澪「私いま汗臭いから近寄るなよ」
吉乃「ごめん澪っ! もうガマンできないッ!」
澪「きゃ~~~~~~~ッ!!!!!」
ある休日のこと。
私は吉乃の家に来た。今日は一日ゲームで遊ぶ約束をしている。
「なんか女のお前がうち来るの久々な気がする」
「いつもは放課後に来てるからな」
私は午後だけTSするため、放課後は男の体である。しかし、今は午前なので女の体だ。私も、この状態で吉乃の家へ上がるのは久しぶりな気がした。
そして、カードゲームやボードゲームで遊ぶこと数時間。
時刻は十一時半を過ぎた。あと一ゲームくらいしたら、お昼を食べに行ってもいい頃合いだ。すると――。
「なあ澪、ふと思ったんだけど、野球拳ってリアルでやったことなくね?」
「野球拳? あ~、確かにないな」
「やってみようぜ」
「え~? 楽しいかそれ?」
「人生で一回くらいはやってみたいじゃん」
「まあいいけど」
いま私は女の体なので、特に拒否する理由はない。仮に裸を見られても問題ないし。
私たちは立ち上がり、拳を構える。
「ジャンケン、ポン!」
私が勝った。吉乃は靴下を片方脱ぎながら――。
「くっ……殺せっ……!」
「一枚目で?????」
続けて、私たちは何回かジャンケンをした。吉乃の方がやや負けており、上下ともに下着の状態だ。
吉乃は腕を組み、胸を下から持ち上げる。豊かな双丘が、むにゅんと柔らかく形を変えた。
コイツ、意外とおっぱいデカいのムカつくな……。
――さらに勝負は続く。
「ジャンケン、ポン!」
今度は私が負けた。下半身は既にタイツとパンツの状態なので、上の服を脱いだ。なんの飾りもないスポブラが現れる。悲しいことに、サイズはAだ。毎日牛乳飲んでるのに。
すると、吉乃は私の胸を見ながら――。
「可哀想な胸だな」
「殺すぞお前!!!!!!」
私は脱いだ服を吉乃に投げつけた。彼女は爆笑している。
「いやあ、すまん澪(笑) あまりに小さくて(笑)」
「でもお前陥没だろうが!!!」
「おいそれイジるのはライン越えだろ!!! というか日本人の20%は陥没なんだよ!」
私たちは下らない内容で怒鳴り合う。せっかくの休日に何をやっているんだろうか。
でも、こういうアホなノリ久々だな。私が男の体の時って、吉乃が私を男扱いするせいでこういう雰囲気にならないし。
なんか、親友っぽくていいな。
「じゃあほら、次行くぞ」
吉乃は急に早口になって勝負を急かす。
「ジャンケン、ポン!」
同時に手を出す。私の負けだ。
「なんかお前急いでない?」
「そんなことない、ほら行くぞ。ジャンケン――」
ん……?
