澪「バレンタインだからチョコ手作りした」
澪「私、心が男になってきてるのかな……」
吉乃「私はずっと、澪のこと男として見てるよ」
「琴さん、今度の土曜日僕たちとラウワン行かない?」
「えっ」
私に声を掛けてきたのは、陽キャ男子・板垣くんだった。*1
「えっと、誰が行くの?」
「男子は僕と奏斗と慎太郎で、女子はみなみんとざっきーだよ」
「吉乃も誘っていいなら行くよ」
「ふふっ、琴さんってほんと茨城さんのこと好きだよね」
板垣くんはにやにやと笑っている。私は急に恥ずかしくなり、目を逸らした。
「じゃあラインのグループ誘うね~」
「あ、うん。ありがとう」
招待されたグループに入ると、上部に「土曜日ラウワン(6)」というグループ名とメンバーのアイコンが表示された。
うわ、陽キャたちの中に私のアイコンがあるの、めっちゃ浮いてる……。
こうして、私は陽キャ男女混合グループに交ざって遊びに行くことになった。のだが――。
「あ、ごめん。その日用事あるわ」
「えっ、マジか」
なんと、肝心の吉乃に外せない用事があり、行けないことが判明した。けど、じゃあ私も行かないとは言いづらい。
仕方ない、ちょっと心細いけど行ってくるか。
*
土曜日。十二時半過ぎ。集合時間より早めに着いておいた。自分が一番乗りかと思いきや、先客がひとりいた。陽キャ女子の南さんだ。
うわ、服装が陽キャだ。しかもイケメンだし。
「おはよう、琴さん」
「おはよう」
南さんが話しかけてくる。彼女と話すのは、私がバレンタインにチョコを配った時以来だ。
「可愛いね、琴さん」
「あ、ありがと」
なんだろう、私、吉乃に「可愛い」って言われる方が嬉しいな……。なんだかんだ喜んでたんだな私……。うわ、はず……。
「ねえ琴さん、澪って呼んでいい?」
「いいよ」
「ありがと、じゃあ私のこともみなみんでいいよ」
「ああ、そういえば皆にもそう呼ばれてたね。よろしく、みなみん」
私たちは雑談しながら皆を待つ。すると――
「いま脚見たでしょ」
「う、ごめん」
「みなみんさいてー」
「ごめんってば澪」
おお、いま私、陽キャをイジってる。だいぶすごい。これは名実ともに陽キャを名乗っていいのではないだろうか。
「そういえば、茨城さん来れなくて残念だね」
「そうだね」
「男子四人と女子二人じゃちょっとバランス悪いよね」
「しれっと私も男子の方に入れられてるし」
「あははっ、嫌だった?」
「嫌じゃないけど」
すると、板垣くんたち四人もやってきた。同じバスに乗ってきたらしい。うわ男子の私服すごい可愛いな、吉乃も見れなくて可哀想に。
「おまたせ~! じゃあ入ろっか!」
*
テニス、バブルサッカー、アーチェリー、バスケ、キックターゲット、ローラースケート、卓球、ダーツ、筐体ゲームなどで遊び、最後にカラオケで歌う。
「あ、そうだ。澪、インスタ交換しない?」
「うん、いいよ」
すると板垣くんたちも「あ、僕たちも澪と交換したい~!」「俺も~」と続く。*2
こうして、私は陽キャたちとインスタを交換した。
しれっと、男子とインスタを交換できてしまった。かつての私ならめちゃめちゃ嬉しかっただろう。しかし今は、それほど喜びを感じない。
今の私には、男子と仲良くなりたいとか、彼氏が欲しいとか、そんな気持ちがないのだ。
――もう、心が男になりつつあるのだろう。
そして、解散した。なんだかんだ楽しかったけど、ずっと「吉乃がいたらもっと楽しかったのになあ」と考えていた。
私は帰宅後、今日撮った写真をインスタに載せた。すると――吉乃からラインが届いた。
「お前、私を捨てて陽キャグループに入るつもりじゃないだろうな」
「なんだよそれ。入んねえよ」
さらに続けてメッセージが来る。
「南からワンチャン手出されてないよな?」
「ば~か」
そう返信した後、私の中に悪い考えが浮かぶ。黒い好奇心が鎌首をもたげ、私の心を支配していく。
