『【魔法科】四葉真夜の溺愛息子・紅刃は七草真由美の婚約者!〜横浜騒乱、四巨頭が戦場を制す〜』 作:夜幻
原作:魔法科高校の劣等生
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「当然でしょう? あなたは私の可愛い紅刃なのですから」
十師族の頂点・四葉家。その当主である四葉真夜の息子、四葉紅刃。冷静沈着な天才魔法師である彼は、母から受け継いだ重力魔法と、他者の魔法演算領域そのものを消去する規格外の固有魔法『圧迫演算領域消去(サイレント・イレイザー)』を操る。
さらに紅刃の隣には、恋人にして婚約者である七草家の令嬢・七草真由美がいた。
四葉深夜と桜井穂波が生存する改変世界で、紅刃は達也や深雪とも深い信頼関係を築きながら、第一高校の図書館司書長として魔法に関する機密情報を管理していた。
そんな中、論文コンペ開催中の横浜を海外テロ組織・大亜連合が襲撃する。
街が戦場と化す中、真由美、渡辺摩利、十文字克人、そして紅刃――四巨頭が学生という枠を超えて前線へ。
狙撃、近接戦闘、防御、そして圧倒的な演算消去。
四人は市民と仲間を守るため、最後まで戦場に残る。
そして紅刃は、愛する真由美を守るため、ついに規格外の力を解放する。
これは、溺愛する母と最愛の婚約者に見守られながら、世界の魔法理論すら覆していく少年の物語。
横浜騒乱の夜、四葉紅刃の「最強」が世界に刻まれる。
もしも――四葉家の次期後継者が、ただ「最強の魔法師」であるだけではなかったとしたら。
四葉真夜と四葉深夜。
本来ならば失われてしまったはずの家族の絆が、この世界では今も続いている。
そんな四葉家に生まれた少年――四葉紅刃。
母・真夜から受け継いだ規格外の魔法資質。
重力を自在に操る魔法。
そして、他者の魔法演算領域そのものを消去する、世界の魔法理論を根底から覆しかねない固有魔法――『圧迫演算領域消去(サイレント・イレイザー)』。
その力だけを見れば、彼はまさしく「怪物」と呼ばれるに相応しい。
だが。
紅刃という少年は、決して完璧な存在ではない。
嬉しければ笑う。
悔しければ落ち込む。
大切な人が傷つけられれば怒る。
褒められれば調子に乗り、美味しいものを前にすれば目を輝かせる。
そして何より――愛する人を守るためなら、自分が傷つくことすら厭わない。
そんな、どこまでも人間らしい少年である。
彼の隣にいるのは、七草家の令嬢・七草真由美。
幼い頃から育まれてきた信頼は、やがて恋へと変わり、二人は婚約者となった。
さらに、司波達也や司波深雪をはじめとする第一高校の仲間たちとも深い絆を結んでいる。
――そして迎える、横浜騒乱。
論文コンペという学生たちの祭典は、一夜にして戦場へと変貌する。
大亜連合による襲撃。
崩壊する街。
逃げ惑う市民。
魔法師同士の激突。
その最前線に立つのは、まだ高校生である四人の魔法師。
渡辺摩利。
十文字克人。
七草真由美。
そして――四葉紅刃。
守るために戦う。
誰かを救うために立ち上がる。
たとえ、それが自分にとって危険な戦場であったとしても。
これは、四葉家の「最強」を受け継いだ少年が、愛する人たちと共に戦場を駆け抜ける物語。
そして――。
「僕の大切な人に、触るな」
その一言と共に。
世界は初めて、四葉紅刃という少年の本当の力を知ることになる。
――さあ。
横浜騒乱の夜を始めよう。
――横浜の夜は、赤かった。
高層ビルの窓ガラスが砕け、遠くで爆発音が轟く。
逃げ惑う人々の足音。
警報。
怒号。
そして、魔法が炸裂する轟音。
「……嘘だろ」
瓦礫の向こうを見つめながら、四葉紅刃は目を見開いた。
「論文コンペに来ただけなのに……なんでこうなるんだよぉぉぉっ!」
頭を抱えた。
四葉家の後継にして、規格外の魔法師。
普段ならばどんな難解な魔法理論を前にしても眉一つ動かさない――などということは、彼にはない。
褒められればすぐ笑う。
嬉しければ飛び跳ねる。
嫌なものは露骨に嫌がる。
そして今は、盛大に頭を抱えていた。
「紅刃くん」
そんな彼の背後から、柔らかな声が届く。
「な、なに?」
紅刃が振り返る。
そこには七草真由美がいた。
制服の上に簡易戦闘装備を纏い、普段の朗らかな笑顔を浮かべている。
しかし、その瞳だけは笑っていなかった。
「私、こういうときの紅刃くんの顔、好きだなぁ」
「え?」
「だって、とっても人間らしいんだもの」
