ONE PIECE 〜船大工レイン〜 作:ペンギンって可愛いですよね
翌朝、空は雲一つない快晴だった。
レインは木刀を肩に担ぎながら海岸近くの広場へ向かう。
その後ろにはルーク。
そして元気いっぱいの二人の少年。
シャンクスとバギーだ。
「本当に教えてくれるんだよな!?」
シャンクスが目を輝かせる。
「逃げたりしないよな!?」
バギーも確認する。
レインは苦笑した。
「逃げないよ」
「約束しただろ」
すると二人は嬉しそうに顔を見合わせた。
ルークは少し離れた場所に腰を下ろす。
完全に見学モードだった。
「レインさん」
「何?」
「ほどほどにしてくださいね」
「分かってるよ」
その返事を聞いてもルークは全く安心していなかった。
むしろ不安そうだった。
レインは広場の中央へ立つ。
そして二人を見る。
「まずは実力を見る」
「実力?」
シャンクスが首を傾げた。
「ああ」
「今のお前らがどれくらい出来るのか分からないと教えようがないからな」
それは当然の話だった。
レインは木刀を肩に乗せる。
「二人同時に掛かってこい」
沈黙。
シャンクスとバギーが固まる。
「二人で?」
「ああ」
「一緒に?」
「ああ」
「舐めてるだろ!」
バギーが叫んだ。
シャンクスも少しむっとしている。
十二歳の少年だ。
プライドもある。
レインは肩を竦めた。
「別に舐めてない」
「本気で来い」
すると二人は顔を見合わせる。
そして、
「行くぞバギー!」
「言われなくても分かってる!」
次の瞬間、二人が同時に飛び出した。
シャンクスは右から。
バギーは左から。
年齢を考えればかなり良い動きだった。
流石はロジャー海賊団の見習いだ。
だが、レインから見れば遅い。
ヒュッ。
レインが半歩だけ動く。
それだけだった。
シャンクスの拳が空を切る。
「え?」
シャンクスが目を見開く。
次の瞬間、バギーの蹴りも空を切った。
「なっ!?」
二人は慌てて振り返る。
そこには、ほんの少し位置を変えただけのレインがいた。
「もう一回」
余裕の声だった。
二人は悔しそうに歯を食いしばる。
「くそっ!」
「今度こそ!」
再び突撃。
だが結果は同じだった。
当たらない。
右から攻撃しても。
左から攻撃しても。
同時に攻撃しても。
全部避けられる。
まるで未来が見えているみたいだった。
実際見えているのだが...
十分後、二人は既に息を切らしていた。
「はぁ……」
「はぁ……」
レインは汗一つかいていない。
ルークは遠くから苦笑していた。
「あれですね」
「海賊相手によくやってるやつですね」
「そうだな」
レインも苦笑する。
完全に遊ばれている状態だった。
シャンクスが叫ぶ。
「何で当たらないんだよ!」
「ちゃんと見てるか?」
レインが聞く。
「見てる!」
「じゃあ考えろ」
「考える?」
「ああ」
レインは木刀を肩に担ぐ。
「戦いは力だけじゃない」
「相手を見ること」
「動きを読むこと」
「考えること」
「全部大事だ」
シャンクスは真剣な顔になる。
バギーも聞いていた。
流石に吸収力は高い。
だが、次の瞬間だった。
コン。
「いてっ!」
シャンクスの頭に木刀が落ちた。
「いつの間に!?」
コン。
「ぎゃっ!」
今度はバギーの頭。
二人とも頭を押さえる。
そして、ぷっくりと立派なたんこぶが出来ていた。
ルークが吹き出す。
「ははは!」
「見事ですね」
シャンクスが涙目になる。
「痛ぇ!」
バギーも頭を押さえていた。
「何するんだよ!」
レインは木刀を肩に担いだ。
「今のだよ」
「今の?」
「考えるのは良い」
「でも周りが見えてなかった」
「だからやられた」
二人が固まる。
確かにその通りだった。
レインは続ける。
「強くなるのは良いことだ」
「でも強いだけじゃ駄目だ」
「周囲を見ること」
「相手を見ること」
「冷静でいること」
「これが大事だ」
シャンクスは真剣な顔で聞いていた。
バギーも悔しそうだが聞いている。
レインは少し笑った。
未来を知っているから分かる。
この赤髪の少年は将来四皇になる。
そして、隣の青髪の少年も、別の意味で世界を驚かせる男になる。
「さて」
レインは木刀を構える。
「もう一回だ」
シャンクスが立ち上がる。
バギーも立ち上がる。
頭には立派なたんこぶ。
だが目は諦めていない。
レインは思わず笑った。
「良い目だな」
そう言いながら木刀を肩へ乗せる。
未来の四皇。
そして未来の大海賊。
二人の修行はまだ始まったばかりだった。