嘘NTRドッキリ、しちゃおうかな。
**3
日曜日の午後。私はインスタの画面を睨み、煩悶していた。
画面には、昨日澪が投稿した写真が映っている。
澪と南のやつ、近くない? いやまあ、女同士としては普通の距離感なんだろうけど、澪は男の姿だから……。
その時――ラインが届いた。澪からだ。
「またお菓子作ったんだけど食べにくる?」
「行く!!!!!!!!!!!」
私は即答し、出かける準備を始める。
*
澪の家へ到着した。私が庭に入ると、インターホンを待たずして、内側から澪が扉を開けて現れた。
美少年だ。
クラスで一番可愛い美少年だ。
艶のある黒髪。首の中ほどまでのセミロング。ウルフっぽく無造作に跳ねた髪質。
切れ長の瞳。鋭く冷ややかな眼差しは、威圧感のある美しさを帯びている。
「おはよう、吉乃」
「おはよ、澪。今日も可愛いな」
「な、なんだよそれ」
澪の家へ上がる。前回手作りチョコタルトを貰った時以来だ。
今日もリビングへと案内される。テーブルには、大小さまざまなプレーンクッキー&チョコクッキーが大皿に乗せられていた。
「クッキーじゃん!!!!!」
「作りすぎちゃったから全部食べてもいいよ」
「了解、全てのクッキーを受け入れる」
「ウェブサイトで最初に表示されるやつみたいに言うな」
私は澪とともにクッキーを食べ始める。
「うまっ」
「ありがと」
私は手作りクッキーを味わいながら、なんとなく尋ねてみる。
「そういえば昨日、どうだった?」
「楽しかったよ。私だけ浮くかなって思ってたけど、みんな優しくて楽しかった」
「そ、そうか……」
「あとみなみんたちとインスタ交換したわ」
「みっ、みなみん!? みなみんって南のことだよな!?」
「あ、うん。そうだよ」
「なんでそんな仲良くなってんだよ!?」
「いいじゃん、別に。それに板垣くんのこともガッキーって呼んでるし」
「そっちは別にいいけど……」
胸に嫌な気持ちが湧く。澪が他の女を親しげに呼ぶ姿が、不快だった。
クッキーを食べ終わり、私たちは澪の部屋へ移動する。なんかすごいいい匂いがした。
ベッド。ラグ。机と二脚のイス。テレビと本棚。シンプルな部屋だ。
しかし、私の視線はすぐさま窓際に掛かったハンガーへ向いた。
「うおおおっ! タイツ吊るされてるっ! エロっ!」
「そんなとこ見んなっ!!!」
澪に軽く体当たりされ、さらに肘でぐりぐりされる。正直うれしい。もっとやってほしい。
「なあ、澪」
「なに?」
「そういうボディタッチ、私だからいいけど、他の女にやったら勘違いされるからな」
「え」
「昨日の写真見たけどさ、あれ南との距離近すぎだろ。あいつ絶対澪のこと狙ってるから気を付けろよ」
「あ、あはは……」
澪は苦笑いした。
……?
なんか、変な反応だな……。
「あ、座ってよ」
「うん」
話を逸らされた気がした。私は訝しみながらも座る。澪はスイッチ2を起動し、ホーム画面を表示して机上に置いた。
「飲み物持ってくるから、なんのゲームやりたいか考えといてよ」
「あ、うん」
私は澪の背を見送ってから、窓の方を見た。タイツエロすぎだろ。
他にもなんかないかな。
私はベッドの下を覗く。なにもなかった。
立ち上がり、澪の部屋をうろつく。すると――視界の端に妙なものが映り込んだ。
ゴミ箱の中に、ピンク色の物体があった。
ドクンと、心臓が大きく拍動する。
近付いてよく見ると、コンドームだった。中身も入っている。
「え、これ……」
鼓動がうるさい。耳に心臓が付いているかのように、爆音が聞こえる。
うまく呼吸ができない。
視界がぐにゃあと歪む。
「な、なんだよ、これっ……」
私は立っていられず、どさりとイスに腰を落とした。
し、使用済みゴム……?
は……?
な、なんで、そんなものが澪の部屋に? いや、澪が、使ったのか……?
