続きは連載になると思います。
※今作はAIと相談しながら設定を作っております。
青春とは嘘であり、悪である。
などと昔の俺は抜かしていたわけだが、大学生になった今でもその認識はあまり変わっていない。
むしろ悪化した。
高校という場所はまだ優しかったのだと思う。
クラスという狭い箱庭があり、部活があり、イベントがあり、望む望まないに関わらず人間関係を押し付けられる環境だった。そこには最低限、“所属”があった。
だが大学は違う。
自由だ。
そして自由というのは、大抵の場合、他人への無関心とセットで存在する。
誰が何をしていようが興味はない。講義が終われば散り散りになり、サークルやSNSで器用に繋がれる人間だけがコミュニティを形成していく。
つまり俺みたいな人間には少々生きづらい。
「……帰るか」
夕暮れのキャンパスを歩きながら、小さく息を吐く。
スマホを見る。
由比ヶ浜からのどうでもいいスタンプが数件。
雪ノ下からの事務連絡じみた短文。
小町からの『お土産よろしく』。
人との繋がりがないわけじゃない。
それでも時々、妙に世界から浮いている感覚に襲われる。
大学生になっても、結局俺は俺のままだった。
そんなことを考えていた時だった。
「――比企谷八幡さんですね」
不意に、声。
顔を上げる。
黒服。
二人。
いや、三人か。
いつの間にか俺を囲むように立っていた。
「宗教勧誘なら間に合ってる」
「ご安心ください。あなたに幸福をお届けに来たわけではありませんので」
丁寧な口調だった。
だが妙に寒気がした。
黒服の奥。
街灯の影の中に、一人の男が立っていた。
白いスーツ。
不気味なほど整った姿勢。
そして、人間離れした目。
「あなたのような方を探していたのですよ」
男は穏やかに笑った。
「……誰だ、おっさん」
「ウルガ、とでも名乗っておきましょうか」
その瞬間だった。
背後から衝撃。
首筋に何か刺さる。
「っ……!?」
視界が揺れた。
膝から力が抜ける。
「申し訳ありません。少々乱暴でしたね」
ウルガは俺を見下ろしながら、静かに告げた。
「ですが安心してください。あなたは選ばれたのです」
「……は……?」
「孤独に耐えうる者だけが、次の段階へ進める」
そこで意識が途切れた。
◇
目を覚ました時、俺は拘束されていた。
冷たい金属台。
両腕。
両脚。
首。
全て固定されている。
「……っ!」
無理矢理身体を起こそうとするが動かない。
周囲には機械。
薬液。
青白いモニター。
そして――悲鳴。
遠くで誰かが叫んでいた。
「起きましたか、アハト」
ウルガだった。
白衣姿の研究員達を従え、まるで歓迎でもするように微笑んでいる。
「ふざけんな……ここどこだ……!」
「ノバショッカーの研究施設ですよ」
さらりと言った。
いや待て。
何だその昭和特撮みたいな名前。
「あなたには感謝しています」
ウルガは続ける。
「社会から弾かれ、孤独を抱え、他者を信用しない精神構造。実に素晴らしい適性でした」
「褒められてる気が一切しねぇ……」
「ええ。褒めていますとも」
心底楽しそうに、ウルガは言った。
「あなたのような人間こそ、進化に相応しい」
その時だった。
警報が鳴り響く。
赤いランプ。
爆発音。
『侵入者確認! 侵入者確認!』
研究員達が騒ぎ始める。
ウルガだけは冷静だった。
「……CODEですか。面倒な」
次の瞬間。
天井が吹き飛んだ。
煙。
火花。
銃声。
黒い影が舞い降りる。
「ったく……最悪ね」
女だった。
黒いコート。
顔の半分を隠すバイザー。
拳銃のような武器を片手に、研究員を蹴り飛ばしている。
