ONE PIECE 〜船大工レイン〜   作:ペンギンって可愛いですよね

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第二百十九話「赤髪の覚醒」

 

ロジャー海賊団が島に来てから一週間以上が経っていた。

 

「まだ居るのか?」

 

最近のレインの口癖である。

 

「ガハハハハ!」

 

「細かいことは気にするな!」

 

ロジャーは相変わらずだった。

 

レイリーも既に諦めている。

 

おでんなど完全に島の生活を満喫していた。

 

そして、シャンクスとバギーの修行も続いていた。

 

毎朝、日の出と共に始まる特訓。

 

最初はレインに一撃も当てられなかった二人だったが、少しずつ成長していた。

 

特にシャンクス。

 

吸収力が異常だった。

 

海岸近くの広場。

 

レインは木刀を肩に担ぎながら二人を見る。

 

「来い」

 

その一言。

 

シャンクスとバギーが同時に飛び出した。

 

以前より速い。

 

以前より鋭い。

 

だが、まだ足りない。

 

レインは一歩動く。

 

シャンクスの拳が空を切る。

 

そのままバギーの蹴りも避ける。

 

「くっ!」

 

「当たれぇ!」

 

二人は食らいつく。

 

だがレインは止まらない。

 

まるで未来を知っているかのように。

 

全ての攻撃を避け続ける。

 

ルークは少し離れた場所から見守っていた。

 

「また始まりましたね」

 

「いつものだな」

 

隣にはレイリー。

 

さらにおでん。

 

ギャバン。

 

そしてロジャーまで見学していた。

 

もはや日課である。

 

「シャンクスは伸びてるな」

 

レイリーが呟く。

 

おでんも頷いた。

 

「ああ」

 

「特に勘が良い」

 

ロジャーも笑う。

 

「流石おれの船の見習いだ!」

 

その瞬間だった。

 

レインの木刀が動く。

 

いつもなら、ここで終わる。

 

コン。

 

頭にげんこつ。

 

そして終了。

 

だが、今日だけは違った。

 

ヒュッ。

 

シャンクスの体が動く。

 

ほんの僅か。

 

紙一重。

 

レインの木刀を避けた。

 

広場が静まり返る。

 

レインが止まる。

 

シャンクス自身も止まる。

 

「え?」

 

本人が一番驚いていた。

 

今、何かが見えた。

 

レインが木刀を振る前、その軌道が一瞬だけ見えた気がした。

 

レイリーの目が細くなる。

 

おでんも気付いた。

 

ロジャーも笑みを浮かべる。

 

そしてレインも、

 

「へぇ」

 

思わず笑った。

 

シャンクスは興奮していた。

 

「避けた!」

 

「避けたぞ!」

 

「レインの攻撃避けた!」

 

バギーも驚いている。

 

「本当に避けた!」

 

シャンクスは嬉しそうだった。

 

初めてだった。

 

レインの攻撃を避けたのは。

 

だが、そこで終われば良かった。

 

シャンクスは勢いのまま踏み込む。

 

「今だ!」

 

拳を放つ。

 

反撃。

 

初めて生まれた好機。

 

だが、まだ早かった。

 

レインは苦笑する。

 

「それは悪手だ」

 

コン。

 

「いてぇ!」

 

木刀が頭に落ちる。

 

シャンクスは地面へ転がった。

 

頭を押さえる。

 

またたんこぶが増えた。

 

バギーが爆笑する。

 

「馬鹿だな!」

 

「うるせぇ!」

 

「せっかく避けたのに!」

 

「だから馬鹿なんだよ!」

 

二人が言い合いを始める。

 

だが、レインは笑っていた。

 

ルークも気付く。

 

「レインさん」

 

「何だ?」

 

「嬉しそうですね」

 

レインは木刀を肩へ担いだ。

 

「そりゃな」

 

「初めてだから」

 

シャンクスが顔を上げる。

 

レインは真っ直ぐ見る。

 

「今のは見聞色だ」

 

シャンクスが固まる。

 

ロジャー海賊団も静かになる。

 

「見聞色……」

 

シャンクスが呟く。

 

レインは頷いた。

 

「ああ」

 

「まだ覚醒したばかりだけどな」

 

「じゃあ!」

 

シャンクスの目が輝く。

 

「俺も使えるのか!?」

 

「使え始めた」

 

レインは訂正した。

 

「まだ全然だ」

 

「今のお前は未来がぼんやり見えただけで使えるとは言わない」

 

シャンクスは少し落ち込む。

 

だが、レインは続けた。

 

「それでも凄い」

 

「え?」

 

「この歳で見聞色の入口に立つ奴なんてほとんど居ない」

 

その言葉に、シャンクスの顔が明るくなった。

 

レイリーも頷く。

 

「事実だ」

 

おでんも笑う。

 

「才能あるな」

 

ロジャーは大笑いしていた。

 

「流石じゃ!」

 

シャンクスは照れ臭そうだった。

 

一方、バギーは不満そうである。

 

「俺は?」

 

沈黙。

 

全員がバギーを見る。

 

そして、

 

「頑張れ」

 

レインが肩を叩いた。

 

「雑!」

 

バギーの叫びが広場に響く。

 

大爆笑だった。

 

その日から、シャンクスの見聞色は少しずつ成長を始める。

 

まだ体が追い付いていない。

 

見えても動けない。

 

分かっても避けられない。

 

だが、確実に変わっていた。

 

未来の四皇。

 

赤髪のシャンクス。

 

その才能が少しずつ花開き始めていた。

 

そして、それを誰よりも嬉しそうに見ていたのは、木刀を肩に担いだ一人の船大工だった。

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