やはり俺の界境防衛生活は間違っている。 作:RAKU0221
こんにちは、なんか気づいたら評価に色ついててびっくりです。
お好み焼きかげうらとの一件から数日、今日は日曜日だが俺は本部に足を運んでいた。よく考えるとボーダー隊員て、平日は学校行ってシフト次第で防衛任務、真面目なやつは土日にも研鑽を忘れず本部へ…………うーんこの社畜っぷり俺と彼らの将来が心配だ。
今日は狙撃手の合同訓練がある、絵馬にそちらに顔を出すと言ってしまった手前なんとなくいかないのは憚られたのだ。まぁ行かなかったとして、絵馬はそれを根に持つタイプではないと思うがそこはなんとなく、ほら、ね?
本部に入りトリオン体に換装し、狙撃訓練場に向かう。少し早めに来てしまったがすでに何人か隊員が来ていた。
「………みんな土日なのにごくろーさんだな」
「お前もな、比企谷」
「荒船先輩、うっす」
「おう、万能手になってからはあんまり顔出してなかったんだろ?どうしたんだ?」
「絵馬に今度顔出すって言っちゃいましたんで」
荒船哲次、一つ上の先輩で数ヶ月前に狙撃手に転向した元攻撃手という異色の経歴の持ち主。攻撃手としてもマスタークラスだったが、狙撃手としてもマスター秒読みという恐ろしい人である。その上顔も良いときた、ボーダーはそんなのしか居ないの?八幡泣いちゃう。
「そうか、比企谷の隠密は手強いからな。いい訓練になるぜ、じゃあまた後でな」
「うっす」
ちなみに、地味に俺はこの手の訓練においては生存率は良さげだったりする。小学生の頃から培ってきたステルス八幡は狙撃手とは相性が良いらしい。東さんには負けるが。
狙撃手の合同訓練、ルールは至極単純だ。
トリオンで生成されたフィールドに参加者はランダムに転送される。その中で狙撃合戦をする、言ってりゃそれだけだ。だがランク戦と違うのは弾が当たってもベイルアウトしないという点で、当たったら当たった箇所にマークがつく。当てたら5点、当てられたら-2点で訓練終了時に、ポイントの合計を比較してランキングが出る。上位に入ればポイントがもらえるというわけだ。
『それではこれより、狙撃手合同訓練を開始します。転送開始』
(荒船先輩と狙撃対決はやったことねーし、ダラダラやってる俺なんかより皆んな成長してんだろうな…………帰りたくなってきた)
ーーーーーーーーーーーーーー
ー転送後、市街地フィールドー
狙撃訓練に使われるフィールドは、ランク戦等に使われるフィールドに比べて各建物が高く、身を隠す場所が多めと言った印象だ。まぁこの訓練が隠密と、精密射撃、位置取りなどの狙撃手としての基本技能を競うものだから当然と言えば当然だが。
一先ずはバッグワームを見に纏い、索敵しながら良いスポットを探す。この時にステルス八幡を発動させるのがミソだ、移動中は最新の注意を払うのを忘れてはいけない。狙撃手ってポジションは、移動中に奇襲をかけられたらほとんど何もできないからな。そのために俺は近接も多少鍛えてるんですけどね。
「………お、1人発見」
移動中ではあるが、前方に見える少し高めの建物内にイーグレットを構える1人の影が見えた。こちらには気付いてないようだな、なら遠慮なく頂いておこう。
そいつを狙えそうな民家へと入り2階部分へ移動、窓を開け放ち狙いを定める。どうやらそいつは他の隊員を狙っているようだ。ならば狙うタイミングは……………発砲の瞬間。
そいつが発砲した次の瞬間俺も引き金を引く、うまく命中したようでそいつの方にはマークがついた。当たった位置から射線を特定しすぐにこちらにイーグレットを向けたようだが、俺はすでに移動している。