「実験体に大学生使うとか趣味悪すぎでしょ」
女は拘束された俺を見る。
一瞬だけ目が合った。
「……運が良かったわね」
彼女はそう言って拘束装置を撃ち抜いた。
金属が弾ける。
「逃げなさい。ここ、もうすぐ爆発するから」
「は?」
「説明してる暇ない」
彼女はそれだけ言うと、別方向へ駆けていった。
再び爆発。
研究施設が激しく揺れる。
「お、おい!」
叫んでも返事はない。
仕方なく俺は立ち上がった。
身体が妙に軽い。
いや、軽すぎる。
「何だよ……これ……」
視界が異常に鮮明だった。
遠くの音が聞こえる。
人の心臓音まで分かる。
気持ち悪い。
だが今はそんな場合じゃない。
出口を探して走る。
その途中だった。
ケースに収められた黒いベルトが目に入る。
奇妙な機械。
中央に青白い発光体。
なぜか目が離せなかった。
『OUTSIDE DRIVER』
突然、機械音声。
「うおっ!?」
反射的にベルトを掴む。
その瞬間だった。
背後で何かが動いた。
「へへ……へへへへ……」
振り返る。
そこにいたのは――怪物だった。
黒光りする外殻。
赤い複眼。
人型と昆虫を無理矢理混ぜたような姿。
「やっと自由だ……!」
怪物は笑っていた。
「見下しやがって……! 俺を馬鹿にしやがってぇ!」
その目が俺を捉える。
「お前もそうなんだろ!?」
「……っ」
その言葉に、一瞬だけ動きが止まった。
怪物。
いや、元は人間。
俺と同じ。
「お前もこっち側だろぉ!!」
怪物が襲い掛かってくる。
速い。
異常な速度。
避けきれない。
その瞬間、俺の身体が勝手に動いた。
気づけば俺は、アウトサイドライバーを腰へ装着していた。
『OUTSIDE ACCEPT』
黒いフレームが全身へ展開する。
視界が変わる。
青白いライン。
金属装甲。
異様な力が身体を満たす。
俺は――変身していた。
「……クソ」
自嘲気味に呟く。
「結局こうなるのかよ」
ゴキブリ怪人が飛び掛かる。
だが今の俺には、その動きが見えた。
自然と拳を握る。
そして――。
◇
その夜。
研究施設跡地では、青白い閃光が走っていた。
異形の怪人――コクロが宙を舞う。
黒き戦士が地を蹴る。
鋭い拳撃。
爆発。
火花。
そして。
『ACHT PUNCH』
無機質な音声。
右腕へエネルギーが集中する。
黒い戦士――仮面ライダーアハトは、迷いを振り払うように拳を突き出した。
衝撃。
コクロの身体が吹き飛ぶ。
「が……ぁ……!」
怪人の外殻が崩れていく。
最後に見えた顔は、普通の若い男だった。
アハトは動けなかった。
自分も同じだからだ。
怪物になった人間。
いや、人間だった怪物。
その境界が分からなくなる。
『お見事ですよ、アハト』
突然、通信。
ウルガの声だった。
『やはりあなたは成功例だ』
「……成功?」
『ええ。あなたは選ばれたのです』
アハトは黙ったまま拳を握る。
視線の先には、自分の黒い装甲。
化け物の腕。
夜風が吹く。
遠くでサイレンが鳴っていた。
青春とは嘘であり、悪である。
……だが。
化け物ってのは、多分それより性質が悪い。
・仮面ライダーアハト
変身ベルト『アウトサイドライバー』によって比企谷八幡が変身する仮面ライダー。
外見は
黒ベース
細身
発光ラインは青白
マフラーなし
目は半開きのような鋭い複眼
スーツは“鎧”ではなく“拘束具”っぽい
コンセプトは「ヒーローらしくないヒーロー」
・コクロ
ゴキブリ型改造人間で、改造される前は典型的なニートだった。素早い動きや飛行能力が特徴だが、改造人間になって日が浅く能力を使いこなせているとは言い難い。