fate/G0(フェイト/グラウンドステイト) 作:なむさんばがらす
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3, ――……3、2、1、Secret Weapon
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「なるほど、ここに来れるってことは……きっと彼は、『死』に何らかの耐性のある英霊なんだろうね」
冬木の特異点の修正に合わせて消滅するはずだったバーサーカーは、自身の存在が曖昧になったときに、魂だけがこのサイバー空間へと『落ちた(extinct)』のだった。
「なに落ち着いてるのよ!! あんなの勝てるわけないじゃない!」
取り乱すマリーに対し、エックスは微笑んだまま、彼女を安心させるように言った。
「大丈夫だよ。ボクだって英霊なんだから。あんな影武者みたいのにやられるほど弱くないよ」
「貴方全然強そうじゃないわ!」
マリーの率直な非難にエックスは思わず苦笑する。
「確かに、キャスターとしての僕は荒事には向かない。『彼』に武器を渡したり、バックヤードの人員を悪の洗脳電波から守ったり……おとぎ話の魔法使いのような立ち回りばかりだったからね。でも――
――今のボクには『彼(ゼロ)』がいる。
宝具、『朋友(ロックマンゼロ.exe)』起動」
エックスはどこからか取り出した木製の錫杖を掲げ、そう言った。
その瞬間、エックスの物と思われる青い魔力と黒い魔力の二重螺旋が、英霊召喚の魔法陣とは似て非なる紋様を描いた。
――――――ッッッッッ!!!!!!!
バーサーカーはただならぬ魔力の奔流を感じ、そうはさせじと突撃してきた。
「遅い。ゼロはもう来ているよ、バーサーカー」
そう聞くや否や、今まさにエックスを切り刻もうとしていたバーサーカーの大剣に横合いから強烈な拳撃が加わり、逸れて地を抉った。
そこで舞いあがった土埃が晴れぬうちに、三閃。
バーサーカーが大剣を引き戻すまでの一瞬のうちに叩き込まれた三連撃は、確実にバーサーカーにダメージを与えた。
そして、大剣を引き戻し楯としたバーサーカーを襲ったのは、たたらを踏むほどの打撃だった。
徒手空拳
剣閃
破城鎚のような何か
いくつもの武器を自在に切り替えてバーサーカーを手玉に取った存在は、バーサーカーが距離を取ったのを見計らって、舞い上がった土煙を斬り払った。
紅く近未来的なデザインの戦装束で、これまた近未来的な光る剣と光るトンファーのようなものを構える金髪の美丈夫がそこにいた。
「久しぶり、ゼロ」
「……エックスか、その姿は何だ」
ゼロと呼ばれた美丈夫はエックスの方を見、驚愕してもう一度見た。
まさか女体化の呪い(ミッドナイトブリス*1)でも喰らったのだろうかとゼロは思った。
「ちょっとしたミスで、色んなのと混ざっただけさ。ボクはボクだよ。呪われてるわけでもない」
「……そうか」
「とりあえず今はあれを倒そう。行けるかい? ゼロ」
「……あぁ」
ゼロはうなずくと、襲い掛かる機会を窺っていたバーサーカーへと向かい、激しい戦闘を繰り広げた。
「アレ何!? あんな奥の手があったなんて聞いてないわ!」
「聞かれなかったからね、話す暇もなかったし……というか、ボクもどこまで自分とカノジョ(・・・・)の力が使えるのか量りかねてる節があるんだよ」
「だったらあの自信は何だったの?」
彼女、とはエックスと混じってしまった英霊の事だ。エックス曰く、英霊というよりも神霊の類なのだというのをマリーは聞いていた。
ゼロ、という宝具がどちらの物なのかはマリーには分からなかったが、それが使えなかったら今頃エックスもマリーも鏖殺されているのは明らかだった。
マリーの責めるような視線に少し驚いたあと、エックスはすぐにマリーの不安を理解し、笑った。
「大丈夫だよ。カノジョに限って、ゼロを封じるなんてことはそれこそありえない。だってカノジョは――いや、何でもない」
「何よ。歯切れの悪い」
「ごめん。とにかくそんなことはありえないし、現にゼロはいる。これでいいんじゃないかい?」
エックスはばつが悪そうに首の後ろを掻いた。
だってカノジョは――ボクの力(Xバスター)を封じて、結果的にゼロを呼ばざるを得なくしたんだから。
という言葉は呑み込んで、である。
