「おいおい、なんで帷やってんのに一般人がいるんだよ」
衛宮士郎は目の前の光景に頭が追いついていなかった。
自分があの化け物ーー呪霊に殺される直前。一反木綿の後ろにある窓から目の前の少女が割って入り、アスリート並の速度で壁を蹴りその牙を防いでいた。
人間とは思えない身体能力、巧みな技術。服の上からでもわかる鍛えられた肉体。
(、、、綺麗だ、俺もああいうふうに)
衛宮士郎は彼女禪院真希の肉体美を見て感嘆の思いを心のなかで吐き出す。
そんな嫉妬と相手への畏怖も込めて衛宮士郎は彼女に問いかける。
「あなたの名前は何だ?」
「ああ、私の名前、今そんな事を聞くなよ。こちとら今そういう状況じゃねえん、、、、、、だよ❗️❗️」
禪院真希は衛宮士郎の問いかけを苛立ちを隠さずに答えながら呪霊の攻撃を紙一重で避ける。
「おい、お前、さっきの鉄パイプに呪力を込めていたよな。もしかして呪術師か?」
「呪術師?確か爺さんがそんな事を言っていたような?」
「爺さん?まあいい、とりあえず私一人でこいつを祓うのは無理だ。ああ、逃げるなよ。逃げたとしてもこの学校にはもう帷が張ってある。まあ、知らない人間からしちゃ、不気味だよな。ったくしつこいな❗️❗️」
禪院真希は襲いかかる呪霊の攻撃をバク転し避け槍の先で刺突する。
「じゃ、どうすればいいんだよ!!」
「んなもん、分かってるだろ。私と一緒にこいつを祓うぞ。あの鉄パイプをみる限り、お前は呪術師としての初歩的な強化はできている。ならこいつにだって攻撃は効くはずだ。来たきゃこい」
「じゃないと被害はもっと広がるぜ」
そう言うと禪院真希は一反木綿を下の階の階段に足で蹴り飛ばし、追撃しようと大跳躍をして階段を下りた。
衛宮士郎はそれに続こうと足踏み出そうとした。
、、、、だが
「何で動かねえんだよ!!」
足は本能的に続く事を拒否し小刻みに震えていた。
自分でも分かっている
、、、、、、あの呪霊に会ったら衛宮士郎は死ぬ。
さっきはあの呪霊が嘲笑い油断したから何とか生きた。
次にあったら必ず死ぬ。
(、、、そもそも俺とあの女が協力しても呪霊に勝てるのか)
その考えが衛宮士郎の中を駆け巡る。
今ここで止まっていたら禪院真希は死ぬ。
一緒に戦ったとしても五分五分の確率で衛宮士郎と禪院真希は死ぬ。
「なら、行くしかない。ここで逃げて何が正義の味方だ。あの夜に誓ったんだろう。俺は正義の味方になるって‼️」
衛宮士郎は小刻みに震えている足を叩き、無理やり動かそうとし、さっきの戦闘で吹き飛ばされた鉄パイプを持ち下の階に向かった。
「ああ、くっそ、、上層部はなんでこんな任務を私に割り振ってんだ。もっとましな人材がいるだろうか」
状況は禪院真希の劣勢だった。
それは等級の違いもあるだろうが、相性が悪かった。
一反木綿は布の妖怪だ。ひらりとまい禪院真希が槍で刺そうとしてもよけ返す刀で逆に反撃を喰らう。
そもそも禪院真希の武器は槍だ。刺突することも振り払うことができても当たらなければ意味がない。
「ああ、くそ、あのガキ、こねえかな、こちとらまだ死にたくないんだ、、、、よ‼️」
禪院真希は一反木綿の攻撃を避け刺突するがひらりとまい逆に肩に傷がつく。
そして禪院真希はあることに気づく。
(、、、、、こいつ成長している。さっきまでは私の攻撃を避けてばっかなのに、今は教室の机や椅子を使ってフェイントをしその上で攻撃をしている)
禪院真希の推測は正しい。そもそもこの一反木綿は生まれたばかりの呪い、元々の1級としての呪力量とある程度の成長性、今の禪院真希で勝つのは無理だ。
、、、、、、しかし
「はあああああああああああ‼️」