私は時計を見る。時刻は正午の寸前だ。
「お、お前まさか……!!!!!」
次の瞬間――音もなく、私の体は男に変わった。
男性らしく硬い身体になる。チ○ポが生えたことにより、パンツの中に圧迫感が生まれる。
私は咄嗟に自分の体を抱きしめて、その場にしゃがんだ。一方――。
「くっそおおおおおおッ! あと二枚だったのにぃいいいいいいいいいいいいいいッ!」
吉乃は膝を突いて慟哭している。
そうか。初めから、これが狙いだったのか。
正午直前に野球拳を初めて、私がTSするタイミングを待ち、男の裸を見ようとしていたのだ。
「くそっ……ちくしょうっ……! 惜しかったのに……!」
吉乃は私の姿を見上げる。ひどく哀しそうな顔だった。
「頼む、澪。続きやってくれ」
「……いいよ」
「えっ!?!?!?」
「中途半端なまま終わるのつまんないもんな。最後までやろう」
「マジ!?!?!?!?!?」
吉乃は満面の笑みになった。大きな瞳がキラキラと輝き出す。
大丈夫。――このゲームには、必勝法がある。
「ジャンケン、ポン!」
「うわ、最悪」
下振れた。ここさえ切り抜ければ完勝できたはずだったが――この一敗は仕方ない。苦汁を飲むしかないようだ。
私はタイツに手を掛け、ゆっくりと下ろした。
「うおおおッ……! 生脱ぎエッロ……! パンツエロッ……!」
「くそっ……!!!」
なぜコイツにストリップショーを見せてやらなければいけないのか。
屈辱と羞恥で顔が熱い。
吉乃はだらしなく鼻を伸ばし、私の脱衣を眺めている。そして、私はタイツを脱ぎ、床に落とした。これで私は、スポブラとパンツのみの状態だ。
「うひょ~~~~ッ! 男子の下着姿エッロ!!! 最高すぎ!」
吉乃は嬉しそうに私の下着姿を楽しんでいる。
ムカつく。
絶対裸に剥いてやる。コイツの陥没乳首を白日の下に晒してやらねば気が済まない。
――そして、一分後。
「ち゛く゛し゛ょ゛お゛ッ゛! と゛う゛し゛て゛た゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛ッ゛」
勝負に敗北し、裸のままこたつへ入って身を隠す吉乃の姿があった。
予定通り勝てた。私はスポブラとパンツだけの状態だ。無事におっぱいとチ○ポは守り切った。
実は、吉乃にはある癖がある。連続でジャンケンをする時、吉乃は勝った場合、次は違う手を出す。負けた場合は、次も同じ手を出す。このルールに従えば、私の負けはない。計画通りだ。
「ちくしょおおおおおッ!!! チ○ポ見せろよぉおおおおおおッ!」
「残念だったな、吉乃」
「せめておっぱい見せろ!!!」
「見せねえよ。まあいつか男の裸見れるといいな(笑)」
「くそおおおおおおおおおおおおおッ!」
*
私は男性服に着替え、吉乃も元通り着直した。そして、一緒にラーメン店へ来た。
「奢れよ、吉乃」
「え~? もっと可愛くお願いしてくれればいいぞ」
「しねえよ。私の下着姿見たんだから、その分の代金だ」
「じゃあデザートつけるからおっぱい見せてくれ」
「見せるかアホ」
なんだかんだ言いつつ、吉乃は普通に奢ってくれた。まあ男の下着姿見れたんだから、これでもお得だろ。
そして、私たちはカラオケへ寄る。思えば、初めて吉乃にTS病のことを話したのもここだった。
「なあ澪、人狼ゲームしない?」
「え? 人狼ゲームってふたりじゃできなくない?」
「狼になった方は、市民になった方を襲ってもいいってルールにしよう」
「キモっ」
「もちろんお前が狼になったら私のこと襲っていいぞ」
「私に何の得があるんだよ!!!」
もちろん吉乃のアホな提案は却下し、普通に歌って楽しんだ。
すると、彼女は何かを思い出したようにスマホを取り出した。
「そういえば、そろそろインスタのアイコン撮るか」
「あ~そうだな」
今の私は男だけど……まあいいか。女の時も改めて撮ればいいし。
私は吉乃に近付く。肩が触れ合う距離だ。
「ツーショットでも撮るか」
「あ、うん」
スマホを掲げて、ふたりとも映るように撮る。何枚か角度を調整しながら撮影した。
「こんなもんでいいかな?」
「どれどれ」