狙撃手たるもの一射一殺、撃ったら即移動が鉄則だ。チーム戦ならその限りではないが、ソロでの狙撃合戦はいかに隠密と精密射撃の精度が高いかが問われる。故に俺はこの訓練が得意なのである。
それから制限時間いっぱい俺はフィールドを動き続けながら取れる点を取っていった。
結果は全体のうち4位、中々上位に食い込めたな。まぁ当間さんとか絵馬はこの手の訓練手を抜くし、東さんも居ないっぽいしな。
それにしても荒船先輩は9位か、まだ転向して半年とかそんなもんだと聞いてるがそれでこの順位はマジで頭おかしい。荒船隊の他2人は穂刈先輩が6位で半崎は5位、うんマジでイカれてんな。
「比企谷先輩、おつかれ」
「……絵馬か、相変わらずこの手の訓練は力抜くのな。お前」
「うん、でも先輩を探して撃つのはいい訓練になる」
「左様ですか、しっかり当てられてますけどもね確かに」
俺の横腹あたりについているマークは絵馬のものだ。今回の被弾は3発で、全てが致命の一撃である。もう2発は……………
「おうヒッキー、まだちっと隠れ方が甘いんじゃねぇの?」
「比企谷、さすがだな」
奈良坂と当間先輩である。
奈良坂は1位、さすがのスコアだ。2位である佐鳥とかなりの差をつけている、秘訣はやはり被弾の少なさだろう。見たところ、当間先輩からの一撃しかもらっていないようだった。ちなみに当間先輩は被弾0だが順位は67位とかそんなもんだ。ある程度狙ってた奴らに当ててあとは見つからない場所でサボるのがこの人のスタイルだからな。
「当間先輩は被弾0っすか、さすがっすね」
「まぁな、にしてもまた見つけにくくなったんじゃねぇのヒッキー。今回は見つけられねぇと思ったぜ」
よく言うよ、しっかり頭に当てといて。
俺だけではない、絵馬も奈良坂も当間さんに一発貰ってる。奈良坂だけは頭から外しているのは流石の一言だな、多分撃たれる直前当間さんに気付いて身を捩ったんだろう。
「あ、そうだ。比企谷先輩、このあと時間ある?」
ふと思い出したかのように絵馬が問いを投げてくる。コテンと首を傾げる様子がなんかかわいいな、こいつデカくなったら無気力系イケメンになりそうだ。いまからこいつに狂わされる未来の女性隊員達が可哀想だ。爆発しろ。
「一応暇だが………何?怖い」
「カゲさんが、今日暇だったらランク戦しようって」
「………マジですか」
「おぉヒッキー、ついにカゲにも目ぇ付けられたのかよ。アイツはランク戦となったら聞かねぇぞー」
「お前は本当に、やっかいな人に目を付けられるな」
奈良坂よ、そう哀れみの目で見るな。あと君もそっち側なんだって自覚あったりしますか?
「どう?」
「んあー………この間奢ってもらっちまったし、断れねぇな」
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
絵馬に連れられて、俺は影浦隊の隊室に来た。知り合いの隊室に入れてもらうことはそこそこあるが、各隊の色が見えて実はちょっと面白かったりする。
特に癖があったのは冬島隊だ。一角が真木専用スペースとなっており男子は禁制、片手で数える程度だがチェスに誘われ入れてもらった時はチェスの他に本が多かった印象だ。
「多分カゲさんまだ居ないけど、待ってれば来るから」
「あいよ」
中に入るとそこに広がっていたのは……………一言で言えば、実家のリビングってとこだ。
明らかに二礼のものであろう炬燵に、所々私物が散乱している。てか二礼の物多すぎだろ、持ってくるのは良いけど掃除しなさい。てか炬燵なんかモゾモゾしてない?
