異形の鬼が嗤う〜『Curse Nightmare Party』〜 作:高梁
本当に難しいです。
言い訳ですね。さっさと投稿できるよう頑張ります。
…出来るだけ
後日、再びログインすると、いつものセーフエリア…ではなく。
「そういえば昨日片づけしなかったな。俺」
儀式場がそのまま残っていた。まあ扉だけはしっかり閂差し込んでまで閉じているから、昨日のどでかいショックを受けても最低限のことはやっていたようだ。さすが俺。
パチモン儀式場を片付けてしばらく。俺は呪怨台に残る【人手クモの糸見本帳】を手に取った。
△△△△△
人手クモの糸見本帳
レベル:1
耐久度:∞/∞
干渉力:100
浸食率:100/100
異形度:1
人手クモのタコトンビと巻物をベースに作られた見本帳。人手クモの紡ぐ糸の
見本帳を開くことで様々な性質と特徴を持つ糸がわずかに作成される。しかし、これによって紡がれた糸を素材にすることはできない。
▽▽▽▽▽
「服屋の色見本帳かよ」
巻物を開くと巻物に貼り付けられた糸と、その糸に関する説明文が書かれていた。
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蜘蛛糸
レベル:1
異形度:1
消費する呪詛に応じて生成される糸の長さが変化する。
蜘蛛の糸。普通の糸とはいえその強度は一本で100tの力に耐えられる。よく伸び、曲がり加工しやすい。
▽▽▽▽▽
「100tだと?!」
1mm程度の細い糸で100t支えられるのか。同じ太さの鉄と比べると、およそ5倍の強さだ。人力で破壊するのはほぼ不可能だな。使い道はいろいろあるだろうし、織って布にしても使えるだろう。
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強鋼糸
レベル:3
異形度:1
消費する呪詛に応じて生成される糸の長さが変化する。
通常の糸よりも強度が上がっている。高温、火、低温、薬剤、切断などに強く、固い特性を持つ。そのため、加工はしにくくあまり曲がらない。
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「頑丈な代わりに汎用性がなくなった感じか。蜘蛛糸がロープならこっちはワイヤーだな」
そして、蜘蛛糸に比べてレベルが高い。糸自体のレベルも表しているのだろうが、要求レベルも含んでいそう。
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弱罠糸
レベル:2
異形度:1
消費する呪詛に応じて生成される糸の長さが変化する。
通常の糸よりも強度を意図的に下げることができる。高温、火、低温、薬剤、切断など特定の条件下において切れやすい性質を付与できる。
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「罠を起動するためのスイッチか。色々使えそうだな」
切れる条件を組めるのはスイッチとして優秀だ。対人戦でも重宝するだろう。
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粘着糸
レベル:4
異形度:2
消費する呪詛に応じて生成される糸の長さが変化する。
粘着物質を纏う糸。96時間後に硬化し、蜘蛛糸になる。どんな物質にもくっつけることができ、硬化後の強度も高い。
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「蜘蛛の巣みたいな糸だな。接着剤としても使えそうなのは便利だな」
そして、異形度が高い。いい能力になると上昇すると考えていいだろう。
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錯視糸
レベル:4
異形度:2
消費する呪詛に応じて生成される糸の長さが変化する。
周囲に溶け込む色になる糸。相手の視認を誤魔化す糸のため、視覚ではない感知能力持ちには効きづらい。
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「俺の足を引っ掛けたやつだな」
見えにくい程度で全く見えないわけではない。注意深く見れば簡単にばれるだろう。使えないわけではないが、多用するなら使い方を考えなければ。
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伝達糸
レベル:7
異形度:5
消費する呪詛と体力に応じて生成される糸の長さが変化する。
情報を伝達する糸。光ファイバーのように様々な情報を高速で大量に伝えることができる。
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「奴らの連携や奇襲はこれでタイミング計っていたんだな」
