ONE PIECE 〜船大工レイン〜 作:ペンギンって可愛いですよね
ロジャー海賊団が島に来てから一週間以上が経っていた。
「まだ居るのか?」
最近のレインの口癖である。
「ガハハハハ!」
「細かいことは気にするな!」
ロジャーは相変わらずだった。
レイリーも既に諦めている。
おでんなど完全に島の生活を満喫していた。
そして、シャンクスとバギーの修行も続いていた。
毎朝、日の出と共に始まる特訓。
最初はレインに一撃も当てられなかった二人だったが、少しずつ成長していた。
特にシャンクス。
吸収力が異常だった。
海岸近くの広場。
レインは木刀を肩に担ぎながら二人を見る。
「来い」
その一言。
シャンクスとバギーが同時に飛び出した。
以前より速い。
以前より鋭い。
だが、まだ足りない。
レインは一歩動く。
シャンクスの拳が空を切る。
そのままバギーの蹴りも避ける。
「くっ!」
「当たれぇ!」
二人は食らいつく。
だがレインは止まらない。
まるで未来を知っているかのように。
全ての攻撃を避け続ける。
ルークは少し離れた場所から見守っていた。
「また始まりましたね」
「いつものだな」
隣にはレイリー。
さらにおでん。
ギャバン。
そしてロジャーまで見学していた。
もはや日課である。
「シャンクスは伸びてるな」
レイリーが呟く。
おでんも頷いた。
「ああ」
「特に勘が良い」
ロジャーも笑う。
「流石おれの船の見習いだ!」
その瞬間だった。
レインの木刀が動く。
いつもなら、ここで終わる。
コン。
頭にげんこつ。
そして終了。
だが、今日だけは違った。
ヒュッ。
シャンクスの体が動く。
ほんの僅か。
紙一重。
レインの木刀を避けた。
広場が静まり返る。
レインが止まる。
シャンクス自身も止まる。
「え?」
本人が一番驚いていた。
今、何かが見えた。
レインが木刀を振る前、その軌道が一瞬だけ見えた気がした。
レイリーの目が細くなる。
おでんも気付いた。
ロジャーも笑みを浮かべる。
そしてレインも、
「へぇ」
思わず笑った。
シャンクスは興奮していた。
「避けた!」
「避けたぞ!」
「レインの攻撃避けた!」
バギーも驚いている。
「本当に避けた!」
シャンクスは嬉しそうだった。
初めてだった。
レインの攻撃を避けたのは。
だが、そこで終われば良かった。
シャンクスは勢いのまま踏み込む。
「今だ!」
拳を放つ。
反撃。
初めて生まれた好機。
だが、まだ早かった。
レインは苦笑する。
「それは悪手だ」
コン。
「いてぇ!」
木刀が頭に落ちる。
シャンクスは地面へ転がった。
頭を押さえる。
またたんこぶが増えた。
バギーが爆笑する。
「馬鹿だな!」
「うるせぇ!」
「せっかく避けたのに!」
「だから馬鹿なんだよ!」
二人が言い合いを始める。
だが、レインは笑っていた。
ルークも気付く。
「レインさん」
「何だ?」
「嬉しそうですね」
レインは木刀を肩へ担いだ。
「そりゃな」
「初めてだから」
シャンクスが顔を上げる。
レインは真っ直ぐ見る。
「今のは見聞色だ」
シャンクスが固まる。
ロジャー海賊団も静かになる。
「見聞色……」
シャンクスが呟く。
レインは頷いた。
「ああ」
「まだ覚醒したばかりだけどな」
「じゃあ!」
シャンクスの目が輝く。
「俺も使えるのか!?」
「使え始めた」
レインは訂正した。
「まだ全然だ」
「今のお前は未来がぼんやり見えただけで使えるとは言わない」
シャンクスは少し落ち込む。
だが、レインは続けた。
「それでも凄い」
「え?」
「この歳で見聞色の入口に立つ奴なんてほとんど居ない」
その言葉に、シャンクスの顔が明るくなった。
レイリーも頷く。
「事実だ」
おでんも笑う。
「才能あるな」
ロジャーは大笑いしていた。
「流石じゃ!」
シャンクスは照れ臭そうだった。
一方、バギーは不満そうである。
「俺は?」
沈黙。
全員がバギーを見る。
そして、
「頑張れ」
レインが肩を叩いた。
「雑!」
バギーの叫びが広場に響く。
大爆笑だった。
その日から、シャンクスの見聞色は少しずつ成長を始める。
まだ体が追い付いていない。
見えても動けない。
分かっても避けられない。
だが、確実に変わっていた。
未来の四皇。
赤髪のシャンクス。
その才能が少しずつ花開き始めていた。
そして、それを誰よりも嬉しそうに見ていたのは、木刀を肩に担いだ一人の船大工だった。