助っ人が来るなら話は別だ。
心臓がうるさくなる。
それは戦いにたいする歓喜か。
いやそれは恐怖だ。
自分でも分からない、なぜわざわざ危険をおかしてまで死地に行くのか。
違う死地ではない正義の味方として当然のことだ、助けを求められたから助けるんじゃない、自分から助けに行かないと相手は救われない。
、、、、、だから
「はああああああああああああああ‼️」
俺は彼女を助ける。あの夜に誓ったことを忘れてはならない。
「はあ、はあ、何だ逃げてんじゃなかったのかよ」
「逃げてはいない。今ここにいることがその証明だ」
「はあっ、そうかい」
禪院真希は一反木綿の布があたろうとした時に槍で受け流そうとしたが、間に合わなく目を瞑った。
しかし衛宮士郎が鉄パイプでそれを破きなんとかことをえた。
だがその分一反木綿は警戒を上げ、さらに学習しようと彼らの一挙一動を見逃さない。
「俺が最初に囮になる。そのうちにお前はあれを叩いてくれ」
そう言い衛宮士郎はさっき拾った鉄パイプをそれぞれ両手に握り唱える。
「同調開始」
すると鉄パイプに緑の線がはしり変質し強化されてゆく。
「はあああああああ‼️」
雄叫びを上げながら衛宮士郎は鉄パイプを握り駆ける
、、、、だが
「おい、ちょっと待てよ」
「ぐっ、はぁっ」
今まさに駆けようとした衛宮士郎の襟首を禪院真希は容赦無くつかむ。
「おい、ちょっと待ってくれよ。いきなり、襟首つかむなよ。痛いじゃないか」
「あのなぁ、お前は自分の命をなんだと思っているんだ。まあ、いい。もう一度いうがあの呪霊いや一反木綿は私達が全力でかかったとしても負けるかもしれない。だから今は私の話を聞け」
「ちっ、分かったよ」
そう衛宮士郎は不貞腐れたように言う。だがその顔は真剣そのものだ。
「はあ、まあいい。じゃあ、作戦を説明するぞ。一反木綿は生まれたばかりの呪霊だ。これからどんどん成長し私たちは負ける。だからその前に叩く。2人一緒にでて戦うは愚策だ。まとめて殺される。」
「じゃあ、どうするんだ」
禪院真希はその問いかけに対して重苦しく答えた。
「お前、術式あるか?」
「術式?俺には術式はないよ。爺さんがそう言っていた」
「ちっ、そうか。はあー分かった」
「おい、なんだよ。そんなガッカリすることはないだろう」
衛宮士郎は目の前の禪院真希の問いかけに不満げな声を上げる。今死ぬか死なないかの瀬戸際において、そんな呑気な質問をされると思わなかったからだ。
「じゃっ、私が囮をやる。お前は裏から奇襲しろ」
「なあっ、お前が最初に囮をするなって言って、囮をするのか」
「あのなっ、私は今ある選択の中で生き残る最善な物を見つけてんだよ。それにお前私よりも弱いだろう」
禪院真希のその言葉で衛宮士郎は無意識に心が締め付けられる。
正義の味方として守るべき対象より弱い。
それはあってはならない事実だ。
、、、だけど
「分かった、死ぬなよ」
衛宮士郎は悔しさに舌を噛みそうになるも、それは現実的な選択だと思い、奇襲の機会を窺うため、下の階に駆け下りる。
「はぁっ、誰に言ってんだが」
そう衛宮士郎の発した言葉を受け止めようとするが、あまりにも背中がむず痒かったためつい辛辣な態度をとってしまった。
「はぁー、まあいい。とりあえずおいお前もっと本気でこい。じゃないと祓うぞ」
その言葉は一反木綿に向けてではなく自分を鼓舞するような物だった。
相対する一反木綿はドス黒い布を横に広げケタケタと不気味に笑っていた。
やっぱり好きなキャラクターを主人公にして描くのって楽しいですね。
ちなみにFGO一週間前にやり始めたばかりで今オケアノスをやっています。