある。今の状態でダメージを5にするのは、正直なところ危険な賭けと同じ事……なら!

 

 

「フリンティ・スラッシャーでガード、そして……リヴァレントダガーでインターセプト!」

(手札9→8)(ドロップ19→21)

 

「スフィルトのブースト……」

 

 

ユースベルクで、

ガブエリウス“幻影”攻撃

(パワー28000/

 

 

「……ここは、仕方ない!」

(手札8→7)(ドロップ21→22)

 

 

ゴルマギエルドで、ガードッ!!

(パワー63000)

 

 

(オーバー)トリガーか。手札に持ってたのか」

「そのデッキの攻撃が一番キツくなるのは、この攻撃の後からですよね。だったら、被害が少ないうちにガードをして、少しでも勝ち目を増やします!」

 

 

 先ずはゴルマギエルドでガードして、その後をリペルドマリスで防ぎきる方がまだ安定……でも、嫌な予感がする……。

 

 

チェック・ザ・ドライブ

 

 

「ドライブ1《加護の魔法 プロロビ》。ゲット・ドロートリガー。エディンヴェイドのパワー+10000、1枚ドロー。ドライブ2」

(手札6→8)

 

 

 イメージの中では、荒れ果てた荒野の中でユースベルクガブエリウスが互いの持ちうる武器を使って、緊迫した鍔迫り合いを繰り広げていた。

 

 どちらも一歩も譲らず、先に緊張を崩した方が一気に持っていかれる……まさにそんな状況だった。

 

 

 そして天空に舞い上がったガブエリウスは、紫紺の杖に寄って強化された漆黒に染まりきった吐息(ブレス)ユースベルクに浴びせ、弱体化を図っていた。

 

 

 ……さあ、どうなる?

 

 

「……ゲット」

 

 

オーバートリガー!

《水界の精霊王 イドスファロ》!

 

 

「そ、そんなっ……!?」

「このカードを除外して1枚ドローし、ユースベルクのパワー+100000000! 追加効果発揮。ドロップから1枚を手札に加え、ユースベルクのクリティカル+1!」

(手札8→9→10)(ドロップ13→12)

 

 

落ちろ幻の王よ!

 

 

 その宣言と共に放たれたユースベルクが手に持った槍は……黒い雷をその全体に纏わせ、上空に居るガブエリウスを、吐き出されている吐息ごと貫通して爆散させた。

 

 そしてその場には、ただ爆風が治まるのを待つユースベルクだけがそこに居て、戦いの終わりを嫌でも突きつける様だった。

 

 

「ダメージチェック。1点目《リペルドマリス・ドラゴン》。2点目《魔王竜 ガブエリウス“幻影”》。ノートリガー」

(ダメージ4→6)

 

 

 私が6枚目のダメージを置いた瞬間、見ていた観衆の人たちからは割れんばかりの拍手が巻き起こっていた。経験者相手に、私が善戦していた事もそうなんだろうけど……聞き馴染みの無い軸にどう対応するのか、と言うのを見られたのも大きいのかもしれない。

 

 

「戦ってくれてありがとう、そよ。良いファイトだった」

「私の方こそ、ありがとうございました」

 

 

 私と颯樹さんが握手を交わすと、その場を取り巻く熱は更に高まって行った。そうして少しした所で……。

 

 

「おーい、そーよりん!」

 

 

 ふと外野の方に目を向けた時、そこには見覚えのある髪色をしている女の子が立っていた……あっ。しかもその呼び方、私はダメって言ったのに。

 

 観客もだいたい捌けて来た頃に私たちは一先ず合流し、その女の子……愛音ちゃんと、その彼女に付き添う形で来ていた燈ちゃんから事情を聞く事にした。私は今日は手が離せない用事があったから、絶対に首を突っ込んだらダメって……念入りに釘は刺したはずなんだけどな。

 

 

「いやー、凄かったねーさっきのファイト! ともりんも途中から魅入っちゃってたよ!」

「あ、えっと……。その……。わたし、途中から見てただけだけど……」

「ありがとう、燈ちゃん。まあ、颯樹さんには負けちゃった訳だけどね。さすがにお手上げだよ、あんな捲り方をされたら」

「……ごめん、正直やりすぎたとは思ってる。でも手を抜いて相手される方がよっぽど嫌でしょ」

 

 

 ……それは確かにそうだ。

 

 私と颯樹さんが楽しそうに話をしてたのが、相当羨ましかったのだろう……愛音ちゃんが横からグイッと割り込んで来た。しかもその間に人を揶揄って遊ぶ場面もあったので、私は颯樹さんと燈ちゃんに一言断りを入れて、愛音ちゃんを粛清する事にした。

 

 

● ● ● ● ●

 

 

「フェネルでヴァンガードにアタック!」

「ノーガード」

「いーのかなー? ここでクリティカル出たら私の勝ちだよ〜?」

「さっさと引いて」

 

 