その時――澪が飲み物を持って現れた。コップを机に置き、隣のイスに座る。
「……吉乃? なんか顔真っ青だけど、だいじょうぶ?」
「み、澪、なんだよ、これ」
私はゴミ箱の中を示しながら、澪に尋ねた。瞬間、澪は「しまった」という顔をして、表情を歪めた。
「うわ、最悪……処分し忘れた……」
「おい、澪、なんだよこれ」
「えっと、その、昨日さ……みなみんが『夜遅いし、送っていくよ』って言ってくれて。で、うち来てくれたから、せっかくだし上がっていったらってなって」
「は……?」
「この部屋に上がってしばらく話してたら、キスしたいって言われてさ」
「――」
澪は気まずそうな顔で話す。
でも、聞きたくない。その先を聞きたくない。
「最初は断ったんだけど、何回かお願いされてさ。そしたら抱き寄せられて……」
嫌だ。
やめろ。
ふざけんな。
「みなみんイケメンだし、まあいっかなって思って……キスしちゃった」
澪は恥ずかしそうに頬を紅潮させながら苦笑した。
吐き気が込み上げる。
震え、視界が歪む。
「っ、ざっけんなよッ……」
怒りが沸騰する。頭に血が上って、脳の血管がブチギレそうになる。呼吸が荒く、苦しい。
痛い。死にそうなくらい、脳が痛い。
しかし、澪は、照れくさそうに笑いながら――。
「なんか、流れでシちゃった」
「――」
「そのまま、最後までヤっちゃった」
「……ざっけんなッ!!!!!」
私は叫んだ。喉が壊れそうな程の
「なんで私にはヤラせてくれなかったくせに、南とはセックスするんだよ!」
怒りのまま、怒鳴りつける。
澪は困ったように眉を寄せた。
「吉乃のことは親友として好きだけど、セックスとかは……ちょっと、ごめん」
「――」
世界が崩壊していくような感覚に襲われる。
自分が何をしているのか。どこにいるのか。そんなことすら分からないほど、思考が千々に乱れる。
なに、これ。
澪がイスから軽く腰を上げ、私に体を寄せる。ふんわりと、甘い匂いがした。
そして、澪は私の耳元に唇を寄せ――吐息とともに声を吹き込んでくる。
「でも、みなみん、イケメンだしえっちも上手いし、流石陽キャって感じだったよ」
やめろ。
やめてくれ。
「膣でぎゅうぎゅう絞られて、すっごい気持ちよかったよ♡」
想像してしまう。澪が南と繋がり、愛し合う姿を。
「シーツ掴んで体を震わすことしかできなくてさ♡ ほんとすごかった♡ 人生で一番気持ちよかった♡」
考えたくないのに、脳内に浮かぶ。澪がベッドで、快楽に身悶えする姿を。
「吉乃も、いつか彼氏作ってセックスできるといいね?♡ まあ、ムリだろうけど(笑)♡」
瞬間――私のなかで大事なものが切れた。
私は澪の胸ぐらを掴んで、強引に立ち上がらせ、ベッドに突き倒した。
「わっ!? 吉乃っ!?」
隙を与えず、彼へ覆い被さり、組み敷く。満身の力をもって、澪の両手首をきつく握り
「い、いたッ……!」
「絶対許さないッ……! ブチ犯すッ……!」
「お前っ、これレイプだぞっ……! 警察沙汰だぞっ!」
「知るか。もう、これで終わってもいい」
「ゴンさんみたいに言うな!!!」
私は澪の服を脱がせようとする。すると、彼は暴れるかと思いきや――。
「――なんちゃって♡」
「……は?」
澪はにやにやと、余裕そうに笑みを浮かべている。
「ウソだよ。私、別にセックスなんてしてないよ。そもそもみなみんも家に来てないし」
「……」
「そのゴムは私がオナホで使っただけだよ。ベッドボードの収納に入ってるから見てみなよ」
「……今さらそんなんで騙されるわけねえだろ」
「えっ、ちょっ」
私は澪のズボンを引きずり下ろし、パンツにも手を掛けた。すると、彼は慌てて私の手を掴んで止めてくる。
「待て待て待てっ! ほんとだからっ! ほんとに冗談だから!」
「セックスしたんだろ、お前。そんな嘘で誤魔化せるとでも思ってんのか?」
「ちょ、ちがっ……!」
「許さない。絶対にブチ犯す」
「あっやばっ、お前これマジのやつじゃねーか!」
