ONE PIECE 〜船大工レイン〜   作:ペンギンって可愛いですよね

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第二百十七話「英雄と海賊王候補」

 

港での騒動から一時間後。

 

島では再び宴が始まっていた。

 

いや、正確には続いていた。

 

ガープが増えただけだった。

 

「ガハハハハ!」

 

「ハッハッハッハ!」

 

港の中央。

 

ロジャーとガープが酒を飲みながら大笑いしている。

 

周囲の島民達は既に慣れている。

 

だが、シャンクスとバギーは理解できなかった。

 

「なあ」

 

シャンクスがレイリーを見る。

 

「何だ?」

 

「何であの二人仲良いんだ?」

 

レイリーは酒を飲みながら首を振った。

 

「仲良くない」

 

「え?」

 

「仲良くないぞ」

 

ギャバンも頷く。

 

「むしろ大嫌いだ」

 

すると、話を聞いていたガープが振り返る。

 

「当然じゃ!」

 

「海賊など大嫌いじゃ!」

 

ロジャーも酒を飲みながら笑う。

 

「奇遇じゃな!」

 

「わしも海兵は嫌いじゃ!」

 

「誰が海兵じゃ!」

 

「お前じゃろうが!」

 

数秒後、

 

「ガハハハハハ!」

 

「ハッハッハッハ!」

 

二人はまた笑い始めた。

 

シャンクスとバギーは固まる。

 

意味が分からない。

 

「仲良いじゃん」

 

「仲良いですね」

 

二人の感想は一致していた。

 

その横でルークも頷く。

 

「俺もそう思います」

 

レイリーだけがため息を吐いた。

 

「付き合いが長いだけだ」

 

「そういうものですか?」

 

「そういうものだ」

 

全員あまり納得していなかった。

 

そんな中、ガープの視線がレインへ向く。

 

「そういえばレイン」

 

「何ですか?」

 

「まだ海軍に入る気は無いのか?」

 

島民達が苦笑する。

 

また始まった。

 

全員そう思った。

 

レインも慣れたものである。

 

「無い」

 

即答だった。

 

ガープも即答する。

 

「そうか」

 

「諦めるの早くないですか?」

 

ルークが突っ込む。

 

ガープはため息を吐いた。

 

「もう何十回も聞いたからのう」

 

「確かに」

 

レインも頷く。

 

もはや恒例行事だった。

 

するとロジャーが笑う。

 

「諦めろガープ」

 

「こいつは海軍には入らん」

 

「分かっとる」

 

「じゃあ聞くな」

 

「一応聞くんじゃ」

 

「何じゃそれ」

 

宴会場が笑いに包まれる。

 

そんな時だった。

 

ロジャーが思い出したように言う。

 

「そういえば」

 

嫌な予感がした。

 

ルークが顔を覆う。

 

ガープが首を傾げる。

 

「何じゃ?」

 

ロジャーはニヤリと笑った。

 

「こいつ空飛ぶ船作るらしいぞ」

 

沈黙。

 

数秒。

 

ガープが固まる。

 

「は?」

 

レイリーが酒を飲む。

 

「本当だ」

 

おでんも肉を食べながら頷く。

 

「しかも本気だ」

 

ギャバンも続く。

 

「材料まで揃った」

 

ルークもため息を吐く。

 

「止めても無駄です」

 

ガープはゆっくりレインを見る。

 

「本当か?」

 

「ああ」

 

レインは普通に答えた。

 

「作る」

 

ガープはしばらく黙った。

 

そして、

 

「馬鹿じゃろ」

 

即答だった。

 

宴会場が爆笑する。

 

「あなたまで言いますか!」

 

レインが抗議する。

 

ガープは真面目な顔だった。

 

「船は海を走るものじゃ」

 

「空を飛ばん」

 

「それは固定観念だ」

 

「何じゃと?」

 

「飛行機だって飛ぶ」

 

「ひこうき?」

 

ガープが首を傾げる。

 

しまった。

 

レインは口を押さえた。

 

前世用語だった。

 

だがもう遅い。

 

「何じゃそれ」

 

「鳥みたいな乗り物だ」

 

「意味分からん」

 

「俺もそう思います」

 

ルークが頷く。

 

レインは少し傷付いた。

 

するとおでんが豪快に笑う。

 

「良いじゃねぇか!」

 

「面白い!」

 

「空飛ぶ船!」

 

「俺は乗ってみたいぞ!」

 

ロジャーも大笑いする。

 

「わしもじゃ!」

 

「完成したら絶対乗る!」

 

レインは即答した。

 

「嫌だ」

 

「何でだ!?」

 

ロジャーが叫ぶ。

 

「壊しそうだから」

 

「失礼だな!」

 

「いや絶対壊すだろ」

 

レイリーも頷いた。

 

「うん。壊すな」

 

ギャバンも頷く。

 

「壊す」

 

おでんも頷く。

 

「壊すな」

 

ロジャーだけが納得していなかった。

 

そんな中、ガープが酒を飲みながら呟く。

 

「完成したらわしも乗せろ」

 

レインは即答した。

 

「嫌だ」

 

「何でじゃ!?」

 

今度はガープが叫ぶ。

 

「軍艦呼びそうだから」

 

「呼ばん!」

 

「絶対呼ぶ」

 

「呼ばん!」

 

「呼ぶ」

 

「呼ばん!」

 

子供の喧嘩みたいになっていた。

 

島民達は笑いを堪えている。

 

レイリーは額を押さえた。

 

おでんは腹を抱えている。

 

シャンクスとバギーは大爆笑だった。

 

やがて、笑い疲れたガープが空を見上げる。

 

夕日が海を赤く染めていた。

 

ロジャーも同じ方向を見る。

 

二人は少しだけ静かになった。

 

長年のライバル。

 

海賊と海兵。

 

立場は違う。

 

だが同じ時代を生きた男達だった。

 

ガープがぽつりと呟く。

 

「完成したら見てみたいのう」

 

レインは少しだけ笑う。

 

「完成したらな」

 

「絶対完成させろよ」

 

レインは頷いた。

 

ジョイボーイ。

 

ルーメン。

 

そして未来へ託された願い。

 

それは今、自分が受け継いでいる。

 

「もちろんだ」

 

「作るさ」

 

その言葉に。

 

ロジャーも。

 

ガープも。

 

レイリーも。

 

おでんも。

 

静かに笑った。

 

誰もまだ知らない。

 

その夢が、いつか世界を変えることになることを。

 

そして宴は夜遅くまで続くのだった。

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