 私は虫の居所が悪いこともあり、いつもより素っ気なく愛音ちゃんの対応をする。そんなことお構い無し、と言わんばかりの愛音ちゃんはそのままドライブチェックを行った。

 

 とは言えど……専用オーダーを多用するフェネルのデッキ、颯樹さん曰く使うのになかなか癖があるとは聞いたけど、自分の手足の様に愛音ちゃんは動かしてる。元々頭が良いのはわかってたけどそこは流石と言うべきか。

 

 

 ……ま、これを言うと調子に乗るから絶対本人には言わないけど。

 

 

「ツインドライブ! 1枚目《Trick&Treat!》。2枚目《ショッキングキャンディ ウォリス》。……っ、ゲット・クリティカルトリガー!! ストレージャのパワー+10000、フェネルのクリティカル+1!! これで私の勝ち」

 

 

 

 

 

 

 

 

禁術、再動。

 

 

 

 

 

 

【幻影スキル】の効果で相手がクリティカルトリガーを出した時、クリティカル上昇かパワー上昇を無効化できる。無効にするのは……クリティカル上昇」

「……はい? いやいやいや! そんなのってアリなの!!?」

「カードに書いてるんだからアリなんじゃない? ほら、まだファイトは終わってないよ?」

「あーーもう!! ストレージャでアタック!!」

 

 

 その後、愛音ちゃんの2回のアタックを防いで、私のターンが回ってきた。

 

 

わずかな光も失せ、

伸ばした手は黒く沈み、

奇跡は闇へと消える。

 

 

「えっ、嘘……冗談……だよね?」

 

 

 イメージの中の荒野ではガブエリウスの放つエネルギーの塊が少しずつ充填されていて、それを見たフェネルはオロオロしながら辺りを駆け回っていた。

 

 私は息を静かに吸い込み、愛音ちゃんに今まで以上の怒りをぶつける。

 

 

 ……許さない……。

 

 今日と言う今日ばかりは、確実に黙らせる!

 

 

受けるがいい。

我が生涯を賭けた、漆黒の燦めきを!

 

 

 その謳い文句の後に放たれた咆哮は、先程までフェネルの居た一帯を無慈悲にも直撃し、その痕跡が巨大なクレーターとなってその場に残っていた。

 

 そして肝心のフェネルはグルグル目にボロボロの状態で、どこか遠くに吹き飛んで行った。

 

 

 そして消える途中に、愛音ちゃんの断末魔が聞こえた様な気がしたけど……それは自業自得と割り切って、私は素知らぬフリをしてやり過ごす事にした。

 

 

 

 

 

 

 

「そよの勝ちだね」

 

 

 私たちのファイトを見ていた颯樹さんがそう告げた。

 

 

「流石そよ。たった2回でここまで使いこなすとは」

「いえ、颯樹さんとのファイトのお陰です」

 

 

 颯樹さんに褒められてなんだか羞痒い感じだ。

 

 私はちらっと愛音ちゃんの方を見ると……あれから微動だにしていなかった。

 

 

「あ……あのちゃん……?」

 

 

 燈ちゃんが心配して、愛音ちゃんに声をかけたけど……当の本人は言葉通り真っ白に燃え尽きていた。あれ、立ったまま気絶してない?

 

 

「あのちゃん……大丈夫……?」

 

 

 燈ちゃんが手を触れようとすると、糸が切れたかのように膝から崩れ落ち始めた。そしてそのまま……ゆっくりと倒れ込んだのだった。

 

 まあ……私視線だとテーブル越しだったこともあって、倒れる時に何故かサムズアップの手でゆっくりと沈んでいく光景が見えていたんだけどね。

 

 

(何でター〇〇〇ター2……?)

 

 

「そよ、どうかした?」

「いえ、それよりまだお時間ありますか? 良かったら颯樹さんがヴァンガードで体験した事、後学の為に色々お伺いしたいんですけど……」

「大丈夫だよ。じゃあ、良い喫茶店を知ってるからそこに行こうか」

 

 

 愛音ちゃんの後のことは燈ちゃんに任せて私は颯樹さんと次の場所に向かうのだった。

 

 

「あのちゃん……あのちゃん……!?」

「トマルンジャ……ネエゾ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ふむ……。この娘、私が思っていたより末恐ろしいな』

 

 

 なんかガブエリウスさんの声が、一瞬だけ聞こえた様な気がするけど……気の所為、だよね?




 今回はここまでです。如何でしたか?

 総文字数約18500字……ここまで長々と大変お疲れ様でした。ちょっとこの手のボリュームのお話は、僕自身ハーメルンで活動歴が9年経過した頃合ですが、全く未知の領域だったので、完成までに少しだけ時間を要してしまいました……大変申し訳ございません。


 次回投稿するお話からは、またいつもの挨拶に戻って話を進めようと思いますので、乞うご期待。


 それでは、また次回の更新にてお会いしましょう。


 そして最後に。

 本小説の投稿日である、5月27日はMyGO!!!!!(マイゴ)のベーシストである、長崎 そよのお誕生日です!


Happy Birthday、そよ

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。