吉乃にスマホを渡して確認してもらう。画面をスワイプし、どれがいいか見比べていくのだが――。
「えっ」
「あっ」
私たちは同時に声を上げた。
画面に、私のエロ自撮りが表示された。
「なにこれエロッ!?」
「返せっ!!!!!」
私は咄嗟にスマホを取り返そうとするが、吉乃は身を捻って躱した。さらに立ち上がり、私から逃げていく。
「うわすごっ!!! なんだこの枚数!?」
「ちょっ、待てっ! 見んなっ!!!」
私たちはテーブルの周りを回るように追いかけっこをする。無情にも、吉乃は動きながらスワイプし、画像を眺めていく。
「うおエロっ! すげえっ! このアングルエロっ!」
「うわぁあああああああああッ! 見るなアホっ!」
「#極上の男体 #魅惑の太もも」
「ピクシブのタグみたいに言うな!!!」
「#1000users入り」
「誰がそんなにブクマするんだ!!!」
しばらく追いかけっこしてから、吉乃はイスに座った。私はスマホを奪おうとするが、彼女はスマホを私から引き離して渡そうとしない。
「澪、お前エロい自撮りしてたんだな」
「くそっ……! 最悪だ……!」
私は力なくボックスソファーに倒れた。吉乃は極上のオカズを見つけたかのように、目を輝かせ、鼻の下を伸ばしながら画面を見ている。
別にエロ自撮りをしていることがバレるのは問題ない。TSしたら誰だってこれくらいはするだろうし。
最悪なのは、私を性的な目で見るコイツに写真を見られたという点だ。
「やっぱエロいよなあ、お前」
「見るなよぉ……!」
「頼む、澪。この画像私にもくれ」
「あげるわけないだろ!!! いい加減返せっ!」
「あっ……!!!」
私は吉乃へタックルし、強引にスマホを奪い返した。
「大体お前、この画像貰ってどうするつもりなんだよ」
「そりゃあ、まあ……」
吉乃は口ごもり、目を逸らした。顔はうっすら赤らんでいる。
「お前まさか、私で抜いてないだろうな?」
「………………」
答えは沈黙だった。
「うわきっしょ!!! もう私の半径20メートル以内に近付くなよ!」
「ちょっ、待って!」
私は吉乃から全力で距離を取る。彼女は焦った顔で、こちらに手を伸ばしながら必死で弁明を始める。
「ご、ごめん! よくないとは思ってる! でもお前エロすぎるんだよ!」
「それはダメだろ! 親友をオカズにするな!」
「私だって流石にダメだと思って、ずっとしてなかったんだよ! でも、雨でインナー濡れ透けしたり、着替え見ちゃったりしたら、もうガマンできなくて……」
「きっしょッ~~~~~~~~!!!」
私は自分の体を抱きしめて、逃げるように身を引く。
ま、マジか……私、吉乃にオカズにされてたのか……。
「待って澪……。引かないで……」
吉乃は若干涙目になりながら哀願してくる。
ま、まあ私だって女だし気持ちは分かる。女子高生というのは、マ○コでしかものを考えられない生き物なのだ。私も女の時、男の私のエロ自撮りオカズにしてるし。
「はぁ……とりあえず、オカズにされたことは許してやるから、エロ自撮りのことは誰にも言うなよ」
「あ、うん」
「ふたりだけの秘密だからな?」
「……なんかその言い方エロいな」
「親友やめようかな」
「ごめんウソウソ! 約束するから許して澪!」
私がゴミを見る目で吉乃を睨むと、彼女は慌てて許しを乞うてきた。
「まったく……私以外だったら絶対許してないからなこれ」
「ありがとう、澪」
「じゃあそろそろ帰るか」
*
私は帰宅後、自室の机に突っ伏していた。
はぁ……そっかあ……私、吉乃にオカズにされてたのか……。
今日は野球拳で下着姿見られたし、エロい自撮りも見られたし……絶対今日もオカズにされるんだろうなあ……。
吉乃が私の体を求めている。そのことを考えると、だんだん顔が熱くなってくる。
私はスマホのアルバムを開いた。エロ自撮りがずらっと並んでいる。
一枚くらいあげてもいいかな……。アイツ、猿みたいに必死でオカズにするんだろうな。それで、だんだん私のことしか考えられなくなって……。
いや、バカバカ。私もちょっとおかしくなってる。何考えてるんだ。……。……これも全部、吉乃のせいだ。