ONE PIECE 〜船大工レイン〜 作:ペンギンって可愛いですよね
翌日、昼過ぎ、島の港はいつも通り穏やかだった。
ロジャー海賊団は相変わらず宴会の続きをしている。
シャンクスとバギーは筋肉痛で動けなくなっていた。
レインは工房の手伝いをしながら苦笑する。
「だから言っただろ」
「痛ぇ……」
「全身が痛い……」
二人は半泣きだった。
ルークは横で笑っている。
そんな平和な時間だった。
見張り台から叫び声が響く。
「船だー!!」
島民達が一斉に海を見る。
レインも顔を上げた。
そして、沖合に見えた軍艦を見た瞬間、嫌な予感がした。
船首。
マスト。
そしてあの軍艦特有の雰囲気。
見覚えしかない。
「……あ」
レインが固まる。
ルークも固まる。
数秒後、二人の声が綺麗に重なった。
「来た」
軍艦はそのまま港へ向かう。
やがて停泊。
そして、先頭で降りてきた男を見て、ロジャー海賊団全員が固まった。
海軍の英雄。
モンキー・D・ガープ。
「ガープ中将じゃ!」
島民達が嬉しそうに集まる。
完全に顔見知りだった。
ガープも豪快に笑う。
「ガハハハ!」
「久しぶりじゃのう!」
「お久しぶりです!」
島民達が手を振る。
その様子を見てロジャー海賊団が困惑していた。
何だこの島...海軍と仲良すぎるだろ。
だが、平和な空気は長く続かなかった。
ガープの視線が動く。
そして、ロジャーを見つけた。
沈黙。
数秒。
ガープの額に青筋が浮かぶ。
「……貴様」
ロジャーも気付いた。
「あ」
お互いの目が合う。
ガープが拳を握る。
ロジャーが笑う。
そして、
「なぜ貴様がここにおるんじゃロジャー!!」
「それはこっちの台詞だガープ!!」
次の瞬間、
ドンッ!!
二人が同時に地面を蹴った。
海兵達が青ざめる。
ロジャー海賊団も慌てる。
「あっ」
レイリーが顔を覆った。
「始まるぞ」
ギャバンがため息を吐く。
おでんは少しワクワクしていた。
「見てみたいな」
「やめろ」
レイリーが即答する。
島民達も慌て始める。
この二人が本気で戦えば島が消し飛ぶ。
だが、その瞬間だった。
二人の間に一人の少年が飛び込む。
レインだった。
「やめろぉぉぉぉぉ!!」
怒号が響く。
一瞬、島全体が震えた。
ロジャーとガープの動きが止まる。
レイリーが目を見開く。
おでんも固まった。
ギャバンも気付いた。
今の一瞬、特大の覇王色が漏れた。
だが、レインの怒りは収まらない。
ゴンッ!!
「いっっっっっ!?」
ガープの頭にげんこつ。
ゴンッ!!
「ぐあっ!?」
ロジャーの頭にもげんこつ。
そして二人とも反射的に避けなかった
いや、避けられなかった。
目の前にいたのがレインだったからだ。
結果、世界最強クラスの二人が。
揃って地面へしゃがみ込む。
頭を押さえながら。
港が静まり返った。
レインは怒鳴る。
「ここは俺達の島だ!!」
ガープとロジャーがビクッとする。
「暴れるならよそでやれ!!」
さらにビクッ...
「港壊したら誰が修理すると思ってるんだ!!」
完全に正論だった。
沈黙。
数秒後。
ガープが頭を押さえながら言う。
「すまん……」
ロジャーも続く。
「すまん……」
沈黙...
島中が固まった。
海兵達。
ロジャー海賊団。
島民達。
全員が動きを止める。
そして、誰かが呟いた。
「え?」
別の誰かが続く。
「今……」
「ガープ中将謝った?」
さらに。
「ロジャーも謝ったぞ?」
再び沈黙。
おでんが口を開く。
「なあ」
「何だ?」
ギャバンが聞く。
おでんは真顔だった。
「レインを怒らせたら世界滅ぶんじゃないか?」
沈黙...
そして全員、心の中で頷いた。
海兵達も。
ロジャー海賊団も。
島民達も。
レイリーも。
ギャバンも。
おでんも。
シャンクスも。
バギーも。
ルークでさえ、
(確かに)
完全一致だった。
その中で、レインだけが首を傾げる。
「何でだよ」
その瞬間、港に爆笑が響いた。
ガープは頭を押さえながら笑い。
ロジャーも大笑いする。
こうして、世界最強クラスの二人による大乱闘は、開始三秒で終了したのだった。