「いやいやいや! 今そこ褒めるところ!?」
紅刃の顔が一瞬で赤くなる。
「そ、そういうこと言ってる場合じゃないだろ!」
「ふふっ。そうね」
真由美は楽しそうに笑った。
だが、次の瞬間。
彼女の目が鋭く細められる。
「――敵、来るよ」
紅刃も振り返った。
瓦礫の向こう。
武装した大亜連合兵が数名、こちらへ接近している。
「紅刃」
真由美が静かに告げる。
「お願いできる?」
「もちろん!」
紅刃は即答した。
さっきまでの絶望顔が嘘のように、満面の笑みを浮かべる。
「真由美を守るのは、僕の役目だから!」
「……もう」
真由美の頬が少しだけ赤くなった。
「そういうところ、ずるいんだよなぁ」
「え? なに?」
「なんでもない」
その直後だった。
銃声。
「危ない!」
紅刃が叫ぶ。
真由美の腕を引き寄せた瞬間、二人の横を銃弾が通過する。
「紅刃くん!」
「大丈夫!」
紅刃は笑った。
だが、その笑顔は次第に消えていく。
「……真由美に向けて撃った」
拳が震える。
怒りだった。
「それだけは――」
紅刃の周囲で、空気が歪む。
「絶対に許さない」
重力が変わった。
敵兵たちの身体が、一斉に地面へ叩きつけられる。
「ぐっ……!?」
「な、なんだ……身体が……!」
紅刃は一歩、前へ出る。
「僕、怒ってるからね」
その顔には、隠しようのない怒りが浮かんでいた。
しかし――。
「紅刃」
横から声がした。
「やりすぎるな」
渡辺摩利だった。
その手には魔法式を展開するためのCAD。
「ここは市街地だ。敵だけを狙え」
「分かってる!」
紅刃は頷く。
その瞬間、別方向から大量の敵兵が姿を現した。
「来たか」
摩利が構える。
「紅刃、真由美。後ろは任せろ」
「え?」
紅刃が目を丸くする。
「摩利さん一人で?」
「一人じゃない」
ズン――。
重い足音が響いた。
「俺もいる」
十文字克人。
圧倒的な防御魔法を展開しながら、堂々と立っている。
「十文字先輩!」
「前線を押し返す。君たちはその隙に民間人を避難させろ」
「了解!」
紅刃が頷く。
四人が並んだ。
狙撃。
近接。
防御。
そして――演算消去。
戦場において、それぞれが異なる役割を持つ。
だからこそ、強かった。
「紅刃くん!」
真由美の声。
「右!」
「見えてる!」
紅刃が右手を掲げる。
敵魔法師が起動しようとしていた魔法式が――消えた。
「なっ……!?」
敵兵が絶句する。
魔法式だけではない。
魔法を演算するための領域そのものが、音もなく失われていた。
「――『圧迫演算領域消去』」
紅刃が呟く。
「サイレント・イレイザー」
魔法師にとって、演算領域は武器そのものだ。
それを奪う。
破壊するのではない。
最初から「存在しなかった」かのように消去する。
「馬鹿な……!」
敵が後退する。
紅刃は追わなかった。
「逃げるなら、追わない」
そう言って、真由美を見る。
「でも、もう誰も傷つけないで」
「紅刃くん……」
真由美が息を呑む。
そのときだった。
頭上から、大規模魔法の気配。
「まずい!」
摩利が叫ぶ。
「全員、伏せろ!」
空から降り注ぐ無数の魔法弾。
十文字が防御魔法を展開する。
摩利が迎撃する。
真由美も魔法を放つ。
それでも――足りない。
「紅刃!」
真由美が叫んだ。
「――真由美!」
紅刃は迷わなかった。
彼女の前へ飛び出す。
「えっ――」
次の瞬間。
紅刃の周囲に、凄まじい重力場が発生した。
大気が震える。
瓦礫が浮き上がる。
敵の魔法式が次々と崩壊していく。
「僕の大切な人に――」
紅刃の目から涙が一粒こぼれた。
怖かった。
真由美を失うかもしれない。
それが、何より怖かった。
「触るなぁぁぁぁぁッ!」
咆哮。
重力が爆発した。
敵の魔法演算領域が、一斉に消える。
魔法式も。
魔法の構築も。
術者の演算そのものさえも。
戦場から、音もなく消えていった。
「……終わった」
紅刃が膝をつく。
「紅刃くん!」
真由美が駆け寄った。
「大丈夫!?」
「だ、大丈夫……」
紅刃は涙目だった。
「怖かった……」
「……うん」
真由美は彼を抱きしめる。
「怖かったね」
「……真由美」
「ありがとう」
その一言で、紅刃の顔がさらに真っ赤になる。
「い、いや……その……婚約者だし……!」
「ふふっ」
「笑うなよぉ!」
少し離れた場所では、摩利が呆れた顔をしていた。
「……あれが四葉家の切り札か」
十文字も静かに頷く。
