ONE PIECE 〜船大工レイン〜   作:ペンギンって可愛いですよね

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第二百十三話「最上大業物」

 

宴は最高潮を迎えていた。

 

ロジャーは酒樽を抱えて笑い、おでんは肉を頬張り、島の人々も巻き込んで大騒ぎになっている。

 

シャンクスとバギーはレインの周りをうろうろしていた。

 

「なあなあ!」

 

「本当に今度戦い方教えてくれるのか?」

 

「少しだけですよ」

 

「やった!」

 

シャンクスが喜ぶ。

 

その横でバギーも腕を組みながら頷いていた。

 

「俺は強くなるからな!」

 

「そうですか」

 

「反応薄いな!?」

 

そんなやり取りをしていた時だった。

 

「む?」

 

おでんの視線が止まる。

 

その先にあったのはレインの腰。

 

正確には腰に差された刀。

 

黎明。

 

鍛冶修行を終えたレインへ、師匠が託した一振りだった。

 

おでんの表情が変わる。

 

先程まで宴会で騒いでいた男とは思えない。

 

完全に剣士の顔だった。

 

「レイン」

 

「何ですか?」

 

「その刀」

 

おでんがゆっくり立ち上がる。

 

「見せてくれないか?」

 

レインは少し驚いたが頷いた。

 

「良いですよ」

 

そう言って黎明を鞘ごと差し出す。

 

おでんは慎重に受け取った。

 

その動作だけで分かる。

 

本当に刀が好きなのだろう。

 

レイリーも視線を向ける。

 

ギャバンも腕を組んだ。

 

ロジャーは肉を食べながら眺めている。

 

そして、おでんがゆっくりと刀を抜いた。

 

キィン―――。

 

澄んだ音が夜空へ響く。

 

月明かりを受けた刀身が静かに輝いた。

 

その瞬間だった。

 

おでんの目が見開かれる。

 

「……おい」

 

低い声だった。

 

レイリーが反応する。

 

「どうした?」

 

おでんは刀身から目を離さない。

 

そして静かに呟いた。

 

「信じられん」

 

宴の空気が変わる。

 

おでんがここまで驚くのは珍しい。

 

ロジャーも肉を食べるのを止めた。

 

「何じゃ?」

 

おでんはゆっくり顔を上げた。

 

「この刀」

 

そして。

 

はっきりと言った。

 

「最上大業物だ」

 

沈黙。

 

宴会場が静まり返った。

 

レイン以外の島民達は何のことか分からない。

 

だが、

 

ロジャー。

 

レイリー。

 

ギャバン。

 

そしてロジャー海賊団の面々は違った。

 

全員が目を見開いていた。

 

「は?」

 

ロジャーが固まる。

 

「最上大業物じゃと?」

 

「間違いない」

 

おでんは即答した。

 

「そんな……」

 

レイリーですら驚いている。

 

ギャバンも刀身を見つめていた。

 

ロジャーが首を傾げる。

 

「そんなに凄いのか?」

 

おでんは呆れたようにため息を吐く。

 

「凄いなんてもんじゃない」

 

「この海に何本あると思う?」

 

「知らん」

 

「十二本だ」

 

ロジャーの手から肉が落ちた。

 

「十二本!?」

 

「世界中探しても十二本しか存在しない」

 

「その頂点に立つ刀だ」

 

周囲がざわつく。

 

シャンクスも目を丸くしていた。

 

バギーは完全に固まっている。

 

「じゅ、十二本……」

 

「そんなの持ってるのかよ……」

 

レインは苦笑した。

 

正直なところ。

 

刀の価値よりも師匠から貰ったことの方が大切だった。

 

おでんは刀身を見つめる。

 

その目は真剣そのものだった。

 

「驚いたな」

 

「何がです?」

 

レインが尋ねる。

 

するとおでんは笑った。

 

「刀もだ」

 

「だがもっと驚いていることがある」

 

「?」

 

おでんは黎明を軽く持ち上げる。

 

「この刀がお前を選んでいる」

 

その言葉にレインは少し目を見開いた。

 

「刀がお前を認めている」

 

「だから力を貸している」

 

「そうでなければこんなに馴染むはずがない」

 

レイリーも頷いた。

 

「確かにな」

 

「刀は使い手を選ぶ」

 

「特に名刀はな」

 

ロジャーだけがよく分かっていない顔をしている。

 

「そういうものなのか?」

 

「そういうものだ」

 

レイリーが即答した。

 

おでんはゆっくりと黎明を鞘へ戻した。

 

そしてレインへ返す。

 

「良い刀だ」

 

「大切にしろ」

 

レインは静かに受け取った。

 

「もちろんです」

 

師匠から託された刀だ。

 

手放すつもりなど無い。

 

おでんはそんなレインを見て笑う。

 

「それで?」

 

「何ですか?」

 

「その刀で俺と戦ったらどうなると思う?」

 

突然だった。

 

周囲が静まり返る。

 

レインは少し考える。

 

そして、

 

「負けますね」

 

即答だった。

 

おでんが笑う。

 

「正直だな」

 

「まだ敵いません」

 

「だろうな」

 

ルークも頷いた。

 

今のおでんは新世界でも最強格だ。

 

流石にまだ勝てない。

 

だが、おでんは続けた。

 

「だが十年後は分からん」

 

その言葉に周囲が固まる。

 

ロジャーが吹き出した。

 

「ガハハハハ!」

 

「お前がそんな評価するとはな!」

 

レイリーも少し驚いていた。

 

おでんは笑う。

 

「面白いからな」

 

そしてレインを見る。

 

「十四歳で最上大業物を持つ剣士」

 

「見聞色も武装色も使える」

 

「飛ぶ斬撃まで使う」

 

「しかも船大工だ」

 

おでんは豪快に笑った。

 

「意味が分からん!」

 

「俺もそう思います」

 

ルークが即答する。

 

宴会場が爆笑に包まれた。

 

レインだけが納得いかない顔をしていた。

 

だが、そんな賑やかな宴の中。

 

ロジャーだけは静かに笑っていた。

 

まるで未来を見ているかのように。

 

そして誰も気付いていなかった。

 

この出会いが、未来の海を大きく動かす縁の始まりだったことに。

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