中から這い出てきたのは、案の定二礼である。
「おーユズルー、訓練終わったかー。あ、比企谷?よっ」
「よっ、じゃねぇよ。最近寒くなってきたとは言え流石にダラけすぎだろ」
「炬燵がアタシを離さないんだよ」
「比企谷先輩座ってて、お茶入れる」
「悪い」
絵馬が淹れたお茶を飲む。うむ、美味い。ちょくちょく見ていたが手際も良かったな。もしかして来客の対応って絵馬がやってたりすんの?いやまぁオペレーターがやれ!みたいな昭和の親父みたいな理論は振り翳しませんけど、でも二礼のやつ「ユズルーアタシのもー」みたいな感じでお茶用意させてましたよね?年下をこき使うんじゃありません。
「カゲさんそろそろ来ると思う」
「んおーカゲとやりに来たのかー。準備する?」
「いや、多分ランク戦ブースでやるからいらん」
「じゃあアタシはまたコタツムリになるー」
二礼よ、あまり女子にこういうことは言いたくないが、食べ過ぎには気をつけんだぞ。
しばらく絵馬と狙撃についての議論に勤しむ。俺は入隊して2年と経たないため、隊員達について詳しく知っているわけではない。だがそれでも、絵馬は中学生狙撃手の中で抜きん出た才能マンであることはわかる。
各トリガーのポイントを10000まで伸ばすのは簡単じゃない、特に狙撃手は他のポジションと違いソロランク戦で競い合うということがほぼ無いため、一つ一つの訓練とチーム単位のランク戦での戦績に左右される。にも関わらずこいつはこの若さで全狙撃手の中でもトップクラスの実力を持つ。普通に近距離でも当ててくるからねこの子。
そうこうしているうちに、隊室の扉が開く。そこには眠たげにフラフラと佇む影浦先輩が居た。
「おつかれさまです」
「んあ?おー来たな、じゃあブース行こうぜ」
俺を見た途端その目には闘志が宿る。この人マジで戦闘狂なのね、怖い。大体、こうなったのは加古さんのせいですけどね。
「じゃあ絵馬、仁礼、俺行くわ」
「俺も行く、比企谷先輩の戦闘あんまり見たことないし」
ーーーーーーーーーーーーーー
ーランク戦個人ブースー
「じゃあ俺は115に入る」
「俺は110に入ります.........手加減とかは」
「あん?するわけねえだろ、お前も本気で来い」
本気で来いと言った影浦先輩の顔は、今にでも俺にとびかかってきそうなほどだ。反射的に俺は先輩の一挙手一投足を警戒し、視線を飛ばす。だが案の定影浦先輩はそのすべてに反応したようで、ぶっちゃけ今からやる気失せる。SEの正確な性能は知らないが、東さん以外は打ち破れないんですよね?無理じゃない?
「まあ、やるだけやるか。ちゃんとやらんと後が怖い」
ー転送完了、市街地ステージー
転送完了後、バッグワームを着こみ突撃銃を持ちながらステージを駆ける。影浦先輩のSEは、人の気配を気取る手のものではなく、自身に向けられる視線や殺気を察知するタイプっぽいのはランク戦のログから何となく察しがついている。勝ちに行くなら、先に見つからないことは絶対条件だろう。
隠密だけなら、狙撃手の訓練でもそれなりに結果を残している。まずは家の中や塀などの遮蔽物を頼りに姿勢を低く保ち移動する。影浦先輩は戦闘狂の類だ、コソコソ隠れるようなことはしない。なんなら........。
「......堂々としてんな、さすが」
少し大きめの一軒家の屋根の上で四方に警戒心を張り巡らせる影浦先輩を発見。いつでも来いと言わんばかりだな、まあそうしないと勝てないんで行きますけどねハイ。
手始めにアステロイドを乱射する。だが銃口を向けたその瞬間、背中を向けていたのにもかかわらず影浦先輩は反応。なるほど、やっぱそういうタイプね。
弾速と射程に振っている俺のアステロイドは影浦先輩のシールドに難なく防がれる。シールドで防ぎながらこちらに猛進、射程範囲ギリギリから狙ったため少しの暇はあるが、それでも退避する時間はなさそうだ。
「猛獣ですかあんた......っ!」
「遊ぼうぜ比企谷ぁ!」
右手にダガーナイフ程度の大きさのスコーピオン、左手に拳銃を携え迎え撃つ体制を取る。まあまともに正面からやるつもりはないんですけどね。
バックステップで距離を取りながら拳銃を乱射。頭、胸や腹の中心部などの急所への攻撃は、SEが無かろうと皆が警戒する。故に狙うのは手や足などの末端だ。
「まあつっても、足止め程度か」
「ハッ、そんなんじゃあ意味ねえなぁ!」
俺の弾を避けながら、ある程度まで近付いてきた瞬間だ。影浦先輩が腕を大きく振りかぶる.........そろそろ来るな。
次の瞬間細く速い線が走る。ログで第三者目線から見るよりよほど速い。わかっていれば避けられるかもと高をくくっていたが、流石に甘かったわこれ。
