ONE PIECE 〜船大工レイン〜 作:ペンギンって可愛いですよね
港での騒動から一時間後。
島では再び宴が始まっていた。
いや、正確には続いていた。
ガープが増えただけだった。
「ガハハハハ!」
「ハッハッハッハ!」
港の中央。
ロジャーとガープが酒を飲みながら大笑いしている。
周囲の島民達は既に慣れている。
だが、シャンクスとバギーは理解できなかった。
「なあ」
シャンクスがレイリーを見る。
「何だ?」
「何であの二人仲良いんだ?」
レイリーは酒を飲みながら首を振った。
「仲良くない」
「え?」
「仲良くないぞ」
ギャバンも頷く。
「むしろ大嫌いだ」
すると、話を聞いていたガープが振り返る。
「当然じゃ!」
「海賊など大嫌いじゃ!」
ロジャーも酒を飲みながら笑う。
「奇遇じゃな!」
「わしも海兵は嫌いじゃ!」
「誰が海兵じゃ!」
「お前じゃろうが!」
数秒後、
「ガハハハハハ!」
「ハッハッハッハ!」
二人はまた笑い始めた。
シャンクスとバギーは固まる。
意味が分からない。
「仲良いじゃん」
「仲良いですね」
二人の感想は一致していた。
その横でルークも頷く。
「俺もそう思います」
レイリーだけがため息を吐いた。
「付き合いが長いだけだ」
「そういうものですか?」
「そういうものだ」
全員あまり納得していなかった。
そんな中、ガープの視線がレインへ向く。
「そういえばレイン」
「何ですか?」
「まだ海軍に入る気は無いのか?」
島民達が苦笑する。
また始まった。
全員そう思った。
レインも慣れたものである。
「無い」
即答だった。
ガープも即答する。
「そうか」
「諦めるの早くないですか?」
ルークが突っ込む。
ガープはため息を吐いた。
「もう何十回も聞いたからのう」
「確かに」
レインも頷く。
もはや恒例行事だった。
するとロジャーが笑う。
「諦めろガープ」
「こいつは海軍には入らん」
「分かっとる」
「じゃあ聞くな」
「一応聞くんじゃ」
「何じゃそれ」
宴会場が笑いに包まれる。
そんな時だった。
ロジャーが思い出したように言う。
「そういえば」
嫌な予感がした。
ルークが顔を覆う。
ガープが首を傾げる。
「何じゃ?」
ロジャーはニヤリと笑った。
「こいつ空飛ぶ船作るらしいぞ」
沈黙。
数秒。
ガープが固まる。
「は?」
レイリーが酒を飲む。
「本当だ」
おでんも肉を食べながら頷く。
「しかも本気だ」
ギャバンも続く。
「材料まで揃った」
ルークもため息を吐く。
「止めても無駄です」
ガープはゆっくりレインを見る。
「本当か?」
「ああ」
レインは普通に答えた。
「作る」
ガープはしばらく黙った。
そして、
「馬鹿じゃろ」
即答だった。
宴会場が爆笑する。
「あなたまで言いますか!」
レインが抗議する。
ガープは真面目な顔だった。
「船は海を走るものじゃ」
「空を飛ばん」
「それは固定観念だ」
「何じゃと?」
「飛行機だって飛ぶ」
「ひこうき?」
ガープが首を傾げる。
しまった。
レインは口を押さえた。
前世用語だった。
だがもう遅い。
「何じゃそれ」
「鳥みたいな乗り物だ」
「意味分からん」
「俺もそう思います」
ルークが頷く。
レインは少し傷付いた。
するとおでんが豪快に笑う。
「良いじゃねぇか!」
「面白い!」
「空飛ぶ船!」
「俺は乗ってみたいぞ!」
ロジャーも大笑いする。
「わしもじゃ!」
「完成したら絶対乗る!」
レインは即答した。
「嫌だ」
「何でだ!?」
ロジャーが叫ぶ。
「壊しそうだから」
「失礼だな!」
「いや絶対壊すだろ」
レイリーも頷いた。
「うん。壊すな」
ギャバンも頷く。
「壊す」
おでんも頷く。
「壊すな」
ロジャーだけが納得していなかった。
そんな中、ガープが酒を飲みながら呟く。
「完成したらわしも乗せろ」
レインは即答した。
「嫌だ」
「何でじゃ!?」
今度はガープが叫ぶ。
「軍艦呼びそうだから」
「呼ばん!」
「絶対呼ぶ」
「呼ばん!」
「呼ぶ」
「呼ばん!」
子供の喧嘩みたいになっていた。
島民達は笑いを堪えている。
レイリーは額を押さえた。
おでんは腹を抱えている。
シャンクスとバギーは大爆笑だった。
やがて、笑い疲れたガープが空を見上げる。
夕日が海を赤く染めていた。
ロジャーも同じ方向を見る。
二人は少しだけ静かになった。
長年のライバル。
海賊と海兵。
立場は違う。
だが同じ時代を生きた男達だった。
ガープがぽつりと呟く。
「完成したら見てみたいのう」
レインは少しだけ笑う。
「完成したらな」
「絶対完成させろよ」
レインは頷いた。
ジョイボーイ。
ルーメン。
そして未来へ託された願い。
それは今、自分が受け継いでいる。
「もちろんだ」
「作るさ」
その言葉に。
ロジャーも。
ガープも。
レイリーも。
おでんも。
静かに笑った。
誰もまだ知らない。
その夢が、いつか世界を変えることになることを。
そして宴は夜遅くまで続くのだった。