遠距離通信に便利そうである。
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神経糸
レベル:10
異形度:10
消費する呪詛と体力に応じて生成される糸の長さが変化する。
神経のような糸。呪詛を消費して簡単な計算ができる。複雑に繋ぐほど高度な計算能力を発揮する。
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「レベルも異形度も10。それだけ価値が高いってことか」
もしかしたら簡易なコンピュータぐらいなら作れるかもしれない。使い道が思いつかないので手探りで探していくしかない。
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血管糸
レベル:10
異形度:10
消費する呪詛と体力に応じて生成される糸の長さと太さが変化する。
血管のような中空の糸。呪詛や液体を運搬できる。
▽▽▽▽▽
「血管というよりはチューブだな」
運べるものは血液だけではないみたいだし。これもよく分からない。
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結界糸
レベル:15
異形度:10
消費する呪詛と体力に応じて生成される糸の長さが変化する。
境界を示す特別な糸。結界などを張る際の要になる。物理的な強度が高く、呪に馴染みやすい。
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「注連縄みたいなものか」
レベルの高さが際立つ。これも用途は良くわからない。
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結縁糸
レベル:20
異形度:20
何を結ぶかによってコストの大きさも種類も複雑に変化する。
縁を結ぶ糸。呪に非常によく馴染み、複雑な効果を発揮する。
物理的に存在しておらず、全ての物理干渉を無効化し、ほとんどの呪術的効果も無効化できる。
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「レベル異形度共に20。強力なのは分かるけど手を出せるのはまだ先だな」
これもよく分からないので後回し。いつかの自分が片付けてくれるだろう。
一通り読んでみて、試しに鑑定のルーペで詳細な鑑定をしても同じことしか書かれていなかった。今のところ、自分が知れるのはここまでらしい。
総評としては、結構使えそう、という感じ。
もう少しまとめると以下の通り。
まず、糸の種類に関わらず、基本的に太さは直径1mm程度、長さはコストしだい。レベルや異形度が高いと高機能ということだ。
個別の評価はこんな感じ。
・蜘蛛糸→ロープ
・強鋼糸→ワイヤー
・弱罠糸→切れ目の入ったロープ
・粘着糸→接着剤orトリモチ
・錯視糸→見えにくいロープ
・伝達糸→光ファイバー
・神経糸→神経?要検討
・血管糸→チューブ、ホース
・結界糸→注連縄?要検討
・結縁糸→?要検討
よく分からないものも多いので今後は手探りで探っていく必要があるだろう。
「とにかく、糸を作るアイテムか能力がいる。狩ってこないと」
ちなみに、レベルアップしていた。あの儀式のあまりの衝撃に通知に気づかなかった。
ついでに新たに獲得した称号も挙げておく。ただの記念称号だが。
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『呪物初生産』
効果:効果なし
条件:呪怨台を使ってアイテムを製作する
貴方は呪いを生み出すものとしての第一歩を踏み出した。
▽▽▽▽▽
そして俺はセーフエリアの外へと再び繰り出した。
ーーーーー
さて、俺は人手クモを狩るにあたって装備を変更した。
「まず、野太刀は使わない」
これは単純に耐久度を減らしたくないという点と、長物は使いにくいという点だ。詳しい話は後でするとして、次の説明。
「戦闘スタイルを素手によるカウンターに変更」
これまでの戦いから奴らはクリティカルによる即死狙いを基本戦略にしていることが分かった。そして、奴らの狙いは頭だ。最初から頭を狙ってくるのなら、その迎撃も容易い。腕が3対もあれば頭部の守りは相応に固くなる。簡易の盾を頭上に掲げれば上からの奇襲も防げる。背後は背中の目と尻尾が、正面は残りの腕が対処できる。
とはいえ、クモの糸を素手で触るのは嫌なので長い棒を忘れることはしない。邪魔だが俺の精神の安定に必要なのだ。これは必要経費である。
ちなみに、簡単な盾も作っておいた。性能はこんな感じ。
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欄間の盾