ブースのベットの上に静かに転送された。
いやいやなに、何なのあれ、みんなランク戦であれとやってんの?意味わからん。次の瞬間ブース内に声が響く、少なからず怒気をはらんで。
『おい、まさかこれで終わりとかいうんじゃねえだろうな?』
「まぁ、これで終われたら楽なんですが…………今のじゃ納得して貰えませんよね多分」
『ファントムババアは見る目はある。この程度の奴を推すやつじゃねぇ、見せてみろ比企谷』
「………そう言われたら、やるだけやりますよ」
ー2本目ー
序盤にやることは変わらない。影浦先輩は、またもや屋根に陣取り周りを見渡す。不意打ち無効だとこういう手が取れるからずるいよな。
でも一つ思ったことがある。あの人のSEは、壁越しでも作用するのか。実際に視界に収め、視線をぶち当てる必要があるんじゃないか?であれば、この奇襲はおそらく成功する。
ステルス八幡を発動し、物音を立てずに影浦先輩がいる家に忍び込む。このくらいはお手のもんだ。2階まで駆け上がり、天井に向かってそのトリガーを放つ。
「メテオラ」
瞬間、家の屋根が消し飛ぶ。直撃こそしなかったが、意表はつけたらしい。足場を失った影浦先輩は反射的にマンティスを繰り出そうとする。だがそれは後手だ。すでに俺は左手にハンドガンを構えている。
「チッ、いつこの家に入りやがった」
「隠密だけは、他の奴とは歴が違うんで」
引き金を引く。影浦先輩は空中に投げ出されているため、取れる選択は攻撃の手を止めてのガード。そこまでが、俺が描いた筋書きだ。俺の弾はシールドをすり抜け、影浦先輩の腕と足に突き刺さる。
「やるじゃねぇか、でもこれ避けれんのかぁ!」
「避けませんよ、来るとわかってればッ!」
マンティスは速くしなやかな刃だが、結局のところスコーピオンで元になってるらしい。スコーピオンは軽いが耐久性がない、薄く引き伸ばせばさらに強度は落ちる。つまりは、避けるのは至難だが防ぐだけならなんとかなる。
身を縮めシールドでガードしする。影浦先輩は鉛弾の重みで落下、あのまま落ちれば道路に叩きつけられる。そこが、俺が唯一あの人を落とせるタイミングだ。しっかり立てる足場を用意してしまえば、たとえ機動力を削ったとしてもあの技だけで十分脅威だ。
「これでっ!」
「あめぇんだよ!」
落下ポイントの真下から上へスコーピオンを突く。他の人ならシールドで確実に防ぐところだろうに、影浦先輩はあろうことか重りが付いていない手にスコーピオンを持ち攻撃してきやがった。この人頭平安武士か何かなの?
そして影浦先輩が俺の上に落下する。結果として俺に馬乗りになるような形、俺のスコーピオンは影浦先輩の首を薄く切るに収まり、影浦先輩のスコーピオンは俺の胸に突き立っている。最後の最後、俺がどこを刺すかをSEで察知して首を捻ったのか、あの一瞬で…………流石だよ。
「最後の最後、スコーピオンでの近接戦を選んだのは間違いだったなぁ比企谷。本職の攻撃手じゃねぇお前になら、重りのハンデがあっても負けねぇよ」
「でしょうね………でもやっぱ、鉛弾は使えますよ。勝ちきるとまでは行かなくても………相打ちには持って行けた」
「あ?…………ッお前」
勝てなくても、泥臭くみちづれにする準備はしておく。弱い兵隊が強い兵隊を相打ちに持っていけるなら、それは戦場において大きな戦果だ。だから、俺は準備する。
スコーピオンと共に出しておいた
ーーーーーーーーーーーーー
「………まぁ、結局相打ち一回がやっとか」
「お前のスタイルは、俺と相性が極端に悪かった……そんだけだろ」
「隠密からの奇襲がメインの比企谷先輩が、カゲさんと一回相打ちに持ってっただけでもすごいと思うよ」
勝ち星は0、3回戦以降もなんとか粘ってはみたものの全くもって太刀打ちできずにボコボコにされました。
「だがまぁ、ファントムババアが言うだけはあるぜ。近接戦は中の下とかそんなもんだろうが、中遠距離は悪くねぇしここまで気配を探れねぇやつは東のおっさんくらいだからな」
「今たまたまメテオラ入れてたんであれができただけですよ」
今日メテオラを入れている枠は、普段は空き枠か他のトリガーをいれる何でも枠だ。防衛任務で組む部隊に相性が良さげなトリガーや、気分次第でカスタムする。仮にこれがメテオラでなかったら相打ちすらできなかっただろう。
今日搾られたポイント、どう補填しよう………。
最近リゼロを見てて思ったんですけど、カゲさんと八幡のバトルってレイド対ユリウスだなって………見てない人には通じないですねハイ、辞めます。
八幡は自己犠牲と理性のバケモンなんで、まぁ道連れ戦法は上等でしょう。多分メテオラは普段使いはしてないと思いますよ、一回も分割してないし………。