ミニヤッチョ・イン・アクスタ   作:鹿子ゆ〜い

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新・終章

 何故だかわからないけど、私の部屋の神棚に飾ってあるヤチヨのアクスタを見てると、どうしようもなく懐かしく感じてしまうことが最近よく頻発する。郷愁、とでもいうのだろうか。気がついたら手にとって優しく撫でているのだ。私、ヤチヨ好きが興じてアクスタにまで恋し始めた?

 そしてヤッチョGPTの返答の質も少し落ちた気がする。アップデートの影響だろうか。早く回答されるよりも数分かかっても良いから……なんか私がわがまま言ってるだけな気がしてきたな……それにわざわざAIに訊かんでも直接ヤチヨ本人に相談できるので最近は全然使ってない。人情味があってアプデ前のが私は好きだったな。

 今日はチートデーだ。なんのかというと、受験勉強のだ。根を詰めすぎるな死んでくれるなとヤチヨからきつぅく叱られたので、二週間に一日はツクヨミで自由に過ごすのだ。ちなみに勉強中もヤチヨがちゃんと見てくれている。ヤチヨは見ているだけだけどそれでも集中できてしまう。まるで頭から心までヤチヨナイズされたみたい。

 

 

「彩葉」

 私は8000歳かぐやのアバターであるツクヨミ管理人兼AIライバーでAI歌姫の月見ヤチヨに呼び止められる。

「ヤチヨ」

 ツクヨミの公共空間では混乱を防ぐためにこの女の子のヤチヨ呼びを続けている。この女の子をかぐや呼びできるのはヤチヨのお城の中だけ。かぐや引退から一年経ったとはいえありがたいことに未だに熱狂的なファンが居てくれている。だけどかぐやの1番の熱狂的なファンであり唯一にして永遠のパトロンは他でもないこの私だ。悪く思うなよオタク達。

 しかし近頃なにやら私の熱狂的なファンが突然増え始めている。私の後ろにゾロゾロとミニヤッチョがついてきている。最近なぜか単語をちょびちょびと片言で喋るようになって、ニヤケが止まらない。なんならヤチヨ本人もちびヤチヨになっていて、FUSHIが肩に乗ってないと他のミニヤッチョと見分けがつかない。可愛いからもうなんでもいいけど。そのFUSHIが私の方に飛んできたからいよいよ見分けがつかないぞ。

「……彩葉」

 そう呟いたFUSHIがニコニコと満足そうに私に躰を擦り付けてきている。うーんなんだ。これ。まぁ可愛いからいいけど。で、済まないほどの変化っぷりだ。それにこの間のヤチヨは少し様子が変だった。配信で脈絡なく突然泣き出したり、私のアバターのおでこに自分のおでこくっつけてきたり。それはかぐや時代の時もそうだったって? ……それは、否めん。

「ヤチヨ?」

 

 

「ミニヤッチョ達が同期してくれた記憶の中にね、一つ感動的なものがあったの。それを繰り返し擦り切れるまで観てるんだ。擦り切れないけど」

 最近どうしたのか訊いてみたらこんな返答が返ってきた。うーんツクヨミのシステムのことはよくわからんなぁ。まぁ笑いながら返してくれたから、きっと嫌なことではないんだろう。それならもうなんでも良いのだ。ヤチヨが、かぐやが安心してるならもう、なんでも。

 

 

「次の歌さぁ、この曲を元にしてヤッチョ創りたいなぁ」

 そう言ってヤチヨが見せてきたのが、かぐや初配信の、あのジングルだった。匂わせも甚だしいだろうとか思うよりまず、

「無茶言うなぁぁ! コードなにぃぃ?!」

「かぐやもしらなぁーい!」

 三人でケタケタ笑い合っていた。




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