レベル:1
耐久度:300/300
干渉力:100
浸食率:100/100
異形度:1
欄間から作られた簡易の盾。
防御力は低いが耐久力は高い。
▽▽▽▽▽
奇襲を防ぐことだけ考えて作ったからか、防御力は高くない。奴の行動を制限する程度だ。まあ、長持ちしてくれとは願っていたから耐久度が伸びたのだろう。これを頭上に掲げるのだ。
しばらくダンジョンをうろつき8体の人手クモを狩った。2体同時に襲い掛かられなければ対処は簡単だった。あと、人手クモが仲間意識が強いことも分かった。一体撃破すればもう一体は必ず襲い掛かってくる。おかげで効率よく狩ることができた。
ただし、順調そのものだった人手クモ狩りで問題点が一つ出てきた。
「アイテムの持ち帰りが面倒すぎる」
CNPにインベントリはない。よって、ドロップした素材アイテムは抱えて帰る必要がある。邪魔で邪魔でしょうがない。というわけで、早急にインベントリにあたるアイテムを作る必要があるわけだ。
「インベントリは袋がいい。でも素材がないんだよ」
ドロップしたのはタコトンビばかりで袋にするにはどうやっても不可能である。なので、蜘蛛糸でいいので糸を吐き出すアイテムを作ることにした。
ということで、再び儀式場の出番である。
ーーーーー
さて、セーフエリアへ戻ってきたが儀式場を変更する。変更したのは敷き詰めた戸襖が作る形状で、それ以外は手を出さない。
「今回は蜘蛛糸が目的。だからクモの巣を連想する儀式場にしよう」
クモの巣っぽいものを作るために糸を回収した。ただし、頑丈すぎて切ったりの加工ができなかったので、一本丸ごとになる。
「クモと言えば8本脚。蜘蛛の巣も八角形のイメージだから、8という数字に意味を持たせる」
刃物がないなりに戸襖を加工して何とか正八角形を作り上げた。タコトンビが9個あってよかった。8個を儀式用に回せる。それぞれの頂点にタコトンビを置いていき、それぞれを糸でつないで正八角形の形にする。中心と各頂点も結んでいく。部屋を5往復ぐらいできる長い糸だ。余った分は呪怨台に乗せておく。これで儀式場は完成だ。
「後はタコトンビを呪怨台において、呪うだけ、と」
扉に閂をしっかりと差して開かないことを確認する。また何かとんでもないものが来たら困る。
部屋の中央へ再び動かした呪怨台の前に座り、儀式を始める。
「かしこみ。かしこみ。苟も"呪限無の落とし児"がイナミがここに、【人手クモのタコトンビ】へ呪いをかける」
「我は蜘蛛糸を欲するもの」
「其は蜘蛛の糸を作るもの」
「礎に糸を紡ぎしものと蜘蛛の糸」
部屋の中の呪詛が呪怨台のタコトンビへ集まっていくのが分かる。
「依りて其の業を分かち給え」
八角形の糸に呪詛が流れる。
「依りて其の権を移し給え」
糸がタコトンビへ呑まれていく。
「吐く糸は我が糸となり」
周りのタコトンビも呑まれていく。
「紡ぐ糸は我が呪となる」
呪怨台の上が呪詛の霧で満ちる。
「ここに縁を結び、ここに呪を結ぶ」
霧の奥で何かが光る。
「畏み畏み、お頼み申す」
そして、アイテムが完成した。
△△△△△
蜘蛛糸の糸壺
レベル:1
耐久度:∞/∞
干渉力:100
浸食率:100/100
異形度:1
一つの人手クモのタコトンビと、八つのタコトンビ、一本の蜘蛛糸により作られた糸壺。周囲の呪詛を集めて蜘蛛糸を作り続け、蓄える。
壺の中身を見ることは能わず、しかし確かに糸が紡がれる。
注意:呪詛が足りない場合、糸の生産も止まります。
注意:一定以上糸を蓄えると、糸の生産が止まります。
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鑑定のルーペで確認するが、性能はまずまず。むしろ望んだものに近い。不満があるとすれば、持ち運びができないということだ。
「高さは70cmぐらい。直径は60cmぐらいか」
重さもそこそこある。持ち運びできなくはないが、戦闘には使いにくい。これをもって糸を引き出しながら戦うのはさすがに難しい。
「元からアイテム作成用だから、戦闘に使えないのはあまり問題じゃないけど」
高望みしすぎた部分もあるので気にしないことにした。
結構存在感があるので部屋の隅に移動させる。
糸壺へ手を突っ込むと糸があるのが分かる。引き出してみると、大体10cmぐらいだった。
「この短時間で10cmなら生成速度は期待できそう。あとはどれくらい蓄えるかだな」
糸をどれくらい蓄えられるのか調べるためにしばらく放置することにした。太さ1mmとはいえ編んで作るなら200~300mあればいいだろう。
今日はここまで。
戸襖を正八角形にするのに体力や時間が持っていかれたので一度ログアウトして休むことにする。
だんだんアイテムもそろってきました。そろそろダンジョン探索を本格化させたい。