私は無理やり澪に顔を近づけ、唇を奪った。
「んんっ!?!?!?」
口腔内へ舌を入れようとするが、歯をがっちりと閉じられて拒まれる。
私は強引にキスを続ける。全体重を掛けて抑え込みながらキスし続ける。やがて、澪のまなじりに涙が浮かんできた。
「く、くるしっ……! んんっ……!?」
澪の隙を突き、無理やり歯の壁を押しのけ、舌を捩じ込んだ。舌で舌を搦め取り、口腔内を侵すように撫ぜる。
「んっ、んんぅっ……! んっ……!♡」
乱暴に、徹底的に澪の舌をいじめ、味わい尽くす。
「んっ、あっ……!♡ んうっ……!♡ んんっ……!♡」
澪の苦しそうな喘ぎに、甘い声が混じり始めた。
一度舌を離すと、唾液がお互いの舌を繋ぐように糸を引く。澪の瞳は潤み、どこか嫣然と輝いていて――私の興奮を昂らせる。
「絶対分からせてやるからな、澪」
「ちょっ、ごめんっ! あやまるからっ! うわああああああああああああああああっ!」
**4
快楽が体に残っていて、気持ちいい余韻に満たされている。
乱暴にされた。めちゃくちゃ犯された。
……やばい。
親友と、セックスしちゃった……。
いや、その前に誤解解かないと。
「私のスマホ、取って……」
吉乃は悲しそうな顔をした。何かを悟ったような、翳のある面持ちだ。
「警察に通報するの?」
「ちがうっ……インスタ、見てっ……」
「インスタ?」
私はスマホを受け取り、
「えっ」
南さんと、その彼氏とのツーショット写真が大量に並んでいる。つい最近もディズニーデートに行ってきたようで、カチューシャを付けたふたりが仲良く密着して映っている。
「みなみん、普通に彼氏いるよ」
「えっ、えっ、えっ」
「中学から付き合ってるんだって。ラインのステメも『2y2m』*5だし」
「え? ……え、じゃあ南とセックスしてないの?」
「してないよ。そもそも家にも来てないし」
「な、なんでそんなウソついたんだよ?」
「吉乃の悔しがる顔が見たくて」
「お前性格悪すぎだろ!!!」
吉乃は全力で怒声を上げた。もっともな反応だ。こればかりは私が悪い。
「マジでごめん」
「お前世界で一番悪いわ。悪い順に並べると澪>れな子>緒山>シャミ子くらいだわ」
「そんなに?????」
すると――吉乃は急に黙り込む。表情がない。能面のような真顔だった。
「よ、吉乃?」
「ど、どうすんだよ。ヤっちゃったじゃん」
吉乃の顔に焦燥が浮かぶ。親友と一線を越えてしまった、という事実を正しく理解したのだろう。
「うん……しちゃったね……」
「え、やばっ……」
「……」
「……」
「…………」
「…………」
エグい沈黙が流れる。吉乃と一緒にいてこんなに無言の時間が続くのは、過去最長かもしれない。
私は、長い溜め息を漏らした。
「付き合おう、吉乃」
「えっ」
「付き合おうよ、吉乃」
吉乃は虚を突かれたように、少しの間固まった。
大きな瞳が見開かれ、そのまま硬直して、私を見続けている。
「……いいの?」
「うん、好きだよ、吉乃。恋人になりたい」
「マジ……?」
「マジだよ」
「それも冗談だったらガチでキレるんだけど」
「冗談じゃない。私は、吉乃のことが好き」
私は、精一杯想いを伝える。
人生で初めての、告白だ。
「でも私、吉乃と親友でもいたいから、午前は親友として、午後は恋人として扱ってほしい。ど、どうかな……?」
吉乃は私を見つめたまま、小さく息を吐いて笑った。
「うん、私もそれがいい。付き合おう、澪」
そういった彼女の笑顔は、輝いて見えた。
「ありがとう、吉乃っ」
私は吉乃に抱き着く。彼女も、強く抱きしめ返してくれた。
吉乃の体温が伝わってきて、幸せだった。
ああ、すごい。私、吉乃と恋人になったんだ……。
「でも澪、夏休みにTS病の手術受けるって決まってたよな? どうすんの?」
「あ、うん、手術はやめるよ。私、これからの人生は、午後だけ男として生きていく。家族にもそう伝える」
「……いいの? 結構重い決断だと思うけど」