「強い。だが、それ以上に――」
「人間臭い、か?」
「ああ」
そのとき。
「紅刃」
聞き慣れた声がした。
紅刃が振り返る。
「お母様!?」
四葉真夜が、そこに立っていた。
「無茶をしましたね」
「……ごめんなさい」
紅刃が露骨に肩を落とす。
「でも……真由美を守りたかったから」
真夜はしばらく息子を見つめた。
そして、優しく微笑む。
「ええ。よく頑張りました」
「……!」
紅刃の顔がぱっと輝く。
「本当!?」
「ええ」
「やった!」
ガッツポーズ。
真夜はそんな息子の頭を撫でる。
「ですが、演算領域の負荷については後で話しましょう」
「えっ」
紅刃の笑顔が凍った。
「お、お母様……?」
「あなたは私の可愛い紅刃なのですから。無茶をして壊れてしまったら困ります」
「うわあああ! やっぱり怒られるぅ!」
真由美が吹き出した。
「ふふふっ」
「真由美まで!」
横浜の夜。
戦場にはまだ煙が残っている。
それでも――。
四葉紅刃は笑っていた。
守りたい人がいる。
帰りたい場所がある。
そして、自分を心配してくれる人がいる。
それだけで。
どれほど凄惨な戦場であろうとも、彼はもう一度立ち上がれる。
「よし!」
紅刃は拳を握った。
「帰ったらラーメン食べよう!」
「……紅刃くん」
「なに?」
「さっきまで泣いてたのに、もう食べ物の話?」
「だってお腹空いたんだもん!」
「もう……」
真由美は笑う。
真夜も小さく息を吐く。
そして三人の背後で、摩利と十文字も静かに歩き出した。
横浜騒乱。
その夜、戦場に立った四人の名は、後に魔法史の一頁へ刻まれることになる。
だが――。
四葉紅刃にとっては。
それよりもずっと大切なことが、一つだけあった。
「真由美」
「なに?」
「……無事でよかった」
「うん」
彼女は微笑んだ。
「私も、紅刃くんが無事でよかったよ」
二人は並んで歩く。
瓦礫の向こう。
まだ消えない爆炎を背にして。
それでも確かに、夜明けへ向かって。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
今回は『魔法科高校の劣等生』の世界観をベースに、四葉真夜の息子として生まれたオリジナル主人公・四葉紅刃を中心とした、横浜騒乱の読み切りSSを書いてみました。
紅刃の最大の特徴は、圧倒的な魔法能力だけではありません。
四葉家という巨大な家の力を背負いながらも、家族を愛し、仲間を大切にし、そして七草真由美を心から大切にする。
そんな「最強なのに人間臭い主人公」を目指しています。
特に今回は、紅刃の『圧迫演算領域消去(サイレント・イレイザー)』を横浜騒乱の戦場で初めて本格的に描きました。
相手の魔法を単純に打ち破るのではなく、「魔法を使うための演算そのものを消してしまう」という力。
魔法師にとって演算領域がどれほど重要なのかを考えると、かなり規格外の能力です。
ただし、紅刃自身は自分の力を誇示するために戦っているわけではありません。
彼が本当に怒るのは、自分が傷つけられたときではなく――。
自分の大切な人が傷つけられたとき。
だからこそ、真由美を守る場面では理屈よりも感情が先に出る。
普段は明るく、褒められればすぐ調子に乗り、お腹が空けば戦場でも食事のことを考えてしまう。
そんな少年が、愛する人のためだけには誰よりも強くなる。
そこを今回の紅刃の魅力として描きました。
そして何より、最後の真夜とのやり取り。
世界最強クラスの魔法師としてではなく、「息子を心配する母親」として紅刃を見る真夜。
紅刃にとって、どれほど強大な力を持っていたとしても、母親から「よく頑張りました」と言われることが嬉しい。
そんな親子関係も、この作品では大切にしていきたい部分です。
真由美との婚約者としての関係も、戦闘だけではなく、日常ではもっと甘く、もっと賑やかに。
達也や深雪、摩利、克人たちとの関係も含めて、原作とは異なる「もう一つの魔法科高校の劣等生」の世界を広げていければと思います。
横浜騒乱は終わりました。
けれど、四葉紅刃の物語は、ここからが本番です。
家族。
友情。
恋。
そして、世界の魔法理論すら揺るがす『サイレント・イレイザー』。
次に彼がどんな事件へ巻き込まれ、どんな表情を見せ、誰を守るために拳を握るのか。
ぜひ、これからの物語も楽しんでいただければ幸いです。
それではまた、次の物語で。
――四葉紅刃の「最強」は、まだ始まったばかりです。