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4, ――動(drive)、錆(stain)、傷(flick)、壊(tear down)
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のんきに話し合っているオルガマリーたちとは打って変わって、ゼロは一撃でも喰らえば木端微塵になってしまうようなバーサーカーの剛撃を避け、光る剣にて着実にダメージを与えていた。
ゼロが今戦っているバーサーカーの元の英霊は、ギリシャ神話の大英雄ヘラクレスであり、十二の試練こそ有していないものの、守りを考えない狂戦士にあるまじき耐久力は健在であった。
ただ、ゼロとは相性が悪かった。
自身が "人の身では絶対に到達不可能な"(A+) 格の宝具であり、なおかつ彼の持つ力(英霊として呼ばれていれば宝具に当たるそれ)は己の武芸、武技を頼みとする者たちからすれば天敵と言っても過言ではなかった。
バーサーカーの動きを、剣捌きを、体捌きを、――解析し、学習し、超越する。
"無限の進化を遂げる存在"を殺すために作られたが故の、"無限に習得(ラーニング)し、超克する機能"
その機能が十二分に発揮されていた。
十合に一合だけバーサーカーの身体へ届いていた刃が、九合に一合、八合に一合と短くなっていく。
そして数十分後、斬り付けられ続けたバーサーカーは、次第に動きが鈍くなり、そして止まった。
「……」
爆発などせずに、光る粒子となって消えたバーサーカーを見、ようやくゼロは剣を降ろした。
「終わったみたいだね。ゼロ」
「案外あっけなかったのね」
見ていただけの二人は特に思うところもなく、中でもオルガマリーは特異点Fでのサーヴァント戦、巨大な藁人形や極太黒ビーム、を見ているためか迫力に欠けるとすら思っていた。
だが、ゼロは違った。
「……オレと生身でまともに戦える人間は初めてだ」
「まぁ、英霊として世界のデータベースに記録されてるぐらいの人間だしね。それに、ボクらの時代にはなかった『魔力』と『神秘』が生物をコンタミして、常識はずれの膂力や能力を持った人物が昔にはわんさかいたらしい」
「……そうか」
「ボクもキミも、生前はある程度信仰されてたみたいだから、申し訳(E-)程度の神性が付与されてるね。『神殺し』の権能には気を付けないと」
このやり取りを聞いていたマリーは訝しんだ。
まともに戦える人間が初めて、ということは彼らの世界の人間は極めて一般的であったということである。
だのに、彼らの実力は太古の英雄と遜色ない。
ならば、彼らはその有り余る力で何を為し、信仰を得、英霊、あるいは反英霊となったのだろうか、と。
「いい加減、旧交を温めてないで説明してほしいのだけど?」
「ああ!ごめんごめん。ほらゼロ、ボクのマスターのマリーだ」
「ちょっと! いきなり愛称とか馴れ馴れしすぎない?」
あくまでマスターとして敬意を払ってほしい(チヤホヤされたい)オルガマリーがエックスの物言いにかみついた。
「じゃあオルガマリー? それともアニムスフィア女史?」
「後者で」
「だってさ、ゼロ」
「……ゼロだ。クラスは……イレギュラーな召喚のせいで詳しいクラスは不明だ。よろしく頼む、アニムスフィアジョシ」
ゼロは敬称という考え方を理解せず、一続きに発音したのだった。
「…………敬称はあきらめたわ。勝手になさい」
文化圏(時代)の違いというものをまざまざと見せつけられたマリーは結局、折れた。
「よし、それじゃあ改めて、よろしくマリー。ボクとゼロは、君の味方だ」
"君の味方"
その言葉で、オルガマリーは自分の心が酷く痛んだのが分かった。
レフ・ライノール
天地がひっくり返っても裏切るはずのない、と思っていた男に裏切られた。殺された。
さっきまでは異常事態の連続で考える暇もなかったが、あの男が私を、私の努力を、見下し、嘲笑い、踏みにじったのだ。
まるで、心に負った深い傷が壊死していくように黒い感情が湧きあがった。
レフへの復讐。
それは、ともすれば自身の復活よりも重要なマリーの目標となった。
「よろしく、エックス、ゼロ」
彼らがそれを渋るようなら令呪を使い切ってでも成し遂げてやる、とマリーは思った。
フランス編を一から書くか、さっくり飛ばしておもろそうなところだけ書くか悩み中。
だいぶ忘れてるので原作履修からですねこれは…
ともあれ、ご視聴ありがとうございます。