「いいんだよ。吉乃の彼氏でいたいから」
そう伝えると、吉乃の体が微かに震えた。直後、抱擁がより力強くなる。
「……嬉しすぎるんだけど」
「ふふっ、ならよかった」
*
月曜日の昼休み。私はいつも通り、吉乃と弁当を食べている。
「じゃ、投稿するよ」
「うん」
私はインスタで「吉乃と恋人になりました!」という文言とともに、彼女とのツーショットを投稿した。
すると――同じ教室内でスマホをいじりながら弁当を食べていた
「マジ!?!?!?!?!?」
突然大声を出したガッキーに驚き、クラスメイトたちが何事かとこっちを見る。
吉乃は笑いながら頷き――。
「うん、マジ」
「おめでとう!!!!!」
すると、なんの話か気になったのか、他の一軍陽キャ男女も寄ってくる。
「どうしたの?」
「これこれ!!!!!!」
ガッキーが興奮した様子で、私の投稿を見せる。瞬間、それを見た全員がざわめいた。
「ええええええっ!? マジ!?」「すご~~~~!」「澪可愛いもんね! やっぱその方がいいよ!」「やるな~! 羨ましいぞ吉乃~!」「おめでと~~~!」
クラスメイトたちはひとしきり驚いた後、口々に祝福の言葉を伝えてくれた。私たちは、ひとりひとりに「ありがとう」と答える。
しかし、
*
放課後の進路室。私と吉乃は、テーブルを挟んで向かい合う。
月曜の放課後といえば――彼氏を作るための作戦会議、略して『彼氏会議』の時間だ。
しかし、私たちが恋人になったことにより、自動的にこの会議は終了となる。
「彼氏会議も終わりか~」
吉乃が感慨深そうに天井を見上げながらそういった。
「なあ、澪」
「なに?」
「ずーっと彼氏欲しくて会議してたけど、まさか私たちで付き合うことになるとは思わなかったな」
「私もビックリしてる」
吉乃が私を見つめる。その眼差しは、妙に力強かった。
「最高の親友がいて、最高の彼氏もできた。私、いまめちゃくちゃ幸せ。ありがとう、澪」
「ど、どういたしまして……私も、その、吉乃と恋人になれて……し、し……」
急に恥ずかしくなって、言葉が継げなくなる。
やばい、顔熱い。絶対いま顔赤くなってる。
「私と恋人になれて、なに?」
「ぅ……えっと、そのっ……し、しあわせ、です……」
「お前可愛すぎるだろ」
「うっさい!!! ニヤニヤすんな!!!」
「ごめんごめん。マジで可愛くて」
吉乃は上機嫌そうに立ち上がる。
「じゃ、今日うち来る?」
「行く」
――ということで、吉乃の家へ移動した。
「じゃあセックスしよう、澪」
「いきなりかよ」
「付き合ってる男女がおうちデートだぞ。しかも親もいない。これはセックスしかありえないだろ」
「まあ、そうなると思ったよ」
*
「はあっ……はあっ……おまえっ、つよすぎだろ……」
私は横になったまま、肩で息をしている。死ぬほど喘がされて、疲労困憊の状態だ。
「幸せすぎる……」
吉乃は満足そうに息を吐く。
「澪、これから毎日しよう」
「し、しんじゃうからだめ……」
「うわお前声エロっ。というか吐息がエロすぎる」
吉乃が私の上へ馬乗りになる。これから犯すという死刑宣告のように、腰を据えられる。
「澪ってサディストだけど、ベッドの上ではマゾだよな」
「だ、誰がマゾだ!!!!!!」
そう抗議した次の瞬間――吉乃が私の乳首を摘まみ、
「んあっ!!!!!!♡♡♡♡♡♡」
「いや、やっぱお前マゾじゃん」
「マゾじゃなっ……んあっ!♡ ばかっ……! ちくびやめろっ……! んうっ……!♡ ああっ……!♡」
乳首を抓られる度、身体に快楽の電流が走り、海老反りなってしまう。私は為す術なく身悶えし、腰を跳ねさせることしかできない。
一方の吉乃は、そんな私の姿を見て楽しそうに、獰猛で嗜虐的な笑みを浮かべる。
「教えてあげるよ、澪。私が上で、お前が下だって」
「あっ、待っ――」
「愛してるよ、澪」
TSしたばかりの頃の私は、想像もできなかった。――オスはメスに、勝てないのだということを。
『午後だけTSする病【貞操観念逆転】』 完!