怪しいところとかないかと思いながらひやひやと書いています。
『ここで試合終了!FF決勝戦!勝ったのは雷門!劇的な大逆転勝利だー!』
「やった~勝ったよ!音無さん!!」
「本当ですね!私たち優勝したんですね!」
「ええ!素晴らしいことね」
試合終了の笛が鳴った瞬間、フィールドでみんなが喜んでいるのを見ながら、私は秋さん、夏未さんと手を取りながら喜び合う。
あんなに前半、世宇子中にボロボロにされていたのに後半からみんなの気迫が伝わってついに達成した逆転劇なんだもん。みんなの輝いたプレーを見て感動しない方がおかしい。
みんなが輪になって喜んでいる中、お兄ちゃんがひとりこちらにやってきた。
「春奈!やったぞ!」
「やったね!お兄ちゃんやみんなかっこよかったよ」
雷門に来てからもいつも冷静だったお兄ちゃんがゴーグル越しでも分かるくらい興奮しているのが伝わる。そりゃあそうだよね。
帝国の時からの因縁の相手に勝てたんだもん。お兄ちゃんが帝国の仲間たちの思いを背負い、苦しみながらも頑張ってきてようやくつかみ取れた栄光のだから私も本当に嬉しい。
「おーい、鬼道!こっち来いよ~」
「ほら、お兄ちゃん。キャプテンが呼んでるよ!」
「あ、ああ!すぐに向かう」
キャプテンに呼ばれたお兄ちゃんを押し、みんなの輪に戻るのを見ながら、私は首にかけられたネックレスを思わず握りしめた。
(優星君、やったよ。あなたの言う通りサッカーを続けていたから、お兄ちゃんとも仲直りできたし、こうして喜ぶことが今出来ているよ)
私は心の中で思いながら、今でも鮮明に覚えている幼い時を思い出す。お兄ちゃんがいなくなって思わず寂しくて泣いちゃったあの時、声を掛けてくれたのが優星君だった。
そこで私をあっという間に慰めてくれて、そのまま一緒にサッカーをすることになった。優星君はお兄ちゃんと同じくらい、サッカーが上手でみんなを抜き去ったり、パスを受け取ったりして遊んでいると自然と寂しさを忘れることが出来た。
それから私は音無の家に引き取られるまで、ほぼずっと優星君と一緒にいてサッカーをしたり、本を読んだりしていた。普段はライトブルーの瞳で優しい雰囲気なのに、いざサッカーをするときは明るい笑顔できれいな黄金色の髪を揺らしながらボールを追いかけていて、私は目が離せなかった。
しかし、そんな生活もわずか半年ほどで終わり、私は音無の家に、優星君は別の施設に移ることになった。幼かった私たちはどうしようもならず、ただその決定を受け入れるしかなかった。その時の私はそれはそれはひどく泣きわめいてしまったのを今でも鮮明に覚えている。
「はるなちゃん、泣かないで」
「ぐすっ、だってゆうせい君と離れ離れになっちゃうんでしょ。施設の先生からはお兄ちゃんと同じように連絡も取れないって聞いたし、またはるなはひとりぼっちになっちゃうの?」
そうぐずっている私の頭を撫でながら優星君はいつもと同じ優しい声で、だけどいつもより悲しそうな声で私に話しかけてくれた。
「僕だってはるなちゃんと別れるのは寂しいよ…だけど僕ははるなちゃんのことは絶対に忘れないよ。…そうだ!一つ約束をしてもいいかな?ほらはるなちゃんの持っているネックレスを出してくれる?」
「ネックレスを?どうして?」
「もしよかったら次にまた会える時までこのチェーンを交換しない?お互いにどこで何をしていても忘れないよっていう約束でどうかな?」
優星くんはペンダントをネックレスのチェーンからを見せる。今思えば子どもじみた約束かもしれないけど、あの時の私は忘れない約束というのにとても惹かれた。
「ぐすっ…やる!絶対にまた会って交換しようね!」
そう言って私もネックレスを取り出して指輪とチェーンを分けた。そして私は優星君から今つけている金色のチェーンを優星君は私からの紺色のチェーンを分け合った。交換を終え、私はもう一つお願いをした。
「あともう一つ約束していいかな?」
「いいよ、何かな?」
「また会ったら、いっしょにサッカーをしよう!」
私はそう言うと優星くんは目をまん丸にした後いつもの優しい笑顔で話しかけた。
「うん!その時は一緒にまたやろうね!」
「やった~約束だよ!」
この約束の翌日、私たちはお互いの場所に引き取られた。音無のお父さん、お母さんはとても優しく、時には厳しく私のことを育ててくれた。そして雷門中に入って、新聞部として活動していると、サッカー部が帝国学園と対戦するという衝撃のニュースを手にした。
連絡は取ることはできなかったけど、お兄ちゃんが帝国学園にいることは知っていたのでサッカー部にインタビューを兼ねて同席し、久しぶりにお兄ちゃんを生で見ることが出来た。しかし幼いころの優しかったお兄ちゃんはどこへやら、試合が始まると冷酷にプレーをしていき、雷門中とみんなが傷ついているのを見て変わってしまったと思った。
さらに雷門中にスパイしにきたと思った時はお兄ちゃんのことを思いっきり責めてしまった。その後、信じたい気持ちと裏切られた寂しさが混ざり合って家に帰って思わず泣いちゃったりもした。
でもその時もネックレスを握りしめると「大丈夫だよ」と不思議と安心感を与えてくれていた。その後、お兄ちゃんと仲直りが出来て、こうしてFFで優勝できるなんてまるで夢を見てるみたい。
「音無さん!円堂君が『みんなで写真を撮ろう!』だって!早く行きましょ!」
「あっ…行きます!待ってくださーい!」
長いこと思い出に浸っちゃっていたみたい。私は慌てて意識を戻し、秋さんの後を慌てて追いかける。
(優星君も絶対にサッカーしているはず。いつか私たち雷門中と戦えたらいいなぁ…)
私はそう心の中で思いながら改めてネックレスを握りしめた。まさか再会する時に敵になっているとはこの時の私は思いもよらずに…
第2話も読んでいただきありがとうございます。
世宇子中を倒した後にジェミニストームと戦ってボコボコにされたのをアニメで見た時に絶望したことを覚えています。
ゲームでもひたすら負けイベントが多い中よく投げ出さなかったなとも改めて感じています。
ご指摘、感想やこんな話が欲しいよ~などあればコメントのほどお願いします。大変励みになります
それではまたお会いしましょう